Leica(ライカ)M3/フィルムカメラの頂点・ライカM3 使い方、中古の選び方徹底ガイド
ライカM3の使い方、中古の選び方、そしてその魅力について解説します!
すべてのフィルムカメラのなかで頂点を決めるとしたら。
間違いなく、ライカM3(Leica M3)が最有力候補に上ることでしょう。
フィルムカメラの中でもトップクラスの精密感、カメラの歴史を大きく変えた革新的操作系。
そしてなにより、「ライカの中のライカ」であるということ。
一瞬でも触ったら、その絹のような操作感覚に魅せられるに違いないでしょう。
さまざまな中古フィルムカメラのなかでも、ライカM3こそ、もっとも手にしてみたいカメラにほかなりません。
どんなに言葉を連ねても伝えきれないライカM3の魅力ですが、今回はその一端を、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフがお伝えできればと思います。
目次
ライカM3
かずかずのフィルムカメラのなかでも名機中の名機、それがライカM3。
カメラが好きなら一度は中古で手に入れてみたいライカM3とは、いったいどんなカメラなのでしょうか?
ライカM3の魅力
ライカM3ほど、数多くのカメラファンや写真家に愛されたカメラはないかもしれません。
おそらく、全世界でカメラの人気投票を行えば、このライカM3が1位を獲得することは間違いないでしょう。
なぜこのライカM3が伝説のカメラたりえたのか。
そのひとつには、カメラの永遠の頂点にして35mmフィルムカメラの元祖である、ライカの最高傑作であることが挙げられます。
どんな世界でも、「本家」「本物」こそが最も価値あるものと認められるものです。
ライカM3もまた、まさにそんな「本物」のカメラのひとつなのです。
機械としての仕上げ・精密感も当然ながら世界最高峰。
1950年代という、まだ職人芸が生み出すアウラが残っていた時代だからこそ作ることができたばねじかけの宝石。
他のどんなカメラにも真似のできない、精密ながら絹のように優しい感触は、一度触ったら忘れることができないでしょう。
カメラの世界に革新を起こし、全世界を驚かせたカメラ。
そして完璧な質感と使用感を兼ね備えたカメラ。
ライカM3は、すべてにおいて完璧なフィルムカメラなのです。
ライカM3の登場
ライカが生まれたのは1920年代のこと。
戦中・戦後と、ライカは35mmフィルムカメラの頂点として、世界に知られていました。
このライカM3が登場する以前のライカといえば、いわゆるバルナックライカ。
バルナックライカはそれ自体非常に高い完成度を誇っており、日本を始めとする世界各国のカメラメーカーは、バルナックライカに追いつくことを目標に、カメラの開発を進めていたのでした。
さて、そんなさなかの1954年。
すべてのカメラ技術者が度肝を抜かれる自体が発生します。
カメラ見本市「フォトキナ」での、ライカM3の発表です。
ライカM3の性能は、それまでのバルナックライカとは次元が違うもの。
日本のカメラ技術者はそれまで、もう少しでライカに追いつけると思ってカメラを開発していたところ、一挙に突き放されたことを実感したという逸話が伝わっています。
バルナックライカから大幅な革新を実現
では具体的には、ライカM3はそれまでのライカに比べてどんなところが新しかったのでしょうか?
