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MINOLTA(ミノルタ)XD/世界初の両優先一眼レフは上質な操作感が持ち味

ミノルタXD

今回は、中古でぜひ使いたいフィルムカメラ minolta XDについて解説します。

中古フィルムカメラのなかでも、ミノルタの一眼レフは良好な操作感が持ち味。
とろけるような巻き上げの感触、明るく見えのよいファインダー。
このminolta XDも、そんな良好な操作感が、存分に味わえる名機です。

発売当時、ミノルタXDはカメラ愛好家の間で大きな話題となりました。
それは、「絞り優先AE」と「シャッター優先AE」の双方を搭載した「両優先」一眼レフだったため。
1970年代まで、AE(自動露出)内蔵のフィルムカメラは絞り優先かシャッター優先のどちらかしか搭載していませんでした。
それが、ミノルタXDの登場と前後して、両方が使えることが一般的となっていったのです。

サイズも小さく、ミノルタ製中古一眼レフカメラのなかでも、スタイリングはとくに端正。
手のひらにおさまるボディを、軽快に操って撮影を楽しむことができますよ。

1970年代の名機として初めての中古カメラにもおすすめの、ミノルタXDや、マイナーチェンジ機XD-sについて、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが解説します。

 

2018年9月10日 スペック表が横走りシャッターと誤記されていたため修正しました。お詫びのうえ訂正いたします。

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minolta XD

ミノルタXDと、その兄弟機について解説していきます。
まずは、性能・機能、特徴について見ていきましょう。

minolta XDの性能・スペック


ブラックボディ

形式 35mmフィルム一眼レフカメラ
シャッター B、1秒~1/1000秒
電子式(B・1/100秒は機械式)
縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター
ストロボ同調速度1/100秒
露出計 TTL開放中央重点測光
SPD受光素子
AE 絞り優先AE
シャッター優先AE
ファインダー 固定式アイレベル
視野率約94%
倍率約0.87倍
レンズマウント ミノルタSRマウント
対応レンズ MD ROKKOR・New MDレンズ:全機能使用可能
MC ROKKOR:シャッター優先以外使用可能
Auto ROKKOR:絞り込み測光
電池 SR44酸化銀電池(Amazon)x2
発売年 1977年

ミノルタXDは、1977年にminoltaが発売したフィルム一眼レフカメラ。
ミノルタのフィルムカメラの中でも名機として知られる一台です。

特徴は、両優先一眼レフカメラだということ。
カメラの多機能化が進みつつあった1970年代。
いまでは当たり前になっている機能が、どんどん実現されるようになっていきました。

ミノルタXDは、シャッター優先AEと絞り優先AEの双方を1つのボディに搭載
これにより、「AE論争」にも終止符が打たれることとなったのです。

絞り優先・シャッター優先論争

ミノルタXD

カメラのAE(自動露出)には大きく分けて、絞り優先AEとシャッター優先AEがあります。

いまでは考えられないことですが、1970年代、カメラ愛好家の間で、「絞り優先とシャッター優先のどちらが優れているのか」という論争が繰り広げられていました。
なぜ、そんな論争が行われていたのかといえば、技術的に1台のカメラボディには、どちらか1つしか組み込むことができなかったため。

各カメラメーカーは、設計思想により、絞り優先派閥とシャッター優先派閥に分かれていました。
具体的には……

絞り優先AE:minolta、Nikon、PENTAX
シャッター優先:Canon、Konica

それぞれのメーカーのユーザーも、自分が使っているカメラの方式が優れていると、主張していたといわれています。
しかし、ミノルタXDが双方を搭載することで、その論争も自然消滅することとなりました。

世界初の両優先一眼レフ

ミノルタXD

ミノルタXDは、絞り優先AEとシャッター優先AEの双方を組み込んで、鮮烈なデビューを飾りました。

もともと、ミノルタは先代機種、ミノルタXEで絞り優先を採用しています。
XDにおいては、ボディ側からの絞り制御に対応したMDロッコールレンズを取り付けることでシャッター優先も可能に。

シャッター優先を使用する際には、シャッターダイヤル脇のモード切り替えレバーをSに、レンズの絞りリングを最小絞りにすればOK。
絞り優先を使う場合は、モード切り替えレバーをAに合わせていました。

