入門におすすめのライカレンズ10選 初心者の最初の1本に最適なL39・Mマウントレンズとは?
初めてのライカレンズを中古で買うなら、おすすめはどんなレンズなのでしょうか?
これからフィルムカメラを中古で手に入れるなら、断然選んでみたいのがライカ。
ライカM3やM2、M4、M6といったライカのフィルムカメラ。
高級カメラで敷居が高いと思われがちですが、実はいまなら、以前よりとても手軽に始めることができるようになっているのです。
そんなときに気になるのが、どんなレンズを選べばよいのかということ。
ライカは基本的にレンズ交換式のカメラ。
レンズの種類は非常に豊富で、中古の値段も比較的安価なものから、目が飛び出るような値段のものまで様々です。
これからライカに入門する初心者の方にとっては、どのレンズを選んだらよいのかということは、とても難しい問題だといえるでしょう。
そこで今回は、これから初心者の方がライカを手にするときに、ぜひボディと一緒に手に入れたいおすすめレンズを紹介します。
重要ポイントは、50mm(5cm)か35mmかということ。
ボディによっておすすめレンズも変わってきます。
ぜひあなたにぴったりのライカレンズに出会ってくださいね!
目次
- 迷ったらこれ! 定番おすすめライカレンズ3選
- ライカレンズで撮れる写真
- 初心者におすすめのライカレンズ
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- ライカレンズの種類 L39マウントとMマウント
- ライカレンズの名前
- 初心者の方におすすめしたいライカレンズの選び方
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- やっぱり標準レンズ! 50mm派のあなたにおすすめのレンズ
- M2・M4・M6におすすめ! 広角35mmレンズ
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- ライカレンズ 中古購入時のポイント
- あなたにぴったりのライカレンズと出会いましょう
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- 更新履歴
迷ったらこれ! 定番おすすめライカレンズ3選
詳しく紹介する前に、まずは定番のおすすめレンズを3つ紹介します!
もしどのライカレンズがよいのか迷ったら、定番のこの3つから選べば間違いありません!
1.Summicron 5cm F2(ズミクロン 5cm F2)
ライカ、とくにM型ライカの標準レンズといえば。
なんといってもズミクロン(Summicron)5cm F2こそが定番中の定番だといえるでしょう。
レンズの世代がいくつかありますが、比較的安価なものを選びたいときは、初代(1954年沈胴・1956年固定)か2代目(1969年)が中古で手に入れやすいでしょう。
とくに初代は、ライカの最も良い時代の製品だけあり仕上げの面でも逸品です。
ズミクロン5cm F2は、初心者の方のライカレンズ最初の1本として完璧な解答。
とくに、ライカM3ならこれ以外の選択肢はありません!
迷ったらこれを選びましょう!
2.Summicron 35mm F2(ズミクロン 35mm F2)
ライカのレンズを選ぶときに問題となるのが、50mm(5cm)か35mmかということ。
35mm派のあなたにおすすめなのが、このズミクロン(Summicron)35mm F2です。
こちらのレンズはライカMマウントの焦点距離35mmのレンズとして定番中の定番。
いくつかの世代がありますが、初代ズミクロン35mm F2は「8枚玉」として知られており、伝説のレンズとして非常に人気が高いです(ただし、中古価格もとても高いです)。
3.Elmar 5cm F3.5(エルマー 5cm F3.5)
これからライカを始めたいけれど、レンズにあまりお金がかけられない。
そんなときに検討してみてほしいのが、エルマー5cm F3.5です。
エルマー5cm F3.5は、M型ライカ以前のバルナックライカにおける標準レンズ。
レンズの開放値が暗いことと、非常に大量に作られたレンズのため、ライカの標準レンズとしては最も安価に中古が手に入るものといえるでしょう。
L39マウント(ライカスクリューマウント)なので、M型ライカではL-Mアダプター(マウントアダプター)を介して使用することになります。
アダプター購入時には、50mmレンズ用のものを選ぶよう気をつけましょう。
※Mマウントのものもありますが数は少ないです。
安価なレンズでM型ライカを始めたいが、コシナのレンズはちょっと、という方におすすめ。
将来もっとよいレンズを手に入れたら、そのときはバルナックライカのボディを手に入れて使ってあげましょう。
ライカレンズで撮れる写真
それでは、いったいライカレンズを使うとどんな写真が撮れるのでしょうか?
作例を紹介します!
Elmar 5cm F3.5で撮影
撮影:雨樹一期
こちらの記事でさらに作例を紹介しています。
作例に使用したマウントアダプター
初心者におすすめのライカレンズ
これから初心者の方がライカに入門する場合、どんなレンズがおすすめなのでしょうか?
まず最初に、ライカレンズとはいったいどんなものなのか見ていきましょう。
ライカレンズとは
そもそも、ライカレンズとはいったいどんなレンズなのでしょうか?
その定義はとても単純。
ライカの純正レンズのことです。
旧エルンスト・ライツやライカカメラ社の製造した純正レンズ。
ライカはフィルムカメラ・デジタルカメラを通じて世界一のカメラブランドですが、専用レンズも逸品ばかり。
世界最高峰のカメラ、ライカのために作られた最高のレンズ。
それこそがライカレンズなのです。
では、ライカレンズにはいったい、どんな魅力があるのでしょうか?
