Canon(キヤノン)のフィルムカメラ代表機種まとめ ぜひ中古で使いたいスマートなカメラたち
ニコンと並び、世界をリードするカメラメーカーであるCanon(キヤノン)。
現在でもデジタル一眼レフのトップメーカーであるCanonですが、フィルムカメラの時代にもかずかずの名機を送り出しています。
Canonのフィルムカメラの特徴、それが時代をリードしてきたこと。
また、廉価なカメラを開発することで「カメラを一般に普及させる」という意味で大きな役割を果たしてきたことも特徴的です。
確かな技術でスタイリッシュなカメラを作り続けてきたCanon。
いったい、Canonのフィルムカメラにはどんな機種があるのでしょうか?
目次
Canonのフィルムカメラ代表機種 MF一眼レフ編
Canon(キヤノン)のフィルム一眼レフカメラ、その代表機種を紹介していきます。
まずはマニュアルフォーカスの機種からです。
1:Canonflexシリーズ(1959年)
「代表機種」という割にはマイナーな機種から紹介をスタートすることになってしまいますが、Canonflex(キヤノンフレックス)は、Canon初の一眼レフカメラとして無視することはできません。
初代Canonflexの発売は1959年と、Nikon Fと完全に同期のカメラ。
しかしながら、この時点ではCanonの一眼レフがNikon Fのように市場に受け入れられることはありませんでした。
その理由が、Nikon Fほどには頑丈ではなかったということ。
さらに、構造的な華奢さに加え、高性能ながら複雑過ぎる構造の自動絞り連動機構「スーパーキヤノマチック」(Super Canomatic)を採用したCanon Rレンズが、露出系連動に不向きだったこともその後が続かない要因となりました。
Canonflexシリーズには初代Canonflex(シャッター最高速1/1000秒)、Canonflex R2000(シャッターを1/2000秒に高速化)、Canonflex RP(ファインダー固定式の廉価版)、Canonflex RM(セレン露出計を内蔵)が存在しますが、はっきりいってどれも中古では非常に不人気です。
現在では世界を席巻しているCanonの一眼レフの最初とはどんなものだったのか。
誠実な設計ながら評価されなかった悲運のカメラを体験してみませんか?
2:Canon PELLIX(1965年)
Canon PELLIX(キヤノン ペリックス)は、上記のCanonflexシリーズに次いでCanonが送り出した、Canon FLマウントを採用した一眼レフのうちの一機種。
このCanon PELLIXの特徴が、「ペリクルミラー」という機構を採用していること。
ペリクルミラーとは、厚さ0.02mmの薄膜ハーフミラーのこと。
撮影時にミラーが上下してファインダーがブラックアウトする欠点の解決を狙った意欲的機種です。
ただし、常にファインダーに光が導かれているため、レンズの実効F値が1/2段暗くなった状態になってしまいます。
結局一般向けカメラとしては後が続きませんでしたが、このペリクルミラーはCanonのお家芸として、その後もプロ向けの超高速連写カメラ用の特殊技術として使われていくことになります。
3:Canon FT QL(1966年)
Canon FT QL(キヤノン FT QL)は、Canon初のTTL測光を内蔵した「普通の」一眼レフカメラ。
上記のPELLIXもそうですがこの時期のCanonのレンズ、FLレンズは絞り込み測光。
このCanon FTは、性能的には非常にオーソドックスなTTL絞り込み測光カメラとなります。
カメラ名の「QL」とはクイックローディングの略。
フィルム装填のミスを防ぐため、この時期のCanonのカメラに搭載された技術で、フィルム先端を挿入する部分が特殊形状となっています。
このFTを受け継ぎ、開放測光のFDマウントではCanon FTbが送り出されています。
4:Canon 旧F-1(1971年)
旧F-1(前期)
Canon F-1(キヤノン F-1)は、Canonがプロ向けフラッグシップカメラの世界に打って出たカメラ。
このF-1の登場により、Canonの35mm一眼レフカメラは、Nikonと並ぶ存在に躍り出ました。
のちに同じ名前のカメラ(New F-1)が登場するため、こちらは旧F-1と呼称されることが多いです。
1970年代を通じ、Nikon F2とのライバル関係が続くこととなります。
5年以上の開発期間をかけ、堅牢さ・信頼性も抜群。
機構面でも、このF-1以降、開放測光のFDマウントへ移行。
