フィルム高級コンパクトカメラ大全集 ぜひ中古で入手したいチタンボディの魅力とは
いま人気のフィルムカメラを楽しむなら、ぜひ中古で手に入れて使ってみたいのが高級コンパクトカメラ。
主に1990年代に製造・販売された、非常に手間をかけて製造されたフィルムコンパクトカメラです。
1990年代、中古カメラファンの間では、性能と味を兼ね備えた高級中古レンズを使うことが流行し始めていました。
そんな愛好家の需要に対し、カメラメーカーは、性能だけでなく「味わい」を重視した高級レンズを搭載したカメラを開発。
いまでも名機として中古で人気の高い、かずかずの機種が誕生したのです。
質感あふれる外装に、高性能レンズと使いやすい操作系。
フィルムカメラならではの量感あふれる描写を、思う存分楽しむことができますよ。
コンタックス(CONTAX)、ニコン(Nikon)、ミノルタ(Minolta)、コニカ(Konica)。
日本メーカーが技術の粋を集めて生み出した名機の魅力について、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します!
また、広い意味で高級コンパクトカメラの枠に入る、リコーGR1(Ricoh GR1)やローライ35(Rollei 35)といったカメラについても解説します。
目次
フィルムカメラの高級コンパクトカメラ
ぜひ中古で手に入れてみたい、フィルムカメラの高級コンパクトカメラ。
いったいどのようなカメラなのでしょう。
そして、どうしてこのような高級カメラが生まれたのでしょうか?
高級コンパクトカメラとは
高級コンパクトカメラとは、高性能レンズを搭載し、写真愛好家をターゲットにして開発されたコンパクトカメラのこと。
ハイアマチュアやプロの使用に耐えうる性能と機能を持っているため、現在でも中古フィルムカメラファンの間で人気が非常に高く、今なお中古での価値が認められています。
共通する特徴として挙げられるのが、
・各メーカーの技術の粋を集めたレンズ
・チタンなど高級金属を用いた外装
・撮影者の意図を反映可能な操作体系
といった点だといえるでしょう。
見た目や質感が高級であるだけでなく、超高性能レンズを搭載することで、精密かつ味のある描写で美しい写真が撮れる。
そして、絞りやシャッタースピード、フォーカスを撮影者が自分で操作できることで、思い通りの絵作りをすることができる。
安価な「普通の」コンパクトカメラにはないこれらの特性が、高級コンパクトカメラをその他のカメラとは格が違うものとしているのです。
高級コンパクトカメラは超高性能レンズを搭載
高級コンパクトカメラの特徴。
そして、使用するうえでの最大のメリット。
それが、普通のコンパクトカメラとは全く違う、各メーカーが持てる技術を注ぎ込んだ銘玉が使えるということです。
各社の高級コンパクトカメラに採用されているレンズは、コンタックスのゾナーや、ミノルタのロッコール、コニカのヘキサー、ニコンのニッコールといった、フラッグシップ級の銘レンズばかり。
高級コンパクトカメラのレンズの特徴として、どのレンズも、一眼レフカメラ用の高級レンズに比類する性能を持っていることが挙げられます。
解像力も、色乗りも、空気感も、質感も。
すべてにおいて、一眼レフの名玉と同レベルかそれ以上の性能を誇るレンズたち。
フィルムカメラ爛熟期に生み出された至高の宝玉たちを使えるのは、いまでは中古でしか手に入らない、高級コンパクトカメラだけなのです。
高級感あふれる金属外装
高級コンパクトカメラに共通する特徴として、外装にも高級素材が用いられていることが挙げられます。
高級コンパクトカメラといえば、主に用いられたのはチタン。
ブームの火付け役となった、コンタックスT2がチタンを採用していたことから、他社の高級コンパクトカメラもチタンを採用することになったとみて、おそらく間違いはないでしょう。
1980年から90年代にかけて流行したチタン外装のカメラ。
ニコンF3(Nikon F3)やNew FM2、オリンパスOM-3(OLYMPUS OM-3)やOM-4、コンタックスS2(CONTAX S2)などをはじめとして、フィルム一眼レフカメラのチタンボディも中古で高い人気を誇っています。
チタンボディのカメラが1980〜90年代にかけて隆盛を誇ったのは、プラスチックボディのカメラが多くなったことへのアンチテーゼだとみて間違いないでしょう。
一眼レフも、コンパクトカメラも、消耗品のようなプラスチックカメラばかり。
そんな時代の流れに抗うチタン外装金属カメラは、逆にカメラファンに諸手を挙げて歓迎されたのです。
高級コンパクトカメラが生まれたのも同様に、カメラが「日用品になっていく」ことへのアンチテーゼにほかなりません。
チタンの外装をまとったのはまさに必然だといえるでしょう。
その後チタン外装のカメラはフィルム・デジタルともに少なくなり、金属外装はマグネシウム製が主流となりました。
まさに90年代を象徴するチタン外装。
各社ともに独自の高級部品を採用しているので、ぜひふんだんにコストがかかった仕上げを味わってみませんか?