ライカレンズの魅力
ライカレンズが魅力的なのは、単に高級レンズだからではありません。
性能や仕上げ、描写といったすべての要素がバランスよく高レベル。
完成度の高さが魅力です。
たぐいまれな高性能
まず、ライカレンズ最大の魅力がその性能。
初代ズミクロンが現在でも世界最高の解像力を誇るレンズとして知られているのはとても有名。
そのほかのライカレンズも、カタログスペック・実写結果ともに非常に高い実力です。
高級レンズだからこその超高性能を誇ります。
各種収差も非常に良好に補正されているのは、ライカがどの時代にも世界最高のレンズを作ろうと、妥協せずに光学設計を行っていたからこそ。
古い時代の中古ライカレンズでも現代のレンズに匹敵する解像力。
現代の最新ライカレンズでは国産プロ用レンズ以上の超高性能。
ライカレンズを使うことイコール、最高の性能のレンズを使うことなのです。
宝石のような仕上げの良さ
工芸品としての作りの良さもライカレンズの魅力です。
金属加工の精度。
メッキの質。
とくに1950〜1960年代のライカレンズは、全世界、全時代の写真用レンズのなかでも最高の仕上げの
もの。
するりと回るヘリコイド。
カチッとハマる無限遠ロック。
スムースな絞りリング。
宝石そのものの仕上げを味わうことができますよ。
オールドレンズならではの味
性能が非常に高い一方で、古い時代の中古ライカレンズでは、オールドレンズとしての味わいも楽しめます。
古いレンズならではの空気感やレトロな発色。
むしろ、新しい時代の「そつがない」描写のレンズよりも、古い時代の中古レンズのほうが、「ライカを使う」悦びをより体験することができるかもしれません。
初心者の方のライカ入門には純正レンズがおすすめ
さて、そんなライカレンズですが、同じライカマウントのレンジファインダー用レンズに比べて、中古の値段が高めなのも事実。
これからライカ、とくにM型ライカを始める初心者の方は、コシナ・フォクトレンダーなどの他社製ライカマウントレンズを選ぶことを考えている方もいるかもしれません。
ですが、結論としては、ライカ純正のレンズを選ぶのがおすすめだといえます。
第一の理由が、ライカ本来の描写はライカレンズでこそ味わえるため。
カメラボディの精密感ももちろんM型ライカの魅力。
でも、フィルムカメラでは撮った写真の出来はレンズで決まります。
だからこそ、初心者の方の初めてのライカには、中古のライカレンズを付けてその描写を味わってもらいたいのです。
また、ライカにはライカ純正のレンズがついていたほうが「さまになる」のも理由のひとつ。
M型ライカのボディにもっとも似合うのは、もちろんライカ純正のレンズにほかなりません。
同じライカM3やM6を持ち歩くのでも、それぞれの製造年代に合わせたライカレンズを付けているときが、もっとも端正に見えるでしょう。
なお、社外品のライカL39マウントレンズについては以下の記事で紹介しているので、もし社外品の購入を考えているときはこちらも参考にしてみてくださいね。
ライカレンズの誕生
さて、そんなライカレンズの始まりは戦前に遡ります。
オスカー・バルナックが作った初期のバルナックライカについていたレンズ。
それこそがライカレンズの始まりです。
初期のライカIA型に装着されていた5cm F3.5のレンズは途中でエルマーと名付けられ、その後もライカレンズの代表として、多くの人に愛用されることとなります。
ライカIA
エルマー5cm F3.5(画像は後年のモデル)
さて、そんなライカレンズは初期の時点で非常に高性能なものでした。
理由は、密着焼き付けではなく引き伸ばしを前提としたものだったため。
それまでは大型のフィルムや乾板を印画紙に密着させてプリントするのが普通だったのに対して、小型の35mmフィルムを用いるライカでは、レンズを通して拡大露光する引き伸ばしを取り入れました。
そのため、拡大しても描写が破綻しない高性能が求められたのです。
ライカIC型でレンズ交換が可能に、更にライカDIIで距離計がついたバルナックライカ。
広角、望遠、大口径と、レンズも各種生み出されていくことになります。
戦前のライカ用レンズの多くを生み出した名光学技術者がマックス・ベレーク(Max Berek, 1886〜1949)。
ポーランド生まれの技術者で、エルマー、ズマール、ズミタールといったレンズを設計しました。
バルナックライカについて詳しくはこちら。
戦後のライカレンズ
戦後になりライカレンズは大きな変化を迎えます。
それはなんといっても、1954年のライカM3の登場。
それまでのバルナックライカから大きな変貌と遂げたM型ライカでは、マウントもライカMマウントに変更。
標準レンズも、それまでのエルマー5cm F3.5からズミクロン5cm F2がメインとなり、新しい時代へ突入していくこととなります。
ズミクロン5cm F2
1950〜60年代のライカレンズは、ボディと同じく、油の乗ったもっとも良い時代。
味と性能を兼ね備えたレンズ描写も、宝石のような鏡筒の仕上げも、もっとも質がよいのはこの時代のものだといえるでしょう。
この時代の光学技術者として知られているのが、ウォルター・マンドラー(Walter Mandler, 1922〜2005)。
ドイツの技術者で、上述したベレークの元に学び、伝説の名レンズであるズミクロン5cm F2(初代)や、超大口径レンズ・ノクチルックス50mm F1.0などを開発しました。
さて、しかしながら1960年代後半になると、日本製カメラの台頭によりライカの経営にも陰りが出てきます。
そのため1960年代後半より、ライカレンズにもコストダウンが行われるようになってきます。
それでも描写は一級品であることに変わりなく、コーティングが改良されていることもあり、より現代的かつ、カラー撮影に強いレンズになっていきます。
1970年代後半には外装デザインが大きく変わる「ニュージェネレーション」レンズに。
距離や絞りリングのフォントが一新されました。
ニュージェネレーションレンズ
ライカM6に似合うレンズたちです。
その後、ライカレンズは高級レンズとして次第に更なる改良が行われるようになり、1990年代になると非球面レンズも積極的に取り入れられるようになります。
そして現在でも、デジタル化したM型ライカのための超高性能レンズとして、供給が続けられているのです。
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ライカレンズの種類 L39マウントとMマウント
さて、これからライカレンズを中古で購入する場合、L39マウントのレンズを購入するか、Mマウントのレンズを購入するかが問題になります。
それぞれ、どんな特徴があるのでしょうか?
