おすすめハーフサイズカメラ9選+α! かわいいフィルムカメラを中古で楽しもう
今回は、中古フィルムカメラのなかでも人気の「ハーフサイズカメラ」について解説します。
ハーフサイズカメラ。
35mmフィルムを使うフィルムカメラのなかでも、「半分の面積」を使って撮影するカメラのことです。
画面サイズが半分になるので、撮影枚数は通常の2倍。
同じ1本のフィルムでも、よりお得に多くの枚数を撮ることができますよ。
また、ハーフサイズカメラはそれぞれに可愛い独特のデザインが施されていることも魅力のひとつ。
手のひらサイズの小さなカメラが多いので、持ち歩きも簡単。
それでいて、カメラがまだまだ高価だった1960年代前後に製造されたものが多いので、金属製のボディは高級感にあふれています。
中古フィルムカメラに入門する方にも人気が高いハーフサイズカメラ。
今回は、ハーフサイズカメラとはどんなものか、使うときにはどんな注意点があるのか、そして、具体的にはどんなおすすめ機種があるのか、中古フィルムカメラに専門店サンライズカメラのスタッフが徹底解説します!
目次
ハーフサイズカメラ
中古フィルムカメラのなかでも、スタイリッシュな外観で人気のハーフサイズカメラ。
「半分の面積」のフィルムを使うハーフサイズカメラとは、いったいどんなものなのでしょうか?
ハーフサイズカメラとは
ハーフサイズカメラとは、通常の35mmフィルムを使うカメラの「半分のフィルムサイズ」で撮影するカメラです。
「半分」とはいったいどのような意味なのでしょうか?
百聞は一見にしかず。
以下の写真を見てみましょう。
写真の通り、レンズを通った光がフィルムに当たる部分(フィルムアパーチャー)の大きさが、ちょうど半分になっています。
(同じオリンパス製のカメラで比較)
具体的には、35mmフィルムカメラ(35mmフルサイズ)の画面サイズが横36mm x 縦24mmなのに対して、ハーフサイズカメラでは、横17〜18mm x 縦24mmとなります。
(横幅はメーカーにより1mm程度異なる)
それでは、なぜフィルムの面積を半分にしたのでしょうか?
フィルムが半分になるとは
フィルムが半分になるメリット。
それが「倍の枚数撮影できる」ことでした。
いま販売されているフィルムでいえば、24枚撮りフィルムで48枚。
36枚撮りフィルムで72枚撮影できるのです。
以下の写真は、ハーフサイズカメラで撮影したフィルムと、35mmフルサイズのフィルムカメラで撮影したフィルムを並べたもの。
見ての通り、フィルムの画面サイズが半分になり、撮影枚数が倍になっていることがわかります。
ハーフサイズカメラが流行したのは1960年代。
当時はフィルムの値段が、当時の物価に対してとても高かったので、倍の枚数撮れるハーフサイズカメラは、経済的なカメラとして一挙に流行したのです。
逆に、1970年代になるとハーフサイズカメラの販売数は減ってしまいます。
それは、日本の経済が発展して、フィルムが安くなったためです。
さらに。
ハーフサイズカメラには他にもメリットがあります。
ハーフサイズカメラは小さい!(そして可愛い)
ハーフサイズカメラは、フィルムの横幅が半分なので、その分カメラを小さく作ることが可能です。
ポケットに収まるくらいの、小さなかわいいカメラがハーフサイズカメラにはいっぱい。
中古でとても人気が高いのも、手のひらサイズの独特のルックスがあってこそなのです。
[half]
ハーフサイズカメラはピンボケしにくい
ハーフサイズカメラは画面サイズが小さいため、写真のピンボケを減らすことが可能です。
これは、画面サイズが小さい=焦点距離が短いレンズを搭載することができるため。
レンズには28mmや50mmといった数字が書いてありますが、この数字が小さくなれば小さくなるほど、「ピントが合う位置」の範囲が広くなります。
ハーフサイズカメラでは主に28mm〜32mmくらいのレンズが搭載されているため、ピントをあわせるときに、距離が少し被写体とずれていても、ピントが合ったように見える写真を撮ることができます。
