カメラのレンズの種類とは?標準・広角・望遠・マクロ等徹底解説!!
カメラを始めたばかりの方にとってわかりにくい、レンズの種類。
いま人気が再燃している中古フィルムカメラでも、デジタル一眼カメラでも、使用するレンズによって撮れる写真は大きく変わってきます。
単焦点レンズとズームレンズの違いとは?
標準レンズ・広角レンズ・望遠レンズの定義とは?
画角ってなに?
今回は、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが、レンズの種類とそれぞれの特徴について解説します。
ぜひ、レンズを選ぶときの参考にしてくださいね!
目次
カメラ用交換レンズの種類
カメラを始めたばかりのときに難しいのが、レンズの種類と特徴。
レンズについて知ることで、より多彩な写真を撮ることができますよ。
レンズが交換できるカメラ
まず最初に、レンズは、カメラの種類によって取り付けられるものが違います。
デジタルの一眼レフカメラやミラーレス一眼レフカメラはもちろんのこと、中古フィルムカメラにもレンズの交換ができるカメラがたくさん存在しています。
レンズが交換できるカメラとしては、以下のようなものがあります。
一眼レフカメラ(フィルム/デジタル)
中古フィルムカメラにも、デジタルカメラにも存在するのが一眼レフカメラ。
一眼レフカメラは一部を除き、基本的にはレンズ交換が可能です。
基本的にはニコンやキヤノンなどのメーカーごとに使えるレンズが異なるので、適合するものを買う必要があります。
いっぽう、フィルムカメラの時代の「M42マウント」やペンタックスの「Kマウント」などは、パテントが公開されたユニバーサルマウントと呼ばれ、多くのメーカーが同じマウントを採用していて互換性があります。
レンジファインダーカメラ(主にフィルム)
中古フィルムカメラのなかでも人気が高いレンジファインダーカメラ。
レンジファインダーカメラとは「距離計」を内蔵して、それを使ってピントを合わせるカメラのこと。
レンジファインダーカメラは主にライカLマウント(L39スクリューマウント)とライカMマウントというメジャーな2つの種類があり、多くのメーカーからレンズが販売されています。
マウントが同じなら、メーカーや製造国関係なく取り付けが可能です。
主にフィルムカメラですが、デジタルカメラにもわずかに存在します。
レンジファインダーカメラについては、以下の記事でも解説しています。
ミラーレス一眼カメラ(デジタル)
ミラーレス一眼カメラは、SONY αシリーズやOLYMPUS PENシリーズ、富士フイルムXシリーズなど、レンズが交換できる、内部に一眼レフのようなミラーがないデジタルカメラのこと。
メーカー純正のレンズが交換できるだけでなく、「マウントアダプター」という道具を使うことで、上で紹介した一眼レフカメラやレンジファインダーカメラ用の古いレンズ(オールドレンズ)を使うことも可能です。
他にも「レンズ交換が可能な二眼レフカメラ」というようなものも存在しますが、レンズ交換が可能なカメラとして主流のものは、上記の3種類と言って問題ないと思います。
では、これらのカメラで使える交換レンズには、いったいどんな種類があるのでしょうか?
次の節から、いくつか存在する分類方法に従って、種類を紹介していきます。
[oldlens]
単焦点レンズとズームレンズ
レンズの大まかな分類方法として、まず、「単焦点レンズ」と「ズームレンズ」という区別が挙げられます。
単焦点レンズとズームレンズの違い
単焦点レンズとズームレンズとは、まずどのようなものなのでしょうか?