L39マウント
L39マウント(ライカIIIf)
L39マウントとは、戦前から続くバルナックライカで用いられたマウント。
直径39mm、ピッチ26分の1インチのねじが切られたマウントで、「L39スクリューマウント」とも呼称されます。
(1インチ=約25.4mmのため、ピッチは1mmよりもわずかに小さい)
基本的に1950年代以前、M型ライカの登場より前の設計の古いレンズとなりますが、ライカレンズとしては値段が安価なものも多いのが魅力です。
Mマウント
Mマウント(ライカM3)
Mマウントとは、1954年のライカM3で初めて採用され、その後のM型ライカ共通で用いられているバヨネットマウント。
1950年代以降、ライカレンズの主流はこのMマウントとなりました。
M型ライカ向けに開発されたかずかずの名レンズを使うなら、このMマウントのレンズがおすすめ。
ズミクロンやズミルックスをはじめ、伝説のレンズの味を楽しむことができますよ。
ただし全体的に、L39マウントよりも中古の値段は高めです。
L39マウントのレンズはMマウントに装着可能
さて、古いL39マウントのレンズは、実はマウントアダプターを介してMマウントのカメラボディに取り付けることが可能です。
Mマウントは、フランジバック(マウント面からフィルム面までの距離)がL39マウントよりちょうど1mm短く設計されており、厚みがちょうど1mmの専用マウントアダプター(L-Mアダプター)を介することで、L39マウントレンズを装着することが可能となるのです。
L-Mアダプター
距離計(レンジファインダー)の連動機構もバルナックライカとM型ライカには互換性があるので、L39マウントのレンズも、M型ライカで無制限で使用可能です。
ただし、M型ライカはレンズマウント部でファインダー枠を自動切り替えしているため、マウントアダプターの購入時には、焦点距離に合ったものを選ぶことが必要となります。
L-Mアダプターには各社から互換品も販売されていて、安価に入手可能です。
L39マウントレンズとMマウントレンズ、どちらがおすすめ?
それでは、これから初心者の方がライカレンズを中古で購入するなら、L39マウントとMマウントのどちらがおすすめなのでしょうか。
結論からいえば、予算が許す限り、Mマウントの名レンズを選ぶほうがベター。
仮に安価なL39マウントレンズを購入しても、きっとゆくゆくはMマウントのズミクロンをはじめとした銘玉が欲しくなるはず。
それならば、最初からMマウントのレンズを選んでしまうのがよいといえるのです。
いっぽう、予算を抑えたいときにはL39マウントのレンズを選ぶのもアリです。
50mmの場合にはF3.5のエルマーが安価に手に入りますし、35mmのレンズが欲しい場合、35mm F3.5のズマロンなどは、高価なズミクロンよりもずっと安価に手に入りますよ。
安価にライカレンズを手に入れるなら
廉価に手に入るライカレンズについては、こちらの記事でも解説しています。
ぜひ併せてご覧ください!
ライカレンズの名前
さて、そんなライカレンズには独特の名前が付けられています。
国産レンズにもニッコールやロッコールをはじめ、レンズ名が存在しますが、ライカレンズが異なるのは、レンズの種類によって、同じメーカーでも名前が異なること。
実はライカレンズでは、レンズの開放値によって名称を変えています。
具体的には、以下のような形となります。
ノクチルックス(Noctilux) | F1.0・F1.2 |
ズミルックス(Summilux) | F1.4 |
ズミクロン(Summicron) | F2 |
ズマロン(Summaron) | F2.8・F3.5の広角レンズ |
エルマー(Elmar) | F2.8・F3.5の標準・望遠レンズ |
エルマリート(Elmarit) | F2.8 |
いっぽう、古い時代のレンズでは以下のような名称も用いられています。
ズマリット(Summarit) | F1.5 |
ズマール(Summar) | F2 |
ズミタール/ズミター(Summitar) | F2 |
ヘクトール(Hektor) | 開放値とは関係なし。マックス・ベレークの愛犬の名前から取られた。 |
タンバール(Thambar) | ソフトフォーカスレンズ |
さらに、ライカ純正ながら他社から供給を受けたレンズには以下のようなものがあります。
クセノン(Xenon) | シュナイダーから供給 |
スーパーアンギュロン(Super-Angulon) | シュナイダーから供給 |
ホロゴン(Hologon) | カール・ツァイスから供給 |
初心者の方におすすめしたいライカレンズの選び方
では、初心者の方が最初にライカレンズを購入するなら、具体的にはどのようなものを選ぶのがおすすめなのでしょうか。
初心者の方が選ぶときに大事なのが焦点距離。
基本的には50mmの標準レンズか、35mmの広角レンズを選ぶのがおすすめです。
50mmを選ぶか35mmを選ぶか
これからM型ライカを初めて手に入れる初心者の方に1本目のレンズとしておすすめなのが50mmか35mmのレンズです。
それぞれにメリットとデメリットがあるので解説します。
50mmレンズ
まず、50mm標準レンズ。
ライカレンズの中でも比較的値段が安いものもあり、入手しやすいのが魅力です。
ズミクロン5cm F2をはじめ名玉がよりどりみどり。
ライカレンズの真髄を味わえますよ。
難点としては、少々焦点距離が長めなことが挙げられます。
M型ライカは速射性が高く、ストリートスナップに向いたカメラ。
街中で使うときに、50mmは少し長く感じるかもしれません。
いっぽうポートレートならこちらのほうが向いているといえます。
ただし、「絶対に50mmを選んだほうがよい」場合もあります。
それが、ボディにライカM3を選んだ場合。