1眼式ブライトフレームファインダー
それまでのバルナックライカでは、フレーミング用のビューファインダーと、距離合わせ用のレンジファインダーは別々に別れていました。
それをライカM3では1つに合体。
……というだけなら、既に日本製を始めとするレンジファインダーカメラも実現していたところですが、ライカM3のファインダーは単なる一眼式ファインダーではありませんでした。
まず、ブライトフレーム式のファインダー枠を搭載。
しかも、搭載レンズの焦点距離によってフレームが自動的に切り替わります。
さらに、近接撮影時のファインダーとレンズの視差である「パララックス」を自動補正。
ライカM3は、これら、レンジファインダーカメラに求められるファインダー性能をすべて満たしていたのです。
もちろんファインダーの見えはすべてのカメラの中でもトップクラス。
中古でしか手に入らない現在も、歴史上のすべてのカメラの中で最高のファインダーと称えられる存在です。
ただし広角レンズには弱い
ただし、そんなライカM3のファインダーにも弱点があります。
それが広角レンズの使用に弱いということ。
ライカM3のファインダー倍率は0.91倍で、主に50mm以上の焦点距離のレンズの使用を前提としていました。
そのため広角レンズを取り付けると、ファインダーの画角よりレンズの画角のほうが広くなってしまい、対応できなくなってしまうのです。
それを解決するために、いわゆる「眼鏡付き」の広角レンズも提供されました。
眼鏡付きのレンズとは、ファインダーの前にも画角を広げるレンズを挿入し、レンズ自体の画角とファインダーの画角を合わせる機構を持ったレンズのこと。
眼鏡付きレンズ:ズマロン35mm F2.8
マニアには珍重されていますが、力技の解決方法であることに変わりありません。
広角レンズを使いたいユーザーは、本来はライカM3の廉価版として開発された、ライカM2(ファインダー倍率0.72倍)を使うことが多くなりました。
レバー巻き上げ
それまでのバルナックライカはノブ巻き上げでした。
ライカM3では、巻き上げ方法をレバー式に改良。
迅速なフィルム巻き上げを可能としました。
その後このレバー巻き上げは、手動巻き上げのフィルムカメラにおいて標準の方式となります。
バヨネットマウントの「Mマウント」
バルナックライカが採用していたLマウント(L39スクリューマウント)は、単純にネジが切られただけのネジマウントでした。
ライカM3ではレンズマウントも変更。
レンズを噛み合わせて少し回すだけで固定される、バヨネットマウントの「Mマウント」を採用しました。
これによりレンズ交換が非常に便利になっています。
いっぽう、過去のLマウントレンズ資産を切り捨てなかったのもライカの偉いところ。
ライカMマウントはLマウントとの互換性が高く、マウントアダプターを介することで、無制限でLマウントレンズの使用が可能です。
具体的には、ライカMマウントはLマウントに比べフランジバック(フィルム面からマウント面の距離)がちょうど1mmだけ短く設計されており、厚み1mmのマウントアダプター(L-Mアダプター)を介することで、簡単にLマウントレンズを使用することができるようになっています。
1軸不回転シャッターダイヤル
シャッターの操作の面でも、ライカM3は革新を起こしました。
実はそれまで、バルナックライカなどフォーカルプレーンシャッターを用いるカメラでは、シャッターダイヤルが高速側と低速側で2つに別れているのが普通でした。
しかも高速側は、シャッターを切った際にダイヤルが回転してしまい、指が触れてしまってシャッターが正常に切られないなどのトラブルの原因にもなっていました。
ライカM3では、この2つのシャッターダイヤルを1つに統一。
さらに、シャッターを切った際にもダイヤルが回らないように改良しました。
この、「1軸不回転シャッターダイヤル」も、その後のフォーカルプレーンシャッターのフィルムカメラにおいて標準となります。
フィルム装填の迅速化
バルナックライカのフィルム装填は底蓋だけを開けて行う方式で、とても手間がかかるものでした。
ライカM3では、底蓋に加え、裏蓋も開閉できるようにすることで、フィルム装填をより容易にしました。
バルナックライカのように、フィルムをあらかじめカットするような必要はありません。
ただしこの機構は、より後年の日本製カメラを中心に、さらに便利な裏蓋がすべて開く方式が一般的になっています。
一方で、ライカの「終わり」の遠因にもなる
ライカM3は登場時、間違いなく世界一のカメラでした。
他に対抗できるもののない至高のカメラ。
しかしそのことが、後にライカが、ひいてはレンジファインダーカメラが衰退する要因となったのです。
ライカM3を見た日本のカメラ技術者が取った行動は2つありました。
ひとつは、レンジファインダーカメラという分野で真っ向から対抗すること。
例えばニコンは、ニコンS2でライカM3を模倣しレバー巻き上げを採用。
ニコンSPではライカM3に並ぶ高機能のレンジファインダーカメラを実現しました。
ですが、歴史を変えたのはもうひとつの手段の方。
日本のカメラ技術者は、レンジファインダーカメラではライカに勝てないと悟り、別の種類のカメラで世界を目指すことを選んだのです。
そのカメラこそ一眼レフカメラ。
ライカM3の登場をきっかけに、日本のカメラメーカーは一眼レフカメラの研究・開発を本格化。
