YASHICA(ヤシカ)のフィルムカメラ代表機種まとめ Yashicaってどんなメーカー?
フィルムカメラで一世を風靡した光学機器メーカー、ヤシカ(Yashica)。
いまでこそ過去の存在となってしまいましたが、二眼レフカメラのヤシカフレックス(YashicaFlex)や、「ロウソクの火1本で写る」というキャッチフレーズで知られるエレクトロ35シリーズ、そしてヤシカ・コンタックスマウントの廉価ラインを支えた一眼レフカメラなど、ヤシカは一定の人気を誇る実力メーカーでした。
コンタックス(CONTAX)のカメラも、カメラの内部機構はヤシカの電子技術があってこそ生み出すことができたもの。
逆に、いま中途半端な地位に甘んじてしまっているのは、中古カメラは機械式が人気なのに対して、ヤシカは電子技術に強みを持っていたメーカーだったからなのかもしれません。
今回はそんなヤシカの代表機種について、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
ヤシカのフィルムカメラ代表機種:一眼レフカメラ編
フィルムカメラのメーカーとしては中堅どころだったヤシカ(Yashica)。
けっして目立つ存在ではなかったものの、フィルムカメラの歴史を彩るかずかずの機種を送り出しています。
まずは一眼レフカメラを紹介していきます。
ヤシカの一眼レフカメラは、大きくM42マウントの機種と、ヤシカ・コンタックスマウント(Y/Cマウント)の機種に大別できます。
残念ながら、M42マウントの機種は故障しているものがほとんどで、実用可能な個体を中古で見つけるのは非常に難しいです。
M42マウントのヤシノンレンズは中古で人気が高いですが、フィルムカメラで使いたい場合には、ペンタックスSPやベッサフレックスを使ったほうがよいでしょう。
いっぽう、Y/Cマウントの一眼レフカメラのなかには、まだまだ実用的な機種も存在します。
Y/CマウントのYashica一眼レフの魅力は、なんといってもツァイスレンズが使えること。
CONTAXと完全に互換性があるので、廉価なボディなのに世界最高峰のレンズをそのまま取り付けることができますよ。
参考記事
1.Yashica FX-3シリーズ
Yashica FX-3シリーズは、ヤシカ・コンタックスマウントの機械式一眼レフカメラ。
手動巻き上げ巻き戻し、縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッターと、特筆すべきところのない国産一眼レフカメラなのですが、実は、この「特徴がない」ことが、このFX-3と後継機を貴重な存在たらしめているのです。
スペックは至って普通。
しかし、唯一、他の国産一眼レフと違うところがありました。
それが、ヤシカ・コンタックスマウントであること。
すなわちツァイスレンズが使えるのです。
Y/Cマウントの機械式フィルムカメラは実は希少で、このYashica FX-3シリーズ以外にはCONTAX S2しかありません。
非常に高価なCONTAX S2に比べ、Yashica FX-3シリーズはスペック上さほどの違いがないのにずっと廉価。
ツァイスレンズを気軽に使う選択肢として、いまでも中古で人気を保っています。
では、具体的にFX-3シリーズの各機種を紹介します。
Yashica FX-3/FX-7(1979年)
FX-3シリーズの初代機種。
実はそれ以前にもFX-1とFX-2が存在していたのですが海外限定機種で、国内で展開したのはこのFX-3からとなります。
最高シャッター速度は1/1000秒。
FX-3を名乗るのはブラックボディのみで、シルバーボディはFX-7という別名称でした。
Yashica FX-3 Super/FX-7 Super(1985年)
基本的にはマイナーチェンジで、京セラのロゴが入りました。
Yashica FX-3 Super 2000(1986年)
シャッター最高速が1/2000秒となった、完成形ともいえるモデル。
FX-3とFX-7の2つに分かれていた名称も統合されました。
実用面ではもっともおすすめできる機種であるといえます。
CONTAX S2のシャッター最高速は1/4000秒、この機種は1/2000秒。
1段分のシャッター速度の差をどこまで重視するかが、Y/Cマウントの機械式一眼レフカメラを選ぶ上で問題となるのです。
ちなみに、このYashica FX-3 Superは中国に技術移転され、中国製一眼レフ「Phenix DC303」のベースにもなりました。
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ヤシカ(Yashica)のフィルムカメラ代表機種:二眼レフカメラ編
ヤシカは1950年代、廉価な二眼レフカメラで名を馳せ、そして1980年代という日本製二眼レフカメラの最後期まで販売を続けていたことでも知られています。
