Canonのオールドレンズ16選 FDマウント・Lマウントの中古レンズを味わいませんか?
今回はCanonのオールドレンズについて解説します。
名実ともに世界トップクラスのカメラメーカーであるCanon。
もしかすると、この記事を読んでいる方の中にも、EOSシリーズのデジタル一眼レフや、EOS-Mシリーズのミラーレス一眼。
そしてCanonのフィルムカメラを使っているという方もいるのでは。
じつはCanonは、過去にもかずかずの名レンズを生み出してきました。
「ライカ」と同じ「Lマウント」のレンズ。
そして、「FDマウント」に代表される、フィルム一眼レフカメラ用のレンズ。
そんな「オールドレンズ」が、いまなら最新のデジタルカメラに取り付けて使うことができるのです!
いまと同じように、Canonのレンズは昔も一流品。
なので、古いオールドレンズといっても、実力派の性能を味わうことができますよ。
さらに、Canonのオールドレンズは値段が安いことも魅力です。
ぜひこの記事が、あなたのオールドレンズ選びの参考になれば幸いです!
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Canonのおすすめオールドレンズ FDマウント編
それでは早速、おすすめのCanon製オールドレンズを紹介します!
まず最初に紹介するのは、マニュアルフォーカスの一眼レフカメラ用の「FDマウント」レンズ。
FDマウントのレンズは、リーズナブルなものから、当時プロにも愛用された高性能・高級レンズまで中古がよりどりみどり。
当初からカラー撮影を念頭に設計されているので、良質なコーティングが実現する高性能は、現代のデジタル一眼カメラでも華麗な描写を繰り広げてくれますよ。
1.FD 50mm F1.4 S.S.C
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 6群7枚 |
発売年 | 1971年 1973年にマイナーチェンジ |
換算焦点距離 | 50mm(フルサイズ) 75mm(APS-C) 100mm(M4/3) |
オールドレンズを使うなら、まずは標準レンズを使ってみるのがおすすめ。
そこで、Canonの標準レンズとしてぜひ使ってみていただきたいのが、この「FD 50mm F1.4 S.S.C」です。
このレンズは、1971年、Canonが初めてプロ用に開発したフィルム一眼レフカメラ、「F-1」の標準レンズとして作られたもの。
そして1970年代を通して、Canonのすべての一眼レフ用レンズのリファレンスとして広く使われ続けました。
フィルムカメラの歴史に残る、Canon AE-1やCanon A-1といったカメラにも、このレンズは非常に似合います。
性能についていえば、開放は柔らかめ。
少し絞っていくとどんどんシャープな描写になっていき、徐々に色乗りもよくなっていきます。
絞ったときはかっちりと、前景から遠景まで精密に。
開放ではポートレート向きの柔らかい描写。
とくに開放の描写は、ぜひ人物ポートレートに使ってみたい絶品といえるでしょう。
構成はダブルガウスの後群に1枚加えた6群7枚で、とても標準的なもの。
それだけに、各社に共通する設計のなかでこのような個性をもっていることに、逆にCanonの実力をそこはかとなく感じます。
非常に数が出たレンズなので、中古価格も安め。
初めてのCanon製オールドレンズとしてもおすすめです。
[canonl]
2.FD 55mm F1.2 S.S.C Aspherical
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 6群8枚 |
発売年 | 1971年 |
換算焦点距離 | 55mm(フルサイズ) 82.5mm(APS-C) 110mm(M4/3) |
どのメーカーも上位モデルとしてラインナップしている、開放値F1.2の標準レンズ。
Canon FDマウントの開放F1.2のレンズは、1970年代としてたぐいまれな特徴をもっています。
それが「非球面レンズ」の使用。
いまでは一般的になっている非球面レンズですが、当時ははっきりいって先端技術。
世界初の非球面レンズ採用製品として、Canonが社運をかけて、Canon F-1登場と同時に送り出しました。
途中モデルチェンジが行われ、レンズへの刻印と製品名が「FD 55mm F1.2 AL S.S.C」から「FD 55mm F1.2 S.S.C Aspherical」へと変更されています。
ALは「Aspherical Lens」の略。
さて、このFD 50mm F1.2には、この非球面モデルのほかに、非球面ではないものも存在します。
違いは、銘板の刻印と、レンズ後玉の形状。
銘板の刻印は、アスフェリカルではないものは、単に「55mm F1.2 S.S.C」となっています。
非球面ではないもの
また、後玉は、非球面「ではない」ものは少し奥まった見た目。
