Konica(コニカ)HEXAR/伝説の名レンズを蘇らせた高級コンパクト
Konica HEXAR(コニカ ヘキサー)は1992年にKonica(コニカ)が送り出した高級コンパクトカメラ。
1990年代、世は高級コンパクトカメラがブームとなっていた時代。
カメラファンの注目は、中古のオールドレンズにも集まっていました。
世界の、そして日本のカメラメーカーが送り出してきたオールドレンズたち。
なかでも、KonicaのレンズであるHexar(ヘキサー)とHexanon(ヘキサノン)は、とくに名レンズとして名高く、中古市場で珍重されていたのです。
Konica HEXARは、そんな銘レンズの名前を受け継いだカメラ。
35mmF2.0の明るいレンズは、高級コンパクトの名に相応しいものでした。
そしてKonica HEXARは、ライカMマウント互換のHEXAR RFへと進化していくのです。
今回は中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフがHEXARの魅力を解説します。
ぜひ中古購入の参考にしてくださいね。
目次
Konica HEXAR
中古市場を賑わす高級コンパクトカメラの中でも、独自性の高い機種、Konica HEXAR。
いったいどのようなカメラなのでしょうか。
Konica HEXARの作例
撮影:いくた りかさん
こちらの記事でさらに撮影と使用感想を紹介しています!
Konica HEXARの性能・スペック
形式 | 35mm高級コンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 30秒〜1/250秒、T(タイム) |
レンズ | HEXAR 35mm F2(6群7枚) |
露出計 | SPD受光素子 中央重点測光 スポット測光 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE マニュアル |
ファインダー | 逆ガリレオ型 採光式ブライトフレーム パララックス自動補正 |
AF | 赤外線式アクティブAF マニュアルフォーカス可能 |
電池 | 2CR5 リチウム電池(Amazon)x1 |
発売年 | 1992年 |
参考文献:
ケンコー・トキナー公式Webサイトより「Konica HEXAR Silver 使用説明書」(pdf)
「コニカの歩み 1992 | コニカミノルタ製品アフターサービス – 株式会社ケンコー・トキナー」
(ともに2022年7月12日閲覧)
Konica HEXARで使用する関連商品
Konica HEXARの概要
今なお中古でも人気が高いKonica HEXARは、レンズ固定式の高級コンパクトカメラ。
最大の特徴はやはり、超高性能の明るいHEXARレンズです。
さらに、時代を反映してオートローディング・オートワインディングも搭載。
しかも静粛性にも気を配っているため、最強のスナップシューターとして仕上がっています。
現在、中古市場で手に入るスナップに強いカメラとして、最も完成度の高いもののひとつだといえます。
HEXAR 35mmF2.0
Konica HEXARのレンズは、HEXAR 35mm F2.0。
このカメラはまさに、このレンズを使うためだけに作られたカメラといっても過言ではありません。
HEXAR(ヘキサー)という名前のレンズ。
かつてはどのカメラメーカーも、レンズに独自の名称を付けていました。
minoltaのRokkor、PENTAXのTakumar、そしてKonicaのHexarやHexanon。
しかしながら1970年代後半を境に、レンズに特別な名称をつけないことが流行となり、単にMINOLTA MDレンズやSMC PENTAXレンズといった、味気ない名前へと変わっていったのでした。
Hexar・Hexanonという名前の由来
Konica(コニカ)の写真レンズに名付けられた、HexarとHexanonというレンズ銘の由来。
それはコニカに改称する以前「小西六写真工業」(こにしろく――)という社名だったことに由来します。
Hexa(ヘキサ)とはギリシャ語で6のこと。
小西六の「六」を自社のレンズ銘に用いたのです。
↑Pearl III型のHexar 75mm F3.5レンズ
HexarやHexanonは、スプリングカメラの「パール」や35mmレンズシャッター機の「コニカ」、時代が下って世界初の実用フラッシュ内蔵カメラの「コニカC35EF」や世界初のAFカメラ「コニカC35AF」など、かずかずの名機に装着されました。
レンズ銘の復活
その潮流が変わったのが1990年代前半。
カメラファンが中古カメラやオールドレンズ、そして高級コンパクトカメラに注目し始めたのです。
なかでもKonicaのオールドレンズであるHexarやHexanonは、中古カメラファンに競って買い集められました。
数十年前の中古レンズであるにも関わらず、現代のレンズに匹敵する高性能であると知られるようになったのでした。
現代の技術で蘇ったHEXARレンズを使いたい。
中古でしか手に入らないオールドレンズを蘇らせてほしい。
カメラファンのそんな希望に応えて送り出されたレンズ。
それこそが、Konica HEXAR 35mm F2.0なのです。
国産オールドレンズの味のある描写
カメラ愛好家に注目されたコニカのHexarやHexanon。
じつは1950年代の国産交換レンズは「マウントアダプター」を使ってデジタル一眼カメラで使うことが可能です。
こちらの記事でマウントアダプターや国産オールドレンズを解説しているので、ご興味があればぜひ併せてご覧ください。
スナップショットのための「サイレントモード」
Konica HEXARの初代機種(ブラックボディ)に搭載された、このカメラならではの機能。
それが「サイレントモード」です。
サイレントモードとは、フィルムの巻き上げ・巻き戻し音を限界まで静粛化させるモードのこと。
巻き上げスピードを遅くする代わりに、無音に限りなく近い静音状態を実現しています。
街頭でのストリートスナップやキャンディッドフォトでは、被写体の自然な姿を切り取るために、カメラの存在感をできるだけゼロにしたいもの。
それまではシャッターの静粛性の面でM型ライカが最高とされていましたが、このKonica HEXARの登場にとって、ライカをも凌駕するストリートスナップのカメラを手にすることができるようになったのです。
著名な写真家としてはアラーキーこと荒木経惟もKonica HEXARを愛用していたといいます。
このコニカ独自の機構を味わうには、いまとなっては中古の個体を見つけるほかありません。
ぜひ、Konica HEXARの至高の描写を味わってみませんか?