簡単にそれぞれの特徴を挙げると、
単焦点レンズ:焦点距離(画角)が1つしかないレンズ
ズームレンズ:焦点距離(画角)をズームして変えることができるレンズ
ということになります。
単焦点レンズ
ズームレンズ
平たく言ってしまうと、トートロジーになってしまいますが、「ズームできないレンズ」イコール「単焦点レンズ」ということです。
レンズ交換が可能なデジタルカメラやフィルムカメラを使ったことがない人も、スマホのカメラやコンパクトデジタルカメラのズーム機能を使ったことがあるはず。
ズームレンズは写真に写る範囲を変えることができるのです。
逆に、単焦点レンズはズームすることができないため、遠くのものを撮るには自分が近づいて、大きなものを撮りたいときには自分が下がる必要があります。
……ときくと、単焦点レンズはデメリットばかりで、ズームレンズのほうが優れているような気がしてきますが、実は単焦点レンズにも、それ以外の面で非常に大きなメリットがあるのです。
単焦点レンズの特徴とメリット
単焦点レンズの例:Ai Nikkor 50mm F1.4S
単焦点レンズにはいくつもの利点があります。
1.画質がよい
まず、画質が非常によいということ。
単焦点レンズは、ズームレンズに比べて一般的に解像力がとてもよく、細かい部分までしっかりと描写してくれます。
その理由は、ズームレンズに比べて単焦点レンズのほうが歴史が長く、設計が完成していること。
そして、ひとつの画角(撮影される範囲)だけに特化した設計をすればよいので、シンプルな設計で性能を高められるためです。
もちろん現在では、ズームレンズにも、プロが使うような高級レンズに単焦点レンズ顔負けの描写のものもあります。
ですが、現代の最新単焦点レンズは、最新高級ズームレンズをはるかに超える画質。
しかも値段も単焦点レンズのほうが安いのです。
2.ボケを使った写真が楽しめる
単焦点レンズなら、背景のボケを生かした写真が簡単に撮れますよ。
これは、単焦点レンズには「明るい」(F値が小さい)レンズが多いため。
50mm F1.4というレンズの場合、「F1.4」の部分が小さければ小さいほど、背景を大きくボカした写真を撮ることができるのです。
いっぽうズームレンズは、高級レンズにはF2.8のものもありますが、普及価格帯ではF3.5〜F4程度という、暗めのものが多いです。
もちろん、暗いズームレンズでも撮り方によってボケを楽しむことは可能ですが、ボケを使う時の自由度は単焦点レンズのほうがずっと高いといえるでしょう。
3.小型・軽量
多くの画角に対応しなければならないズームレンズは、設計が複雑で、どうしても大きく、重くなってしまいます。
それに対して、シンプルな設計で高い画質を実現できる単焦点レンズは、ズームレンズよりずっと小型で軽量。
持ち運びもとても便利です。
もちろんズームレンズにも軽さを売りにしたものがありますが、ズームレンズで軽いものはある程度画質が犠牲になってしまうことが多いです
4.安い
単焦点レンズは基本的に安いです。
ズームレンズでも、いわゆる「キットレンズ」と呼ばれるような、デジタル一眼レフカメラに付属してくるようなとても安価なものがありますが、それは例外。
キットレンズ以外では、基本的に単焦点レンズのほうが安価に入手可能です。
とくに、同程度の画質を求めた場合には、単焦点レンズとズームレンズの価格差はさらに大きくなります。
50mm F1.8という至って平凡なスペックの単焦点標準レンズと、28-70mm F2.8というプロが使うスペックの高級ズームレンズを比べても、前者のほうが解像力が高いことは普通。
いっぽう、デジタル一眼レフカメラのキットレンズの画質は、値段が同程度の単焦点レンズに大きく劣ります。
そう、単焦点レンズは、ズームレンズより安価に高画質を楽しむことができるレンズなのです。
5.クラシックなオールドレンズが楽しめる
中古フィルムカメラ専門店の当店、サンライズカメラとしては、単焦点レンズには、過去の「銘玉」が数多く存在していることもぜひプッシュしておきたいところです。
単焦点レンズは古くから作られているため、解像力や収差といった性能は現代のレンズにひけをとりません。
しかも中古の古い単焦点レンズは、現代レンズからはなくなってしまった、描写の「味」に優れたものが非常に多いのです。
CDやダウンロード音源よりもアナログレコードのほうが、味わい深い「良い音」が楽しめるのと同じです。
そんな中古レンズは、種類にもよりますがとてもリーズナブルな値段で購入することが可能。
フィルムカメラのボディはもちろん、デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラで簡単に使うことができますよ。
ぜひあなたも、単焦点レンズ、そして中古のオールドレンズで、幅広い撮影を味わってみませんか?
