Canon(キヤノン)旧F-1/公約通り10年戦い抜いた機械式フィルム一眼レフカメラ
これから機械式の中古フィルム一眼レフカメラを購入するなら?
Canon党のあなたにおすすめなのが、Canon 旧F-1です。
1971年に登場したCanon F-1(キヤノン F-1)。
のちに後継機のNew F-1が登場したため、旧F-1と呼ばれています。
Canonがその全力を投入して作り上げた、プロの使用を念頭に置いたフラッグシップです。
1960年代、プロ向け一眼レフカメラでニコンの後塵を拝していたCanon。
ですが、その間着々と、最高の一眼レフカメラの開発に勤しんでいました。
満を持して送り出された旧F-1は、1970年代を通じてNikon F2とライバル関係となり、35mmフィルム一眼レフカメラの二大巨塔として君臨しました。
そんな名機も、いまでは中古で安価に購入可能。
Canonのフィルム一眼レフカメラは1970年代後半以降、電子式シャッターの機種が主となってしまったため、バネとゼンマイで動く機械式カメラを使いたいCanon派の方には断然おすすめの機種だといえるでしょう。
今回は、そんなCanon 旧F-1について見ていきたいと思います。
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Canon 旧F-1の性能・スペック
まずはCanon旧F-1がどんな性能を持っていたのか。
そしてどんな特徴を持っていたのかということから見ていきましょう。
Canon 旧F-1の性能・スペック
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒~1/2000秒 機械式 横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター ストロボ同調速度1/60秒 |
露出計 | TTL開放中央部分測光 CdS受光素子 追針式 |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | 交換式 アイレベル時: 視野率約97% 0.77倍 |
レンズマウント | Canon FDマウント |
対応レンズ | Canon FDレンズ New FDレンズ |
電池 | MR-9水銀電池 x1 ※販売終了品のため、代替電池PX-625(Amazon) もしくはボタン電池用アダプター(Amazon)にて代替 |
発売年 | 1971年 1976年マイナーチェンジ |
Canon 旧F-1は、1971年に発売されたCanonのフラッグシップフィルム一眼レフカメラ。
1981年に後継機のNew F-1に交代するまで、1970年代を通じて35mmフィルム一眼レフの頂点として君臨した名機です。
デジタルカメラの時代、プロ向けカメラの二大メーカーといえばCanon(キヤノン)とNikon(ニコン)。
それは1970年代も同じでした。
Canon 旧F-1はNikon F2と並び、世界を代表するプロ向けカメラとして憧れの的に。
いまよりもずっとずっと「プロカメラマン」という職業があこがれの存在だった時代。
Canonのフィルム一眼レフカメラは、広告やスポーツといったフィールドで活躍するおしゃれなブランドイメージで注目を集めていたのです。
しかしながら、この旧F-1以前、Canonのフィルム一眼レフカメラは辛酸を舐めていました。
そこから一挙にCanonのカメラをプロの道具に押し上げた機種こそ旧F-1。
そう、現在に至るCanonのカメラの覇権は、この旧F-1からはじまったといえるのです。
1960年代、他社の後塵を拝したCanon
そもそも、フィルム一眼レフカメラが普及しはじめたのは1950年代終わりのこと。
1959年。
1960年代を通じたフィルム一眼レフカメラの代表機種にして、いまでも中古で名機として知られるNikon F(ニコンF)が登場します。
現在、二大カメラメーカーとして知られるニコンは、この時点で既にトップメーカーでした。
それでは、Canonはどうだったのでしょうか?