非球面のもののほうがより後端までレンズがせり出していて、マウント内側の黒い部分とほぼツライチになっています。
非球面レンズの後玉
購入時は、この2箇所をともにチェックして、その個体が本物の非球面モデルなのかチェックしたほうがよいでしょう。
3.New FD 50mm F3.5(マクロレンズ)
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 4群6枚 |
発売年 | 1979年 |
換算焦点距離 | 50mm(フルサイズ) 75mm(APS-C) 100mm(M4/3) |
50mm F3.5という、非常に中庸なスペックを持ったマクロレンズ。
オールドレンズでマクロレンズというと、どうしてもマイクロニッコールばかりが取り沙汰されがちですが、じつはなかなか、Canonのマクロレンズも良好な性能をもっています。
解像力番長なきらいもあるニッコールにくらべ、色合い豊かなCanonレンズならではの描写力は、心を動かす写真を生み出してくれることでしょう。
マクロレンズの被写体の代表、花や植物の撮影にも向いているオールドレンズです。
4.New FD 85mm F1.2 L
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 6群8枚 |
発売年 | 1980年 |
換算焦点距離 | 85mm(フルサイズ) 127mm(APS-C) 170mm(M4/3) |
マニュアルフォーカス中望遠レンズの金字塔。
いまもなお伝説のレンズとして名高い、Canon Lレンズの中望遠です。
デジタルの時代になっても、皆が憧れる「Lレンズ」。
トレードマークの赤鉢巻は、マニュアルフォーカスの時代もまた、最高のレンズの証でした。
広告写真はなやかなりし1980年代。
芸能人やアイドルのポートレートを、このレンズは数限りなく写し取ったことでしょう。
メインの被写体を引き立てることに徹したボケ味。
中古で手に入れたら、いまでも第一線で人物撮影に使えます。
FDマウントの85mm F1.2は、旧FDマウントの時期から非球面レンズを採用していて、このNew FD 85mm F1.2にもその特徴は受け継がれています。
5.New FD 300mm F2.8 L
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 7群9枚 |
発売年 | 1981年 |
換算焦点距離 | 300mm(フルサイズ) 450mm(APS-C) 600mm(M4/3) |
いわゆる「サンニッパ」の白レンズです。
こちらもまた、マニュアルフォーカス時代の超望遠レンズの金字塔ともいえる存在。
レンズには蛍石(フローライト)や異常分散レンズ(UDレンズ)を惜しげもなく使用。
まさに、スポーツ撮影のフラッグシップ。
報道のニコンに対してスポーツ・コマーシャルのCanonというブランドイメージを体現したような製品を作り上げました。
Canonの300mm F2.8は、1974年のFL 300mm F2.8(自動絞りではない)にはじまり、この時点で蛍石(フローライト)を採用。
その後、New FDレンズになる前の旧FDレンズへと改良、そしてこのNew FDへ結実します。
マニュアルフォーカスということ以外、オールドレンズという枠では語りきれないほどの、現役製品に匹敵するレンズです。
6.FD 35mm F2 S.S.C
写真はII型
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 8群9枚 |
発売年 | 1973年 |
換算焦点距離 | 35mm(フルサイズ) 52.5mm(APS-C) 70mm(M4/3) |
35mm F2といえば、上位モデルの準広角として標準的なもの。
当時すでに同様のスペックのレンズはNikonやPENTAXにもありましたが、Canonはこのレンズでも、競合製品を凌駕する新機軸を盛り込んできました。
それが、フローティング機構。
フローティング機構とは、ピントを合わせるときに、レンズのすべてを前後に動かすのではなく、「部分ごとにべつべつに」動かす仕組みのこと。
これにより、とくにピントを近距離に合わせたときの収差が良好に補正されています。
フローティング機構を採用した35mm F2 S.S.CにはI型とII型があり、外観が明確に異なります。
I型は、最前面のレンズが凹レンズなのが最大の特徴。
いっぽうII型では、他のレンズ同様凸レンズに変更されています。
また、このレンズ以前にも35mm F2のレンズが存在しているため、フローティング機構のある35mm F2を中古で探すときには、銘板に「S.S.C」と書かれているかを基準にしましょう。
近接が30cmまで寄れるのも魅力。
F値の明るさと、撮影の自由度を活かして、オールドレンズならではのボケ味を存分に楽しみましょう!