撮影者の「意図」を確かに反映する操作系
さて、高級コンパクトカメラは操作面でもカメラファンを強く意識しています。
すなわち、(カメラにより程度は異なりますが)露出やピントを自分で操作して、撮影糸を反映した写真を撮影することが可能なのです。
「作品作りの道具」として、いまでも高級コンパクトカメラが中古で人気である理由のひとつです。
そもそも、いわゆる普通の「コンパクトカメラ」は、誰でも簡単に写真が撮れることを目的として開発されたため、手動で設定を変更できる部分は少ないのが普通でした。
操作部分が多いと、初心者のユーザーが混乱してしまう。
そのため、あえてオートから切り替えられないようにしていたのです。
しかし、そのような設計はカメラファンにとっては逆に足かせとなります。
いかに高級コンパクトカメラが高性能レンズを装着していても、その性能を自在に操れなかったら意味がないですよね。
その点、どの高級コンパクトカメラも、プログラムオートだけでなく絞り優先AEやマニュアル、オートフォーカスのみではなくマニュアルフォーカスも可能など、持てる性能をすべて引き出すことができる優れた操作系を搭載。
機種により自由度に差はありますが、カメラについてある程度の知識がある方ならどんな撮影シチュエーションにも対応できる性能を実現しているのです。
また逆に、フィルムカメラに詳しくない人が使う場合には、すべてをオートに設定すれば「押すだけ」で撮影することも可能。
これから中古で初めてフィルムカメラを手に入れるという方にとっても安心です。
高級コンパクトカメラの歴史
さて、それではそんな高級コンパクトカメラは、どのような流れで生まれたのでしょうか?
また、コンパクトカメラとはそもそもどんなカメラなのでしょうか?