Canon FDレンズは、カラーフィルムでの撮影を前提に、交換レンズごとのカラーバランスを統一するという設計で時代をリードしました。
1976年にはマイナーチェンジが行われ、こちらはF-1Nと通称されています。
F-1N(旧F-1後期)
旧F-1について詳しくはこちら
5:Canon AE-1(1976年)
Canon AE-1(キヤノン AE-1)は、Canonの35mm一眼レフカメラが一挙に普及する契機となったカメラ。
それまでフィルムカメラのなかでも一眼レフカメラは、愛好家が使うカメラとされていたのですが、このAE-1は一挙に価格破壊を行い、一眼レフの大衆化に貢献。
それまでは一眼レフカメラのAE機構は高価な中級機に搭載されることが多かったのですが、AE-1は廉価機種ながらシャッター優先AEを搭載したことも人気の秘密となりました。
愛称は「連射一眼」。
その名の通り、ワインダーの装着を前提に設計されています。
詳しくはこちら
なお、このAE-1の後継機としてプログラムAEを搭載したAE-1 Program(1981年)も存在します。
AE-1 Program
6:Canon A-1(1978年)
Canon A-1(キヤノン A-1)は、カメラ内部の電子化を一挙に推し進めた機種。
愛称は「カメラロボット」。
内部に多数のIC(集積回路)を使用するという、1970年代のフィルムカメラとして非常に先進的な設計のカメラで、1970年代の人々にとってまさに新時代のカメラとして受け止められました。
機能的にも、シャッター優先AE、絞り優先AE、プログラムAEの各モードをすべて搭載。
現代のカメラにも通じるこの3モード搭載は、このA-1が最初です。
1970年代という「時代の雰囲気」をもっとも象徴するカメラだといえるでしょう。
7:Canon New F-1(1981年)
Canon New F-1(キヤノン ニューF1)は、旧F-1の発売からちょうど10年後、フルモデルチェンジ機種として発売したフラッグシップ一眼レフ。
内部は電子化され、絞り優先AEやシャッター優先AEが使用可能。
デザインも機構も刷新されています。
そのいっぽうで、各部の操作部材の配置は旧F-1を踏襲。
それまで旧F-1を使っていたユーザーが、違和感なく移行できることも重視しています。
ライバルはニコンF3。
1980年代のCanonを代表するフィルムカメラです。
詳しくはこちら
8:Canon T50(1983年)
1980年代にCanonが展開したフィルム一眼レフ「Tシリーズ」。
その初代機種、Canon T50(キヤノン T50)は、フィルムカメラファンには見向きもされないカメラですが、コンセプト的に非常に「Canonらしい」カメラです。
T50の特徴は、プログラムAE専用で、それ以外の操作ができないということ。
一眼レフのレンズが使用できる以外、押すだけのコンパクトカメラと全く変わらないのです。
相性は「オートマン」。
後述するコンパクトカメラの「オートボーイ」の兄貴分を意識したネーミングです。
このある意味先鋭的なコンセプトは、「誰でも写真が撮れる」時代に突入しつつあった1980年代を象徴するものだといえます。
9:Canon T90(1986年)
フィルム一眼レフカメラのオートフォーカス化が決定的となっていた1986年。
CanonがMF一眼レフの集大成として送り出したのが、Canon T90(キヤノン T90)です。
それまでのCanon製一眼レフカメラと大きく異なるデザインは、その後のEOSシリーズを連想させるもの。
機能面ではAEはフルモード搭載、巻き上げ・巻き戻しは全自動、操作にコマンドダイヤルを採用など、MFのFDレンズを使うこと以外、ほとんどEOSです。
愛称は「TANK」。
実質的にCanon最後のMF一眼レフとして熱狂的ファンが多い機種です。
FDマウントをさらに楽しむためのマウントアダプター
Canonのマニュアルフォーカスのレンズは、マウントアダプターでデジタルでも使用可能。
ぜひフィルムでも、デジタルでもオールドレンズを楽しんでみませんか?
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Canonのフィルムカメラ代表機種 AF一眼レフ編
1987年、Canonは新時代のフィルムカメラとして、一眼レフカメラ「EOSシリーズ」を送り出します。
現代のデジタル一眼レフへと続くEOSシリーズ。
フィルムカメラの時代には、いったいどんな名機があったのでしょうか?