ライカM3のボディは、基本的に50mmのレンズを付けることを前提に設計されています。
ライカM3のファインダーの見え味をフルに楽しむなら、まずは50mmから始めましょう。
またこの記事では基本的にM型ライカを手に入れた初心者の方を前提に解説していますが、もしこれからバルナックライカを中古で手に入れる場合にも、レンズは50mmを選ぶのがおすすめ。
理由は、バルナックライカのファインダーも50mmを前提に設計されているためです。
35mmレンズ
50mmと並んでライカの最初の1本としておすすめなのが、焦点距離35mmのレンズ。
メリットはレンジファインダーカメラとの親和性。
画角が少し広くなり、スナップ写真に最適。
どんな場面でもオールマイティに撮影することができますよ。
また、ライカM2以降のM型ライカは、基本的にファインダー枠が35mmレンズに対応しています。
そのため、ファインダー全体を使って快適に撮影することが可能です。
(ライカM3は35mmに対応していません)
35mmレンズのデメリットとしては、レンズ自体の値段が50mmよりも高めなことが挙げられます。
例えば同時代のズミクロン5cm F2と35mm F2(8枚玉)では、価格差が3倍近くなることも。
これは極端な例ですが、Mマウントの焦点距離35mmのレンズは、中古でも値段が10万円以上なのが普通です。
レンジファインダーに向く焦点距離なので35mmレンズはとてもおすすめではありますが、予算と相談して決めましょう。
もし中古購入時に予算を抑えたい場合には、L39マウントのレンズを選んでマウントアダプターを使用するのもおすすめです。
眼鏡付きレンズ
M型ライカ用の35mm広角レンズについて紹介する上で外せないのが「眼鏡付き」レンズ。
眼鏡付きレンズとは、50mm以上の焦点距離にしかファインダーが対応しないライカM3で広角レンズを使えるようにしたレンズ。
ファインダーの前にも光学系を追加することで、ライカM3のファインダーの画角を広げ、35mmレンズの使用を可能としています。
マニアックなアイテムのためあえて初心者の方が選ぶことは少ないかもしれませんが、このようなアイテムもあると心に留めておくとよいでしょう。
このように、初心者の方が初めてライカレンズを購入するなら50mmか35mmがおすすめ。
長めのレンズが好き、ポートレートを撮りたいという方は50mmを。
ストリートスナップが好きな方は35mmを選ぶとよいでしょう。
当店、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラ公式サイトでも多くのライカレンズを取り扱っているので、ぜひご覧になってくださいね。
[leical]
では次の項目から、具体的に初心者の方におすすめの中古ライカレンズについて紹介していきたいと思います。
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写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
やっぱり標準レンズ! 50mm派のあなたにおすすめのレンズ
ここからは、初心者におすすめのライカレンズを紹介していきます。
まず最初に紹介するのは50mmの標準レンズ。
最初の1台にライカM3を選んだあなたは、この中からレンズを選ぶのがおすすめです!
1.ズミクロン 5cm/50mm F2
まず最初におすすめするのは、やはりズミクロン(Summicron)の50mm F2。
M型ライカの標準レンズとして、定番中の定番。
このレンズを選んでおけば間違いはありません。
ズミクロン50mm F2には世代によりいくつかの種類がありますが、初心者の方がこれから購入するなら、初代か2代目が比較的リーズナブルで手に入れやすいでしょう。
ズミクロン50mm F2については以下の記事でも紹介しています。
ズミクロン 5cm F2(初代/1st)
レンズ構成 | 6群7枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント・L39マウント |
年代 | 1954年(沈胴) 1956年(固定鏡筒) 1956年(DRズミクロン) ※L39マウントは1953年 |
中古相場 | それぞれ8〜13万円前後 |
1954年、ライカM3の登場とともに標準レンズとして登場したのが、初代ズミクロン(Summicron) 5cm F2です。
1954年の登場時には、レンズをボディ内に押し込んで収納できる沈胴レンズでしたが、1956年になり、レンズ鏡筒が固定式のものが加わりました。
また同じ1956年には、近接撮影が可能なDRズミクロンも生まれています。
初代ズミクロン5cm F2は、そのあまりの高性能・高解像力に世界の写真家やカメラマンを驚嘆させたレンズ。
高性能の秘密として知られているのが「空気レンズ」。
前玉の通常では貼り合わせになる部分に隙間を開け、「空気レンズ」としたことにより、それまでのガウスタイプの大口径レンズでは補正が難しかったコマ収差を良好に補正することを実現したのです。
初代ズミクロン5cm F2の伝説のひとつとして、カメラ雑誌「アサヒカメラ」の逸話も知られています。
「アサヒカメラ」の新製品テスト(ニューフェース診断室)でズミクロン5cm F2(固定鏡筒)をテストしたところ、計測装置の性能を超える解像度のため計測不能となってしまったのです。
とにかく解像力の高さなら、今も昔もこのレンズが最高。
50年以上経っても最高の性能を誇る銘玉なのです。
そんな伝説のレンズも、現在では中古のライカレンズとしては比較的手に入れやすい値段になっています。
50mmレンズでライカを始めたい初心者の方には、この初代ズミクロン5cm F2は間違いなくおすすめです!