簡単にいえば、ピントをあわせるのが楽、ということです。
なぜピントが合いやすくなるのかということには、「被写界深度」という写真についての知識が関係してきます。
被写界深度については別記事で解説するので、参考にしてくださいね。
ハーフサイズカメラ 購入・使用時の注意点
中古で人気のハーフサイズカメラですが、いくつかの注意点があります。
画面が縦長になる
ハーフサイズカメラでは、フィルムの面積を縦に半分にしているため、カメラを普通に構えると写真が縦長になります。
人を撮るときにはむしろ便利ですが、普通のカメラとは縦横が逆になるので注意しましょう。
(機種によっては、普通に構えると横位置になる設計のものもあります)
現像に注意
カラーネガフィルムで撮影して現像に出すときには、ハーフサイズカメラで撮ったことを伝えるのを忘れないようにしましょう。
現像自体はどんなお店でもできるのですが、現像したフィルムを紙にプリントしたり、デジタルデータとして取り込む機械がハーフサイズカメラに対応していない場合があります。
万全を期すなら、ハーフサイズカメラに対応していることをうたったお店を利用するのがおすすめです。
フィルム現像のお店については以下の記事でも解説しています。
ネット現像のお店なら、ほとんどの場合ハーフサイズにも対応しています。
小さくて可愛いカメラなら「コンパクトカメラ」もおすすめ
この記事で紹介するハーフサイズカメラのあと、1970年代には、同じくらいのサイズで、35mmフルサイズ(フルフレーム)の画面のコンパクトカメラも流行しました。
コンパクトカメラも、ハーフサイズカメラに負けず劣らず魅力的な外観。
小さくて使いやすいフィルムカメラがほしいなら、コンパクトカメラもおすすめです。
コンパクトカメラについて詳しくはこちらもご覧ください。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
おすすめハーフサイズカメラ9選
ではここから、中古でおすすめのハーフサイズカメラの機種を解説します!
1.オリンパス 初代ペン(OLYMPUS PEN)
メーカー | オリンパス |
フォーカス | 目測式 |
露出 | マニュアルのみ |
販売年 | 1959年〜 |
まず最初に紹介するのが、1960年代のハーフサイズカメラのブームの礎となった、「元祖」ともいうべき存在。
初代オリンパス・ペン(OLYMPUS PEN)です。
このカメラは逸話に満ちあふれており、どこをとってもロマンの塊。
設計者は、のちにOM-1やXAといった名機も開発した、日本が誇る名光学技術者の米谷美久(まいたに よしひさ、1933〜2009)。
実はこの初代ペンは、米谷美久氏が最初に設計したカメラで、いきなりの大ヒット。
氏のセンスと実力を世に知らしめたのです。
特徴は徹底したコストダウンと、お金をかけるべきところにコストを注力したバランス。
当時の一般的なコンパクトカメラの価格の3分の1である、6,000円での販売を実現するため、各所に新機軸が取り入れられました。
構造は至ってシンプルで、ボディ裏面のノブ巻き上げは、このカメラが世界で初めて採用した、簡略化のためのものです。
しかし、米谷美久氏の判断で、レンズだけは最上級のものを採用。
当時のプロ用上級機種と同レベルの解像力を誇る銘レンズ、D.Zuiko 2.8cm F3.5を搭載。
プロがサブカメラとしても実用できる機種として、非常な好評をもって市場に受け入れられました。
デザインも非常に秀逸で、後のオリンパスのカメラのボディラインは、この初代ペンのディテールを各所に受け継いでいます。
「元祖」ハーフサイズカメラである初代ペンの成功の秘訣は、極限まで不要な要素をそぎ落としながらも、省いてはいけない部分の性能を真摯に追求したこと。
この成功がなければ、次の項目以降で紹介する他のハーフサイズカメラは存在することがなかったといえます。
