FUJIFILM(富士フィルム)GF670 Professional/最後の蛇腹中判カメラ
FUJIFILM GF670 Professionalは2009年に発売した中判レンジファイダーカメラ。
伝統ある蛇腹フォールディングカメラを、現在の技術で蘇らせた6×7判の一台です。6×6判への切替もできて、コンパクトながら嬉しい機能満載のおすすめ中判カメラです。
写真がフィルムからデジタルへ移行する中で、逆に注目を集めるようになったのが、中判や大判の中古カメラでした。
大きなフォーマットの余裕ある画質は、デジタルカメラにも、35mmカメラにも不可能な精密な表現が可能です。
それゆえ、趣味に、芸術に、作品としての写真を作りたいユーザーには、中判の中古カメラは重要なツールとして選ばれ続けています。
しかし同時に、実用に耐えうる性能を持った中判カメラは選択肢がとても少ないもので、New Mamiya 6やMamiya 7、プラウベルマキナ67といった特定の中古カメラに人気が集まってしまっていたのです。
そこでFUJIFILMが取った選択が、新型の中判レンジファインダーカメラを作るということ。
性能と信頼性。
これから現役の道具として6×7判の中判カメラを入手するなら、GF670 Professionalはベストな選択肢だといえるでしょう。
目次
FUJIFILM GF670 Professional
それではFUJIFILM GF670 Professionalとはどんなカメラなのでしょうか。
中古フィルムカメラ専門店として、多くの中古中判カメラに関わってきた経験を元に紹介します。
FUJIFILM GF670 Professionalの性能とスペック
形式 | 中判レンジファインダーカメラ |
シャッター | レンズシャッター 4秒〜1/500秒(F2.8、F4時は最高1/250秒に制限) 電子式 |
レンズ | EBC FUJINON 80mm F3.5 |
露出計 | 中央重点測光 SPD受光素子 |
AE | 絞り優先AE マニュアル時も露出計動作 |
ファインダー | 採光式ブライトフレーム レンジファインダー |
電池 | CR2リチウム電池(Amazon)x1 |
発売年 | 2009年 |
2009年に発売したGF670 Professionalは、FUJIFILMが製造する、古くからのカメラメーカーが手がけるものとしては最後になる可能性の高い、中判蛇腹フォールディングカメラ。
モダンなレンズと性能、操作系を持ったものとして、もっとも成熟したスペックを持つ中判カメラです。
搭載レンズはEBC FUJINON 80mm F3.5。
シャッターはレンズシャッターで、4秒〜1/500秒の電子制御式です。
もちろん露出計を搭載しており、SPD受光素子による中央重点測光は、信頼のおける値を間違いなく示してくれることでしょう。
感度はISO25〜3200まで設定可能なので、低感度フィルムから増感まで幅広く対応可能です。
2009年発売ながら連動距離計を搭載しているというスペックは、競合する他社の中古中判フォールディングカメラを強く意識したものだといえます。
見た目こそ伝統的な蛇腹カメラで、古い中古のクラシックカメラをも連想させますが、中身はまさに最新。
逆に、新しいスペックでフィルムカメラならではの見た目を楽しめるのも魅力かもしれません。
6×6判と6×7判両対応
GF670 Professionalは、型番を見る通り基本的には6×7判のカメラ。
しかしながら6×6判にも切り替え可能です。
中判カメラを使うならぜひ体験したい6×6判のスクエアフォーマット。
縦位置・横位置関係なく使える正方形の写真は、写真に「強さ」を与えてくれる表現技法として多くの写真家に愛用されてきました。
そんな6×6判が、GF670 Professionalでは裏蓋を開けて操作を行うだけで、簡単に使用可能なのです。
横長の6×7判と正方形の6×6判。
競合するNew Mamiya 6やMamiya 7、プラウベルマキナ67では1つのカメラにつき1つのフォーマットしか使えませんでしたが、GF670 Professionalなら、最新のスペックでどちらにも対応することができます。