作例・関連記事
こちらの記事で固定鏡筒ズミクロンの作例を紹介しています。
[オールドレンズ撮り比べ16] Leica (ライカ) Summicron 5cm F2とLeica(ライカ) M3の実力はすさまじかった
DRズミクロン 5cm F2
上記で名前が出てきたDRズミクロン(デュアルレンジ・ズミクロン)とは、初代ズミクロン5cm F2に近接撮影機能を追加したレンズ。
レンズ構成自体は固定鏡筒のズミクロン5cm F2と同様ですが、通常状態での最短撮影距離は0.9m。
その状態で「眼鏡」と呼ばれるアタッチメントを取り付けると、最短0.48mまで寄れるようになる、というギミックが内蔵されています。
ズミクロン 50mm F2(第2世代/2nd)
レンズ構成 | 5群6枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1969年 |
中古相場 | 15万円前後 |
2代目としてモデルチェンジした、ズミクロン(Summicron)50mm F2です。
鏡筒の色は初代の銀色から黒へ。
また、指掛けがなくなるなど外観上もかなり大きく変わっています。
最大の変更点がレンズ構成。
6群7枚の初代からうってかわって、こちらは5群6枚と、非常にオーソドックスなガウスタイプレンズに。
1960年代末ということで、F2程度の「それなり」の明るさのレンズの設計が容易になってきたことが伺えます。
描写面では、先代に比べると現代的な味付けになっていますが、それでもオールドレンズらしい柔らかさと質感を楽しむことができますよ。
ライカM4やM5に取り付けたときに、もっとも似合うレンズといえるかもしれません。
ズミクロン50mm F2(第3世代/3rd)
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1979年 |
中古相場 | 20万円前後 |
ライカが一旦レンジファインダーカメラの製造を中止し、再開したのちの「ニュージェネレーション」と呼ばれるレンズのひとつ。
レンズ構成がリニューアルされ、外観上も扇形の指掛けが設けられるなど変化しています。
見た目の面では、距離や絞り値といった刻印の字体がデジタル文字になったことが全体の印象を大きく変えているといえるでしょう。
設計自体は2018年時点でも現行品に受け継がれており、解像力、色乗り、コントラストと、破綻のない描写を味わえます。
ライカM6に付けるならこのレンズ。
値段は少し高めですが、初心者の方の1本目としてもおすすめです。
ズミクロン50mm F2(第4世代/4th)
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1994年 |
中古相場 | 20万円強 |
基本的には上記の3代目ズミクロンのマイナーチェンジ版。
レンズ構成は同一で、鏡筒に収納式レンズフードが組み込まれたのが最大の違いとなります。
現行品。
2006年にデジタルのM型ライカ、ライカM8が登場した際に、レンズ情報をボディに伝達する6bitコードをレンズマウントに追加する変更が行われています。
アポズミクロン 50mm F2
レンズ構成 | 5群8枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 2012年 |
中古相場 | 90万円前後 |
厳密にはズミクロンとは異なるレンズ、かつ非常に高価で初心者の方の1本目には向きませんが、50mm F2のライカレンズの最新版としてこのレンズにも触れたいと思います。
アポズミクロンM 50mm F2 ASPH(APO Summicron)は2012年に登場した最新のライカレンズ。
惜しげもなく非球面レンズを採用し、それまでも超絶解像力だったズミクロンを、更に大きく凌駕する超高性能を誇ります。
もしお金に糸目をつけず高性能のレンズが欲しいなら。
現行品で世界最高峰のレンズこそ、このアポズミクロンにほかなりません。
2.ズミルックス 50mm F1.4
ライカの50mm標準レンズのなかでも、開放値F1.4のハイスピードレンズに名付けられるのが「ズミルックス」(Summilux)。
「明るいレンズ」に魅力を感じるならぜひ手に入れたい逸品です。
関連記事
ズミルックス50mm F1.4(初代/前期型/1st)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1959年 |
中古相場 | 13〜15万円前後 |
1959年、ハイスピードレンズとして登場したズミルックス。
元来最高級カメラだったライカのレンズであるうえに、ズミクロンの更に上を行くハイスペックレンズ。
それでいて、ライカの最もよい時代のレンズだけあって、仕上げは最高峰と言ってもよいもの。
さまざまなライカレンズの中でも群を抜いた作りの良さを味わえます。
それでいて中古相場は、ライカレンズとしては手に入れやすい部類。
初めてライカを手にする初心者の方も、ぜひライカM3に合わせてみたいレンズです。
基本的には銀鏡筒。
ブラックペイントのものは中古ではコレクターズアイテムとして扱われています。
ズミルックス 50mm F1.4(第2世代/後期型/2nd)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1961年 |
中古相場 | 20〜25万円前後 |
外観上は上記の初代/前期型のズミルックス(Summilux)50mm F1.4と同様ですが、レンズを改良したモデル。
「後期型」と通称されます。
具体的な変更点。
それが「空気レンズ」を導入したことです。
当時のハイスピードということで、少し絞ったときより開放はわずかに緩くなりますが、そこはライカのレンズだけあって、開放でも充分過ぎる解像力を誇ります。
それでいて、柔らかいボケ味はこのレンズでしか楽しめない魅力的なもの。
単にオールドレンズという枠を超えた、とろけるような味わいのレンズです。
このレンズはなんと、1991年まで足掛け30年にわたって製造されたロングセラー。
前期型に比べ中古は高めですが、おすすめの中古レンズのひとつです。
ズミルックス 50mm F1.4(第3世代/3rd)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1992年 |
中古相場 | 30〜35万円前後 |
90年代になりリニューアルされたモデル。
レンズフードを組み込み、外装デザインもデジタル文字になりました。
最短撮影距離はそれまでの1mから0.7mに短縮。
いっぽうでレンズ構成はほぼそれまでと同様です。
ズミルックス50mm F1.4 ASPH(第4世代/4th)
レンズ構成 | 5群8枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 2006年 |
中古相場 | 40〜45万円前後 |
非球面レンズを取り入れたズミルックス。
現行品です。
3.ズミタール(ズミター)5cm F2
レンズ構成 | 3群6枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | L39マウント |
年代 | 1939年 |
中古相場 | 3〜6万円前後 |
安価にライカの50mm標準レンズがほしいなら。
