フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラが運営するウェブメディアです。

フィルムカメラとオールドレンズのウェブメディア

  • Home
  • [写真の表現力アップ講座6]スローシャッター(長時間露光)撮影で光を操る〜フィルムカメラ編

[写真の表現力アップ講座6]スローシャッター(長時間露光)撮影で光を操る〜フィルムカメラ編

前回の表現力アップ講座では、はストロボを使って光を作り出しました。まさに光のマジックですね。
今回はストロボを使わない、これまた別の光のマジックのコラムとなります。

これはいま持っているカメラのみで撮影が出来ますが、三脚が必須となってきます。
最悪、カメラさえ動かなければ地べたなどに置いても撮影は可能です。

サンライズカメラはオールドレンズやフィルムカメラのショップ。てことで、今回の作例はフィルムカメラメインで揃えてみました。

ということで、今回は「長時間露光(スローシャッター)」に挑戦です。

 

長時間露光(スローシャッター)とは?

長時間露光、スローシャッター、低速シャッターとも言いますが、シャッタースピードを遅くして撮影することです。

シャッターを押して、閉じるまで、センサーは光を記憶し続けます。それを長く(スローに)することで、肉眼とはまた違った世界を作り出すことができます。

これは特に難しいテクニックではないのですが、「今日はスローシャッターで撮るぞ!」と思わなければ、なかなか撮らないです。

基本は夜の撮影ということ、三脚を使うこと、適した場所に行かないとダメなこと。これで、腰が重たくなります。
でもいざ撮ってみるととても面白いので、まだやったことない方はぜひトライして下さい。

難易度を少しずつあげていきます。

 

フィルムカメラで撮る長時間露光(スローシャッター)

フィルムカメラにもよりますが基本的にはマニュアルで撮影します。
絞りは開放では撮らず、F8以上がいいですね(その場の明るさで調整)。
シャッタースピードが遅いほど、光などの軌跡が残ります。
これをF1.4で撮ると一部の光が強くて白飛びしたり、シャッタースピードが早くなって、あまり軌跡が残らないことがあります。
シャッタースピードは5〜20秒くらい。露出がオートのフィルムカメラでもバルブ撮影がいいですね。
感度はISO50〜400。これが基本となります。

低感度のフィルムだと、意図せずともスローになります。上記の写真、夕方にISO100のフィルムで撮影したのですが、シャッタースピードはかなり遅くなっています。
波形が美しいですよね。

こちらはシンプルにシャッタースピードが遅くなる場所だったので、カメラを地べたに置いて撮影しました。
スローシャッターで撮影したものですが、感度を1600や3200で撮っていればスローにはなりません。

ややこしいので、ここではISO50〜400のフィルム(カメラの設定)で撮影を条件として解説します。

 

LEVEL.1「夜に静止しているものを撮影する」

まずは夜の展望台。これは静止しているものを撮るだけです。暗いので必然的にシャッタースピードが落ちますね。
カメラを固定すればブレずに撮影が出来ます。

コンパクトなフィルムカメラLOMO LC-Aで撮影しています。ガラスに反射しないよう、窓ガラスにカメラを押し付けて撮影しています。
フィルム一眼のNikon Fで撮影。レンズを窓ガラスに押し付けると傷付けるかもしれないので(窓ガラスを)、服でレンズの周りを囲って反射しないように撮りました。

 

LEVEL.2「動いている中から撮る」

車の後部座席から撮影。はい、車の振動もあってちょっとブレてます(笑)。でも、この荒い撮り方の方が迫力や躍動感が出ることもあります。

なにより、簡単。

 

LEVEL.3「カメラを固定して光の軌跡を写す」

これぞザ・スローシャッター!?車の軌跡ですね。歩道橋の上から撮影。
LOMO LC-Aで撮影。感度100のフィルムを使用しています。
シャッタースピードは5秒くらい。

レンズに手ぶれ補正があれば切っておきます。

ということで、撮ってきました。

 

LEVEL.4「規則的に流れる光を残す」

LEVEL.3よりも、撮れる場所が限られるのでLEVEL.4にしました。写真って『場所探し』も大切なんですよね。
メリーゴーランドの写真ですね。夜に撮れる場所は限られますが、走り出したらシャッターを切ります。
これはフィルムカメラで撮ったので、記録は残っていませんが、シャッタースピードは10秒ほどで光の軌跡が写せます。
夜とはいえ遊園地の明るさもあったので、絞りはF8にしました。感度400のフィルムです。

 

LEVEL.5「真っ暗な場所で目には見えない物を撮る」

シャッタースピードを1分

 

NDフィルターを使った、日中の長時間露光

ISOを下げて、絞りをF22などにしても、日中だとシャッタースピードはあまり落ちません。
そこで使うのがNDフィルター。サングラスみたいなもの。減光してくれます。
レンズに入り光が弱くなる→光を集めるのに時間がかかる→シャッタースピードが遅くなる

フィルターの口径に合わせて購入しないとダメですが、どんなレンズにも対応出来るフィルターも売られています。
これはこれでセッティングが面倒ですけどね。

 

番外編

これはフィルムカメラで撮影しました。フィルターなどは使っていません。
ISO感度が極端に低い、ISO1.6のフィルムを使っています。
デジタルだとここまで下げることが出来ないですからね。

海外から購入。これを使ったワークショップを開催したのですが、マニアックすぎて5人くらいしか集まりませんでした(笑)。
めっちゃ面白いやんと思って、ワクワクしながら募集したのになぁ。

著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

関連記事