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Canon(キヤノン) P・7/廉価で実用的な国産レンジファインダーカメラの決定版

Canon P

今回は、中古のレンジファインダーカメラのなかでも実用性の高い、Canon PとCanon 7について解説します。

名実ともに世界有数の大企業であるCanon。
いまでもデジタル一眼レフカメラで世界トップクラスのシェアを誇りますが、実はそのはじまりはレンジファインダーカメラでした

戦前、日本製の国産カメラでライカに追いつけ、追い越せを目標にフィルムカメラの製造をはじめたCanon。
戦後になり、フィルムカメラの主流が一眼レフになる直前、Canon製レンジファインダーカメラの最終形態として送り出されたのが、今回紹介するCanon PとCanon 7なのです。

どちらもライカLマウントを採用しているため、さまざまなレンジファインダー用オールドレンズが使えるのも魅力。
ミラーレス一眼でLマウント中古レンズを使い始めた方がフィルムでも撮影するための母艦としても最適です。

今回は中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが、Canon PとCanon 7について解説します。
筆者もCanon Pを持っていますが、このカメラ、見た目も端正で操作もしやすく、とてもよいです。

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Canon PとCanon 7

Canon P
Canon P

Canon 7
Canon 7

1960年代まで改良が続けられたCanonのレンジファインダーカメラ。
いったいどのような特徴があるのでしょうか?

Canonのレンジファインダーカメラ

現在、カメラだけでなく、オフィス機器や医療機器など、世界トップクラスの精密機械メーカーとして知られるCanon(キヤノン)。

その発祥は、高級レンジファインダーカメラの製造でした。

はじまりは1934年の「カンノンカメラ」
ライカ並の高級レンジファインダーカメラの国産化を目的に設立された「精機光学研究所」が送り出したカメラで、開発技術者の観音信仰に由来して名付けられました。
1934年、カメラ雑誌の『アサヒカメラ』に掲載された「潜水艦ハ伊號 飛行機ハ九二式 カメラハKWANON 皆世界一」という広告のキャッチコピーでも有名です。

カンノンカメラは試作機でしたが、1936年にはハンザ・キヤノンとしてCanonというブランドになり販売を開始。
このとき名付けられた名前が現在の社名の由来となりました。
Canonとは「正典」「規範」という意味の単語。
実際に、いまではCanonのカメラは、ニコンと並んで世界のカメラの基準となる製品となったのでした。

なお戦前のCanonのカメラは、日本光学(のちのニコン)のニッコールを装着していたことでも知られています。

戦後になり、Canonの高級レンジファインダーカメラは、貴重な外貨獲得の手段となります。

Canon IID

ライカに先んじて一眼式レンジファインダーを採用。

ニコンと並ぶ、日本製高級カメラの代表となったのです。

そして、1960年代。
時代がレンジファインダーカメラから一眼レフカメラへと移行する中、Canon最後のレンジファインダーカメラとして、この記事で紹介するCanon PとCanon 7は有終の美を飾ったのでした。

Canon 7S

Canon PとCanon 7 各機種解説

それではここから、Canonのレンジファインダーカメラ最終期の機種、Canon PとCanon 7の各機種について詳しく解説します。

Canon P(ポピュレール)

Canon P

形式 35mmレンジファインダーカメラ
シャッター速度 B、1秒〜1/1000秒
機械式
横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター
露出計 なし
(専用の外付け露出計あり)
露出 マニュアルのみ
ファインダー 一眼式レンジファインダー
パララックス自動補正式
アルバダ式ブライトフレーム(50mm・100mm)
全視野が35mmに相当
倍率1.0倍
レンズマウント ライカマウント
対応レンズ ライカマウントの各種レンズ
電池 不要
発売年 1959年

参考文献:P型(Populaire) – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧)

1959年に登場したCanon Pは、それまで高級レンジファインダーカメラを作り続けてきたCanonが、大幅な低価格で送り出した普及版機種。

機種名の「P」は、大衆機を意味する「Populair」(ポピュレール)の略。
そのため「キヤノン ポピュレール」とも呼称されます。

このCanon Pは、廉価機種ながらCanonのレンジファインダーカメラで最も完成度の高い機種と言っても過言ではないでしょう。

Canonのレンジファインダーカメラのなかでも、いや、それどころかすべてのレンジファインダーカメラのなかでも随一の端正なデザイン。
ボディラインに一切の無駄がなく、見た目ならライカ以上に美しいカメラといえるかもしれません。