そして1950年代後半から、ペンタックス、ミノルタ、そしてニコンといったメーカーの一眼レフシステムとして次々に花開くこととなります。
その後、一眼レフカメラがカメラの主流となるのはよく知られているところです。
一方ライカは、ライカM3に始まるM型ライカの成功により、一眼レフカメラの開発では遅れをとることになりました。
ライカが一眼レフカメラを発売した頃には、すでに日本製一眼レフカメラが世界を席巻しており、ライカの出る幕はなかったのです。
結局1970年代以降ライカはカメラ業界で苦戦し、1975年にはM型ライカの製造が停止するという事態に陥ってしまうのです。
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ライカM3の見分け方
ひとくちにライカM3といっても、製造期間の間にいくつかの点が改良、変更されています。
ライカM3の発売期間は、1954年から1966年。
その間に22万台が製造されたとされています。
今回は、これからライカM3を中古で購入する際に重要となる変更点と、見分け方について解説します。
ダブルストロークとシングルストローク(1958年変更)
ライカM3をこれから中古で購入するときに、もっとも大きな違いとなるのが、巻き上げのダブルストローク(2回巻き上げ)とシングルストローク(1回巻き上げ)だといえるでしょう。
ダブルストロークのライカM3
シングルストロークのライカM3
ダブルストロークとは、フィルムを1枚巻き上げるときに巻き上げレバーを2回操作する方式。
いっぽうで、シングルストロークとは、後年の多くの35mmフィルムカメラ同様に、1回だけ操作するだけでよい方式です。
この変更は、製造期間のうち1958年に行われました。
なぜライカM3が最初、ダブルストロークを採用したのかというと、レバー巻き上げが新技術だったため。
レバー巻き上げは迅速な巻き上げが可能ですが、フィルムを早く巻き上げることで静電気が発してフィルムに悪影響が及ぶことを考慮し、あえて2回に分けて巻き上げるようにしたのです。
ですが、1回巻き上げでも問題がないことがわかり、M3の途中からライカの巻き上げは1回となりました。
ダブルストロークとシングルストロークのどちらがよいということについてですが、巻き上げの感触に関していえば、内部にスプリングを使用しているダブルストロークのほうがよいとのもっぱらの噂です。
またシングルストロークの初期は、内部機構がダブルストローク同様にスプリング式なので、こちらも感触が良いと言われています。
いっぽう、シングルストロークの大半は、内部機構がラチェット式で、感触には劣るとされています。
(シングルストロークのスプリング式からラチェット式への変更は1959年)
しかしながら、ラチェット式のシングルストロークのほうが経年劣化に強く、トラブルも少なく、安定して良い状態を保っている個体が多いとの評判もあります。
また、この1958年の変更を境に、距離計のファインダー二重像に、被写界深度確認用のノッチが追加されます。
マニアの間では好まない向きもあるようですが、基本的には実用上気にしなくてよいといえるでしょう。
シャッター速度が大陸系列か倍数系列か(1957年変更)
1957年に、ライカM3のシャッター速度ダイヤルの数値が変更されました。
具体的には、1/1000秒〜1/500秒〜1/200秒〜1/100秒〜1/50秒〜という大陸系列から、現在も一般的に使われている、1/1000秒〜1/500秒〜1/250秒〜1/125秒〜1/60秒〜という倍数系列への変更です。
大陸系列のライカM3
倍数系列のライカM3
実用の面から考えると、明らかに、倍数系列の個体のほうが使いやすいといえるでしょう。
ファインダー枠切り替えレバーの有無(1955年変更)
正面から見たとき、レンズマウントの右側にあるファインダー枠切り替えレバー。
初期のライカM3にはこのレバーはなく、途中から付け加えられました。
初期(ダブルストローク)のライカM3はレンズマウント右側にレバーがない
レンズマウント右側にレバーがついている
個体としてはついているもののほうが多いです。
ストラップアイレットの形状(1959年変更)
1959年、ラチェット式シングルストロークの巻き上げへの変更と同時に、ストラップアイレットの金具形状が変更されました。
それまでの金具は、下部が長くなっており、犬の耳に似ていることから「ドッグイヤー」と呼ばれています。
いっぽうこれ以降の形状はライカM2と同一で、上下が同じ大きさとなります。
ドッグイヤーのアイレット(ライカM3 ダブルストローク・最初期型)
通常形状のアイレット:位置も前側に移設され、重いレンズをつけたときのカメラの重心バランスがより良好になっている
マニア目線ではドッグイヤーのほうが人気があるようですが、実用について考えると、通常の形状のアイレットのほうが使いやすいかもしれません。
補修部品も豊富です。
ライカM3の色
ライカM3は、基本的には銀色のクロームボディが標準。
これから中古で購入する場合、ほぼ、銀色のものを手に入れると思って間違いありません。
黒塗り(ブラックペイント)やオリーブカラーのものもありますが、コレクターズアイテムで非常に高価なので、あまり購入は現実的ではないでしょう。
「後塗り」の個体もありますが、状態がピンキリなので、購入は自己責任となります。
どのライカM3を中古で買う?