中古で人気の高い名機たちが生まれた背景について詳しくみていきましょう。
高級コンパクトカメラ前史
この記事で扱う、いわゆる高級コンパクトカメラが流行したのは1990年代のこと。
ですがそれ以前にも、高級コンパクトカメラに近いコンセプトを持つカメラが存在しました。
一般にコンパクトカメラと呼ばれるカメラが生まれたのは、1960年代のことだといえるでしょう。
そもそも、35mmフィルムを使用する小型のカメラとしては、先にハーフサイズカメラから普及が始まりました。
1959年に発売した初代オリンパス・ペン(OLYMPUS PEN)にはじまるハーフサイズカメラの流行。
手のひらサイズの、誰でも使える小さなフィルムカメラというコンセプトのはじまりです。
1960年代を通じて各社から小型のハーフサイズカメラが発売され、いわゆるハーフサイズカメラのブームが発生。
しかしながら、1960年代も後半になると、フィルムの価格が低下してきたこともあり、ハーフサイズカメラ同様のコンパクトサイズで、35mmフルサイズの高画質の画面を持ったカメラが求められるようになりました。
そんな市場の要望に応えて登場したのが、1968年のコニカC35(Konica C35)初代。
当時、35mmフルフレームのカメラはハーフサイズよりも大きいのが普通だった時代に、ハーフサイズカメラ並の小型カメラとして驚きをもって迎えられました。
「コンパクトカメラ」というジャンルの発祥は、おそらくこの辺りの時代にあると言って間違いないでしょう。
小型の35mmフィルムカメラは他社からも続々と送り出され、「誰でも使えるカメラ」として、カメラの大衆化・普及に貢献しました。
最初の「高級」コンパクトカメラ ローライ35
さて、そんなコニカC35が登場するにあたって、強く意識したカメラがありました。
それが、1966年発表・1967年発売の、ローライ35(Rollei 35)です。
現在も中古で非常に人気の高いカメラですが、「高級」コンパクトカメラの元祖といえる存在です。
しかし、このローライ35について書いておかなければならないことは、このカメラは、けっして最初から「高級コンパクト」であろうとしたカメラではなかった、ということです。
テッサーやゾナーを搭載したドイツ製の高級カメラとして有名ですが、それは結果として高級になってしまっただけのこと。
ローライ自身は、普通に小型で高性能のカメラを作ろうとしただけなのです。
そのことは、コニカC35をはじめとする日本製低価格コンパクトに対抗して、廉価版のローライB35(Rollei B35)などの機種を送り出したことからもわかります。
「高級」コンパクトではあるが「高級コンパクト」ではない。
ローライ35は独特の立ち位置を持ったカメラなのです。
コンパクトカメラはカメラの主流になるが……
さて、そんなコンパクトカメラというジャンルは、1970年代にはカメラの主流となります。
一眼レフカメラはまだまだマニアやカメラファンのもの。
老若男女、誰でも使えるカメラとして、コンパクトカメラは皆に受け容れられていきました。
1975年にはコニカC35EF(Konica C35EF)がストロボを内蔵。
夜間撮影が「誰でも」できるようになりました。
さらに1977年にはコニカC35AF(Konica C35AF)が世界初のオートフォーカスを実現。
初期のオートフォーカスは性能が低く問題も多い機構でしたが、一挙に改良が進み1980年代初頭には実用的なものとなります。
コニカC35AF2
また1980年代前半には、フィルムの自動巻き上げ・自動巻き戻しも一般的に。
こうして、「オートフォーカス」「プログラムAE」「自動巻き上げ・巻き戻し」「ストロボ内蔵」という、誰でも撮れる全自動のカメラが、1980年代のはじめに完成をみたのです。
全自動カメラの例:Canon オートボーイ初代
この時代のコンパクトカメラについては、こちらの記事で解説しています。
しかしながら物としての魅力の面では、これら全自動コンパクトカメラは非常に劣るものでした。
プラスチック外装で質感を無視した仕上げ。
まさに消耗品、家電製品にすぎず、それまでのカメラが持っていた金属のアウラは無きに等しかったのです。
高級コンパクトカメラ登場前夜
コンパクトカメラといえば初心者向けのプラスチック製が普通。