そして、見やすい等倍ファインダー。
もちろん廉価機種だけありクリアさや明るさではライカのファインダーに譲りますが、ライカM3でさえ実現していない、完全等倍のファインダーはこのCanon Pならではのアピールポイントです。

Canon P

ライカよりずっと安価に、端正なボディでレンジファインダーカメラを楽しむ。
これから初めて中古のレンジファインダーカメラを使ってみたいという方に、ぜひおすすめしたい機種だといえるでしょう。

では、特徴を詳しく見ていきましょう。

安価なカメラはCanonのお家芸

Canonは伝統的に、他社と同等の性能・品質のカメラを大幅な廉価で販売することに長けたメーカーです。

このCanon Pが登場する翌年の1961年に登場したコンパクトカメラのCanonetや、1976年にAE搭載一眼レフを一挙に普及させたAE-1が有名な例。

Canon(キヤノン)AE-1/「連写一眼」Canon AE-1で70年代のカメラを味わおう

Canon Pもまた、高級機種を安価に提供することをコンセプトとしたカメラ。
改良元となった高級機のCanon VI L(1958年)が50mm F1.8のレンズ付きで定価79,800円だったのに対し、Canon Pは、より明るい50mm F1.4のレンズが付いているにもかかわらず、52,700円という大幅な値下げを実現したのです。

これにより、当時のカメラとしては大ヒットといえる10万台以上の売上を記録。
一世を風靡した機種となりました。

さて、コストダウンを行ったというと、機能面で劣る部分があるように感じるかもしれません。
しかし、コストダウンのための変更が功を奏し、実は使用感までも非常に良好になってしまったのです。

コストダウンが吉と転じた等倍ファインダー

Canon P

Canon Pのコストダウンが行われた箇所。
それがファインダーです。

Canonのレンジファインダーカメラは、1949年のCanon IIB以来、伝統的に変倍式のファインダーを内蔵していました。
変倍式ファインダーとは、装着する交換レンズに対応して、ファインダーの倍率を切り替えることができるファインダー。
広角レンズを取り付けたときにはファインダーが広く、望遠レンズでは狭く可変する。

交換レンズを使用した際の利便性に長けていた反面、ファインダーのクリアさの面では、M型ライカに対し使用感の面で大きく譲るものでした。

前機種である、高級機のCanon VI Lまで、同様の変倍ファインダーを採用していたCanon。

ですが、このCanon Pと、この記事でも紹介するCanon 7では等倍ファインダーへと転換します。

Canon P
筆者私物

もちろんコストダウンが大きな目的ですが、メリットはそれだけではありませんでした。

最大のメリットはファインダーのクリアな見え。
それまでのCanonのレンジファインダーカメラに比べずっと見やすく、使用感が良好になりました。
もちろんライカM3のコストを度外視した伝説のファインダーには敵うはずがありませんが、中古価格に10倍以上の差があるカメラとしては、Canon Pのファインダーは健闘しているといえるでしょう。

さらに、ファインダー自体のクリアな見え以外にも、Canon Pのファインダーには強みがあるのです。

貴重な「等倍」ファインダー

Canon Pのファインダー倍率は「等倍」
すなわち、肉眼と同じということです。

等倍のファインダーということは、右目でファインダーを覗いたときに左目を開けていても違和感がないということ。
つまり、外でスナップを行う際など、右目ではファインダーのブライトフレームで撮影範囲を確認し、左目では周囲の様子を確認する、といった使い方が可能となるのです。

じつはこの等倍というスペックは貴重なもの。
一般に等倍といわれているライカM3のファインダーは実は0.91倍なので、クリアさは別として、より肉眼に近い視野を使うことが可能です。

3つのブライトフレーム

Canon Pのファインダーはアルバダ式ブライトフレーム。
撮影範囲を示すブライトフレームは35mm・50mm・100mmのすべてが常時出たままになっています。

Canon P ファインダー

採光式ブライトフレームに比べ見えが劣るアルバダ式ブライトフレームを使っていることは、Canon Pのファインダーの弱点であるといえます。
もし採光式ファインダーがよい場合は、次に紹介するCanon 7を中古で手に入れるのもよいでしょう。