ここで挙げたバリエーションは、ライカM3の変更点の内ほんのわずかにすぎません。
ライカM3はその製造期間の間にかずかずの改良・変更が施されており、それだけで一冊本が書けるくらいです。
もしこれらの変更点のなかで最も重要なポイントがあるとすれば、やはり巻き上げの、ダブルストロークかシングルストロークかというところでしょう。
感触を「愛でる」なら初期のダブルストローク
ダブルストロークのライカM3
もしライカM3本来のとろけるような感触を味わいたいと思うなら、選ぶべきはダブルストロークの個体です。
スプリング式の巻き上げ機構は、他のM型ライカでは絶対に味わうことができないもの。
他の各部も初期の個体のほうが手間をかけて作られているため、まさに宝石そのものの味わいを楽しみ尽くすことができますよ。
ただし、その分デリケートな作りになっているので、メンテナンス済みの状態の良い中古を選ぶことと、購入後も優しく取り扱う必要があることには注意しましょう。
また同じくスプリング巻き上げの、初期のシングルストロークの個体も、巻き上げの感触の面では非常におすすめできます。
実用ならシングルストローク
シングルストロークのライカM3
いっぽう、信頼性が高く、どんどん外に持ち出して実用したいのなら、あえて後期の個体を選ぶのもおすすめです。
具体的にはラチェット式のシングルストロークとなります。
マニア人気こそいまひとつですが、街に、自然の中に、どこにでも持ち出せる、写真を取るための相棒と出会えるでしょう。
とはいえ、クラシックカメラはデリケートな機械であることには変わりありません。
あまり無茶な扱いはしないように。
例えば、シングルストロークのライカM3は、機構に負荷がかかるためあまり分割巻き上げはしないほうがよいといわれています。
感触を選ぶか、実用性を選ぶか。
ひとそれぞれにぴったりの個体が異なるライカM3。
当店、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラでもM型ライカを取り揃えていますので、ぜひ中古のM3をお探しの際は公式サイトを御覧ください!
ライカM3と一緒に使いたいレンズ
ライカM3は、他のM型ライカと違って50mm標準レンズの使用が前提となっています。
そのため、最初に純正のライカレンズを購入するときも50mmがおすすめ。
イチオシはやはり、初代のズミクロンです。
沈胴ズミクロンも固定鏡筒のズミクロンも、完璧に似合いますよ。
その他のレンズについてもこちらの記事で解説しています。
併せてご覧ください。
ライカM3 中古購入のポイント
さて、ではライカM3をこれから中古で購入するときには、いったいどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
ライカM3は、さまざまなフィルムカメラのなかでももっとも高級な部類に属するカメラ。
状態が悪いと修理費用も高額となることがあるので、購入するならぜひ状態のよいものを手に入れたいところです。
ファインダーの状態
ライカM3を中古で購入するときに、もっとも重視したいのがファインダーの状態。
ライカM3のファインダーは「オーパーツ」といっても過言ではない精密なもの。
シャッターの不調はある程度修理で直りますが、ファインダーは直そうとしても直りません。
具体的には、ゴミやチリの混入、クモリやバルサム切れなどのトラブルはしっかりチェックしましょう。
ファインダーの清掃自体は修理業者で可能ですが、ライカの常で費用はピンキリです。
また、距離計の二重像やブライトフレームもしっかりチェック。
二重像が薄くないか、ブツブツしていないか、変色していないかなど、念入りに確かめましょう。
ちなみにライカM3の致命的な故障として、ファインダーが真っ暗になってしまう「ブラックアウト」というものがありますが、そのような個体を「修理できるかもしれない」と考えて買うのがおすすめできないのはいうまでもありません。
ライカM3のファインダーはあまりにも複雑なため、ファインダーの完全修理を行おうとすると、新しくライカM3をもう一台中古で買うのと同じくらいの金額がかかることも。
よほどのことがなければ修理は現実的ではないので、最初からファインダーが良好なものを選びましょう。
シャッターの状態