[oldlens]
ズームレンズの特徴とメリット
ズームレンズの例:Ai-s Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-4.5
ここまでは単焦点レンズのメリットばかりを紹介してきましたが、もちろんズームレンズにもメリットがあります。
ズームレンズが広く使われているのは、もちろん便利だから。
画質や味わい深さでは単焦点レンズに譲りますが、実用の道具としてはズームレンズはとても有用です。
1.画角が変えられる
ズームレンズは、その名の通りズームして画角(写る範囲)が変えられるレンズ。
広角での撮影をした直後に、ズームして望遠での撮影を行うのも自由自在です。
例えば、自分が歩き回って被写体に近づいたり離れたりしにくい場所。
イベントや学校行事など、画質より記録性が求められる場面では、ズームレンズの使用が適しています。
実際、プロの学校カメラマンやブライダルカメラマンの装備は基本的にズームレンズ一択です。
2.速写性が高い
上記に関連して、ズームレンズはすぐに画角を変えられるので、どんな撮影場面にもすぐに対応することができます。
現代では新聞記者の使う取材用カメラにもエントリークラスのズームレンズがついていることが多いですが、これは画角を素早く変えて、一瞬の記録を逃さないためなのです。
3.一本で多くのシーンに対応
ズームレンズでは広角から望遠までを一本のレンズでカバーできるため、持ち歩くレンズの数を減らすことができます。
旅行などで荷物を増やしたくないときには大きなメリットです。
単焦点レンズとズームレンズを比較
単焦点レンズとズームレンズの特徴をまとめました。
単焦点レンズ | ズームレンズ | |
画質 | ◎ | ◯〜△ |
ボケ | ◎ | △ |
軽さ・小ささ | ◎ | △ |
値段 | ◎ | ◯〜△ |
便利さ | △ | ◎ |
これらのことから、単焦点レンズとズームレンズがそれぞれ向いているのは、以下のようなシーンだといえるでしょう。
単焦点レンズに向いているシーン
画質や撮影した写真の美しさ・味わい深さを重視するなら単焦点レンズがおすすめです。
ポートレート撮影
スタジオ撮影
花・風景
街中でのスナップ
ズームレンズに向いているシーン
1つのレンズでたくさんの撮影シーンに対応する必要がある・速写性が必要な場面ではズームレンズがおすすめです。
旅行
イベント撮影
学校など子供の撮影
結婚式の撮影
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標準レンズ・広角レンズ・望遠レンズ
単焦点レンズとズームレンズという分け方のほかに、カメラのレンズは、撮影する画角(写真が写る範囲)でも分類できます。
おおまかには三種類。
標準レンズ・広角レンズ・望遠レンズです。
画角(写る範囲)とは
標準レンズ・広角レンズ・望遠レンズで異なるのが画角。
画角とは、同じ場所から撮影したときに写真に写る範囲のことです。
50mmや35mmといった焦点距離の数字により判別でき、原則として、焦点距離が短い(数字が小さい)ほど広い範囲が、焦点距離が長い(数字が大きい)ほど狭い範囲が写ります。
35mmフィルムカメラや、フルサイズデジタル一眼カメラの場合、一例として以下のように、写る範囲の変化がみられます。
(同じ場所から動かずに撮影)
28mm
35mm
50mm
85mm
105mm
135mm
180mm
200mm
35mmフルサイズ換算とは
さて、現在、画角を「35mmフルサイズ換算」で表すことが広く行われています。
画角はレンズの焦点距離だけでなく、フィルムやイメージセンサーのサイズにも影響され、
同じ焦点距離(例えば50mm)の場合、フィルムやイメージセンサーが小さいと写る範囲が狭く(望遠レンズになる)、大きいと写る範囲が広く(広角レンズになる)変化します。
例として、35mmフィルムカメラの標準レンズにあたる焦点距離50mmのレンズとほぼ同じ画角のレンズは、