そんな風潮に一石を投じたカメラがありました。
それが、1984年発売のコンタックスT(CONTAX T)。
オートフォーカス登場以前のレンズ固定式レンジファインダーカメラを彷彿とさせる金属外装カメラとして、カメラ愛好家をあっと言わせたカメラでした。
1980年代以降、カメラがさらに普及して消耗品として一般的になるにつれ、逆に、カメラの「物としての魅力」に着目する層が徐々に増えていきました。
機械式カメラや金属外装のカメラが、単にレトロなものとしてではなく、質感あふれる趣味の道具として受け止められるようになる。
また、カメラに高級感が求められるようになったのも時代の要請です。
先述したチタン外装の一眼レフカメラなども、チタンの堅牢さという実用面だけでなく、にぶく輝く高級感が人気の秘密だったことは間違いないでしょう。
コンパクトカメラにカメラマン・写真家が注目
また、カメラ時代に高級感が求められるようになるのと並行して、プロの写真家の間で普通のコンパクトカメラが使われるようになったことも、高級コンパクトカメラの登場を後押ししました。
1980年代後半から1990年代前半にかけ、荒木経惟や森山大道をはじめとする、いまでも日本を代表する大御所写真家は、コニカBIG mini(Konica BIG mini)やオリンパスμ(OLYMPUS μ)といったコンパクトカメラを使用していた時期があります。
コニカBIG miniシリーズ(BIG mini F)
これらコンパクトカメラは、外装こそプラスチック製ですが、搭載レンズは単焦点で一定の高レベルを保ったもの。
オートフォーカスや自動露出も、1980年代後半になると信頼の置けるものとなっていました。
このように、コンパクトカメラの一部がプロやハイアマチュアにも愛用されるようになったことで、より高性能のレンズを搭載し、より操作に自由度のあるカメラが期待されるようになっていたのです。
高級コンパクトブームへ
一方では高級なカメラが、一方ではプロやハイアマチュアにとって実用的なコンパクトカメラが求められていた状況下で、いずれかのメーカーが、高級コンパクトカメラを発売するのは時間の問題でした。
口火を切ったのは京セラ・コンタックスでした。
1990年、コンタックスT2(CONTAX T2)の登場です。
上述したコンタックスTも高級コンパクトカメラの範疇に入るカメラではありますが、オートフォーカスかつ、チタン外装、高度な操作系を採用したカメラとして、このコンタックスT2こそが、実質的に、いわゆる「高級コンパクトカメラ」というジャンルを切り拓いた存在であることは間違いありません。
さて、このコンタックスT2をきっかけとして、各社から同様のコンセプトを持ったフィルムカメラが送り出されるようになりました。
ニコンやミノルタ、コニカなど、それぞれに異なった特徴を持ってはいますが、基本的にはコンタックスT2を強く意識したもの。
またリコーのGR1のように高級感より性能を重視したカメラや、ズームレンズを採用し実用性を高めたコンタックスTVSのような機種も登場しました。
「高級コンパクトカメラの時代」の終わり
さて、そんな高級コンパクトカメラの時代にも、ついに終わりがやってきます。
高級コンパクトカメラが作られなくなったのは、他のフィルムカメラと同様デジタル化が理由。
高級コンパクトカメラの最後の機種として、コンタックスT3(CONTAX T3)が2001年に発売され、有終の美を飾りました。
しかしながら、1990年代という日本のカメラに脂が乗りきった時代のカメラとして、フィルムの高級コンパクトカメラは、現在でも中古で非常な人気を誇っています。
また、高級コンパクトカメラというコンセプト自体は、2010年代に入り、デジタルカメラでもみられるようになっており、ツァイスをはじめとする高級レンズの搭載や、手作業で撮影意図を反映することを前提とした設計など、フィルム時代の高級コンパクトカメラと共通する特徴を持っているといえるでしょう。
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高級コンパクトカメラ大全集
それでは、具体的には「高級コンパクトカメラ」とされる機種にはどんなカメラがあるのでしょうか?
フィルムカメラの名機について、その特徴をそれぞれ紹介します!