じつは1950年代には、レンジファインダーカメラでCanonはニコンに次ぐ高級メーカーでした。
ところが、1960年代には、プロ向けの一眼レフカメラでは大きく立ち遅れてしまうのです。
ニコンFと同じ1959年、独自の自動絞り機構、Super Canomaticを引っさげて登場したCanonFlexシリーズは、プロ向け機種を目指しましたが壊れやすく癖のあるカメラとして失敗。
その後、Canon FXなどのCanon FLマウント一眼レフはアマチュア向け路線に転換しましたが、PENTAXやminoltaといったライバルに比べ地味な印象な否めませんでした。
むしろ1960年代のCanonは、コンパクトカメラのCanonetやハーフサイズカメラのDemiといった、レンズ固定式カメラを中心としたメーカーだったといえるでしょう。
しかし。
そんなコンパクト機の売上に支えられ、Canonは捲土重来のチャンスを窺っていたのです。
5年の歳月をかけて開発された、Canon F-1(旧F-1)の登場です。
プロ向け一眼レフ Canon 旧F-1
Canonの総力を結集して生み出されたプロ向けフラッグシップ一眼レフカメラ。
それがCanon F-1(旧F-1)です。
冒頭にも書きましたが、のちに後継機種としてNew F-1という機種があるため、中古カメラ愛好家の間では「旧F-1」と呼ばれることが多いです。
旧F-1の特徴。
それは、プロの使用を念頭に置いて、堅牢かつ最高の性能を実現しているということです。
かつて1950年代にはニコンと並ぶ高級レンジファインダーカメラメーカーだったCanonですが、「壊れない」ニコンに対して、Canonの評判は「壊れにくい」という、一歩劣るものでしかありませんでした。
Canon旧F-1は違います。
ニコンFやニコンF2並の堅牢性を実現。
フィルムカメラの時代としては非常に強靭な10万回の開閉に耐えるシャッター。
60℃の高温から氷点下30℃まで、湿度90%でも動作する耐候性。
ニコンに並び追い抜こうとする意欲を感じるスペックが本物であることは、1970年代を通じてプロの手が証明。
いま中古で並んでいる旧F-1も、発売から時を経てなお快調に動作するものが当たり前のように多く存在しています。
また、ニコンF2同様、無調整でモータードライブが使用可能なことも1970年代ならではのスペックです。
[canonb]
ライバル・ニコンよりもスマートなプロ機種
さて、Canon 旧F-1が仮想敵としていたのは、ニコンF、そしてニコンF2でした。
1970年代のライバル機種、ニコンF2と比べたときに、Canon 旧F-1はその構造のスマートさでは一歩先を進んでいました。
まず、露出計をボディに内蔵したこと。
ニコンF2では電池こそボディ底蓋に収納しているものの、露出計自体は交換式のファインダー(フォトミックファインダー)に内蔵し、どこか頭でっかちの感があるデザインでした。
ニコン F2フォトミックA
いっぽうCanon 旧F-1は露出計の回路部品もボディに内蔵。
三角屋根のスマートなデザインを実現したのです。
名は体を表すとはよくいったもので、Canon 旧F-1は広角やファッション、スポーツといった、よりスタイリッシュな領域のプロに愛用される一眼レフカメラというブランドイメージを確立しました。
ニコンが報道や戦場カメラマンといった、どちらかといえば泥臭い現場で使われる印象が強いのと対称的です。
このブランドイメージの差異は、現代のデジタル機の時代になっても受け継がれているといえるでしょう。
余談:Canon 旧F-1が広告で使われた理由
Canon 旧F-1が広告領域で使われた理由。
それが、専用のFDレンズがカラー撮影に向いていたためです。
いまでは当然のカラー写真ですが、1970年代にはまだカラー撮影用のレンズは発展途上でした。
カラー撮影での大きな問題が、レンズごとに色の出方が変わってしまっていたこと。
そんななか、Canon旧F-1と同時にリリースされたCanon FDレンズ群では、レンズを交換してもカラーバランスが変わらないという先進的なコンセプトを実現。
カラー撮影がすでに当然だった広告やファッションといった領域で歓迎されたのでした。
いっぽう、新聞などの写真は1970年代当時ではまだ白黒も多く、広告などに比べて色の再現度もシビアには求められませんでした。
ニコンが報道用途で愛用され続けたのには、そういった理由がありました。
Canon FDレンズをはじめCanonのレンズ製品について詳しくはこちらの記事で解説しています。
向こう10年間は不変です
Canon 旧F-1が登場したときのキャッチフレーズ。
それが「向こう10年間は不変です」というものでした。
プロ向けの機種は、そうそう簡単に製造中止になったり、サポートが終了してしまったりしては困ります。
そこでCanonは、発売から10年間は基本的な構造を変えず、絶対にプロ向け一眼レフを続けます! と宣言したのです。
……事実、それから10年間、見事にCanon 旧F-1はフラッグシップの座を守りました。
もちろんその間にカメラ技術の進歩はありましたが、根本部分ではプロ機として不足する部分はなく、その完成度の高さを立証したのです。
1981年、Canon New F-1が登場。
電子化された後継機種にその座を譲りました。
Canon New F-1について詳しくはこちら
ただし、途中でマイナーチェンジは行われています。
次の節から、Canon 旧F-1のバリエーションを解説します。
[canonb]
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Canon 旧F-1のバリエーション