APSサイズのデジタル一眼レフカメラでは約35mm。
66判の中判カメラでは約80mmとなります。
換算焦点距離については、こちらの記事で解説しているので併せてご覧ください。
標準レンズ
標準レンズとは、35mmフルサイズのフィルムカメラ/デジタルカメラで焦点距離50mm前後の画角のレンズを指します。
具体的には、焦点距離が短い(数字が小さい)場合は43mm程度から。
焦点距離が長い場合には58mm程度までが、標準レンズとされることが多いといえるでしょう。
標準レンズの特徴
標準レンズは、「オールマイティに使える」ことが特徴。
かつて、焦点距離50mm前後の標準レンズは、フィルム一眼レフカメラやレンジファインダーカメラとセットで販売されていました。
現代でいう、デジタル一眼カメラのキットレンズのような立ち位置です。
その理由もまた、焦点距離が手ごろで使いやすいため。
撮影者の技量によって広角レンズのようにも、望遠レンズのようにも使えるため、単焦点レンズを最初に購入するなら最適な一本だといえるでしょう。
標準レンズの撮影例
標準レンズは安い
標準レンズはカメラとセットで販売されたレンズのため基本的に廉価。
現代の新品レンズでも、標準レンズは安めの値段が設定されています。
また中古の標準レンズも、製造数が多かったためリーズナブル。
オールドレンズを中古で買って入門するのにも最適です。
標準レンズは写真がうまくなるレンズ
標準レンズは、使い方によっていくらでも描写力を引き出すことができるレンズ。
ということは逆に、撮影者の技量が如実に現れるレンズであるともいえます。
もちろん初心者の方でも、明らかに「ズームレンズと違う」味わいを楽しめるレンズではありますが、使えば使うほどに写真がうまくなることを感じられるでしょう。
標準ズームレンズ
Nikkor Auto 43-86mm F3.5
ズームレンズにおいても単焦点レンズ同様に標準・広角・望遠の区別があります。
上記の「標準レンズ」と同程度の焦点距離を含んだズームレンズを「標準ズームレンズ」といいます。
よくある焦点距離としては、
35mmフルサイズ換算では、
- 35mm〜70mm
- 28mm〜80mm
- 28mm〜105mm
- 24mm〜120mm
などが挙げられます。
(上記は一例で、メーカーによって異なります)
代表的な単焦点標準レンズ
Ai Nikkor 50mm F1.4S(ニコン/フィルム一眼レフ用)
Super Takumar 55mm F1.8(ペンタックス/フィルム一眼レフ用)
Summicron 50mm F2(ライカ/レンジファインダーカメラ用)
EF 50mm F1.8(Canon/AFフィルム一眼レフ・デジタル一眼レフ用)
おすすめの標準レンズ
こちらの記事でおすすめ標準レンズを紹介しています。
併せてご覧ください。
[oldlens]
広角レンズ
焦点距離がおおむね40mm以下のレンズは広角レンズと呼ばれます。
代表的な焦点距離としては、
- 35mm
- 28mm
- 24mm
が挙げられるでしょう。
しかしながらこれはあくまでも目安。
焦点距離35mmのレンズは標準レンズのように使われることが多いので「準広角レンズ」と呼ばれます。
広角レンズの特徴
広角レンズは、その名の通り広い範囲が写るレンズです。
集合写真や建物の写真を撮るときに、後ろに下がらなくても近くで全体を撮影することができます。
広角レンズはピントが合いやすい
写真を撮るときに多いミスがピンボケ。
実は広角レンズはピンぼけしにくいレンズです。
カメラ用のレンズには「被写界深度」という概念があります。
被写界深度とは、ざっくりと説明すると、実際にピントが合っている場所の前後にある、ピントが合っているように見える範囲のこと。
この被写界深度は、焦点距離が短いほど、すなわち広角レンズになるほど範囲が広くなります。
同じ被写体を撮影する場合でも、50mmの標準レンズと28mmの広角レンズとでは、後者のほうがピントが合いやすいのです。