初心者でも安心の「超自動露出撮影」

マニュアル露出に比べれば格段に楽な絞り優先AEやシャッター優先AEですが、それでも、絞りやシャッターが極端にずれて設定されていると、適正露出での撮影は不可能です。

そんな問題を解決するために、ミノルタXDは「超自動露出撮影」を搭載しています。
超自動露出は「サイバネーションシステム」とも呼ばれるもの。

具体的には……
シャッター優先で撮影する際に、明るすぎて絞り込みきれない、または暗すぎて絞り開放では足りないという場合に、自動でシャッター速度を変更し、適正露出にしてくれる
そんな機能です。

使い方は簡単で、モードをシャッター優先(緑色のS刻印)に、絞りを最小値(緑色の数字)に合わせるだけ。
ミノルタXDの後期モデルでは、加えてシャッタースピードの125も緑色になっており、この3箇所を緑色に合わせるだけで、ほぼプログラムAE同様の撮影が可能となっていました。

ミノルタXD

この超自動露出はミノルタXDのウリでもあり、取扱説明書でも冒頭でアピールされています。

スペックには現れない使用感も抜群

さて、カタログスペック上は両優先AEがウリだったミノルタXD。
じつは、数字に現れない部分でも、非常に評価が高い機種でもあります。

秀逸な巻き上げ感触

ミノルタXD

ミノルタXDの操作感の魅力。
まず、巻き上げレバーの感触が挙げられます。

前機種のミノルタXEも巻き上げレバーの感触の良さで知られていましたが、ミノルタXDも負けず劣らずのもの。
XEの巻き上げとは別物で、人によってはXEのほうがよいとする場合もありますが、XDも、中古フィルムカメラの中では格別な感触のものと言ってよいでしょう。

[minoltab]

明るいアキュートマットスクリーン

ミノルタXD

ミノルタXDは、ファインダーの見えが非常によいことでも知られています。

ミノルタXDは、ファインダースクリーンに「アキュートマット」を採用。
アキュートマットとは、それまでの単なるマット(梨地)ではなく、非常に微細なプリズムをマット面に使用したスクリーンのこと。
非常に明るく、ピント合わせがしやすいスクリーンとして、現代のSONYαの一眼レフまで受け継がれているほか、ハッセルブラッドにもOEM供給されています。

ファインダー自体も、当時としては標準的ですが、約0.87倍と、AF機に比べて高倍率。
広く明るいファインダーで、マニュアルフォーカスのフィルム一眼レフならではの撮影を楽しめます。

このXDのように、ミノルタのカメラには伝統的に、カタログスペックに現れない使い心地を重視しているという特徴がありました。
たとえばオートフォーカス時代の、α-9やα-9の操作系・ファインダーも同様。

MINOLTA(ミノルタ)α-9&α-7/フィルム一眼レフの完成形で抜群のファインダーを楽しむ

どうしても数字に現れない性能は軽視されがちなのですが、その上質さはいまも中古カメラ愛好家の間で語り継がれています。

[minoltab]

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ミノルタXDとCanon A-1

さて、そんなミノルタXDには、なにかと比較される機種がありました。
Canon A-1です。

カメラロボット Canon A-1とミノルタXD

ミノルタXD発売の翌年、1978年
こちらも一世を風靡したCanon A-1が登場します。

Canon A-1は、両優先のほかにプログラムAEを搭載したマルチモード機。
当時としては最先端の4bitコンピューターを内蔵したことで、一躍時代の寵児としてもてはやされます。
それまでは世界初の両優先として人気を博していたミノルタXDも、最新技術に目がない人々からは、少々見劣りのする存在として見られるようになってしまいました。

Canon A-1

しかし、いま中古フィルムカメラを楽しむ場合には、その評価は変わってきます。
どちらも電子化されたフィルム一眼レフではありますが、スタイルが端正なのは明らかにミノルタXD
さらに、量産品の色が強く、最先端の機能を重視したCanon A-1は、非常に陳腐化も早いカメラでした。

その点ミノルタXDは、機能だけでなく、前述した操作感やファインダーも良好
じゅうぶんに、フィルムカメラならではの作りの良さを味わえる名機に仕上がっているのです。

もちろんミノルタXDは、前述したように実質的にはプログラムAEで使用することも可能です。
けっしてひけをとらないカメラなのですが、「カメラロボット」というニックネームで大々的に売り出されたCanon A-1への宣伝負けだったのかもしれません。