ただし、Canon Pのアルバダ式ファインダーは逆光時に見えが悪化するといわれていますが、筆者が実際に使っていた分には、そこまで弱点として意識することはありませんでした

もうひとつ難点としては、35mmのブライトフレームについてはあまりにも範囲が広すぎて、全体を見るには眼を動かして見回す必要があります

その点からして、Canon Pでもっとも使いやすいレンズは50mmといえるかもしれません。

レバー式巻き上げ・クランク巻き戻し

1959年という発売時期もあり、巻き上げはレバー式。
分割巻き上げも可能です。

Canon P

(こちらはCanon VI Lから受け継いだ点です)

巻き戻しはクランク式。
全体のボディラインを崩さない、独特の形状は美しさに定評があります。

Canon P巻き戻しクランク
巻き戻しクランク 収納状態

Canon P巻き戻しクランク
巻き戻しクランク 使用状態

同時代のライカといえば、M3とM2。
どちらも未だ巻き戻しはノブ式だったので、機能面でいえばこの部分ではCanon Pのほうが勝っています。

一軸不回転シャッターダイヤル

Canon P

こちらも前機種のCanon VI Lから受け継いだ点ですが、シャッターダイヤルは、高速側と低速側が同じダイヤルの、一軸不回転シャッターダイヤル

ライカLマウントのレンジファインダーカメラは、画像のように、高速側のシャッターダイヤルと低速側のシャッターダイヤルが分かれていたり、シャッターを切った際に高速側のシャッターダイヤルが回転する、古い形式のものが多く存在しています。

Canon Pのシャッターダイヤルは、後年のカメラでは当たり前の形態ですが、当時としては新しい形式のもの。
使用感が直感的で、中古で購入した初心者の方でも戸惑うことなく使うことができると思います。

ステンレス金属幕シャッター

Canon P
↑シャッターが状態良好なCanon P(当店商品)

また、これも以前のCanonレンジファインダーカメラから採用されていた特色ですが、シャッター幕はステンレスの薄膜製です。

布幕に比べ丈夫なだけでなく、レンジファインダーカメラ特有の、「レンズキャップをせず放置するとシャッター幕が燃えて穴が開く」問題の心配もありません。
(虫眼鏡で太陽光を集めると紙を焼くことができるのと同じ原理による故障です)

ただし、Canon Pの金属幕シャッターは、経年変化でシワが寄りやすいという弱点があります。
非常に多くの個体にこの問題が発生しており、健全なもののほうが少ないくらいです。

Canon P シャッター幕のヨレ
↑シャッター幕にヨレが発生したCanon P(筆者私物)

実際の撮影上、シャッター速度の精度には影響なく使えますが、気にする方は中古購入時にチェックするとよいでしょう。

なお、シャッター幕にシワが寄る問題は、後継機のCanon 7とCanon 7sにも同様に発生します。

Canon PはCanonのレンジファインダーカメラの最人気機種

このように、Canon Pは露出計を内蔵していない以外、レンジファインダーカメラとして完璧な機構を備えたカメラといってよいでしょう。

もちろんライカには負けますが、端正な外観も含め、実際の使用においては劣らないものです。

デザインについては、次に紹介するCanon 7が露出計を内蔵したことで肥大化してしまったため、こちらのCanon Pを完成形とする向きも多いです。
中古価格も機能面で上位のCanon 7より、見た目が格好いいCanon Pのほうが高いことも。

10万台以上を売り上げたベストセラーのため中古の商品も豊富。
これから初めて中古でレンジファインダーカメラを手に入れたい方に、ぜひおすすめしたい機種のひとつです。

[rfbody]

Canon 7

Canon 7

形式 35mmレンジファインダーカメラ
シャッター速度 B、1秒〜1/1000秒
機械式
横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター
露出計 セレン受光素子 外光式
露出 マニュアルのみ
ファインダー 一眼式レンジファインダー
パララックス自動補正式
採光式ブライトフレーム(35mm・50mm・85mm・100mm・135mm)
倍率0.8倍
レンズマウント ライカLマウント
専用外爪バヨネットマウント
対応レンズ ライカLマウントの各種レンズ
Canon 50mm F0.95
電池 不要
発売年 1961年

Canon Pを元に、最上級機として改良が行われたのがCanon 7(キヤノン7)