そのため、フィルムコンパクトカメラなど初心者向けのカメラには、焦点距離35mm程度の、少し広角気味のレンズが固定されている場合が多いです。
広角レンズは遠近感が強調される
広角レンズで撮った写真には、「遠近感」(パース)が強調されるという特徴があります。
使い方によって、非常にドラマチックな画を得ることができますよ。
ただしその代わりに、人物を撮った場合にも形が歪んで写ってしまいます。
とくに人物を上から見下ろすように撮った場合、非常に頭でっかちに写ってしまうので注意が必要です。
超広角レンズ
Ai Nikkor 18mm F3.5 S
また、広角レンズのなかでも、「とても広い範囲が写る」レンズのことを超広角レンズといいます。
具体的にどこからが超広角レンズと呼ばれるのかという厳密な定義はありませんが、
おおむね、筆者は焦点距離20mm前後からが超広角レンズだと思っています。
焦点距離17mmや12mmといった極端に広い範囲が写るレンズは、一般的なレンズとは異次元の描写。
普通に使うだけで印象的な写真が撮れるでしょう。
広角ズームレンズ
Canon EF 16-35mm F2.8 L
ズームレンズの中でも広角レンズの画角をカバーするものを、広角ズームレンズといいます。
とはいえ、ズームレンズの場合、標準ズームレンズ自体が28mmや24mmまでの広角域をカバーしていることが多いため、「広角専用」のズームレンズは、16mm程度の超広角域を含むのが普通です。
具体的には16mm〜35mm程度が各メーカーのラインナップに多いものとなります。
代表的な単焦点広角レンズ
Ai Nikkor 28mm F2.8S(ニコン/フィルム一眼レフ用)
Super Takumar 28mm F3.5(ペンタックス/フィルム一眼レフ用)
Summicron 35mm F2(ライカ/レンジファインダーカメラ用)
おすすめの広角レンズ
こちらの記事でおすすめ広角レンズを紹介しています。
併せてご覧ください。
[oldlens]
望遠レンズ
望遠レンズとは、遠くのものを大きく写すためのレンズ。
運動会で子供を撮ったり、飛行機や電車を撮ったり、動きのあるものを撮るのに多用される印象のある存在です。
また、望遠レンズとしては焦点距離が短めの「中望遠レンズ」はポートレート(人物撮影)に最適なレンズ。
雑誌の写真のモデル撮影などでも多用される、写真レンズの花形とも呼べる存在です。
主な焦点距離としては、
- 85mm
- 90mm
- 105mm
- 135mm
- 200mm
- 300mm
などが挙げられます。
望遠レンズの特徴
望遠レンズの特徴は、なんといっても遠くのものが撮れること。
遠くにあるものをクローズアップして撮影したいときには不可欠な存在です。
学校行事や結婚式などのイベントで、人をアップにして撮りたい。
木の枝に咲いている花を遠くからアップで撮りたい。
そんなときに大きな効果を発揮してくれるでしょう。
望遠レンズは動くものがゆっくりに見える
望遠レンズは、鉄道ファンが電車の写真を撮るのに多用するレンズとしても知られています。
理由のひとつが「走っている電車がゆっくりに見える」ため。
肉眼でもそうですが、電車や自動車は、遠くにいるときはゆっくりに見えても、近くに来ると実際には猛スピードに見えるもの。
望遠レンズは「遠くの被写体を拡大」しているため、ファインダーの中では見かけ上ゆっくりに見えるのです。
そのため、速く動いている被写体をベストなタイミングで撮影することが可能です。
このメリットは他の被写体、例えば人物についても同様。
たとえば運動会の徒競走を撮影するような場合、望遠レンズで遠くから撮るほうが簡単に撮影できますよ。
望遠レンズは手ブレに注意
さて、そんな望遠レンズですが撮影に難しい面もあるので注意が必要です。
望遠レンズは狭い範囲をクローズアップしているため、少しでもカメラが動くと、大きくブレて写ってしまいます。
手ブレしやすい望遠レンズでは、ある程度高速なシャッター速度(最低でも、1/250秒、可能なら1/500秒以上がベスト)を切ることが必要となります。