まず、他のフィルムカメラを中古で購入するときと同様、ライカM3でもシャッターの状態には注意が必要です。
自分でチェックできる範囲では、まずスローシャッターを見るようにしましょう。
だいたい体感で時間を測り、1秒がある程度精度が出ているか見るとよいでしょう。
またライカM3は裏蓋が開くため、高速シャッター時に幕が開いているかもチェックしましょう。
巻き上げがスムースか
巻き上げも重要です。
とくにダブルストロークの場合、巻き上げの「滑り」というトラブルが起こることがあります。
ただしこちらはチェック時にはわかりにくいので、初期不良に対する保証があるものを購入した上で、フィルムを1本試写して正常に巻き上げられているか確認するのがよいでしょう。
ストラップアイレットの状態
ライカM3のストラップアイレット(ストラップ取付金具)は、緩んでしまうことがあります。
緩むことがある理由は、固定方法が単にカシメてあるだけのため。
中古品のなかでも状態が悪いものには、このカシメが緩んで、ストラップアイレットが回ってしまったり、外れかけているものがあるのです。
カメラの落下はすなわち重故障につながるので、ストラップアイレットの状態がよくない中古は避けたほうがよいでしょう。
外観の状態
外観については当然ながら、見た目がきれいなほうが中古は高価です。
内部機構がスムースでも、見た目がヤレていると安価に手に入ることも。
ただし、単にボロボロなだけの中古M3は、中身もダメなことも多いです。
見た目があまりよくないものを中古で選ぶときは、中身がしっかりと整備されているかをあらかじめ確認するようにしましょう。
基本的には保証付きの中古を買おう
さて、そんなライカM3は、中古フィルムカメラのなかでもけっして安いものではありません。
しかも、クラシックの範疇に入るカメラのため、経年劣化によるトラブルも大いに考えられます。
だからこそ、中古で購入するときには、保証がついているものを選ぶのは必須です。
購入したらまずはフィルムを通して試写を行い、問題なく撮影できるか確認しましょう。
安すぎるライカM3は避けよう
ライカM3の値段も状態によって千差万別。
状態があまりよくない個体なら、7〜8万円程度から見かけることもありますが、そのような中古ライカM3は、はたして掘り出し物といえるのでしょうか?
結論からいえば、少々危険な選択だと言わざるを得ません。
ライカM3は高級カメラかつ、どんなに新しくても製造から50年が経ったクラシックカメラ。
状態が悪い個体も非常に多く存在しています。
仮に状態が悪い中古を掴んでしまうと、使うためには専門業者での修理が必要になることも。
その場合、ライカは修理費用が高額なことが多いのが問題となるのです。
さらに、状態が悪い中古のなかには、どんなに修理をしても完全な調子にならないものも混じっています。
中古カメラに詳しい方が分かって買うならまだしも、これから初めてのライカを中古で購入するような場合には、安すぎる個体は避けたほうがよいでしょう。
一桁万円台の場合、お店に整備済みか確認しましょう。
(当店掲載の商品は、修理票の写真を一緒に載せています)
信頼できるお店で買おう
ライカM3はあまりにも状態が玉石混交なため、信頼できるお店で中古を買うということも重要となります。
基本的にはオークションやフリマアプリでの個人売買は避け、上述したように、保証のあるお店で購入するのがおすすめです。
当店、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラでも、返品費用0円での保証を用意しておりますので、もしライカM3を中古でお探しでしたら、ぜひ当店公式サイトも御覧ください!
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ライカM3の使い方
それではここから、具体的にライカM3の使い方について解説していきます。
基本的にライカM3の使い方は、日本製のフィルムカメラとほぼ同じ。
その理由は、このライカM3を参考にして、日本製のフィルムカメラが作られたため。
フィルムの装填方法が少し特殊なのと、露出計がないことを除けば、すぐに慣れることができるはずです。
稀代の名機の使い方を覚えて、ぜひフィルムカメラの真髄を味わってみましょう!