7.FD 24mm F1.4 S.S.C Aspherical
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 8群10枚 |
発売年 | 1975年 |
換算焦点距離 | 24mm(フルサイズ) 36mm(APS-C) 48mm(M4/3) |
1970年代、矢継ぎ早に最新技術を投入していたCanon。
それはまさに、プロ用機種で先行していたNikonを追い上げる時代だったからかもしれません。
このFD 24mm F1.4もまた、非球面レンズを採用。
しかも、上で紹介した35mm F2と同様、こちらもフローティング機構を搭載しています。
24mmという超広角かつ、F1.4という明るさは、当時世界初のスペックを実現したものでした。
現在では広角レンズでF1.4クラスの明るさが当たり前に存在するようになってしまいましたが、当時の目で見ればまさに夢のレンズ。
日本の光学技術を注ぎ込んだ、広角レンズの頂点。
精緻な機構ゆえ、中古でも値段はそれなりにしますが、日本製レンズが打ち立てた金字塔は、オールドレンズ好きならぜひ使ってみたいといえるものだといえます。
8.New FD 17mm F4
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 9群11枚 |
発売年 | 1979年 |
換算焦点距離 | 17mm(フルサイズ) 25.5mm(APS-C) 34mm(M4/3) |
Canon FDマウントの超広角レンズのひとつ。
17mmはNew FDマウントになる前の旧FDマウントのなかでもっとも広いレンズで、New FDにも受け継がれました。
1973年登場の旧FDレンズと構成枚数は同じです。
レンズ構成は基本的にレトロフォーカス。
ということで、多少の樽型の歪曲収差は生じています。
しかし、この時代としては充分な性能を実現しているといえるのではないでしょうか。
17mmといえば、現代の眼から見ても十分すぎる以上に超広角といえるレンズ。
一眼レフカメラ用のレトロフォーカスレンズなので、テレセントリック性が高く、マウントアダプターを介してミラーレス一眼カメラで使うのにも最適です。
FDマウントには次に紹介する14mm F2.8 Lもありますが、そちらは中古で10万円を超えるのもざらなのに対して、こちらの17mm F4は3万円程度でも購入可能。
オールドレンズの超広角入門に最適な逸品であるといえます。
いままで28mmや24mmより広いレンズは使ったことがないというあなたも、中古レンズではじめての超広角撮影を楽しみませんか?
ぜひ、SONY α7などフルサイズで楽しみたいレンズです。
9.New FD 14mm F2.8 L
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 10群14枚 |
発売年 | 1982年 |
換算焦点距離 | 14mm(フルサイズ) 21mm(APS-C) 28mm(M4/3) |
非球面レンズ、フローティング機構と、Canonが持ちうる技術を注ぎ込んだ最上級の超広角レンズ。
それがこの、New FD 14mm F2.8です。
もはや1980年代のCanon FDマウントのレンズは、単なる「オールドレンズ」という範疇を超えて、AF時代の現代レンズへの流れを先取りしたような存在。
この14mm F2.8も、レンズの性能が革新に次ぐ革新を迎えた時代の空気を如実に反映している銘玉だといえるのではないでしょうか。
赤鉢巻は高級レンズの証。
1980年代にして、定価約30万円と値段も化物です。
マウントアダプターで使うのもよいですが、New F-1に取り付けて、フィルムで撮影するのがもっとも格好良い使い方かもしれませんね。
10.New FD 85mm F2.8 ソフトフォーカス
レンズマウント | FDマウント |
構成 | 4群6枚 |
発売年 | 1983年 |
換算焦点距離 | 85mm(フルサイズ) 127mm(APS-C) 170mm(M4/3) |
各社ともに存在するソフトフォーカスレンズですが、この New FD 85mm F2.8には、他社にはない特徴があります。
それが良好な操作性。
他社製のソフトフォーカスレンズは、ソフトフォーカスにするための量を調整するリングが、ピントリングとは別に存在することが普通です。
しかしながら、リングを別々に操作するのは少々煩雑なのも事実。
そこで、このNew FD 85mm F2.8では、「直進式ズームレンズ」さながらの、ピントリングを前後に動かすことでソフト量を調整できる方式を採用したのです。
なお、このレンズはソフト量をゼロにして使うことも可能。
その際は単なる85mmの中望遠レンズとなります。
開放F2.8とはいえ、焦点距離が長めなので、ボケ量は十分。
通常のポートレートレンズとしても描写力に不足はありません。
ソフトフォーカスレンズは、その特性上オールドレンズでもまったくもって現役で活躍できる製品。
中古でソフトフォーカスレンズを手に入れて、その幻想的な世界をあなたの写真作品に加えてみませんか?