それに伴い、露出の条件も厳しくなる(暗いところでの撮影が難しい)ので注意が必要です。
望遠レンズはピンボケしやすいので注意
広角レンズはピンぼけしにくいと書きましたが、望遠レンズは正反対の特徴を持っています。
望遠レンズは広角レンズと逆に被写界深度がとても少ない(浅い)という特徴があります。
そのため、少しでもピントがズレると、一見してピンボケしているとわかる写真になってしまいます。
望遠レンズは遠近感が圧縮されて見える
広角レンズの解説の項目で、広角レンズは遠近感が強調されると書きました。
こちらについても、望遠レンズは正反対の特徴があります。
すなわち、遠近感がない写真が撮れるということです。
たとえば手前から奥に物が並んでいるような被写体を撮った場合には、実際には離れて存在する被写体が、あたかもとても近い距離にあるようになります。
このような効果は「圧縮効果」と呼ばれています。
同じ場所を広角レンズで撮った場合
なお誤解されがちなのですが、圧縮効果は望遠レンズだから起きる現象、というわけではありません。
標準レンズや広角レンズで撮影した写真であっても、望遠レンズと同じ画角の範囲だけを切り出すと、同様の現象が起こっているのが確認できます。
中望遠レンズはポートレートに最適
中望遠レンズ:Planar 85mm F1.4 AEG
望遠レンズの中でも、焦点距離85mm前後のレンズのことを「中望遠レンズ」といいます。
標準レンズと望遠レンズの中間のレンズ、ということです。
中望遠レンズは、別名、ポートレートレンズとも通称されています。
すなわち、人物撮影のためのレンズ。
人物撮影にポートレートレンズが最適な理由は2つ。
背景のボケが使いやすいのと、人物の形が歪みにくいためです。
背景のボケが使いやすいのは、上で解説した、ピンボケしやすいという特徴とトレードオフ。
ピントが合う範囲が狭いということは、逆にいえば背景のボケを作り出しやすいのです。
また、中望遠レンズは、人物の形が歪みにくい(広角レンズの特徴とは逆)ので、被写体の特徴をそのまま撮影することが可能です。
とくに広告などのモデル撮影では、モデルの容姿をそのまま撮影できることが大きなメリットとなります。
おすすめのポートレートレンズ
こちらの記事でポートレートレンズを紹介しています。
併せてご覧ください。
鳥や動物、飛行機、電車、スポーツの撮影に超望遠レンズ
超望遠レンズ:AF Nikkor 300mm F2.8 ED
いっぽうで、おおむね300mm以上のレンズは超望遠レンズと呼ばれます。
焦点距離はさまざまで、400mm、500mm、1000mmなどいくつも存在していますが、
基本的には新品・中古を問わず、焦点距離が長い(数字が大きい)ほど値段も高価となります。
用途としては、鳥や動物などの撮影。
飛行機や電車などの撮影。
さらに、サッカーや野球の試合や、オリンピックなどのスポーツイベントで、カメラマンが選手に向けている巨大なレンズも超望遠レンズです。
また超望遠レンズを使うことで、月を撮影することもできますよ。
(ただし、レンズを太陽に向けるのは失明の原因となるので絶対にやめましょう。ミラーレスカメラではカメラの故障も招きます)
望遠ズームレンズ
Ai AF Nikkor 70-210mm F4
望遠レンズにも数多くのズームレンズが存在します。
むしろ望遠レンズはズームレンズのほうが一般的かもしれません。
比較的メジャーな焦点距離としては、
- 70mm〜200mm(210mm)
- 100mm〜300mm
などが挙げられます。
APSサイズのデジタル一眼レフ用のキットレンズでは、55mm〜200mmもよくある焦点距離です。
代表的な単焦点望遠レンズ
Ai Nikkor 85mm F1.4S(ニコン/フィルム一眼レフ用)
Planar 85mm F1.4(コンタックス/フィルム一眼レフ用)
Ai Nikkor ED 180mm F2.8S(ニコン/フィルム一眼レフ用)
各社 300mm F2.8