1:コンタックスT
メーカー | CONTAX |
レンズ | Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8 |
露出 | 絞り優先AE |
フォーカス | マニュアル(距離計連動式) |
外装 | アルミニウム |
発売年 | 1984年 |
まず最初に紹介するのがコンタックスT(CONTAX T)。
高級コンパクトカメラの前史に位置づけられるカメラです。
このコンタックスTは、まだオートフォーカスを採用していません。
ファインダーは距離計連動式(レンジファインダー)で、「押すだけ」ではないものの、慣れた人にとってはむしろ精密なピント合わせが可能です。
レンズはコンタックスならではのSonnar 38mm F2.8。
この点は大ヒット機種のT2と共通しています。
外観上の特徴が、手前に開くレンズカバー。
また、取り外し式の純正ストロボを側面に取り付けることが可能です。
ただし、外装は一見するとチタンっぽさがありますが、実はアルミニウム製です。
高級コンパクトカメラへの道を整えた、歴史上重要な機種だといえるでしょう。
2:コンタックスT2
メーカー | CONTAX |
レンズ | Carl Zeiss Sonnar T* 38mm F2.8 |
露出 | 絞り優先プログラムAE |
フォーカス | 赤外線アクティブ式AF MF可 |
外装 | チタン |
発売年 | 1990年 |
コンタックスT2(CONTAX T2)は、まさに高級コンパクトカメラというジャンルを切り拓いた記念碑的機種。
このカメラがなければ、1990年代のフィルム高級コンパクトカメラブームは存在しませんでした。
まず外観上の特徴が、チタンや人造サファイアといった高級素材を惜しげもなく使っていること。
外装のチタンは肉厚で、まさにバブルの時代に設計されたカメラならではの高級感。
シャッターボタンには人造結晶サファイアが採用され、またファインダーガラスもサファイアガラスのため、使用時にキズがつくことはありません。
もちろん機構面でも、レンズの周りの絞りリングや、右手のフォーカスリングなど、オート・マニュアルともに非常に使いやすい、理にかなった操作系を備えています。
Carl Zeiss Sonnarレンズの豊穣な描写はいまも定評が高いもの。
これから高級コンパクトカメラを手に入れるなら、もっともおすすめできるカメラのひとつだといえるでしょう。
コンタックスT2については以下の記事でも紹介しています。
3:コンタックスT3
メーカー | CONTAX |
レンズ | Carl Zeiss Sonnar T* 35mm F2.8 |
露出 | プログラムAE 絞り優先AE |
フォーカス | パッシブ式AF MF可 |
外装 | チタン |
発売年 | 2001年 |
コンタックスT3(CONTAX T3)は、カメラのデジタル化が進む2001年発売と、まさに「最後の高級コンパクトカメラ」といえる機種。
それだけに、カメラとしての完成度は非常に高いものとなっています。
前機種のコンタックスT2でユーザーからの不満点だったAF性能を改善。
またボディも小型化、デザインも10年の時間経過を反映したシンプルモダンなものとなりました。
コンタックスT2とは操作体系のコンセプトが異なっており、T2がマニュアル操作を前提としていた色が濃かったのに対し、T3はオートを前提に、補助としてマニュアルを使うという設計思想になっています。
レンズも構成枚数と焦点距離がT2から変更されたまったくの新設計。
破綻の一切ない、怖いくらいの超高性能レンズとして有名です。
最後のフィルム高級コンパクトとして中古価格はT2よりずっと高いですが、それだけの価値があるカメラ。
実用性の面でも最高の存在です。
コンタックスT3についてはこちらの記事でも紹介しています。
4:コンタックスTVSシリーズ
TVS(初代)
メーカー | CONTAX |
レンズ | Carl Zeiss Vario-Sonnar T* 28-56mm F3.5-6.5(初代・TVS II) 30-60mm F3.7-6.7(TVS III) |
露出 | プログラムAE 絞り優先AE |
フォーカス | パッシブ式AF MF可 |
外装 | チタン |
発売年 | 1993年(初代) 1997年(TVS II) 1999年(TVS III) |