ヤシカの二眼レフカメラは非常に多くの種類があるため分類は珍しいですが、ここでは中古で買う際におすすめの、代表的なものについて紹介していきます。
二眼レフについてはこちらもご覧ください。
2.YashicaFlex(ヤシカフレックス)
ヤシカフレックスC型(左)
初期のヤシカフレックス(左端)
ヤシカの二眼レフのなかでもメジャーなネーミングの機種、それがヤシカフレックス。
とはいっても、ヤシカフレックスは非常に多くの種類があり、機能も機種により異なります。
機能面で共通する点としては、ローライコードのようなノブ巻き上げ。
巻き上げについては赤窓式のものとカウンター式のものが、時代・価格によって両方存在します。
また時代が進むと、レンズ周囲にローライ同様のBay-1バヨネットが設けられるようになります。
ヤシカの二眼レフのなかでも古く、比較的単純な構造のため、中古カメラ店で探す場合にも比較的廉価なことが多いです(ただし、そこまで値段が大きく変わるものではありません)。
ヤシカフレックスは1950年代、他社に比べ同じ機能でずっと安いことを売りに大量に製造・販売されたため、中古で手に入れるのはとても容易。
二眼レフ入門にもおすすめです。
下の写真に写っている「Yashica ROOKIE」(ヤシカ ルーキー)も基本的にはヤシカフレックスと同じ機能・使い方となります。
ヤシカ ルーキー(右端)
3.Yashica-Mat(ヤシカマット)
Yashica-Mat(ヤシカマット)は、ヤシカの二眼レフのなかでも上位機種にあたるカメラ。
1957年に登場して以降、ヤシカの二眼レフの主力として展開していきます。
フィルム厚みを検知するオートマット機構こそなくスタートマーク式ではあるものの、機能的にはローライフレックスの完全コピー。
クランク巻き上げ、レンズ脇のダイヤルによる絞り・シャッター速度合わせなど、操作方法はほとんどローライフレックスそのものです。
Yashica-Matはその後、露出計を装備するなど改良を重ねつつ、1980年代まで販売が続くこととなります。
1950年代の初期の機種は、後述する露出計付きモデルに比べシンプルな「ローライっぽい」見た目をしているため、見た目で選ぶならおすすめの機種だといえるかもしれません。
関連記事
本家ローライについてはこちら
4.Yashica-Mat 124G(ヤシカマット124G)
Yashica-Mat 124Gは、ヤシカ製二眼レフの最終機種。
上で紹介したYashica-Matに露出計を載せた機種です。
このYashica-Mat 124Gには前身としてYashica-Mat 124(124とは、12枚撮りの120フィルムと24枚撮りの220フィルムの両方が使えるという意味)が存在し、その機種の電気接点に金(Gold)メッキを施したのが、この機種となります。
ローライに比べれば操作感や精密感はあくまでそれなりのレベルにすぎませんが、露出計もある程度信頼できるので、実用面では悪くない選択肢だといえるでしょう。
ヤシカの二眼レフにおすすめのフィルム
中判カメラで使う120フィルムは、以下のものがおすすめです。ただし、次に紹介するYashica-44は120フィルムではなく「127フィルム」を使います。
↑でおすすめしたフィルムは使えないのでご注意ください。
5.Yashica-44
日本のカメラの歴史の中でもいわくつきの機種。
日本工業史上の黒歴史ともいえるフィルムカメラが、このYashica-44(ヤシカ44)です。
Yashica-44は、かつて存在した127フィルムを使用する「ベスト判」の二眼レフカメラ。
4x4cmの正方形の写真を撮ることができる機種です。
じつはこのYashica-44は、同じベスト判の「ローライフレックス 4×4」、通称ベビーローライの完全コピー。
上で紹介したYashica-Matもローライフレックスのコピーでしたが、このYashica-44が問題だったのは、機能だけでなく見た目も模倣してしまったことでした。
ベビーローライは、グレーに塗装された外観が特徴。
いっぽうこのYashica-44も、ローライと同様に外装をグレーにしてしまったのです。
ヤシカはローライの製造元、フランケ&ハイデッケ社から訴えられ、結局グレー塗装のモデルを製造中止にせざるを得なくなってしまいました。
とはいえ、小型のボディにグレー塗装はとてもスタイリッシュなもの。
いまでは127フィルムは入手が難しいですが、ぜひ中古で手にしてみたいカメラでもあります。
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ヤシカ(Yashica)のフィルムカメラ代表機種:コンパクトカメラ編
ヤシカは大衆機でも人気を博したメーカー。
レンズ固定式レンジファインダーコンパクトから、オートフォーカスのプラスチックカメラまで、長きに渡り普及機種を製造しています。