FDマウントレンズを使うためのマウントアダプター
CanonのFDマウントレンズをミラーレス一眼カメラで使うなら、こちらのマウントアダプターがおすすめです。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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どこでも持ち歩ける相棒です。
[canonl]
Canonのおすすめオールドレンズ レンジファインダー編
Canonが一眼レフカメラを作る前に主力製品としていた、レンジファインダーカメラ用のレンズ。
1950年代の日本を代表する交換レンズとして、いまも中古市場ではとても容易に入手することが可能です。
レンジファインダーカメラ用の、ライカLマウントのレンズといえば高価なものが多いですが、CanonのLマウントレンズはリーズナブルな中古が多く、オールドレンズ入門にも最適。
そのいっぽうで、レンジファインダーカメラの時代から、Canonは革新的なレンズも送り出しています。
ここではCanonのレンジファインダーカメラ用レンズから、5つの逸品を紹介します。
なお、ライカLマウントの国産レンズについては以下の記事でも紹介しています。
ぜひこちらも参考にしてくださいね。
11.Canon LENS 50mm F1.8(Lマウント)
レンズマウント | ライカLマウント |
構成 | 4群6枚 |
発売年 | 1951年(I型) 1956年(II型) 1958年(III型) |
換算焦点距離 | 50mm(フルサイズ) 75mm(APS-C) 100mm(M4/3) |
Canonのレンジファインダーカメラ用レンズの中でも、もっともオーソドックスなレンズです。
レンズ構成は4群6枚の、こちらもいたって普通のダブルガウス型。
50mm F1.8といえば、いまの目から見れば特徴のないスペックですが、1950年代当時、この明るさと、良好な収差補正を両立したのはまさに偉業でした。
仮想敵は同じく国産のニッコール、そしてライカレンズも視野に入れ、Lマウントレンズの頂点を目指して開発。
Canon自ら公式サイトで「近代光学史にその名を残す」と書いてしまうくらいに、同社の歴史上、重要な製品であったことは間違いありません。
同時代の明るい「ハイスピードレンズ」がF2クラスだったいっぽう、F1.8とスペックを欲張ったにもかかわらず、破綻なくまとめていることは確かに驚嘆に値します。
筆者はフィルム時代も、デジタルでマウントアダプターを介しても実用した経験がありますが、とくにモノクロフィルムでの撮影では大きく伸ばしてもシャープ。
カラーだとなかなかにクラシカルな、味のある描写を生み出してくれます。
ただし、(筆者が手に入れた個体の状態の問題かもしれませんが)少々開放に甘さを感じたのも事実です。
Canon 50mm F1.8の世代
Lマウント50mm F1.8は、大きく3世代にわけられます。
それぞれの特徴は……
I型
クラシカルな銀鏡筒。
初期のものは「Canon Lens」ではなく「Serenar」(セレナー)銘。
最小絞りF16。
II型
モダンな外装になりました。
中古市場ではもっともよくみかけるイメージ。
絞りリングの数字の前に黒線が入っているのが特徴。
最小絞りF22。
III型
II型と似ているが、絞りリングの前に黒線がない。
最小絞りF16。
といったところです。
中古で探すときに気をつけたいのがクモリ。
とくにII型は、中玉が真っ白に曇っているものが散見されるので、信頼のおけるお店で、点検・整備済のものを選ぶと確実です。
非常に数が出たレンズなので状態はピンキリ。
光学系が非常に良好な個体も、まだまだみつかるはず。
各種のレンジファインダーカメラ用レンズの中でもっとも中古価格が安い製品のひとつなので、オールドレンズ入門にもおすすめの逸品です。
[canonl]
12.Canon LENS 50mm F0.95
レンズマウント | 専用バヨネットマウント |
構成 | 5群7枚 |
発売年 | 1961年 |
換算焦点距離 | 50mm(フルサイズ) 75mm(APS-C) 100mm(M4/3) |
関連記事
現在に至るまで、35mmフルサイズ用のレンズとして「最も明るい」ことで有名なレンズです。
いまではライカのノクチルックスなどF0.95のレンズは他にも登場していますが、このCanon 50mm F0.95も未だに同率1位。