コンタックスTVS(CONTAX TVS)シリーズは、コンタックスT2やT3と同じTシリーズのうち、ズームレンズを搭載したカメラのこと。
TVS〜TVS IIIの3機種が存在します。
TVS II
TVS III
ズームレンズとはいえツァイスのため、独特の味わい深い描写を楽しむことができますよ。
ズームレンズ搭載という実用性からか、実はこのTVSはもしかするとT2以上に売れたかもしれないカメラで、中古では非常に豊富に存在します。
外装はもちろんチタン。
中古価格も安価なため、気軽にフィルム高級コンパクトカメラを始めるのにもおすすめの機種です。
5:ニコン35Ti・28Ti
28Ti
35Ti
メーカー | Nikon |
レンズ | Nikkor 35mm F2.8(35Ti) Nikkor 28mm F2.8(28Ti) |
露出 | プログラムAE 絞り優先AE |
フォーカス | アクティブ式AF MF可 |
外装 | チタン |
発売年 | 1993年(35Ti) 1994年(28Ti) |
ニコンが送り出した高級コンパクトカメラ。
それがニコン35Ti(Nikon 35Ti)とニコン28Ti(Nikon 28Ti)です。
その名の通り、搭載レンズはニッコール35mmと28mm。
国産最高峰のレンズとして名高いニッコールレンズを高級コンパクトカメラのために新規に設計しており、一眼レフの描写を凌駕する、超高画質を堪能することができますよ。
このニコン35Tiと28Tiで語りぐさとなっているのが、ボディ上面のアナログ表示版。
なんとこの部分はセイコー(セイコーエプソン)製の本格的なもので、カメラの各部を操作するたびに指針がくるくると回ります。
またレンズだけでなく露出制御も一眼レフと同等のものを採用し、なんと露出計は3D-6分割マルチパターン測光。
他社の高級コンパクトカメラを凌駕する適正露出が得られますよ。
実用性と趣味性を兼ね備えたニコンならではの高級コンパクトカメラ。
それが35Tiと28Tiなのです。
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
6:ミノルタTC-1
メーカー | MINOLTA |
レンズ | G-ROKKOR 28mm F3.5 |
露出 | 絞り優先AE |
フォーカス | 外光パッシブ式AF |
外装 | チタン |
発売年 | 1996年 |
ミノルタが誇る銘レンズ、ロッコール(ROKKOR)。
西宮発祥のミノルタが、六甲山からその名を取ったロッコールレンズ。
なかでも、このミノルタTC-1(MINOLTA TC-1)に搭載されたG-ROKKOR 28mm F3.5は、解像力などのカタログスペックの面でも、レンズの味の面でも実力が非常に高い銘レンズとして知られています。
レンズが高性能ならカメラ本体も非常に拘り尽くされたもの。
ボディサイズは非常に小さく、35mmフィルムカメラとしては最小の部類に入ります。
沈胴レンズの脇に設けられた絞り操作部も、独特の形態ながら物としての魅力を高めてくれるもの。
もちろんボディはチタン製。
手のひらに乗る宝石のような密度感が、中古カメラを「持つ喜び」をいやおうなしにかきたててくれますよ。
現在も非常に中古での人気が高いTC-1。
ぜひ使ってみたいフィルム高級コンパクトカメラのひとつです。
TC-1については以下の記事でも紹介しています。
7:コニカ ヘキサー
メーカー | Konica |
レンズ | Hexar 35mm F2 |
露出 | プログラムAE 絞り優先AE マニュアル |
フォーカス | 赤外線式アクティブAF |
外装 | プラスチック (チタンモデルも有) |
発売年 | 1992年 |
コニカ ヘキサー(Konica Hexar)は、大衆機に強みがあったコニカが送り出したフィルム高級コンパクトカメラ。
コニカは、先述したコンパクトカメラの歴史に名前の出てきたC35シリーズが象徴するように、誰でも使える普及カメラを中心に販売してきたメーカー。
しかしながら、搭載レンズであるHexarやHexanonの性能は高く、古くからカメラファンに注目されてきました。
コニカはカメラだけでなくフィルムも作っていたメーカーですが、実はフィルムメーカーのカメラはよく写るというのがもっぱらの評判。
カメラがよく写れば写るほど、フィルムも売れてくれるので、設計に力を入れるのだと言われています。
(ちなみにコニカ同様、富士フイルムのカメラもよく写ると言われています)