人気の高い中判レンジファインダーカメラは中古の市場価格が高値を保っていることも多いので、このGF670 Professionalを選ぶメリットは、これだけでも非常に大きいといえるでしょう。
また、6×6判のカメラで実用的なのはNew Mamiya 6か二眼レフだけと言っても過言ではありませんでした。
New Mamiya 6は中古がとても高いですし、二眼レフは機種によっては安価な中古もありますが、蛇腹カメラに比べてだいぶ大柄になってしまいます。
その点、GF670なら古い中古中判カメラよりも、便利かつ手軽に「ましかく写真」を撮ることが可能なのです。
中判で最高の写真作品を作るために
中判カメラで唯一の選択肢となった120フィルム。
GF670 Professinalは120フィルムと220フィルムの両対応ではありますが、現実的には120フィルムを用いることになるでしょう。
GF670 Professionalは、この120フィルムで最高の写真を生み出すために、各部の設計を徹底的に煮詰めています。
フィルム巻き上げがレバー式ではなくノブ式であることもその1つ。
ノブ巻き上げというとバルナックライカなどの中古クラシックカメラを連想しますが、実はこの選択は合理的なこと。
迅速に巻き上げができるレバー巻き上げですが、120フィルムの場合、フィルムの平面性を保つ上でベストとはいえないのです。
その点、ノブ式の巻き上げでは、中判の画質を最大限に活かすための平面性は完璧です。
実績あるEBC FUJINONや露出計、モダンな設計と合わせ、中判カメラで可能な最高の画質を、このカメラなら確実に実現してくれること間違いありません。
競合機種に比べてのメリット
それでは、マミヤやマキナなど、中古で手に入る、同じ中判レンジファインダーカメラと比べて、このGF670にはどんなメリットがあるのでしょうか。
まず第一に信頼性。
中判の伝統を重ねてきたマミヤやニッコールを積んでいるマキナは根強い人気を誇っていますが、製造から年数が経つにつれて、確実に内部の劣化は進んできます。
とくに蛇腹を使ったカメラには蛇腹の劣化がつきまといます。
仮に蛇腹に穴が空いてしまうと、修理にはかなりの金額を覚悟しないといけません。
事実マキナの中古などは非常に多くが蛇腹に不具合を抱えています。
(筆者は、ピンホールをカバーするために蛇腹を遮光性のある紙で覆い、折りたたみ機構を使用できないようにして使われていたマキナを目にしたことさえあります)
その点、GF670 Professionalは年式が新しく新品の入手も可能。
蛇腹だけでなく露出計など電装系も含め、中古入手でも信頼性は抜群です。
そして、レンズの性能でも他社を凌駕しているといって差し支えないでしょう。
マキナのニッコールは天下のニコン製といってもかなりの年数を経たもの。
中古では状態も千差万別です。
マミヤのレンズと比べても、EBC FUJINONの設計とコーティングはかなりの優位性を誇るものといえます。
アートでも趣味でも、最高のレンズを使えることは重視するべきポイントです。
むしろ、他の中古中判カメラよりもよい結果が得られる可能性も高いかもしれません。
また前述したように、6×6判と6×7判の両対応であることも大きなアピールポイントのひとつであるといえます。
ニューマミヤ6やマミヤ7は中古が相当な高値であることもあり、GF670は非常に現実的な中古の選択肢といえるのではないでしょうか。
マミヤ・マキナ 関連記事
マミヤやマキナについては、こちらで解説しています。
ぜひGF670と比較する参考にしてください!
FUJIFILM GF670の関連商品
本機では以下の電池を使用します。
GF670で中判フィルムといつまでも
カメラメーカーであるとともにフィルムメーカーでもあるFUJIFILMが自ら生み出したカメラ、GF670 Professional。
どれだけフィルムの種類が減っても、FUJIFILMは120フィルムを生産してくれることでしょう。
2009年という時代になってこのカメラを作り出したことは、FUJIFILMがフィルムを作り続けていくという決意表明にほかならなかったのです。
ぜひこのGF670 Professionalで、これからも中判カメラを盛り上げていきませんか?
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