Canon Lマウント標準レンズのトリを飾る存在。
そしてオールドレンズのファンにとって、ぜひ使ってみたい個性的なレンズとして五指に入るのではないでしょうか。
ここまで明るいと、ボケ味はまさに異次元。
レンジファインダーカメラでは、実際のところ、どこまでピントをばっちり合わせることができたのか疑問ですが、ミラーレス一眼カメラでマウントアダプターで使えば、薄紙一枚のピントを完璧に合わせて、性能を引き出すのも自由自在。
国産レンズのある意味金字塔は、いままさにその秘めたる実力を開放しつつあるのです。
注意点として、このレンズはCanonの他のレンジファインダーカメラ用レンズと違い、専用のバヨネットマウントに装着します。
フィルムカメラでは、Canon 7とCanon 7sでしか使えません。
いっぽう、ミラーレス一眼カメラで使用する際にも、50mm F0.95対応のものにしか装着できないので、もしこのレンズを中古で入手したら、専用アダプターも一緒に用意しましょう。
じつは中古ではそこまで希少ではなく、頻繁にみかけます。
13.Canon LENS 85mm F1.5
レンズマウント | ライカLマウント |
構成 | 4群7枚 |
発売年 | 1952年(I型) 1960年(II型) |
換算焦点距離 | 85mm(フルサイズ) 127mm(APS-C) 170mm(M4/3) |
ポートレートレンズの花形、明るい85mm。
同様のスペックのレンズのなかでも初期の逸品が、このCanon LENS 85mm F1.5です。
描写はやわらかめで、まさにオールドレンズの本領発揮。
乗りこなせば他のレンズには真似出来ない写真を生み出すことができるでしょう。
ポートレートレンズには、単なる解像力以上の「味」が求められるもの。
被写体の人物の内面まで引き出してくれるような、表現力豊かなレンズとして、ぜひあなたのコレクションに加えてみませんか?
I型とII型があり、I型は銀色の鏡筒、II型は黒と銀のツートンカラー。
I型は初期はSerenar銘。
レンズ構成は基本的には同じです(硝材が変更されているらしいです)。
14.Canon LENS 100mm F3.5
レンズマウント | ライカLマウント |
構成 | 4群5枚 |
発売年 | 1953年(I型) 1958年(II型) 1960年(II型) |
換算焦点距離 | 100mm(フルサイズ) 150mm(APS-C) 200mm(M4/3) |
不遇のレンズ。
そんな呼び名が似合います。
このCanon 100mm F3.5は、CanonのLマウント望遠レンズとしては比較的よく見かけるもののひとつ。
ところが、基本的に望遠系のオールドレンズは人気があまりないため、Lマウントながら状態によっては数千円で購入できてしまうのです。
上で紹介した85mmのような強烈な個性こそないですが、100mmという焦点距離は、ポートレートレンズとしても必要十分。
値段が安いのは、数が多いのと人気が低いということだけが理由で、描写力に不足はありません。
むしろ、F3.5という控えめなスペックゆえ、小粒でピリリと辛い、端正な味わいが楽しめますよ。
こちらもI型〜III型まであり、
I型は銀鏡筒。
II型は銀と黒のツートンで、III型はほぼ黒色になっています。
15.Canon LENS 35mm F2
レンズマウント | ライカLマウント |
構成 | 4群7枚 |
発売年 | 1962年(I型) 1963年(II型) |
換算焦点距離 | 35mm(フルサイズ) 52.5mm(APS-C) 70mm(M4/3) |
Canonのレンジファインダーカメラ最末期、1960年代に登場した明るい広角です。
1957年に登場した35mm F1.8を改良し、性能を整えたものという立ち位置です。
すでに望遠撮影では一眼レフの優位が明白となっていた時期。
レンジファインダーカメラの特色である広角への強さを意識して開発された製品だといえるのではないでしょうか。
1960年代のレンズということで、描写はある程度モダン。
四隅までシャープで、開放から使えるレンズです。
Lマウントの35mmレンズとしては安価に、3万円台くらいから手に入るので、実用のためのオールドレンズとして中古で探すのも一興です。
I型とII型があり、外観、銘板などがマイナーチェンジされています。
16.Canon LENS 25mm F3.5
レンズマウント | ライカLマウント |
構成 | 3群5枚 |