Canon P以外のCanon 最上級機は、Canon VT、Canon VI Lのようにローマ数字で機種名を表していましたが、このCanon 7のみアラビア数字になっています。

Canon 7の大きな特色は3つ。

・露出計の内蔵
・採光式ファインダー
・超大口径F0.95レンズの使用

です。

露出計を内蔵したレンジファインダーカメラ

Canon 7

Canon 7の外観で目を引くのが、正面から見てボディ左上に装備された露出計

Canon 7の露出計は、当時一般的だったセレン光電池を受光素子としたもの。
セレン露出計は、簡単にいえば太陽電池で発電した電力の量で露出値を求めるというものです。

露出計はシャッターダイヤルと連動しており、指し示した絞り値をレンズに設定することで撮影が可能。
なお同様の機構は、Canon Pでも外付けの露出計で実現していました。

ただし、Canon 7の露出計内蔵は少々無理に増築を重ねた感があり、その証左として、露出値の表示部分に場所を譲ってアクセサリーシューがなくなっています
(アクセサリーシュー使用時はアダプタで対応)

Canon 7

外観の面でも、Canon PのほうがCanon 7より美しく、中古で人気のカメラとなってしまう要因となりました。

セレン露出計はいまとなっては精度に疑問が残ります。
実際の使用時には、あらかじめどれくらい精度がでているかチェックのうえ、失敗できない場面では単体露出計の併用もおすすめです。

採光式ブライトフレーム・ファインダー枠切り替え

Canon 7

Canon 7がCanon Pより明らかに勝っている部分がファインダー

Canon Pでは環境によっては見えが悪くなってしまうアルバダ式ファインダーでしたが、Canon 7のファインダーは、M型ライカ同様の採光式となりました。

明るく輝くブライトフレームは、やはり使っていて気持ちがよいものです。

またファインダー枠は切り替え式となり、さらに対応焦点距離も増えました。

ファインダー枠は、35mm用、50mm用、85mm・100mm兼用、135mm用の4種類。

Canon Pでは3つの枠が出っぱなしで視界がうるさいきらいがありましたが、この部分については改良されています。

広角35mmレンズが使いやすいファインダー

Canon 7

Canon 7のファインダーは広角レンズの使用を念頭に置いた倍率0.8倍。

上記のCanon Pは35mm枠を見るのに視界をぐるっと見回さないといけないと書きましたが、こちらのCanon 7はそのような不便なく35mm広角レンズが使えます

この設計変更は、登場時すでに一眼レフカメラの普及が始まり、レンジファインダーカメラは広角に強いものと認識されるようになったことが理由とみて間違いないでしょう。

Canon Pの等倍ファインダーのような、両目を開けて撮影する行為は難しいですが、レンジファインダーカメラとしての実用性を考えるとCanon 7のファインダー倍率は悪いものではありません。

超大口径50mm F0.95レンズが使用可能

Canon 7

さて、このCanon 7というカメラとセットで語られる、伝説のレンズがあります。

それがCanon Lens 50mm F0.95

レンズの明るさを示すF値ですが、明るくなれば明るくなるほど設計は困難となります。

とくに、35mmフィルムカメラ用のレンズでF値が1を超えるものは、フィルムカメラの時代にはこの50mm F0.95以外存在しませんでした。

現在ではライカのノクチルックス(Noctilux)50mm F0.95のほか、中国メーカーにも同スペックのものが存在していますが、Canonが1961年の時点でこのスペックを実現していたことは驚嘆に値します。

関連記事

ノクチルックス50mm いつかは使いたい世界最速のライカレンズ

ただし、実測値ではF1を少し超えるくらいの明るさしかなかったともいわれています。

(余談ですが、映画用に使われたレンズには更に明るいものがあり、スタンリー・キューブリックが映画『バリー・リンドン』の撮影に用いたCarl Zeiss Planar 50mm F0.7がとくに有名。本来はNASAのアポロ計画のために作られたレンズです)