おすすめの手段が、L39マウントのレンズを購入して、L-MアダプターでM型ライカで使うということです。
Summitar(ズミタール/ズミター)は、1939年に登場した、ライカの5cm F2というスペックのレンズとしては古めのもの。
沈胴レンズです。
戦前のレンズながら戦後の1956年ごろまで販売されたため、性能面では一定のレベルに達しています。
大きく前期型と後期型に分かれており、前期型はノンコートで六角形の絞り。
後期型はモノコートで円形絞りとなっています。
写りはまさにオールドレンズらしい「空気感」を味わえるもの。
カリカリの戦闘的ライカレンズではなく、より味わい重視でライカレンズを中古で探すなら。
味でレンズを選びたい初心者の方におすすめの1本です。
4.エルマー50/3.5
※上記画像は「赤エルマー」
レンズ構成 | 3群4枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | L39マウント (Mマウントもあり) |
年代 | 1930年 |
中古相場 | 3〜6万円前後 |
M型ライカ以前の「バルナックライカ」の標準レンズといえば、このエルマー(Elmar)5cm F3.5。
沈胴レンズです。
35mmフィルムカメラの「元祖標準レンズ」とでもいうべき、ライカレンズの中でも基本中の基本の1本こそがこのエルマー。
描写については3群4枚という構成もあり、まったく破綻がないもの。
開放値こそF3.5ですが、描写面では間違いは全くありません。
唯一ウィークポイントがあるとすれば、絞りの設定をレンズ前面で行うのが面倒、というところでしょうか。
(専用フードFISONと絞りリングVOOLAを使用することで解決できますが、純正アクセサリーはどちらもそれなりの値段がします)
30万本以上が製造された、ライカレンズの中でも最も多く作られた部類のレンズのため、中古は市場では非常に豊富。
初心者の方でも簡単に、状態の良いエルマーと出会うことができるでしょう。
エルマー5cm F3.5は長年にわたり作られたため、いくつものバリエーションがあります。
有名なものとしては以下のようなものが挙げられます。
ニッケルエルマー:初期のエルマーで、ニッケルメッキ仕上げ。中古人気が高い。
エルマー:通常のクロームメッキのエルマー
赤エルマー:被写界深度指標が赤色。年代が新しくコーティングの質が高い。中古人気が高い。
そのほかにも、初期のライカI型に装着されていた、ガラス素材が異なる「旧エルマー」を交換レンズに純正改造したものなどもありますが、そちらは中古市場では愛好家向けのコレクターズアイテム。
これから初心者の方が実用として手に入れるなら、通常のエルマーか赤エルマーの状態の良いものを選ぶのがおすすめだといえるでしょう。
M型ライカでは50mmのL-Mアダプターを忘れずに。
エルマー5cm F3.5作例
こちらの記事でさらに作例を紹介しています。
5.エルマー50mm F2.8
1954年、最初のM型ライカであるライカM3の登場に伴い、エルマーはF3.5からF2.8にリニューアルされました。
レンズ構成は3群4枚のままですが、新種ガラスであるランタンガラスの採用により、半段明るくすることを実現しています。
エルマー50mm F2.8(最短1m)
レンズ構成 | 3群4枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | L39マウント・Mマウント |
年代 | 1954年 |
中古相場 | 6〜10万円前後 |
ライカM3と同時に登場した、開放値F2.8のエルマー(Elmar)。
沈胴レンズです。
同じ3群4枚構成ながら、新設計のためそれまでのF3.5に比べ少しかっちりとした現代的描写に近づいています。
絞りリングの操作もF3.5に比べ非常に容易になっています。
L39マウントのものもあり、外観はマウント以外同一です。
エルマー50mm F2.8(最短0.7m)
レンズ構成 | 3群4枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1994年 |
中古相場 | 6〜10万円前後 |
上記のエルマー50mm F2.8(最短1m)は1971年に生産終了し、一時はライカのレンズラインナップから50mm F2.8のレンズが消えてしまうという状況に。
ですが1994年になり、にわかに改良され復活することとなります。
基本的にはレンズ構成は同じ。
ですが技術の進歩によりコーティングが大きく改良されているため、描写は確実に向上しています。
沈胴式の外装も同じですが、ピントリングの指掛けは省略されています。
これから中古で購入する場合、上記の最短距離1mのモデルと中古価格は大きくは変わりません。
6.ズマール5cm F2
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | L39マウント |
年代 | 1933年 |
中古相場 | 3〜5万円前後 |
ズマール(Summar)5cm F2は、バルナックライカ初の大口径レンズ。
ライカで初めて、開放値F2の明るさを実現したレンズとなります。
沈胴式で、独特の外観から、現役で販売された当時は「ひょっとこ」というネーミングでも呼ばれていたといいます。
中古で手に入るライカレンズとしてはもっとも安価な部類のひとつでもあります。
その理由が、状態のよい個体が少ないということ。
ズマールには、最前面のレンズのガラスが柔らかい素材のため、非常にキズがつきやすいという欠点があるのです。
そのため、中古市場に並んでいるレンズにも、拭き傷がついている個体がとても多くみられます。
また年代を反映し、クモリが生じている個体も多いです。
ですが、そこはライカレンズ。
撮影した写真を見てみると、一見するとゆるい描写のようでいて、実はしっかり、かっちりと解像しているのです。
中古価格も安価なので、一風変わったライカ純正レンズがほしいという方にはおすすめできるひとつかと思います。
筆者も実は、初めてのライカレンズはズマールでした。
使用時には、レンズを傷つけないようプロテクトフィルターを忘れずに。
余談ですが、このズマールについて愛好家の間で知られているのが「山崎磨き」。
新宿区、北新宿にある「山崎写真工学研究所※」でレンズの再研磨・コーティングの修理を行ったズマールは、レンズ本来のポテンシャルを引き出されて非常な高性能を発揮するのです。
「通好み」のレンズとして、山崎磨きのズマールを中古で見つけたら買ってみるのも乙なものです。
※山崎写真工学研究所は、大判用の「コンゴーレンズ」の山崎光学とは別の企業(山崎光学を母体に戦前に独立)。
M3やバルナックなら50mm!!
このように、ライカM3やバルナックライカを使うなら断然50mmがおすすめ!
ライカ純正の標準レンズを、ぜひ手に入れてみませんか?
[leical]
M2・M4・M6におすすめ! 広角35mmレンズ
さて、続いてはおすすめの35mm広角レンズを紹介したいと思います。
レンジファインダーカメラであるM型ライカにとって、35mmレンズは最も似合う「標準」レンズも同然。
とくに、ファインダー倍率が0.72倍となったライカM2以降の機種では、むしろ50mmよりも使いやすいかもしれません。
ストリートスナップにも最適な35mm。
初心者の方の入門用にはいったいどんなレンズがおすすめなのでしょうか?