【ペンシリーズ各機種についてはこちらでも詳しく解説しています】
次に、この初代ペンをベースとしたバリエーションを簡単に解説します。
オリンパス 初代ペン(1959年)
上記で解説した初代機種です。
レンズは2.8cm(28mm)F3.5。
シャッターはBと、1/25秒〜1/200秒です。
下記の他機種も同様ですが、裏蓋は取り外し式です。
初期のモデルは製造を子会社の三光商事に委託しており、細部の意匠が異なります。
(シャッターボタンの溝の向き、ストラップアイレットの形状など)
かつて筆者は三光ペンを持っていたのですが、ストラップアイレットが弱く、破損してしまったので注意が必要です。
オリンパス ペンS(1960年)
初代ペンの上位機種。
レンズが3cm(30mm)F2.8に明るくなり、シャッターもB、1/8秒〜1/250秒にグレードアップされました。
オリンパス ペンW(1964年)
レンズを25mm F2.8の広角レンズ(フルサイズ換算35mm)としたモデル。
その他の機構は基本的にペンSです。
製造数が少なく、基本的に高くても1万円台のオリンパス ペンシリーズのなかで、例外的にマニアの間で高値で取引されています。
オリンパス ペンS F3.5(1965年)
シャッターはペンSと同様のB、1/8〜1/250秒ですが、レンズを初代ペン同様の28mm F3.5としたものです。
2.オリンパス ペンEEシリーズ(OLYMPUS PEN EE)
PEN EE2
メーカー | オリンパス |
フォーカス | 固定(EE) 目測式(EES) |
露出 | プログラムAE(すべて自動) |
販売年 | 1961年〜 |
オリンパス ペンEE(OLYMPUS PEN EE)シリーズは、初代ペンをベースに自動露出を組み込んだ機種。
完成度の高い、とても可愛い外観から、ハーフサイズカメラだけでなく中古フィルムカメラのなかでもとくに人気が高い機種です。
外観で共通しているのは、レンズの周りのセレン露出計。
セレン露出計は太陽電池で、太陽電池で発電した電気の量で明るさを計測するので、それとは別に電池を使う必要がありません。
初期のペンEEシリーズはボディの貼り革が緑がかった独特のもので、革自体のデザインも独自のもの。
完成度の高いデザインは、眺めているだけでも楽しいくらい。
機能的には、ピントが固定式のペンEEシリーズと、ピントの調整が可能(目測式)のペンEESの2つに分かれています。
中古でハーフサイズカメラを探すなら、とくにおすすめの機種のひとつです。
では以下に、代表的なモデルを解説します。
オリンパス ペンEE(1961年)
初代ペンEEは1961年発売。
機能面での特徴としては、裏蓋が初代ペンと同様の取り外し式となっていることが挙げられるでしょう。
レンズはD.Zuiko 28mm F3.5で初代ペンと同様です。
ただし焦点調節はできず、被写界深度を利用したフォーカスフリーとなります。
フィルム感度がISO(ASA)200までしか設定できないので注意。
オリンパス ペンEES(1962年)
上記初代ペンEEの上位機種。
目測式の距離合わせが可能となり、またレンズもD.Zuiko 30mm F2.8になりました(ペンSと同様のスペックのレンズ)。
フィルム感度がISO(ASA)200までしか設定できないので注意。
オリンパス ペンEES-2(1968年)
ペンEESの改良版。
裏蓋がちょうつがいによる開閉式に。
これ以降、フィルム感度もISO400まで対応するようになります。
オリンパス ペンEE-2(1968年)
上記のペンEES-2と同様の改良が施され、裏蓋が開閉式に。
感度はISO400までOK。
こちらは固定焦点式です。
オリンパス ペンEE-3(1973年)
ペンEE-2のマイナーチェンジ。
貼り革がそれまでの緑がかったグレーから黒に変更されました。
1986年まで製造されたロングセラーモデルです。
こちらの記事で作例を紹介しています。