Canon 旧F-1にはバリエーションがあります。
マイナーチェンジと特殊モデルを見ていきましょう。
旧F-1とF-1N(旧F-1後期型)
F-1N(旧F-1後期型)
Canon 旧F-1は、1976年にマイナーチェンジが行われています。
それがF-1N(旧F-1後期型)です。
基本的な性能は同じですが、ユーザーからのフィードバックを元に、13箇所の改良が施されています。
もっとも有名なのが、巻き上げレバーの動作角度。
旧F-1(1971年):巻き上げ角度180°、予備角15°
F-1N(1976年):巻き上げ角度139°、予備角30°
これにより、さらに迅速な手動巻き上げが可能となりました。
(ただし巻き上げの感触は1971年のモデルのほうがよいという評価もあります)
外観上は、巻き上げレバーにプラスチックの指当てがついたことがわかりやすいポイントです。
旧F-1の特殊モデル
続いて特殊なバリエーションを簡単に解説します。
F-1高速モータードライブカメラ(1972年)
1972年のミュンヘンオリンピックに合わせてリリースされた高速連写モデル。
Canonお得意の固定ハーフミラー(ペリクルミラー)を採用し、毎秒9コマの超高速連写が可能です。
モントリオールオリンピック記念モデル(1976年)
1976年のモントリオールオリンピック公式カメラに選ばれたことを記念したモデルで、正面から見て右側肩部にロゴが刻印されています。
内部的にはマイナーチェンジ前の仕様となります(F-1Nではない)。
Canon F-1 OD(1976年)
F-1Nの塗装をオリーブドラブとした限定モデルです。
3000台限定。
レークプラシッドオリンピック記念モデル(1980年)
1980年のレークプラシッド冬季オリンピック公式カメラに選ばれたことを記念したモデルで、こちらも正面から見て右側肩部にロゴが刻印されています。
こちらはマイナーチェンジ後のF-1N仕様となります。
[canonb]
多岐にわたるファインダー
Canon 旧F-1は、システムカメラとして非常に幅広いアクセサリーが用意された機種でもあります。
なかでも有名なのが交換式ファインダー。
通常はアイレベルのファインダーが装着されており、ウエストレベルファインダーも用意。
マニアックなアイテムとしては、以下の2つが有名です。
サーボEEファインダー
機械式マニュアル露出機のCanon 旧F-1をシャッター優先AEカメラにしてしまうという、良くも悪くも力技の、伝説のアクセサリーです。
シャッター速度を手動でセットし、絞り値を自動で決めるためには、レンズの絞り連動レバーの位置を制御する必要があります。
ところが旧F-1にはそのような機構は標準では備わっていません。
そこで、レンズマウント基部の脇にあらかじめ設けられた小窓から、連動用のアームを外から挿入することで絞り値を制御してしまうのです。
(この小窓は最初から用意されており、開発時から考慮されていたアクセサリーであることがわかります)
レンズ基部(銀色の部分)の横にある縦長の蓋がアーム用の小窓
撮影を遠隔で自動化したい場合などに使われたようですが、1970年代後半にAEが当たり前になると、当然ですが前時代的なアクセサリーになってしまいました。
もしこれから中古で手に入れて動かしてみたい場合には、内容物に欠品がないことを確かめてから購入しましょう。
ブースターTファインダー
低照度下での撮影を可能とするアクセサリーです。
標準のファインダーに比べ大幅に暗い環境下での測光が可能に。
さらに、標準では1秒までしかないスローシャッターの設定範囲を15秒まで拡大しています。
どのような方法かというと、カメラ本体をB(バルブ)に設定して、ファインダーに内蔵されたピンで物理的にシャッターボタンを押し込んでシャッターを開放。
タイマーで設定した時間が経過すると、ピンが引っ込んでシャッターが閉じる、という非常に物理的な方法です。
サーボEEファインダーもブースターTファインダーも、いまでは実用性はありません。
ゼロです。
しかし、こんな力技ともいえる機構は、この時代にしかありえなかったもの。
技術者の情熱とマニアックな動作を味わってみるのも乙なものです。
Canon 旧F-1を使うためのアイテム
Canon 旧F-1は整備して使い続けられるフィルムカメラですが、唯一、電池については水銀電池を使用していたため製造が終了しています。
代替品として「PX625」アルカリ電池を使用するか
関東カメラサービスほか各社から販売されている、ボタン電池を変換するアダプターを使用することで露出計を問題なく作動させることができます。
Canonの機械式一眼レフを中古で買うなら旧F-1がおすすめ
さて、いまCanon 旧F-1を中古で買うのにはどんな理由があるのでしょうか?
それは、Canonの機械式フィルム一眼レフカメラのうち最高の選択肢であることにほかなりません。
1976年のCanon AE-1の大成功以降、Canonのフィルム一眼レフカメラは電子化の一途をたどります。
ライバルのニコンがその後も末永く機械式機種を販売し続けたのとは対照的。
だからこそ、1970年代、電子化以前に生み出された最上級機種であるCanon 旧F-1という存在がより貴重となるのです。
Canon FDレンズは中古でも安価なものが多く、性能は世界最高レベル。
旧F-1は機械式なので、末永くオーバーホールや修理も可能です。
ぜひあなたも、旧F-1でCanonの中古フィルムカメラを楽しんでみませんか?
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