発売年 | 1956年 |
換算焦点距離 | 25mm(フルサイズ) 37.5mm(APS-C) 50mm(M4/3) |
対称型の超広角レンズ。
舶来のLマウントレンズがとても高価だった当時、写真作家から報道カメラマンまで、広く愛用されたことで知られるレンズでもあります。
Canon公式サイトでもツァイスのトポゴンを参考に設計されたと書かれていますが、断面図はまさに、ハイパーゴンからの系譜そのままの、ほぼ半円形に近いレンズが大胆に配されたもの。
最後面に平面のガラスを追加していることが特色で、それにより歪曲収差を補正しているようです。
フィルムカメラのボディ装着時には、ほぼ平坦になるくらいの小型さも独特。
Lマウント超広角を楽しむなら、ぜひ1本持っていたい国産名玉のひとつです。
レンジファインダーレンズを使うためのマウントアダプター
Canonのレンジファインダー用レンズをミラーレス一眼カメラで使うなら、こちらのマウントアダプターがおすすめです。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
[canonl]
Canonのオールドレンズのマウント豆知識
さて、最後に、この記事で紹介してきたCanonのオールドレンズの種類と、レンズマウントについて解説します。
レンジファインダーカメラ用マウント
Canonの歴史はレンジファインダーカメラに始まります。
国産のライカLマウントレンズの代表格こそ、Canon製オールドレンズなのです。
ライカLマウント
Canonが最初に製造していたレンジファインダーカメラ。
初期のものは独自マウントを採用していましたが、1949年のCanon IIB型以降、ライカLマウントになりました。
基本的には使い方はバルナックライカ等、他のLマウントのカメラと同様で、変わったことはありません。
前述の通り、50mm F0.95のみ独自のバヨネットマウントとなるので注意が必要です。
MF一眼レフカメラ用マウント
Canonのマニュアルフォーカス一眼レフカメラでは、一貫して「スピゴットマウント」を採用しています。
スピゴットマウントとは、水道管をつなぐ金具のように、外側から締め込んで固定するレンズマウントのこと。
左側の銀色の部分を回して装着する
確実なレンズ装着を意図して開発されましたが、取り付けに手間がかかる(カメラボディを置いて作業しなければならない)ことから、最末期のNew FDマウントでは、実質的にはバヨネットマウントと同様の使用方法となりました。
次代のEOSマウント(EFマウント)では、Canonもバヨネットマウントに完全移行します。
Canon Rマウント
1959年、Canon最初の一眼レフカメラ、Canonflexで採用されたマウント。
Rマウントのレンズの特徴は、自動絞りを動かすためのバネをレンズ側に設けたこと。
他の自動絞りレンズは、通常、ボディ側のレバーの動きで自動絞りを動かします。
ところがRマウントでは、ボディ側のレバーは絞りを動かすトリガーにすぎないのです。
これにより、例えるならハッセルブラッドのレンズを取り付けるときの「作法」のように、レンズ装着時にボディとレンズの絞りのチャージ状態を合わせる必要が生じてしまいました。
Canonの初期の一眼レフカメラは売上が振るわなかったこともあり、Rマウントは短命に終わります。
このRマウントはスピゴットマウントで、New FDマウントまでの各マウントは寸法的には互換性があります。
しかし、FDマウント用のマウントアダプターは、干渉し装着できないことが多いので注意しましょう。
Canon FLマウント
FL 50mm F1.4
他社と同様、絞りをボディ側で駆動するように改めたマウントです。
1960年代を通じ、Canon一眼レフ苦難の時代を支えました。
絞り込み測光。
中古では比較的人気がなく安価に入手可能です。
FLマウントのオールドレンズをマウントアダプターで使う際には注意が必要です。
FLレンズはレンズ後端の部品と絞り連動レバーが大きく飛び出ているため、対応製品を選ばないと干渉して取り付けることができません。
上記写真、下部に飛び出ている銀色のレバーが干渉しやすい
Canon FDマウント
1971年、Nikonに追いつき追い越すためのプロ用一眼レフカメラ、F-1(旧F-1)登場と同時に採用されたマウントです。
開放測光対応。
すべてにおいてそれまでのレンズから刷新され、Canonが今に至るまでプロに愛用されることの端緒となりました。