10:Canon EOS 620(1987年)
EOSの原点に触れるなら、初代EOSのひとつ、EOS620がおすすめ。
初期のEOSの中でも上位機種として設計され、シャッター速度1/4000秒、より多機能のプログラムAEなど他のEOS600系にはない機能が搭載されています。
他の初期のEOSとしてはEOS650とEOS630が存在します。
11:Canon EOS-1(1989年)
Canon EOSシリーズ初のフラッグシップ機として開発されたのが、このCanon EOS-1(キヤノン EOS-1)です。
プロの使用を前提に開発されたこのカメラは、それまでオートフォーカスに懐疑的だったプロカメラマンが、一挙にAFを使用し始める契機となりました。
堅牢性は抜群。
操作性の面でも、現在のCanon製デジタル一眼レフに通じる操作系がこの時点で完成しています。
12:Canon EOS 5(1992年)
EOS-1よりも廉価ながら、写真愛好家に求められる機能を搭載したフィルム一眼レフカメラとして開発されたのが、Canon EOS-5(キヤノン EOS-5)。
今の目から見れば派手な部分はないものの、各種AEもマニュアルもそつなくこなす実用的機種として、評価の高いカメラです。
特徴が世界初の視線入力AF。
測光方法も16分割評価測光と、着実にEOSの技術は進歩していきました。
13:Canon EOS-1N(1994年)
Canon EOS-1N(キヤノン EOS-1N)は、EOS-1の後継機種。
EOS-1発売から5年の間に生み出された新技術を搭載、5点自動選択AFの搭載など各所の機能がブラッシュアップされ、信頼性も増しています。
14:Canon EOS 55(1995年)
Canon EOS55(キヤノン EOS55)は、Canonの中級一眼レフカメラとして非常に人気の高かった機種です。
機能的には視線入力AFを搭載するなどEOS-5のコンセプトを受け継いだもの。
カメラとしての完成度は非常に高く、それまでのEOSに比べぐっと洗練された金属外装が人気を呼びました。
15:Canon EOS 3(1998年)
Canon EOS-3(キヤノン EOS-3)は、EOS-1シリーズに次ぐ上級機として開発されたフィルムカメラ。
ですが、当時のフラッグシップ、EOS-1Nの機能を部分的に上回った下克上カメラとしても知られています。
スペック上もっとも目立つのが、45点の多点測距AF。
現代のデジタル一眼レフにも匹敵するスペックです。
堅牢性や防塵・防滴性能もEOS-1シリーズに匹敵するものが備えられ、プロにも愛用されたカメラとなりました。
詳しくはこちら
16:Canon EOS-1V(2000年)
Canon最後のフラッグシップフィルム一眼レフカメラ。
Canonのフィルムカメラの集大成が、Canon EOS-1V(キヤノン EOS-1V)です。
機能面では、前機種EOS-1N発売からの間の新技術をフィードバック、とくに、上述したEOS-3に導入された機能が数多く取り入れられました。
耐久性や防塵防滴性も向上、外装は堅牢なマグネシウム合金製です。
デジタルカメラ前夜、フィルムカメラという形態のカメラは、このEOS-1Vで完成したといって過言ではないでしょう。
詳しくはこちら
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Canonのフィルムカメラ代表機種 レンジファインダー編
そもそもCanonというカメラメーカーのはじまりは、レンジファインダーカメラでした。
戦前〜1960年代にかけて多くのレンジファインダーカメラを送り出していますが、実用面では1950年代末〜1960年代の機種がおすすめ。
ここではその時代の機種を紹介します。
なおキヤノンのレンジファインダーカメラは、基本的にレンズマウントはライカLマウント。
さまざまなLマウントレンズをフィルムで使うのにもおすすめです。
17:Canon P(1959年)
Canon P(キヤノンP)は、Canonが普及型として開発したレンジファインダーカメラ。
機種名の「P」とは、大衆機を意味するPopulaire(ポピュレール)の略。
それまでのCanonのレンジファインダーカメラは、レンズ焦点距離に合わせファインダーが可変する変倍ファインダーを売りにしていたのですが、このP型では複雑なその機構を捨て、シンプルな等倍ファインダーを採用。
現在、Canonのレンジファインダーカメラのなかで最も人気のある機種となったのは、そのシンプルでクリアなファインダーゆえです。
露出計はありませんが、パララックス自動補正のファインダー、1軸不回転シャッターなど、現代的な操作感で快適に使えます。
18:Canon 7(1961年)
Canon 7(キヤノン7)は、フラッグシップ機として開発されたレンジファインダーカメラ。
Canonはこの記事の最初で紹介したCanonflexシリーズの失敗により、一眼レフカメラが普及しつつあった1960年代にもレンジファインダーカメラの新規機種を投入していました。