各社に存在する300mm F2.8のレンズは、「サンニッパ」と通称され、超望遠レンズの花形とも呼べる存在です。
Canon EF 300mm F2.8 USM
高倍率レンズ(便利ズーム)
最後に、広角から望遠までをカバーするズームレンズについても解説します。
ズームレンズの中には、広角側28mmくらいから、望遠側は200mmもしくは300mm程度までをカバーするものが存在します。
このようなレンズは1980年代から存在していましたが、一挙にメジャーになったのは1990年代終わりのこと。
レンズメーカーのタムロンが送り出した、AF28mm〜300mm F3.5〜F6.3(モデル185D)が、一般のカメラユーザーにも受け入れられたものの嚆矢だといえるでしょう。
その後、日本国内の各カメラメーカーも、純正レンズに同様の高倍率の製品をラインナップするようになっていきました。
広角から望遠までをカバーする便利さから、このような高倍率ズームレンズは、「便利ズーム」とも通称されるようになりました。
非常に幅広い画角を使えるため、さまざまな撮影シーンに対応可能。
その代わり、画質や描写力は控えめで、単焦点レンズや高級ズームレンズに性能面では譲ります。
趣味性という面ではカメラ愛好家にあまり顧みられないレンズではありますが、芸術性や表現よりも、確実に記録を残すことが求められる場面では非常に有用な製品です。
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特殊なレンズの種類
最後に、上記で紹介した標準・広角・望遠というくくり以外で分類できるレンズを紹介します。
マクロレンズ(マイクロレンズ)
マクロレンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8S
マクロレンズ(マイクロレンズ)とは、マクロ撮影が可能なレンズ。
すなわち、被写体に近づいて、大きく拡大して撮影(接写)できるレンズです。
花や虫を拡大して撮るのが代表的な使用方法ですが、肉眼では見えないようなものを拡大することで、どんなものを撮っても未体験の画を楽しむことができるでしょう。
またマクロレンズの魅力として、どのレンズも非常に解像力が高いことも挙げられます。
マクロレンズはかつて、学術研究や、マイクロフィルム(写真フィルムに文献を縮小複写して記録したもの)の作成に用いられました。
どちらもレンズに非常な高解像力が必要となる分野のため、マクロレンズは、似た焦点距離のマクロではないレンズに比べ、より精密な描写が可能となっているのです。
マクロレンズは接写だけでなく、遠くの被写体まで普通に撮影することが可能。
厳密にはマクロ撮影で最高の描写となるようなチューニングが施されていますが、無限遠でも各社とも基本的には実用的な性能を発揮するよう設計されているので、どんな場面でも高解像力を楽しめます。
なお、各社がマクロレンズと呼称しているレンズを、ニコンは「マイクロレンズ」と呼んでいます(マイクロフィルムの複写を主用途に設計されたためです)。
代表的なマクロレンズ(マイクロレンズ)
Ai Micro Nikkor 55mm F2.8S(ニコン/フィルム一眼レフ用)
Tamron SP 90mm F2.5(タムロン/フィルム一眼レフ用)
EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ(Canon/フィルム・デジタル一眼レフ用)
おすすめのマクロレンズ
こちらの記事でマクロレンズの銘玉を紹介しています。
ぜひ併せてご覧ください。
多彩な交換レンズでカメラを楽しもう!
単焦点とズーム、そして標準・広角・望遠。
多くの種類があるカメラ用レンズは、使い方によって表現の幅をぐっと広げてくれますよ。
単焦点レンズで解像力あふれた描写。
オールドレンズで味のある描写。
広角レンズで風景を切り取る。
望遠レンズで遠くのものを撮る。
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