特徴は、カラーフィルムでの撮影を念頭に開発されたこと。
それまでのレンズは、カラーフィルムで撮影した際の「色」の出方をそこまで重視していませんでした。
そのため、レンズを交換すると、同じカメラ、同じフィルムで撮影しても、写真の色合いが異なってしまうことがよくあったのです。
そこでCanonはFDレンズで、「色合い」を統一。
カラーバランスを重視したことで、広告カメラマンに愛用されるようになっていきました。
FDレンズにはS.S.Cという赤い文字が刻印されているものがあります。
これは「Super Spectra Coating」の略で、当時のCanonが独自に開発した高性能のマルチコーティングのこと。
単にフレアやゴーストを除去するだけでなく、こちらも色の再現性を高めることに大きく寄与した技術です。
マウントはスピゴットマウント。
市販のCanon製マニュアルフォーカスレンズ用のマウントアダプターなら、どれでも問題なく使用可能です。
New FDレンズ
マウントは同じFDマウントながら、レンズの構造を変更し、使用性を向上したのがNew FDレンズです。
それまでのFDレンズは、レンズ根本のリングを回して固定する必要があり、操作が煩雑でした。
そこでNew FDレンズでは、レンズをボディに噛み合わせて回すだけで、カチっと固定されるように改良されたのです。
FDレンズのマウント面
New FDレンズのマウント面
マウントアダプターはFDマウント用のものが問題なく共通に使用可能です。
AF一眼カメラ用マウント
オールドレンズの範疇とは異なりますが、オートフォーカスの一眼レフカメラ用マウントについても解説します。
EFマウント
1987年登場。
現在のCanon製デジタル一眼レフカメラまで一貫して採用されているマウントです。
1987年の最初のEFマウントレンズも、現代のデジタル一眼レフカメラと完全に互換性があります。
特徴は完全電子マウントであることと、レンズ内モーターの採用。
それまでのレンズマウントはカメラボディとの間を機械的に連動させていましたが、EFマウントは、連動をすべて電子接点に置き換えました。
EFレンズのマウント面:機械的なレバー等がいっさいない
また当時、他社のオートフォーカス一眼レフカメラはAF駆動をカメラボディ内のモーターで行っていたのですが、EFレンズはレンズ内モーターを採用。
ボディ内モーターに比べ迅速なピント合わせを実現しました。
どちらも現代のデジタル一眼レフカメラでは標準的な機能。
他社も追従して同様の仕様へと移行したことからも、EFマウントの先進性がわかります。
さらに、EFマウントは口径が同種のマウントの中では最大で、さらにフランジバックも、一眼レフカメラとしてはもっとも短い部類です。
そのため、一眼レフカメラ用のオールドレンズを取り付ける母艦として使うことも可能です。
※ただし、FDマウントはフランジバックがEFマウントよりも短いため装着不可能です。補正レンズを内蔵したアダプターも市販されていますが、画質が大幅に悪化してしまいます。
EF-Mマウント
Canonのミラーレス一眼カメラ、EOS-Mシリーズ用のマウントです。
純正アダプターを用いることで、一眼レフカメラ用のEFレンズが完全互換で使用可能。
CanonのオールドレンズをCanonのミラーレス一眼カメラで使うのもおすすめです。
マウントアダプターでCanonのオールドレンズを使う
Canonの各種マウントのオールドレンズは、マウントアダプターを使ってミラーレス一眼カメラで使用可能。
安価なものから高性能レンズまで揃っているFDレンズ、小型でミラーレスと相性抜群のLマウントレンズ。
ぜひCanonのオールドレンズの性能を引き出してみませんか?
詳しくはこちらも参考にご覧ください。
Canonの銘オールドレンズを使ってみませんか?
スポーツ写真やコマーシャルフォトに使われたFDマウントの銘レンズたち。
そして、国産レンジファインダーカメラを支えたLマウントのオールドレンズたち。
Canonの中古レンズには魅力的な逸品がいっぱい。
ぜひあなたも、Canon製のオールドレンズを楽しんでみませんか?
当店公式サイトでもオールドレンズを多数取り揃えているので、ぜひご覧ください!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
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