このCanon 50mm F0.95は、実はCanon 7(と、マイナーチェンジ版のCanon 7s)でしか使えないレンズ
理由は専用のレンズマウント。

あまりにも巨大で重いレンズのため、Canon 7のライカLマウントの外周にある、専用のバヨネットマウントでしか取り付けることができないのです。

基本的には中古フィルムカメラでの撮影時にはCanon 7かCanon 7S以外で使うことはできません。

Canon 7

ミラーレス一眼カメラでマウントアダプターで使用する場合は、対応製品が存在するため取り付け可能です。

描写についていえば、ここまで明るいため仕方ないですが、開放での描写自体は甘めです。
歪曲収差も多いです。
基本的には非常識なほどに明るいF値と、ボケを楽しむレンズだといえるでしょう。

なおCanonはF値の小さい明るいレンズの開発に積極的で、一眼レフカメラのEOSシリーズにも50mm F1.0が存在し、中古市場では珍品として高値(30万円以上)で取引されています。

EF 50mm F1.0 USM
Canon EF 50mm F1.0 USM

その他は基本的にCanon Pを踏襲

その他の機能面では、シャッターダイヤルや巻き上げ、巻き戻し、金属製シャッター幕など、各部の機構はCanon Pを踏襲しています。

そのためシャッターの金属幕にヨレが生じるのも同じです。

見た目のスタイリッシュさでは、どうしてもCanon Pのほうが魅力的に見えてしまうのは仕方がないところ。
そのためCanon 7は中古では安めです。

しかし、広角レンズへの対応と、切り替え式のブライトフレームというスペックは、撮影時の快適さという点で非常に魅力的なカメラだといえるのではないでしょうか。

[rfbody]

Canon 7S

Canon 7S

形式 35mmレンジファインダーカメラ
シャッター速度 B、1秒〜1/1000秒
機械式
横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター
露出計 CdS受光素子 外光式
露出 マニュアルのみ
ファインダー 一眼式レンジファインダー
パララックス自動補正式
採光式ブライトフレーム(35mm・50mm・85mm・100mm・135mm)
倍率0.8倍
レンズマウント ライカLマウント
専用外爪バヨネットマウント
対応レンズ ライカLマウントの各種レンズ
Canon 50mm F0.95
電池 MR9水銀電池x1
発売年 1965年

Canon 7Sは、名前の通りCanon 7のマイナーチェンジ機種。

ファインダーのブライトフレームや、シャッター、巻き上げ・巻き戻しなどの機能は基本的にはCanon 7と同じです。

このCanon 7Sを最後に、Canonはレンズ交換式レンジファインダーカメラから撤退することになります。
すでに一眼レフカメラの勝利が決定的になっていた時代。
Canonのレンジファインダーカメラの有終の美を飾りました。

中古ではCanon 7に比べ見かけることが少ないのは、レンジファインダーカメラの時代が終わりつつあった時期の製品ゆえでしょう。
しかし、完成度としては最終機だけありとても高いレベルに達しています。

露出計を改良

Canon 7S

Canon 7Sの最大の改良点が露出計

Canon 7のセレン外光式から、CdS受光素子を用いた外光式に変わりました。

これにより、測光が可能な光線状態の範囲が拡大。
暗い場所での露出計の動作が可能となりました。

見た目のデザイン面でも、クラシカルかつ大げさになってしまったCanon 7に比べ、いくぶんスマートなものになっています。

ただし、CdS受光素子を用いたことで、露出計に電池は必要になってしまいました。
使用電池は、この時代のカメラに多用されたMR9水銀電池。
もし中古でCanon 7Sを入手した場合には、互換品を購入するか、電池アダプターを使用する必要があります。

アクセサリーシューが復活

Canon 7S

Canon 7では外付けだったアクセサリーシューがボディ上面に復活しています。

地味ですが便利な改良です。

こちらも50mm F0.95の使用が可能

Canon 7Sも、Canon 7と同様に外爪式バヨネットマウントを併設しているため、50mm F0.95のレンズの使用が可能です。

[rfbody]

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Canon PとCanon 7で使いたいCanon Lマウントレンズ

さて、Canon PもCanon 7・7Sも、ライカLマウント(L39スクリューマウント)を採用したカメラです。

そのため、古今東西のLマウントレンズが使用可能

なかでも、当時純正品としてセットで販売されたCanon製レンズは、非常に多数が製造されたため、Lマウントレンズとしては中古が最も安価な部類に入ります。

もしこれから中古でレンジファインダーカメラを始めるなら、Canon PやCanon 7にCanon製Lマウントレンズを組み合わせることで、とてもリーズナブルにカメラを揃えることができますよ。