Konica HEXAR その他の各部画像(ブラックボディ)
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Konica HEXARの選び方
実はKonica HEXARには複数のモデルが存在しています。
これからKonica HEXARを中古で手に入れるなら、どんなモデルが最適なのでしょうか。
Konica HEXARのバリエーション
限定モデルではない、中古カメラ店で入手可能性が高いモデルは以下の2つです。
・Konica HEXAR ブラック(1992年)
・Konica HEXAR シルバー(1997年)
一般的にはブラックが前期型、シルバーが後期型とされており、基本的には同じカメラです。
違うのは、後期型のシルバーモデルには上記のサイレントモードが搭載されていないということ。
というと残念に感じるかもしれませんが、Konica HEXARの静粛性は、サイレントモードではない通常時にも他の高級コンパクトを軽く凌駕するほどのもの。
良質なスナップシューターとして、十二分に活躍してくれることでしょう。
また、どのようなカメラにもいえることですが、前期型よりも後期型のほうが、機構面や電気基盤が改良されているのも事実です。
中古で探す場合、サイレントモードのあるブラックの前期型を選ぶか、機構面で脂の乗ったシルバーの後期型を選ぶか、悩ましいところですね。
中古価格の面では、前期型と後期型の価格差はほぼ意識しなくて良いかと思います。
Konica HEXARの限定モデル
限定モデルもKonica HEXARの魅力を更に高めています。
・受賞記念特別限定セット(1992年、2000台限定)
・Konica HEXARゴールド(1993年、300台限定)
・Konica HEXAR クラシック(1993年、1500台限定、シルバーボディ、オートブラケッティング搭載)
・Konica HEXARロジウム(1994年、1200台限定、ロジウムメッキ、茶色の貼り革)
・Konica HEXAR チタン(1995年、1000台限定、海外モデル)
一味違う限定モデルたち。
どれもコレクターズアイテムとして中古市場で珍重されています。
HEXARというカメラの魅力を更に高めてくれる、質感あふれるカメラたちです。
参考:Konica HEXAR GOLD(120周年記念)の画像
Konica HEXARの作例 関連記事
こちらの記事では、写真家いくた りかさん撮影の作例をご紹介しています。
ぜひ併せてご覧ください。
ライカマウントレンズとHEXAR RF
そして、Konica HEXARについて語るときに忘れてはならないものが2つあります。
Konica HEXARのレンズをもとに設計されたライカLマウント交換レンズ。
そしてライカMマウント互換のKMマウントを搭載したKonica HEXAR RFです。
HEXAR RFはKonica HEXARを元に生み出されたレンジファインダーカメラ。
ライカMマウントのレンズが自動巻き上げとモダンな操作系で使えるカメラは、このカメラをおいて他にありません。
そして(HEXAR RFの登場と前後しますが)Konicaやオールドレンズのファンにとって垂涎のライカマウントレンズ。
Konica HEXAR 35mm F2をそのままLマウント(ライカスクリューマウント)に移植したのが、Konica Hexanon 35mm F2です。
全部で1,000本しか作られなかった希少品で、中古市場に出る機会も少ないです。
多くの中古カメラファンが追い求めているレンズでもあります。
国産ライカマウントレンズのなかでも最高の描写を誇る名レンズ。
ぜひレンジファインダーカメラや、ミラーレス一眼カメラで使ってみたい銘玉です。
HEXAR RFについて関連記事
Konicaが送り出した夢のコンパクトカメラ
高級コンパクトカメラのKonica HEXARを起点に、Konicaはカメラファンの夢に応え続けてきました。
カメラファンのためのカメラ、それがKonica HEXAR。
高級コンパクトを中古で手に入れるなら、ぜひおすすめしたい選択肢です。
ぜひあなたも、Konicaが生み出した夢のコンパクトカメラを携えて、街に繰り出してみませんか?
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更新履歴
2020年10月13日
レンズ銘の由来について追記。
2022年7月12日
スペックに出典を追加、外部リンク、画像を追加。
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