[旅×フィルムカメラ第6弾] ハーフサイズカメラ OLYMPUS(オリンパス) PEN EE-3を持って下田の港町をぶらり。
オリンパス ペンEF(1981年)
フラッシュを内蔵。
コニカC35EF(ピッカリコニカ)以降一般的となった内蔵フラッシュを取り入れた、1980年前後らしいカメラです。
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3.オリンパス ペンDシリーズ(OLYMPUS PEN D)
初代Pen D
メーカー | オリンパス |
フォーカス | 目測式 |
露出 | マニュアルのみ 外光式露出計内蔵 |
販売年 | 1962年〜 |
オリンパスペンD(OLYMPUS PEN D)シリーズは、明確にカメラ上級者を意識して作られたハーフサイズカメラ。
特徴は、マニュアル操作により、絞りやシャッター速度などの表現意図を反映した撮影が可能となっていること。
搭載レンズはF2より明るいクラスの大口径。
目測式のため開放で使うのは難易度が高いですが、ピントがばっちりはまれば、ボケ味あふれる描写も楽しめますよ。
露出計も内蔵されています。
以下に各機種を紹介します。
オリンパス ペンD(1962年)
ペンシリーズ最初の上位機種が、初代ペンD(Pen D)。
レンズは32mm F1.9。
シャッターは低速側はペンS同様の1/8ですが、高速側は1/500になりました。
ISO100のフィルムなら開放の味わいも楽しめますよ。
露出計はセレン式で電池不要。
裏蓋は初期のペン、ペンEEと同じく取り外し式です。
オリンパス ペンD2(1964年)
初代ペンDの改良版です。
レンズは同じ32mm F1.9ですが、露出計がCdS受光素子になりました。
(そのため電池が必要です)
裏フタは取り外し式。
オリンパス ペンD3(1965年)
レンズが32mm F1.7となり、少し明るくなりました。
オリンパス ペンEED(1967年)
ペンEEDは、ペンEEシリーズとペンDシリーズを折衷した機種。
レンズはペンD3と同じスペックの32mm F1.7ですが設計が改良されています。
露出はペンEEシリーズ同様のオートのみ。
下で紹介するペンFシリーズと似た外観が魅力的な機種です。
4.オリンパス ペンFシリーズ(OLYMPUS PEN F)
Pen FT
メーカー | オリンパス |
フォーカス | 一眼レフ |
露出 | マニュアルのみ ペンFTのみTTL露出計内蔵 |
販売年 | 1963年〜 |
※詳しくは以下の記事でも紹介しています。
ハーフサイズのシステム一眼レフとして名高い、オリンパス ペンFシリーズ。
中古フィルムカメラのなかでも、とくに人気の高いシリーズのひとつです。
特徴は、35mmフルサイズフィルム一眼レフと全く異なる外観。
一眼レフのファインダーに、通常のペンタプリズムではなくポロプリズムを採用することで、小型化を実現しています。
交換レンズは35mmフルサイズ換算で、広角28mmから超望遠1000mm超まで存在。
オリンパスの本気具合がうかがえます。
こちらも名技術者・米谷美久の思想がこれでもかと注ぎ込まれた名機中の名機。
フィルムサイズが半分である以外は35mmフルサイズフィルム一眼レフに遜色ない高性能で、ハイレベルな撮影を楽しめますよ。
※35mmフルサイズフィルム一眼レフという表現は、解説のための便宜的なものです。
オリンパスペンFシリーズについては、こちらの記事もご覧ください。
オリンパス ペンF(1963年)
初代ペンFは、初代にして完成度が非常に高い名機。
流麗さでいえば世界でもトップクラスの存在だといえるでしょう。
ボディ正面右側の花文字の刻印は、この初代ペンFだけのものです。
シャッターはB、1秒〜1/500秒(各機種共通)。
露出計はありません。
オリンパス ペンFT(1966年)
ペンFTは、初代ペンに露出計を搭載したモデル。
時代を反映し、TTL開放測光が可能となっています。
中古購入時には露出計の動作と精度をしっかりチェックするのがおすすめです。