では具体的に、おすすめのCanonのLマウントレンズについて見ていきましょう。

Canon 50mm F1.8

Canon P

Canon Lマウントのレンズの中でももっともよく見かけるもの。
4群6枚のダブルガウス型。

希少性はなく、ロシア製と並んでLマウントレンズとして最安値のものですが、実のところ性能はとても高いです。
デジタル一眼レフカメラ用の「撒き餌レンズ」として知られるEF 50mm F1.8のご先祖様として、こちらもLマウントレンズ入門に最適です。

なおI型〜III型まで存在し、I型はクラシカルな銀鏡筒。

Canon 50mm F1.8 I型

II型とIII型は微妙な差はありますがどちらもモダンなデザインです。

Canon 50mm F1.4

Canon 7S

のちの一眼レフカメラの時代に主流となったスペックのレンズ。
こちらも4群6枚のダブルガウス型。

そつがない性能と、時代ゆえのオールドレンズならではの味の双方が楽しめます。
50mm F1.8の中古の玉数があまりにも多すぎ、その影に隠れてしまってる印象があります。

Canon 50mm F0.95

Canon 7

上記のCanon 7の項目で解説した超大口径レンズ。
コレクターズアイテムの色が強いです。

Canon 25mm F3.5

Canon 25mm F3.5

日本製のレンジファインダーカメラ用超広角レンズとして、代表的なものといえる製品。
3群5枚。

ストリートスナップを行った写真家にも愛用された、写真史を彩った隠れた名レンズといえるでしょう。

後玉が飛び出て、ボディ前面の突出が少ない、対称型広角レンズ然とした見た目も魅力。

Canon 100mm F3.5

noimage

Canon Lマウントの望遠として有名なもののひとつ。
4群5枚。

100mmという焦点距離はCanon Pのブライトフレームに対応しているため、Lマウントの長めのレンズが欲しい場合におすすめできるといえるでしょう。
レンジファインダーの基線長(距離計の精度)としても、無難な焦点距離だといえます。

ライカのエルマー90mm F4などをはじめレンジファインダー用の望遠レンズは中古価格が安いですが、その例に漏れずこのレンズもとても安価に入手可能です。

中望遠なので、ミラーレス一眼に取り付けてデジタルでポートレートレンズとしての使用もおすすめ。

他社製Lマウントレンズももちろん使用可能!

Canon P、Canon 7・7Sともに、世界中のLマウントレンズが使用可能です。

ライカレンズを取り付けるもよし、国産Lマウントレンズを選ぶもよし。
詳しくは以下の記事も参考に、中古レンズを探してみませんか?

銘玉揃い!ライカ L39マウント 国産おすすめ中古レンズ11選

入門におすすめのライカレンズ10選 初心者の最初の1本に最適なL39・Mマウントレンズとは?

Canon P作例

筆者私物のCanon Pで撮影した作例です。

レンズ:Canon 50mm F1.8(II型)
フィルム:フジ業務用400

レンズが50mmと少し長めですが、絞り込んでスナップに徹しました。

Canon P作例

Canon P作例

Canon P作例

レンジファインダーカメラの購入で迷ったら

こちらの記事でもおすすめのレンジファインダーカメラを紹介しています。
ぜひ併せてご覧ください。

おすすめ中古レンジファインダーカメラ12選 特徴・メリット徹底解説

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Canon PとCanon 7は廉価で完成度の高いレンジファインダーカメラ

このように、Canon製レンジファインダーカメラの有終の美を飾ったCanon PとCanon 7は、Lマウント用レンズの母艦として最適なカメラ。
完成度が高くファインダーも使いやすいので、快適にレンジファインダーカメラでの撮影を楽しめますよ。

ライカだけでなくフォクトレンダー・ベッサに比べても安価に中古が手に入るので、手軽にレンジファインダーカメラを始めたい方にもおすすめ。

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更新履歴

2022年6月13日

Canon Pのスペック表、発売年を修正

著者紹介: サンライズカメラ

サンライズカメラは、いまでは数少なくなってしまった「フィルムカメラ専門店」の使命として、フィルムカメラに関する情報を公開し続けています。 「こんな記事が読みたい」というご要望がありましたら、お気軽にFacebook、Twitter、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。カメラ愛好家のみなさん、これからフィルムを始めたいみなさんとお話できることを楽しみに待っています。

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