7.ズミクロン 35mm F2
ライカの35mm広角レンズといえば、やはりズミクロン(Summicron) 35mm F2が有名でしょう。
値段は少々高めですが、ライカレンズの代表として、ズミクロン50mmと並んで「正解」といえる選択肢だといえます。
ズミクロン35mm F2については以下の記事でも紹介しています。
ズミクロン35mm F2(初代/1st/8枚玉)
レンズ構成 | 6群8枚 |
最短撮影距離 | 0.7m 0.65m(眼鏡付き) |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1958年 |
中古相場 | 40〜50万円前後 |
ライカレンズのなかでも最も人気が高い、まさに伝説のレンズ。
それがこの、初代ズミクロン(Summicrn)35mm F2、いわゆる8枚玉ズミクロンです。
あまりに高価なため、初心者の方の1本目には向かないかもしれませんが、ライカレンズを語るなら外せないため紹介します。
このレンズが伝説であるのは、その豊かな描写のため。
柔らかい描写ながら、非常に深みのある階調を味わえるレンズ。
すべての写真用レンズの中でも、もっとも「人の心を動かす」写真が撮れるレンズなのです。
中古市場ではとても高額で取引されていますが、それだけの価値が確実にあるレンズ。
大金を積んででも得たい描写が楽しめる、まさに魔性の銘玉と呼べるのではないでしょうか。
もちろん、古きよき時代のライカレンズのため、工芸品的な仕上げも至高の逸品です。
ライカM3で使うなら、眼鏡付きのレンズがおすすめ。
非常に趣味性の高い楽しみが味わえますよ。
ズミクロン35mm F2(第2世代/2nd/6枚玉)
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1969年 |
中古相場 | 15万円前後 |
ズミクロン(Summicron)35mm F2の第2世代。
世代が変わり、レンズ構成が4群6枚となっています。
これから初心者の方が焦点距離35mmのライカレンズを入手するとしたら、価格の面でこちらのほうが現実的な選択肢になるといえるでしょう。
時代としてはライカM4〜M5に相当するレンズで、地味な存在ながら、そこは流石にライカレンズ。
現代的な性能と、準オールドレンズとしての味を兼ね備えた、破綻なく魅力ある画作りをしてくれる描写を楽しめます。
このズミクロン35mm F2第2世代には前期型と後期型があり、前期型は指掛け有り。
後期型では指掛けが省略されています。
(前期型は「ツノ付き」、後期型は「ツノ無し」と呼ばれています)
ズミクロン35mm F2(第3世代/3rd/7枚玉)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1979年 |
中古相場 | 20万円前後 |
いわゆるニュージェネレーションのライカレンズです。
外観はデジタル文字に。
ライカM6に合わせるととても似合います。
描写について一言でいえば「オールマイティ」。
売れに売れたライカM6に合わせて非常に売れたレンズで、性能的に難のある部分はとくにありません。
現代レンズとして、よくも悪くも優等生な描写を見せてくれるレンズ。
予算がある程度ある場合、初心者の方の1本目としても無難な選択肢だといえるかもしれません。
ズミクロン 35mm F2 ASPH(第4世代)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1997年 |
中古相場 | 25万円前後 |
非球面レンズを採用したズミクロン35mm F2。
現行品です。
収差は非常に高度に補正されており、性能面に不足は一切ありません。
新品定価は約42万円ですが、中古ならかなりおトクに入手することが可能です。
8.ズミルックス35mm F1.4
焦点距離35mmの場合も、予算が許せば開放値F1.4のズミルックス(Summilux)はおすすめの選択肢のひとつ。
それぞれ非常に個性のあるレンズたちです。
ズミルックス 35mm F1.4(初代/1st)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 1m 0.65m(眼鏡付き) |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1960年 |
中古相場 | 20〜30万円前後 |
1960年に登場した、焦点距離35mmかつ開放値F1.4のハイスピード広角レンズ。
それがズミルックス(Summilux)35mm F1.4です。
現行品のライカレンズでは当たり前になっているF1.4の明るさですが、当時はまだまだ発展途上の新しい製品。
標準50mmならともかく、それより広いレンズでF1.4というのは未知の領域。
このレンズは世界初の、開放F1.4の焦点距離35mmレンズだったのです。
それだけに、この初代ズミルックス35mm F1.4は、ある種独特な描写をするレンズに仕上がっています。
開放での描写はとにかくこのレンズでしか味わえないもの。
甘美な描写、ふんわりとした描写というと聞こえがよいですが、実際のところかなりのじゃじゃ馬。
フレアも出るしゴーストも出る。
ボケ味も独特。
描写も急にソフトになったりします。
……が、そんな描写がけっして不快にならず、完全に「味」として仕上がってしまうのがライカレンズの恐ろしいところ。
そのじゃじゃ馬っぷりを、きっと誰でも愛せるようになるでしょう。
この世代には、ライカM3向けの眼鏡付きレンズも存在します。
ズミルックス35mm F1.4(第2世代/2nd)
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1967年 |
中古相場 | 20〜30万円前後 |
1967年にマイナーチェンジされたズミルックス35mm F1.4です。
具体的にはフィルター径が変更。
ピントリングの指掛けのロックがなくなり、ロック自体もすぐに廃止されます。
1995年まで、非常に長期間に渡って製造されました。
ズミルックス35mm F1.4 ASPH(手磨き)
レンズ構成 | 5群9枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1990年 |
中古相場 | 150万円前後 |
上述したように、ズミルックス35mm F1.4はかなりのクセ玉でした。
その理由が、通常の球面レンズでは35mmの広角かつ明るいレンズの収差補正が困難だったこと。
そこでライカは、非球面レンズを導入してその問題の解決を試みます。
これはライカとしては、ノクチルックス50mm F1.2に続き2例目のこと。
ところが、非球面レンズを職人による手磨きで製造しようとしたため歩留まりが非常に悪く、2000本限定の予定がその本数に達する前に生産停止となってしまったと言われています。
非常に高価で完全なるコレクターズアイテムです。
ズミルックス35mm F1.4 ASPH
レンズ構成 | 5群9枚 |
最短撮影距離 | 0.7m |
レンズマウント | Mマウント |