見た目の上では、初代ペンFの花文字があった箇所にセルフタイマーがあり、アクセントになっています。
オリンパス ペンFV(1966年)
ペンFVは、ペンFTから露出計を省いた機種。
当時は「露出計が要らない」というユーザーも多かったために用意されたモデルです。
製造数が少なく、コレクターズアイテムとして中古は高値で取引されています。
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5.Canon Demiシリーズ
メーカー | Canon |
フォーカス | 目測式 |
露出 | マニュアル(下記以外) 手動式プログラムAE(初代デミ) シャッター優先AE(Demi EE17) プログラムAE(Demi EE28) |
販売年 | 1963年〜 |
オリンパス ペンシリーズの大ヒットにより、各社ともに同様のハーフサイズカメラを追随して開発・販売するようになりました。
なかでも独特のルックスで中古でも人気が高いのが、Canon Demi(キヤノン デミ)。
堅実で安価なカメラ作りに強みをもつCanonだけあって、どれも完成度の高いカメラです。
流麗ながら華奢なオリンパス ペンに比べると少し大柄で、手に持った感触がしっかりしている機種が多いです。
マニュアル露出やシャッター優先AEなど、ユーザーの撮影意図が反映しやすいモデルが多いのも魅力です。
初代デミ(1963年)
Canon最初のハーフサイズカメラ。
レンズは28mm F2.8で、オリンパス ペンは開放値F2.8クラスだと焦点距離が30mmを超えてしまうのに比べ、広めの画角を維持しています。
セレン露出計を内蔵。
露出は半自動式で、露出計の針に合わせてダイヤルを回すと、シャッターと絞りの組み合わせが自動で決まる、半自動プログラム露出とも呼ぶべきものです。
貼り革の色が赤・青・緑の光の三原色に変更された、「カラーデミ」というバリエーションが存在。
この写真の個体も、赤のカラーデミです。
デミS(1964年)
上級機で、レンズが30mm F1.7に。
露出はシャッター・絞りともに完全に手動で合わせられるようになりました。
セレン露出計内蔵。
デミC(1965年)
レンズ交換が可能という珍しいモデル。
28mm F2.8(フルサイズ換算39mm相当)と50mm F2.8(換算70mm相当)の2種類が存在。
レンズ交換可能ながら、露出制御は初代同様の半自動プログラム式です。
デミ EE17(1966年)
シャッター優先AEを採用した機種。
レンズは30mm F1.7です。
デミシリーズで唯一、CdS受光素子を露出計に採用しているため、電池は必要ですが、露出計の性能は向上しています。
デミEE28(1967年)
デミシリーズの最終機種。
上記のデミEE17の下位機種となります。
こちらは露出計はセレン式。
露出制御はプログラムのみです。
レンズは28mm F2.8。
焦点調節が可能なので、性能的にはオリンパス ペンEES同等といえるでしょう。
6.コニカEYE(Konica EYE)
メーカー | コニカ |
フォーカス | 目測式 |
露出 | プログラムAE |
販売年 | 1964年〜 |
コニカが送り出したハーフサイズカメラ。
それがKonica EYE(コニカ アイ)です。
英語で「目」という名称からわかるように、こちらも大口径のレンズを搭載。
伝統のブランド名を名乗ったヘキサノン(Hexanon)レンズの描写は絶品です。
露出制御はプログラム式。
ボディデザインはとてもシンプルで美しいもの。
金属部分のメッキの色が独特で、光にかざすと青みがかったような輝きをみせてくれますよ。
なおこのコニカEYEシリーズは、ボディサイズと機構が、35mmフィルムフルサイズコンパクトカメラのC35シリーズ(ジャーニーコニカ)に受け継がれています。
関連記事
初代EYE(1964年)
初代機種。
レンズはヘキサノン30mm F1.9。
