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10万円以下で買えるライカ中古レンズ8選 Part2 個性的なクラシックレンズ篇

10万円以下で買えるライカ中古レンズ8選 Part2 個性的なクラシックレンズ篇

今回は、2回にわたり、10万円以下で買えるおすすめのライカレンズを紹介します。

その前に前回(part 1)の記事はこちら。
エルマーやズミクロンといった、定番の中古ライカレンズを解説しました。

10万円以下で買えるライカ中古レンズ8選 Part1 定番L39マウントレンズ篇

さて、この記事で紹介するのは、主にズミクロンへと至る、個性的なハイスピードレンズたち。
カメラの光学技術が徐々に進歩していく時代。
光学技術者たちが試行錯誤のすえに生み出した、それぞれに豊かな描写をもつライカレンズで、オールドレンズならではの楽しみをより深めることができますよ。

50mmの標準レンズはどれも値段が安いものが多いので、エルマーやズミクロンのような定番とはまた異なる魅力が味わえます。

また、ギリギリ10万円以下で買える、ライカ最初の28mm広角レンズ、ヘクトールも紹介します。

バルナックライカに取り付けて。
マウントアダプターでミラーレス一眼カメラで。
それぞれに味わいを楽しめる10万円以下で買えるライカレンズたち。

ぜひ、ドイツの光学技術を楽しんでみませんか?

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10万円以下で買えるライカレンズ Part2

世界最高のカメラ、ライカ。
レンズもそれぞれに銘玉揃いです。
いまではミラーレス一眼カメラで、そのポテンシャルを最大限に引き出すこともできるようになりました。

その歴史のなかで生み出されたハイスピードレンズは、個性的かつ安く買うことができますよ。
ぜひライカの銘玉で、オールドレンズの真髄を味わってみませんか?

なお記事の中では、cm表記のレンズもmmに統一します。

1.Summar 50mm F2(ズマール5cm F2)

Summar 50mm F2(ズマール5cm F2)

マウント ライカL39マウント
レンズ構成 4群6枚
製造年 1933年~

Summar(ズマール) 50mm F2は、ライカ最初の開放値F2のハイスピードレンズ。
まだフィルムの感度がとても低かった戦前(ISO10〜32程度)、より早いシャッター速度で撮影できるレンズとして、ライカレンズのフラッグシップともいえる存在でした。

ひるがって今の目でみると、ズマール50mm F2は、独特の個性的な「迷玉」と思われがちな存在。
ズマールを使って撮影した人は、もやがかかったような、よくいえばソフトな、悪くいえば写らないレンズという感想をもつことが多いです。

これは、ズマール自体の明るさを重視した設計と、状態が悪い個体が多いことによるもの。
ズマールは前玉の最前部の硝材が非常に柔らかく、キズがつきやすいのです。
そのため、状態が悪いズマールは捨て値同然の2〜3万円程度で売られていることも多いです。

Summar 50mm F2(ズマール5cm F2)

……ところが。
このズマールのポテンシャルはそんなものではありませんでした。
ズマールのレンズを研磨し、コーティングを施すと、ズミクロンもかくやという高性能・高解像度レンズに変貌するのです。

この修理で有名な、東京都北新宿の「山崎光学写真レンズ研究所」でレストアされたズマールは、「山崎磨きズマール」として愛好家が一目置く存在です。
少し状態が悪いものを買ってレストアしても10万円でお釣りがくるので、マニア好みのライカレンズとしてズマールはいかがでしょうか?

下の画像は、山崎光学ではない可能性も高いのですが後からコーティングが施されたズマールです。

Summar 50mm F2(ズマール5cm F2)

Summar 50mm F2(ズマール5cm F2)

特徴としては、絞りは6枚。
後年にレストアされたもの以外ノンコートです。

なお状態にかかわらず、使用時には保護フィルターが必須です。
また、ズマールは大半が沈胴ですが、最初期の固定鏡筒のものはコレクターズアイテムとしてとても高価です。

[leical]

2.Summitar 5cm F2(ズミター/ズミタール 5cm F2)

Summitar 5cm F2(ズミター/ズミタール 5cm F2)

Summitar 5cm F2(ズミター/ズミタール 5cm F2)

マウント ライカL39マウント
レンズ構成 4群7枚
製造年 1939年~

1939年、ズマールの後継として発売されたのがSummitar(ズミタール/ズミター)です。

ズミター50mm F2は、ズマールの構成から最前面を2枚貼り合わせにし、より収差の除去を狙ったレンズ。
とくに当時はカラー撮影が端緒につきはじめた時期で、モノクロフィルムよりもさらに感度が低かったカラーフィルムのために、ハイスピードレンズとして重宝されたことは想像に難くありません。

途中で改良が施されており、絞りがズマール譲りの六角形から円形絞りに。
また途中でモノコートが施されるようになりました
沈胴式の外観は、とくにレンズ基部のデザインがズマールから変更され、締まった印象となっています。

Summitar 5cm F2(ズミター/ズミタール 5cm F2)

ひとつ欠点があるとすれば、フィルターの規格が特殊で、保護フィルター等を使用したい場合専用品が必要となります。

描写については素のズマールに比べればだいぶ安定しており、オールドレンズならではの、絞り値による変化を存分に味わえるもの。
絞りを開けば、木漏れ日などの被写体でぐるぐるボケも楽しめます。