さて、このコニカ ヘキサーは、そんなHexarレンズを現代の技術で蘇らせた逸品。
他社の高級コンパクトカメラとは一風変わっていて、ボディは大きめ、レンズも沈胴しません。
その代わり、他社の高級コンパクトカメラのレンズがF2.8〜3.5クラスなのに対して、35mm F2という明るい単焦点レンズを楽しむことが可能です。
操作系も無理のない配置で、絞り優先AEやマニュアルも使いやすいですよ。
外装は通常モデルはプラスチック。
この点でも他社の高級コンパクトカメラとは異なりますが、限定品としてチタン外装のモデルが存在します。
また同シリーズとして、ライカMマウント互換のレンジファインダーカメラ、ヘキサーRFが存在します。
コニカ ヘキサーについては以下の記事でも紹介しています。
8:リコーGR1
メーカー | Ricoh |
レンズ | GR Lens 28mm F2.8 |
露出 | プログラムAE 絞り優先AE |
フォーカス | パッシブ式AF |
外装 | マグネシウム |
発売年 | 1996年 |
リコーGR1(Ricoh GR1)は、リコーが送り出したプロの使用に耐えうるコンパクトカメラ。
いわゆる「高級コンパクトカメラ」とは少々異なる存在ですが、超高性能レンズを搭載していることから、ここまでに紹介した高級コンパクトカメラに伍して、中古市場で高い人気を保っています。
開発コンセプトは「一眼レフカメラのレンズと同程度かそれ以上のレンズを搭載したカメラ」というもの。
超高性能のGR Lens 28mm F2.8は評価がとても高く、プロも愛用した名玉中の名玉。
Lマウントレンズとしても販売されました。
外装はマグネシウムと、高級なチタンとはうってかわって、こちらは実用のための堅牢なもの。
廉価版を除き、GRシリーズに共通する特徴です。
いわゆる高級コンパクトカメラとは異なり、実用のための「戦う道具」、それがリコーGR1。
GRシリーズについて、詳しくは以下の記事も参考にしてみてくださいね!
9:ローライ35
メーカー | Rollei |
レンズ | Tessar 40mm F3.5 Sonnar 40mm F2.8 |
露出 | マニュアル |
フォーカス | マニュアル(目測式) |
外装 | 真鍮 |
発売年 | 1967年〜 |
最後に、元祖「高級コンパクトカメラ」たるローライ35(Rollei 35)についても紹介します。
ローライ35シリーズは、ドイツのローライが生み出したコンパクトカメラの傑作。
初代ローライ35は1967年発売で、当時は「高級コンパクトカメラ」という概念こそ存在しませんでしたが、ドイツの持つ技術を結集して生み出されたカメラゆえに、結果として高級カメラの範疇となるものになりました。
特徴はなんといっても、正調のドイツレンズ。
TessarにSonnar。
ツァイスに源流を持つ名レンズの味わいは、京セラ・コンタックスのツァイスレンズとはまた異なるもの。
非常に深い色乗りと描写力を楽しむことができますよ。
また、国産の高級コンパクトカメラと異なり全機械式カメラのため、モノとしての魅力も抜群。
バネとゼンマイで動く機械の味わいを、思う存分に体感可能です。
ローライ35については以下の記事で各機種概要や使い方を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
高級コンパクトカメラのおすすめフィルム
高級コンパクトカメラで撮影するなら、ぜひ使ってみたいのがポジフィルム。
設計が比較的新しい高級コンパクトカメラなら、ポジフィルムの性能を十分以上に引き出すことができますよ。
もちろん、普段使いにはカラーネガフィルムもおすすめです。
質感と描写を兼ね備えた高級コンパクトカメラを楽しもう
このように、高級コンパクトカメラはレンズの性能、モノとしての質感、そして撮影の道具としての操作性を兼ね備えた、完成度の高い道具たち。
カメラ自体を愛でるだけでなく、フィルムカメラならではの味わい深い写真をどんどん生み出すことができますよ。
いまでも中古で人気が高い機種が多いですが、以前に比べればリーズナブルに入手可能になっているのも事実。
中古で手に入れてフィルムを楽しむならいまがチャンスです!
ぜひあなたも、高級コンパクトカメラでフィルム写真を味わってみませんか?
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