露出計はセレン式です。
EYE 2(1967年)
二代目機種では、露出計がCdS受光素子に改良されました。
レンズもわずかに明るい32mm F1.8になりました。
EYE 3(1968年)
EYE 2のマイナーチェンジバージョン。
性能面では同一で、レンズも同じ32mm F1.8です。
製造数が少ない機種のようですが、セルフタイマーとシャッターボタンのロックが追加された小改良が行われているようです。
※参考文献:「コニカ:EYE 3のレストア」
7.リコーオートハーフ(Ricoh AutoHalf)シリーズ
オートハーフS
メーカー | リコー |
フォーカス | 固定(一部を除く) |
露出 | プログラムAE |
販売年 | 1962年〜 |
リコーオートハーフは、「全自動」をウリにしたハーフサイズカメラ。
1960年代ならではの、宇宙時代を連想させるレトロフューチャーなデザインでとても中古人気が高い機種です。
特徴は、ゼンマイを利用した自動巻き上げ。
1960年代の技術で無理なく可能なゼンマイを利用したことで、発売から長い年月を経ても、軽快な撮影が可能です。
右側にあるダイヤルが、ゼンマイ巻き上げノブ
また、ボディ前面のパネルの柄によってバリエーションが非常に多く、周りとは一味違うデザインを楽しむことができますよ。
機能面では、露出は完全オート。
フォーカスは基本的には固定焦点です。
(「オートハーフSL」「オートハーフゾーンフォーカス」の2機種のみ目測式)
オートハーフは非常に多くの機種がありますが、外見・機能ともほぼ同一です。
具体的には、
オートハーフS(1965年)
オートハーフE(1966年)
オートハーフSE(1967年)
オートハーフSE2(1976年)
オートハーフE2(1976年)
の上記5種類が、ほぼ同一の外観で、中古での人気も高いモデルです。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
8.ヤシカハーフシリーズ(Yashica Half)
メーカー | ヤシカ |
フォーカス | 目測式 |
露出 | プログラムAE |
販売年 | 1964年〜 |
かつて一世を風靡したカメラメーカー、ヤシカ。
ヤシカは1960年代にかずかずのハーフサイズカメラを製造しているのですが、これから中古で入手するなら、ヤシカのハーフサイズカメラとして完成形となる、ヤシカハーフ(Yashica Half)シリーズがおすすめです。
特徴は、こちらも宇宙時代をイメージさせる、丸っこいボディラインとギラギラと輝くメッキ。
アメリカンでスパルタンな印象を抱かせるデザインは、むしろ今となってはレトロでおしゃれな印象さえ受けるもの。
機能面では基本的にはプログラムAE。
性能面での特徴として、「レンズがとても明るい」ということが挙げられます。
ヤシカハーフ17(1964年)
セレン受光素子によるプログラムAE。
レンズはYashinon 32mm F1.7です。
ヤシカエレクトロハーフ(1965年)
絞り優先AE可能、CdS受光素子採用モデル。
見た目的にはヤシカハーフのエッセンスを受け継いでいますが、内部構造の面ではより撮影者の意図を引き出しやすくなっています。
ヤシカハーフ14(1966年)
ハーフサイズカメラで唯一の、開放値F1.4のレンズを搭載した空前絶後のモデルです。
レンズはYashinon 32mm F1.4。
こちらも受光素子はCdSで、プログラムAEです。
9.ミノルタ レポ(Minolta Repo)
メーカー | ミノルタ |
フォーカス | 目測式 |
露出 | 手動式プログラムAE |
販売年 | 1963年〜 |
ミノルタならではのヨーロピアンな雰囲気が味わえるハーフサイズカメラ。
それがミノルタ レポ(Minolta Repo)です。
基本的には、セレン露出計を搭載した半自動プログラム露出。
機能面では上記のCanon初代デミとほぼ同様です。