1:フィルムを入れる
ライカM3の使い方。
まず最初は、フィルムを入れるところからです。
ライカM3は他のライカと同じく35mmフィルムを使うカメラです。
フィルムを入れるには、まず底蓋を外します。
底蓋を外すには、底面のノブを引き起こして、半回転させます。
すると底蓋が外れます。
底蓋を外したら、スプール(巻き上げ軸)を外します。
img class=”alignnone size-large wp-image-46067″ src=”https://blog.sunrise-camera.net/sunrise-photo-wp/wp-content/uploads/2018/01/m3_howto06-600×398.jpg” alt=”スプール” width=”600″ height=”398″ />
(ちなみにライカM3のフィルムカウンターは、スプールを外したこの時点でリセットされます)
フィルムの先端をスプールに挿入します。
裏蓋を開きます。
裏蓋を開いたら、スプールに挿入したフィルムを、カメラの底面から入れていきます。
このときに、フィルムを巻き上げるスプロケット(巻き上げギア)がしっかりと噛み合うように気をつけましょう。
フィルムとスプールを中に入れたら、一度だけフィルムを巻き上げて、スプロケットとフィルムが噛み合って、正常に巻き上げが行われているか確認します。
OKなら、裏蓋を閉め、底蓋も閉じます。
巻き戻しノブを少し回して、フィルムのたるみを取ります。
底蓋を閉じたら、フィルムカウンターが0を指し示すまで空シャッターを切ります。
(ライカM3はバルナックライカと異なり、フィルムカウンターは自動復元式です)
このとき、巻き戻しノブの中央部が回転していれば、正常にフィルムが巻き上げられているということになります。
これでフィルム装填は完了。
撮影可能となります。
フィルム装填については以下の動画もぜひ参考にしてくださいね。
2:シャッター速度を合わせる
シャッター速度を合わせるには、ボディ上面のシャッターダイヤルを回します。
ライカM3のシャッターダイヤルは1軸不回転式というもので、後年の多くの日本製カメラと同じように、巻き上げ前・巻き上げ後ともに制限なく変更が可能です。
3:絞りを合わせる
絞りを合わせます。
ライカM3はレンズ交換式レンジファインダーカメラのため、装着レンズにより若干絞りリングの形状が異なることがありますが、基本的には絞りリングを回して絞り値を設定することとなります。
4:ピントを合わせる
ピントを合わせます。
ここが、ライカM3の使い方のなかでももっとも重要となるポイント。
「世界最高のファインダー」と名高いライカM3の魅力が味わえる、ぜひ楽しみたい操作です。
ピントはファインダーを覗いて合わせます。
ファインダーを覗くと、中央部に着色された部位があり、その部分だけファインダー像が二重になっています。
ここが距離合わせを行うための部分(二重像)です。
この二重像は、重なっているうちの一方が、レンズのピントリングを回すことで左右に動きます。
ピントリングを回していると、二重像が1つになる(一致する)箇所があるはずです。
その状態が、ピントが合っている状態となります。
※なお、もしどれだけ回しても二重像が一致しない場合、撮影可能な距離を超えている(被写体と近すぎる)ということになります。
レンジファインダーがどのように見えるかは動画のほうがわかりやすいので、ぜひ以下も参考にしてみてくださいね。
5:シャッターを切る・巻き上げ
シャッター速度・絞り・ピントを合わせたら準備完了。
シャッターを切って実際に撮影します。
シャッターは、巻き上げレバー根本のシャッターボタンを押すと切ることができます。
巻き上げはレバーを回して行います。
ライカM3の巻き上げには、上述したように2回巻き上げ(ダブルストローク)と1回巻き上げ(シングルストローク)があり、その名の通り巻き上げに必要なレバー操作回数が異なります。
巻き上げるときに気をつけたいことがあります。
それが「早く動かしすぎない」ということ。
前期型のダブルストロークはスプリング式、後期型のシングルストロークはラチェット式という方式ですが、とくにダブルストロークのものは構造がデリケートで、乱暴に巻き上げると故障を招きやすいといわれています。
また後期型のシングルストロークについても、分割巻き上げ(小刻みに巻き上げる)はあまり行わないほうがよいとされています。
ライカM3は製造から50年以上経ったクラシックカメラ。
巻き上げるときにはカメラをいたわって行うように気を配りましょう。
撮影の流れについては、以下の動画もぜひ参考にしてください。