なかでも特筆すべきなのが「Electro 35」(エレクトロ35)シリーズ。
「ロウソク1本の光だけで写る」をキャッチコピーに一世を風靡しました。
ここではElectro 35シリーズの代表機種を中心に、ヤシカのコンパクトカメラを紹介します。
6.Yashica Electro 35(初代)
※画像はマイナーチェンジ機種のElectro 35 G(ゴールドメカニカ)
コンパクトフィルムカメラの世界で一斉を風靡したYashica Electro 35の初代が登場したのは1966年のこと。
少々大柄なボディと、ギラギラのメッキがひときわ目立つカメラでした。
特徴は明るいレンズと、電子制御された自動露出。
初代Electro 35は45mm F1.7のレンズを搭載し、暗い場所でもノーフラッシュでの撮影を可能としています。
露出は絞り優先。
明るいレンズと絞り優先の電子シャッターは、エレクトロ35シリーズを通しての特徴となります。
初代エレクトロ35とほぼ同じ外観のまま、35G、35GT、35GSなどの機種に小改良が行われていくこととなります。
7.Yashica Electro 35 CC
1970年発売。
エレクトロ35シリーズの中でも中古で人気の高い機種のひとつです。
この機種の特徴は小型化。
コニカC35シリーズをはじめとする、より小型・軽量なコンパクトカメラに対抗するため、エレクトロ35シリーズの特徴を保ったまま、ボディのコンパクト化を計った機種となります。
外装もモダンでシンプルなブラックペイントとなりました。
レンズが35mm F1.8と、手ごろな広角レンズであることも魅力です。
8.Yashica Electro 35 GX
事実上最後のエレクトロ35。
それがYashica Electro 35GXです。
小型ボディにこなれたデザインの外装。
電子回路は集積化が進められ信頼性を向上。
エレクトロ35シリーズを使うなら、もっとも安心して使うことができる機種だといえるでしょう。
この機種が登場した1975年は、コンパクトカメラの方向性が大きく変わった年でした。
同年、フラッシュを内蔵した初めてのコンパクトカメラ、コニカC35EF(ピッカリコニカ)が登場。
わざわざ高価な明るいレンズを搭載しなくても夜間撮影が可能となり、高級レンズ搭載コンパクトは時代の徒花となっていくのでした。
[compact]
ヤシカ(Yashica)のフィルムカメラ代表機種:レンジファインダー編
さて最後に、ヤシカのレンズ交換式レンジファインダーカメラを紹介します。
ヤシカのブランド名で販売されたレンズ交換式レンジファインダーカメラは、実はヤシカのカメラとしては傍流。
そもそもは、「ニッカ」(Nicca)が製造・販売していたもので、ヤシカのニッカ買収に伴い、2機種だけがヤシカ銘で販売されました。
9.Yashica YE(ヤシカYE)
ヤシカYEは、見ての通りのバルナックライカコピーです。
1959年発売。
巻き上げがレバー式となっているほかは、フィルム装填方法含めバルナックそのまま。
Lマウントの廉価な母艦としておすすめです。
10.Yashica YF(ヤシカYF)
ヤシカYFは、前身となったNiccaの技術の集大成ともいえるレンジファインダーカメラ。
別名「ヤシカフェアウェイ」。
ヤシカとニッカのダブルネームとなっています。
ライカM3を非常に強く意識しており、バルナックライカコピーから脱却する意図を感じられます。
とはいえ、ライカM3を模倣した部分も多く、フィルム装填方法などはM型ライカそのままといってよいほどのもの。
ファインダーは一眼式レンジファインダーとなりましたが、2軸式のシャッターダイヤルなど古い部分も残っています。
ライカM3の影響下で独自改良が施されたマイナー機種には、ほかにもレオタックスGやタナックV3などがありますが、それらに比べると、ヤシカYFは中古では安めで、店頭でもそれなりに見かけます。
Yashicaの35mmフィルムカメラにおすすめのフィルム
ここまで紹介してきた一眼レフやElectroシリーズ、レンジファインダーカメラは35mmフィルムカメラ。
35mmフィルムはこちらがおすすめです。ヤシカでフィルムカメラを楽しんでみませんか?
気軽にローライやバルナックライカ気分が味わえる、二眼レフやレンジファインダー。
高性能レンズを廉価に楽しめるコンパクトカメラ。
そして、ツァイスレンズが使える機械式母艦として貴重な一眼レフ。
ヤシカのフィルムカメラには魅力がいっぱい。
ぜひ、あなたもヤシカのフィルムカメラを中古で手に入れて、撮影を楽しんでみませんか?
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どこでも持ち歩ける相棒です。
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