ミノルタXDの兄弟モデル

さて、そんなミノルタXDには、XD-sをはじめいくつかの兄弟機・ネーム違いモデルがあります。
順番に見ていきましょう。

一味違うXDがほしい方には、海外モデルの中古を探すのもおすすめです。

ミノルタXD-s

1978年発売。
ミノルタXDに、視度補正を内蔵したモデルです。

いまでは当然となっているカメラ本体への視度補正内蔵ですが、じつはこのミノルタXD-sが世界初。
視度補正レンズを使ったときに比べ、よりファインダーをクリアに見ることができるので、眼鏡を使用している方はXD-sを中古で探すのもおすすめです。

ミノルタXDの海外モデル

ミノルタXDは海外では別の名前で販売されました。

ミノルタXD7(ヨーロッパモデル)
ミノルタXD11(北米モデル)

です。
機能は同一で、名前以外は同じカメラです。

ミノルタXD5

ミノルタXDを簡略化したモデルです。
1979年発売。
アイピースシャッターと、ファインダー内のシャッター速度表示が省略されています。
海外モデル。

※アイピースシャッター:AE時にセルフタイマーやレリーズを使う際に、ファインダーから入った光(ファインダー逆入光)の影響で露出値に誤差が生じることを防止する機能。
ファインダー窓をシャッターで塞ぐ。

ミノルタXDがベースとなったライカRシリーズ

ライカR4

当時、ミノルタはライカと提携しており、ライカの一眼レフ・Rシリーズはミノルタ製品がベースとなっています。

Rシリーズの初代、ライカR3はミノルタXEがベースですが、R4以降はミノルタXDを基に開発されています。
ミノルタXDベースのライカRは、1994年のライカR7まで続き、本家XDよりも長寿なシリーズとなっています。

関連記事

Leida(ライカ)Rシリーズとライカの一眼レフ総まとめ! 選び方と各機種紹介

ミノルタXD 中古購入時の注意点

ミノルタXDは古い電子カメラのため、中古を探す際には状態をしっかりチェックしましょう。
とくに、持病のタイムラグには注意が必要です。

タイムラグ

ミノルタXDは、AE時に瞬間絞り込み測光を行い、撮影時の露出を補正しています。
そのためもともとシャッターを押してから切れるまでのラグが生じがちだったのですが、このタイムラグが有意に長くなる不具合が生じることがあります。

これは内部のダンパーの汚れが要因
修理店に整備を依頼することで、直すことができます。

貼り革の劣化

貼り革の劣化

ミノルタXDの前期生産分は、経年劣化で貼り革が劣化していることがほとんどです。
こちらについては、オリジナルではなくなってしまいますが、貼り替えるしかありません。

ちなみに同時代のミノルタXG-Eなどの機種にも、同様の劣化がみられます。

[minoltab]

ミノルタXDの旧ロゴと新ロゴ

ミノルタXDシリーズには旧ロゴと新ロゴが存在します。
旧ロゴは小文字のminolta。
新ロゴは大文字でMINOLTAとなっています。

新ロゴが使われ始めたのは1981年ごろで、XDの生産終了直前。
そのため、中古で見かけるのは旧ロゴのほうが多いです。

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上質で端正な一眼レフ ミノルタXD

ミノルタXDは、ミノルタ製のフィルムカメラの中でもとくに美しい機種。
見た目で中古フィルムカメラを選ぶなら、とくにおすすめです。

初心者でも安心の超自動露出も搭載しているので、マニュアルフォーカス撮影を存分に楽しむことができるでしょう。
巻き上げるのも、ピントを合わせるのも、フィルムカメラならではの楽しみ。
ミノルタならではの上質な仕上げで、ぜひ中古フィルムカメラを味わってみませんか?

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著者紹介: サンライズカメラ

サンライズカメラは、いまでは数少なくなってしまった「フィルムカメラ専門店」の使命として、フィルムカメラに関する情報を公開し続けています。 「こんな記事が読みたい」というご要望がありましたら、お気軽にFacebook、Twitter、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。カメラ愛好家のみなさん、これからフィルムを始めたいみなさんとお話できることを楽しみに待っています。

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