6:巻き戻す
撮影が終わって、フィルムを36枚または24枚撮りきったら、現像に出すためにフィルムを巻き戻します。
巻き戻すときには、まず、ボディ前面にある巻き戻しレバーを「R」の方向に回します。
これで内部のスプロケットがフリーとなり、巻き戻しが可能となります。
巻き戻しはカメラ肩部のノブで行います。
巻き戻しノブを上に引き出します。
引き出したら回して巻き戻します。
感触が軽くなるまで巻き戻し、念のため軽くなった後、数回転多めに巻き戻しておくとよいでしょう。
巻き戻しが終わったら、フィルムを入れるときと同様に底蓋・裏蓋を開けてフィルムを取り出します。
フィルムを取り出したら、巻き戻しレバーを「R」から元の位置に戻しておきましょう。
これで撮影の一連の流れは完了です。
巻き戻しについては以下でも解説しています。
ライカM3の使い方に関するTips
さて、上記の基本的な使い方とは別に、いくつかの知っておきたいポイントがあるので紹介します。
レンズの交換方法
ライカM3は、ライカMマウントを採用したレンズ交換式のレンジファインダーカメラです。
多彩なMマウント交換レンズの使用が可能です。
レンズを外すときには、レンズ脇の着脱ボタンを押しながら、レンズを反時計回りに回します。
これでレンズが外れます。
いっぽう、レンズを取り付けるときには、レンズの赤色指標と、ボディの赤色指標を合わせて、レンズをボディに挿入します。
そして、レンズを押し付けたまま、時計回りに「カチッ」というまで回すとレンズが固定されます。
他のM型ライカと同様、ライカM3もファインダーの枠(ブライトフレーム)は装着レンズにより自動的に選択されます。
レンズ着脱の模様は以下の動画でも解説しています。
露出の合わせ方
上記の使い方ではシャッターと絞りの設定方法に触れましたが、ライカM3は露出計を内蔵していないカメラのため、撮影時には適正な露出値を知る必要があります。
適正露出で撮影するためには、単体露出計を使うのがおすすめです。
使いやすい機種としては、フォクトレンダーのVCメーターや、セコニックのL-208ツインメイトといった、軍艦部のアクセサリーシューに取付可能なものが挙げられます。
フォクトレンダー VCメーター
また、スマートフォン用アプリとして無料の露出計アプリがあるため、そちらもおすすめです。
単体露出計やアプリについては、こちらをご覧ください。
単体露出計や露出系アプリを使っているうちに、適正露出の値を覚えてきて、日中屋外くらいなら簡単に勘で露出を決められるようになってきますよ。
ぜひ体感露出を鍛えて、素早い撮影をしてみませんか?
持ち運び時はレンズキャップを付けよう
ライカM3を使うときに気をつけたいこと。
それが、持ち運ぶときにはレンズキャップを付けるということです。
ライカM3は布幕横走りフォーカルプレーンシャッターのレンジファインダーカメラ。
レンズとシャッター幕の間に保護するものがないため、仮に太陽の方を向けて放置してしまうと、シャッター幕に太陽光が焦点を結んで、「虫眼鏡で紙を燃やす理科の実験」のようにシャッター幕に穴が空いてしまいます。
そうなってしまうとオーバーホールは必須。
多額の料金が必要になるので、トラブル防止のためにレンズキャップを使用するよう心がけましょう。
ただし、レンズキャップをつけっぱなしで撮影しようとしてしまっても、一眼レフのようにファインダーの見た目でわからないので気をつけてください。
ライカM3 作例
それでは、ライカM3を実際に使ってみた作例を紹介します。
巻き上げの感触とファインダーのクリアさ。
あまりの良好な使用感に、どんどんフィルムを消費してしまいました。
使用フィルム:voigtlander Nokton Classic 50mm F1.5
現像:トイラボ
作例
いまとなっては特殊なカメラと思われがちなレンジファインダー。
ですが実際にはオールラウンドに活躍できるカメラです。
スナップに風景に活躍してくれます。
速射性にすぐれるライカM3。
実は何気ない瞬間を切り取ることができるカメラでもあります。
いつも持ち歩いてあげたい相棒。
それがライカM3。
スナップにも旅カメラにも最適なカメラ、それがライカM3なのです。
世界最高峰のカメラ、ライカM3を味わいませんか?
ライカM3は、一度触ったらやめられないカメラ。
他のカメラでは絶対に味わえない感触に、やみつきになること間違いありません。
手のひらに乗る宝石、ライカM3。
ぜひあなたの手元に置いてみませんか?
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