ハーフサイズカメラとしては、オリンパス・ペンとほぼ同様の小さなサイズが魅力。
それでいてペンとはボディラインが全く異なる流麗なもの。
とても繊細な印象を受けるカメラだといえるでしょう。
もちろん描写力も、伝統のロッコールレンズだけあって非常に良好です。
バリエーションは少なく、レンズの違いによる2機種のみです。
ミノルタ レポ(1963年)
ロッコール 30mm F2.8を搭載しています。
ミノルタ レポS(1964年)
明るいレンズ、ロッコールPF 32mm F1.8を搭載した上位機種です。
それ以外の機能は同様。
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ハーフサイズカメラにおすすめのフィルム
2022年現在、ハーフサイズカメラで使うフィルムはこちらがおすすめです。
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他にもあるハーフサイズカメラ
上記では有名な機種を上げましたが、他にもまだまだ、日本製・海外製ともに魅力的なハーフサイズカメラが存在しています。
マイナーの中のメジャーな機種としては、以下のようなものが挙げられます。
ペトリハーフ(Petri Half)
上記で紹介したハーフサイズカメラのブームに乗って、廉価かつ独特の構造のフィルムカメラで一時代を築いたメーカー、ペトリ(Petri)が送り出したカメラです。
1960年発売。
特徴は同時期のペトリのカメラ共通の、緑色のファインダー。
レンズはペトリの「オリコール」(Orikor)28mm F2.8で、クラシカルな写りが味わえますよ。
独特なのは、レンズの脇のレバーで巻き上げを行うこと。
ペトリには変わった機種が多いですが、このカメラも同様です。
オリンパス ペンEM(OLYMPUS Pen EM)
上で主な機種を一通り紹介したオリンパス・ペンですが、このペンEMだけは例外的におすすめできません。
オリンパス ペンEMは、1965年発売。
特徴は、巻き上げ・巻き戻し・露出のすべてを自動化したことです。
1960年代、電動モーターで巻き上げ・巻き戻しを行うカメラは、プロ用以外に存在しませんでした。
1980年代以降一般的になる自動巻き上げ・巻き戻しのカメラのパイオニア的存在、ともいえるのですが……。
当時の技術では製造が難しく、現存している個体は100パーセント、何らかの故障を抱えています。
カメラ修理業者の間でも、修理が難しいカメラとして知られているようです。
オリンパスにとって鬼子ともいえる存在。
あくまで中古ではコレクターズアイテムで、実用は厳しいといえるでしょう。
コニカ オートレックス(Konica Autorex)
(筆者私物のジャンク品)
コニカ オートレックスは、「世界唯一」の「35mmフルサイズ/ハーフサイズ」切り替え式一眼レフカメラ。
ボディ上部のレバーで35mmフルサイズとハーフサイズの切り替えが可能です。
フルサイズ状態
ハーフサイズ状態
同様の機構を持つカメラはこのカメラの前にも後にもなく、中古カメラ愛好家の間では有名な存在です。
35mmフルサイズでの撮影時には通常の35mm一眼レフ同様に使うことができるので、一台で二度美味しい機種でもあります。
ただし、レンズは基本的に35mmフルサイズ用のものしかないので、画角が焦点距離にして約1.4倍のレンズと同様の狭さになるため注意が必要です。
1965年発売。
露出計内蔵のAutorexと、露出計のないAutorex Pが存在します。
Canon ダイヤル35(Canon Dial 35)
↑画像はOEM品のBell & Howell Dial 35 II
1960年代の発売にして、他に似るもののない独自のスタイリングで有名なカメラ。
それがこのCanon Dial 35です。
ゼンマイを内蔵し、巻き上げ・巻き戻しは全自動。
フィルムは縦送りなので画面は横位置となります。
初代は1963年発売。
スタイリッシュなカメラが欲しい方は探してみては?