こちらもズミクロン以前のハイスピードレンズとして、比較的安く買うことができるので、とくにバルナックライカに似合うおすすめの1本だといえるでしょう。

[leical]

3.Summarit 50mm F1.5(ズマリット 50mm F1.5)

Summarit 50mm F1.5(ズマリット 50mm F1.5)

マウント ライカL39マウント・ライカMマウント
レンズ構成 5群7枚
製造年 1949年~

Summarit(ズマリット) 50mm F1.5は、そもそもシュナイダーのXenon(クセノン)にルーツを持つ存在。

戦前、ライカのライバル、ContaxにはSonnar(ゾナー)50mm F1.5という超ハイスピードレンズが存在していました。
ところが、レンズの製造能力においてツァイスには劣っていたライカは、自力ではF1.5クラスのレンズを開発することができず、シュナイダーからXenon 50mm F1.5を供給してもらうこととなったのです。

このSummarit 50mm F1.5は、そんなライカL用のクセノンの構成を引き継いだもの。
50mm F1.5というスペックはクセノンとズマリット以外にライカにはなく、その意味でも通好みのレンズだといえるでしょう。

往年の超ハイスピードレンズだけに開放はソフト
レンズの特性をいかに乗りこなすかがポイントとなってきます。
このレンズを使っていると、きっと叙情的なポートレートなども撮りたくなってくるはず。
いっぽう絞るとシャープなのもオールドレンズならではです。

状態によりますが10万円以下で買えるのが普通なので、一味違うライカレンズがほしい方にもおすすめです。

Summarit 50mm F1.5(ズマリット 50mm F1.5)

Summarit 50mm F1.5作例

夜の街で個性的な描写を試しました。
カメラボディ:SONY α7

Summarit 50mm F1.5作例

Summarit 50mm F1.5作例

[leical]

4.Hektor 2.8cm F6.3(ヘクトール2.8cm F6.3)

Hektor 2.8cm F6.3(ヘクトール2.8cm F6.3)

マウント ライカL39マウント
レンズ構成 3群5枚
製造年 1935年~

Hektor(ヘクトール) 28mm F6.3は、ライカ初の焦点距離28mmのレンズ。
当時としても非常に暗い、F6.3の開放値がチャームポイント。
ライカレンズの楽しみの極北ともいえる、マニアックなレンズです。

ライカは実は、28mmよりも広いレンズの設計を苦手としていました。
実際、1965年にエルマリート28mm F2.8が登場するまで、このヘクトール以外にライカ純正の28mmは存在しなかったのです。
F6.3という暗さも、設計の難しさが要因でしょう。

ところが描写を見てみれば、戦前のエルマーにひけをとらない上質さ。
像を拡大してもしっかりと線を描き出しており、質感豊かに被写体を描き出してくれます。

暗い絞り値も、広角をパンフォーカスで使う上ではまったく気にならないもの。
無理に明るくしていないこともあり、鏡筒はとてもコンパクトで、カメラからほとんど飛び出しません。

Hektor 2.8cm F6.3(ヘクトール2.8cm F6.3)

ちなみにヘクトールという名前は、バルナックライカの銘レンズのかずかずを生み出した光学技術者、マックス・ベレークの愛犬の名前に由来しているのは、よく知られているところです。
同じヘクトールというレンズには、50mm F2.5や73mm F1.9などもあり、73mm F1.9は木村伊兵衛が愛用したレンズとしても有名。

中古ではギリギリ10万円以下で買える中古レンズとして、ライカレンズの楽しみをより広げてくれるでしょう(※中古価格についての記述は、本記事公開時点のものです)。

今回紹介したレンズに対応するマウントアダプター

この記事で紹介したレンズはSummarit 50mm F1.5にMマウント版もあるのを除きライカL39マウントです。

ミラーレス一眼カメラでの撮影にはこちらのマウントアダプターが対応します。

Summarit 50mm F1.5のMマウント版にはこちらが対応します。

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ライカレンズの深く広い世界を味わってみませんか?

ライカのオールドレンズ。
それはエルマーやズミクロンだけではありません。
フィルムカメラの時代を彩ったかずかずのオールドレンズたちが、きっと写真の楽しみをさらに広げてくれることでしょう。

ライカのクラシックレンズには、この記事で紹介したように10万円以下のものが実はたくさんあります。
ぜひ、ライカのオールドレンズの個性的な描写を楽しんでみませんか?

Part1でも10万円以下で買えるライカレンズを紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。

10万円以下で買えるライカ中古レンズ8選 Part1 定番L39マウントレンズ篇

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更新履歴

2022年8月22日

画像を差し替え、抜けていた箇所に追加。

著者紹介: サンライズカメラ

サンライズカメラは、いまでは数少なくなってしまった「フィルムカメラ専門店」の使命として、フィルムカメラに関する情報を公開し続けています。 「こんな記事が読みたい」というご要望がありましたら、お気軽にFacebook、Twitter、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。カメラ愛好家のみなさん、これからフィルムを始めたいみなさんとお話できることを楽しみに待っています。

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