このCanon 7では、ボディにセレン露出計を内蔵。
また、現在でも世界一の明るい開放F値を持つレンズとして知られる、Canon Lens 50mm F0.95の装着専用の外爪バヨネットマウントがボディに設けられました。
今となっては露出計の実用性はほぼゼロなのがネックですが、使用感は悪くありません。
19:Canon 7S(1965年)
Canonのレンジファインダー最終機種。
Canon 7の露出計を、CdS式に変更したカメラです。
標準規格アクセサリーシューの復活など小改良こそ行われていますが、その他はほぼCanon 7同様です。
こちらも50mm F0.95の装着が可能です。
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Canonのフィルムカメラ代表機種 コンパクト編
最後にコンパクトカメラの代表機種を紹介します。
20:Canonet(1961年)
Canonet(キヤノネット)は、カメラの価格破壊で有名なカメラ。
他社のカメラの半値以下で、しかも他社以上の機能を搭載したことで、このCanonetは一世を風靡。
いっぽうで他のカメラメーカーからは猛抗議を受けることとなりました。
このCanonetの登場により、いくつものカメラメーカーが廃業に追い込まれたといいます。
高性能のカメラを廉価で提供するというCanonの持ち味が最初に現れたカメラだといえるでしょう。
21:New Canonet QL17(1969年)
Canonのコンパクトフィルムカメラの代表機種。
それがこの、New Canonet QL17(ニューキヤノネットQL17)です。
1960年代後半〜70年代前半に流行した、小型のレンジファインダー内蔵コンパクトカメラのひとつ。
開放F1.7という明るいレンズを搭載しています。
同様のボディで、F1.9と少しレンズが暗い、New Canonet QL19も存在しています。
22:Canon AF35M(1979年)
Canon AF35M(キヤノンAF35M)は、型番よりも、「初代オートボーイ」として知られているフィルムカメラ。
特徴は、露出・フォーカス・巻き上げ・巻き戻しのすべてを自動化した全自動カメラだということ。
それまでにも全自動カメラは各社が開発を試みてきましたが、実用の域に達したのは、この初代オートボーイが初めてだといえるでしょう。
実際、このオートボーイの大成功により、各社が同様のコンセプトのカメラを発売することとなります。
23:Canon AF35ML(1981年)
愛称はオートボーイスーパー。
開放F1.9という非常に明るいレンズを搭載した全自動コンパクトフィルムカメラです。
当時既にストロボ内蔵により、初心者向けのカメラに明るいレンズを搭載するメリットは減っており、以後は単焦点でも開放F2.8が普通となりました。
このカメラは、明るいレンズがコンパクトカメラに採用されていた時代の名残をもつ、過渡期のカメラだといえます。
高性能レンズ搭載により、中古フィルムカメラファンの間では一定の人気があります。
コンパクトカメラ関連記事
Canonのコンパクトカメラについては、こちらの記事のおすすめ機種紹介で解説しています。
Canonのフィルムカメラにおすすめのフィルム
中古でとても人気が高いCanonのコンパクトカメラ。
初心者の方がコンパクトカメラでフィルム写真を撮るなら、こちらのカラーネガフィルムがおすすめです。
[canonb]
Canonのフィルムカメラ購入時の注意点
最後にCanonのフィルムカメラを中古で探す際に気をつけることを紹介します。
EOSシリーズのシャッター不良
CanonのAF一眼レフ、EOSシリーズには致命的な設計不良が存在。
ある時期までのEOSは、経年劣化で確実に故障することが知られています。
具体的にどんな不具合かというと、シャッター幕にべとべとした物質が付着して正常動作しなくなるというもの。
ボディ内部のダンパーが経年劣化で加水分解し、シャッター幕を汚してしまうことが原因です。
具体的には1990年代中頃、EOS55くらいまでの機種に発生するようです。
ただし、EOS-1シリーズは例外で、シャッター汚れは発生しないといわれています。
シャッター汚れの発生したEOSは基本的にジャンク品。
購入しないことをおすすめします。
Canonのフィルムカメラを使ってみませんか?
常に時代をリードしたCanonのカメラ。
フィルムカメラの時代にも名機がいっぱいです。
ぜひCanonのカメラを使ってみませんか?
当店、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラの公式サイトでもCanonのフィルムカメラを多数取り扱っているので、ぜひご覧ください!
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