コニカ レコーダー(Konica Recorder)
コニカ・レコーダーは、その名の通り気軽な記録の道具をコンセプトに発売されたカメラ。
1984年発売。
まさに1980年代然としたセミレトロなデザインが魅力的で、根強いファンが多い機種です。
この時代に流行したレンズバリア付き。
フィルムは縦送りで、画面は横位置となります。
プログラムAE、自動巻き上げ・巻き戻しなので操作は押すだけでOK。
京セラ サムライ(Kyocera Samurai)シリーズ
↑画像はシリーズ機のひとつ、サムライX3.0
京セラ・サムライは、ハーフサイズの一眼レフカメラ。
こちらも上で紹介したおすすめ機種とはまったく異なる文脈で開発されたカメラです。
このカメラがハーフサイズを採用したのは、フィルムを縦送りにしたかったため。
ビデオカメラと同様の形状をコンセプトとしたため縦長のボディ形状をとりたかったのですが、35mmフルサイズだと縦長画面になってしまうので、画面サイズの方をハーフサイズにしたのです。
初代は1987年発売です。
マーキュリー(UNIVEX MERCURY)
マーキュリーは、当記事で紹介した他の機種とはまったく出自が異なる機種。
1938年にアメリカで発売したクラシックカメラで、他に例を見ない外観から、中古カメラ愛好家には有名な存在です。
特徴はボディ上部に張り出た扇状の円盤。
実はこのカメラはボディ内部の円盤を回転させる形式の「ロータリーシャッター」を採用しており、その円盤を逃がす構造がそのまま外観に現れているのです。
2枚の円盤のスリットの間が露光される構造で、原理としてはフォーカルプレーンシャッターそのものです。
このマーキュリーにはI型とII型があり、I型は通常のパトローネが使えず、ボディが小型。
II型ではパトローネが使えるようになった代わりにボディが大型化しています(画像はII型)。
赤瀬川原平の著書でも紹介されています。
チャイカ(Чайка)
中古でマニアックな人気のあるロシアカメラにもハーフサイズカメラがあります。
こちらのチャイカシリーズは、1960〜70年代にかけて製造された大衆機。
ロシアのオリンパス ペンとでもいうべきモデルです。
仕上げはそれなりですが、ロシアカメラらしく写りは悪くないです。
アガート(Агат)
アガートもハーフサイズのロシアカメラ。
いくつかの機種がありますが、なかでも「アガート18K」がトイカメラの文脈で人気です。
特徴は非常なチープさ。
ボディはオールプラスチック。
そのまま使うと確実に光漏れするという、とてもユルい設計のカメラとして知られています。
しかしながらロシアカメラらしく、LOMO LC-Aさながらの特徴ある発色と描写が楽しめることから、このカメラに魅了される人が後を絶ちません。
ニコンS3M(Nikon S3M)
ニコンのレンズ交換式レンジファインダーカメラ、Nikon S3をハーフサイズとした機種です。
業務用に、撮影枚数を増すことと、モータードライブ使用時の連射速度向上を目的としており、開発糸はこの記事で紹介した他の機種とは全く異なります。
とても希少な機種で、中古では数百万円単位の値段が付くコレクターズアイテムです。
ライカ72(Leica 72)
ライカ72はバルナックライカを元にハーフサイズとし、撮影枚数を通常の36枚から倍の72枚とした業務用モデル。
こちらも非常に希少で、中古では200万円程度で取引されているようです。
可愛いカメラならハーフサイズがおすすめ!
このように、それぞれ特徴的なカメラが楽しめるハーフサイズ。
いまでも中古でとても人気があるのは、やはり小さく、かわいい見た目をしているからでしょう。
小さくても写りは本格派。
押すだけのカメラから、自分でシャッターや絞りを設定できるカメラまで種類はいろいろ。
ぜひあなた好みのハーフサイズカメラを見つけてみませんか?
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
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