年代 | 1994年 |
中古相場 | 30〜40万円前後 |
こちらも非球面レンズを採用していますが、採用枚数を減らすことでコストダウンを計ったモデルとなります。
現行品、新品定価約67万円。
9.ズマロン35mm F3.5
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント・L39マウント |
年代 | 1949年(L39マウント) 1954年(Mマウント) |
中古相場 | 5〜6万円前後 |
上記のズミクロンやズミルックスよりも安価に焦点距離35mmのライカレンズが中古で欲しいなら。
焦点距離F3.5の比較的リーズナブルなレンズとしておすすめなのがズマロン(Summaron)。
登場は1949年のことですが、1954年のライカM3登場に合わせてMマウント版も送り出されています。
なおMマウント版には、ライカM3用の眼鏡付きもあります。
「ガンガン使える」ライカレンズとして縦横無尽に活躍してくれることでしょう。
オールドレンズらしい、あたたかみのある発色が楽しめますよ。
多少周辺光量落ちがあるものの、それもオールドレンズならでは。
基本的性能を押さえたうえで、クラシックなレンズ特有の空気感あふれる描写を味わえます。
控えめなスペックであることと、比較的数が出ているレンズであることから、中古価格はとても安め。
初心者の方の最初の1本としても、とても手軽に手に入れることができおすすめです。
ただし、中玉にクモリが生じている個体があるので、中古購入時には気をつけるようにしましょう。
10.ズマロン 35mm F2.8
レンズ構成 | 4群6枚 |
最短撮影距離 | 1m |
レンズマウント | Mマウント・L39マウント |
年代 | 1958年 |
中古相場 | 15万円前後 |
1958年になり、ズマロン(Summaron)は、新種のランタンガラスを用いて開放値F2.8へ改良されます。
レンズ構成はほぼそのままですが、F3.5に比べて線が細い、より精密な描写を味わうことができますよ。
レンズ鏡筒の構造は上述した8枚玉ズミクロンと非常に似通っており、高級感・精密感あふれるもの。
無限遠ストッパーの精度などは、ズミクロン同様ライカレンズの中でも至高のものと評されています。
F3.5のモデルに比べて中古価格は高いものの、ズミクロンよりはずっと安価に上質さを感じられるので、予算が許せば初心者の方の1本目としてもおすすめできるでしょう。
なお、このレンズにはMマウントとL39マウントが存在。
なかでもMマウントの初期のものは、マウント基部の小ねじを外すことでMマウントが外れ中からL39マウントが現れる構造になっているものがあります。
8枚玉ズミクロンには流石に手が届かないが、とにかく、ライカならではの精密感を味わいたいという方に。
古きよきライカレンズの真髄を味わいましょう。
ズマロンについては、F3.5、F2.8ともこの記事で解説しています。
レンジファインダーにぴったりの35mmレンズ
レンジファインダーカメラのライカの持ち味を活かすなら35mmレンズ!
ぜひ、ライカレンズの描写を楽しんでみませんか?
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2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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どこでも持ち歩ける相棒です。
ライカレンズ 中古購入時のポイント
さて、このように50mmと35mmだけでも非常に多彩な種類のあるライカレンズ。
けっして安い買い物ではないため、初心者の方が初めてライカレンズを買うときは、いくつかの点に注意するのがおすすめです。
1.キズ・クモリ・カビ・コーティング劣化・バルサム切れ
レンズのガラス部分の劣化やトラブル。
これらは他の中古レンズにおいても確認したい点ですが、高価なライカレンズではとくに重要なチェックポイントとなります。
基本的にはライカレンズを購入する際には、少しでも状態の悪いものは選ばないほうが無難だといえるでしょう。
2.外装の痛み
レンズ鏡筒については、値段と相談して、どこまで許せるかで選びましょう。
基本的には光学系に問題がなければ撮影に影響はしませんが、高級カメラであるライカだけに、美品を手に入れたい方も多いと思います。
いっぽうで、ボロボロのライカこそが格好いいという価値観もあるので人それぞれです。
3.絞りのトラブル
絞りが問題なく動くか。
油を引いていないかもチェックするようにしましょう。
4.距離計が連動するか
実際にボディに取り付けてみて、問題なく距離計連動するか、距離計精度に問題がないかをチェックしましょう。
分かる範囲でのチェック方法としては、ピントリングを無限遠にして、ファインダー距離計二重像が無限遠で合致していればOK。
理想は、自分が使っているボディを持っていって取り付けてみること。
初めての方は、レンズとボディを一緒に購入して、その場で取り付けてみるのがおすすめです。
5.偽物
ほとんどのライカレンズには関係のないことですが、唯一、L39マウントのエルマー50mm F3.5については偽物に注意が必要です。
L39マウントのエルマーには、形状が非常に似通っているロシアレンズ「インダスター」が存在しています。
エルマーの市場価格が数万円なのに対し、インダスターは数千円程度であるため、レンズ名などだけを変更したフェイクレンズが作られてしまうのです。
少しでもライカについて知っている人であればひと目でわかりますが、初心者の方にとっての自衛方法としては、信頼できるお店で購入するのがおすすめ。
ネットオークションやフリマアプリで、素性の知れないレンズを購入するのはやめておきましょう。
ライカレンズにおすすめのマウントアダプター
最後に。
この記事で紹介してきたレンズは、マウントアダプターでミラーレス一眼カメラに取り付けての撮影も可能です。
L39マウントのレンズにはこちらが。
Mマウントのレンズにはこちらのマウントアダプターがおすすめです。
あなたにぴったりのライカレンズと出会いましょう
このように、初心者の方におすすめの50mmと35mmのレンズだけでもこれだけの種類があるライカレンズ。
しかも、ここで挙げているのはほんの一部です。
もしライカを使うことに慣れてきたら、更に広角のレンズや、望遠レンズなど、より多彩なレンズを楽しむのも楽しいですよ。
最高の描写、精密な解像力。
工芸品的な仕上げの良さ。
ライカレンズはすべてにおいて最高峰の写真レンズです。
これからライカを手に入れようという初心者の方も、ぜひ中古であなた好みのレンズを探してみましょう!
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どこでも持ち歩ける相棒です。
更新履歴
2022年8月25日
画像が抜けていた箇所の一部に画像を追加しました。
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