MINOLTA(ミノルタ)α-9&α-7/フィルム一眼レフの完成形で抜群のファインダーを楽しむ
今回はミノルタのAF一眼レフの完成形、α-7とα-9について紹介します。
いま、同名のフルサイズミラーレス一眼がSONYから販売されているαシリーズ。
SONYに引き継がれる前のミノルタの時代から、「7」と「9」は特別な数字でした。
MF時代から、特別な機種につけられてきた7。
そして、7がつく機種よりも上位のフラッグシップにだけ許された9。
ミノルタα-9とα-7は、それぞれ、その名に恥じない完成度を誇っています。
ミノルタ(コニカミノルタ)のカメラ事業撤退の直前、その集大成として生み出された名機。
ファインダーの見えは抜群で、操作性もミノルタのフィルムカメラのなかで最良。
機能面でも他社の上級機にひけをとりません。
これから中古フィルムカメラ、なかでもAF機を使いたいときに、ぜひおすすめしたいα-9とα-7。
今回は、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフがそれぞれの魅力について解説します。
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
ミノルタα-9
まず、ミノルタ最後の最上級機、α-9から見ていきましょう。
ミノルタα-9(MINOLTA α-9)は1998年登場。
1998年といえば、同時代の他社製機種は、ニコンF5やF100、Canon EOS 3と、AF一眼レフが完成を迎えつつあった時代。
α-9も、他社製品にけっして負けない魅力的な機種に仕上がっています。
中古でも非常にリーズナブルなので、初めての中古フィルムカメラとしてもおすすめです。
ミノルタα-9の性能・スペック
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、30秒~1/12000秒 電子式 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター ストロボ同調速度は1/300秒(専用ストロボでハイスピードシンクロ可) |
露出計 | 14分割ハニカムパターン測光 中央部重点平均測光 スポット測光 ※14分割SPC受光素子を使用 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE シャッター優先AE |
ファインダー | 固定式アイレベル 0.73倍 視野率100% |
レンズマウント | ミノルタAマウント |
対応レンズ | ミノルタαレンズ |
連射速度 | 5.5駒/秒 |
電池 | CR123Aリチウム電池(Amazon)x2 |
発売年 | 1998年(α-9) 1999年(α-9Ti) |
ミノルタα-9(MINOLTA α-9)は、1998年にミノルタのフラッグシップ機として発売されたフィルムカメラ。
ミノルタと後継のSONYは伝統的に最上位機種に数字の「9」を使っていますが、α-9は、ミノルタ時代最後の「9」を名乗った機種となります。
ミノルタα-9は、それまでのミノルタ製AF機の反省を活かし、よりユーザーにとって使いやすい操作性を実現したフラッグシップ機。
後述しますが、とくにファインダーの見えの良さに定評があり、人によってはすべての一眼レフのファインダーの中で最高と評するほどです。
操作性に配慮したフラッグシップ機
ミノルタのαシリーズAF一眼レフは、一時はフィルムカメラの覇権を握ったカメラでした。
1985年に登場した、最初のα、α-7000は世界初の実用的なAF一眼レフとして、一時は販売シェアの半分以上を占めたといいます。
ところが、1990年代になり、ミノルタのフィルム一眼レフは市場からそっぽを向かれてしまいます。
要因はふたつ。
まず、ミノルタαのAF機構が、アメリカの電器メーカー、ハネウェルから特許侵害で訴えられたこと(ハネウェル訴訟)。
そしてなにより、1990年代前半のミノルタ製AF一眼レフ「xiシリーズ」が、煩雑な操作系だったことにあります。
自動化をコンセプトにボタン操作を主にしたところ、思うほか使いにくいものに仕上がってしまったのです。
そこでミノルタは1990年代中頃から、ダイヤル操作に回帰した「siシリーズ」で巻き返しを図ります。
α-9も基本的には、ダイヤル操作を前提としたsiシリーズの操作系を受け継いだもの。
1990年代には他社ではペンタックスもMZシリーズでダイヤル操作に回帰しています。
ユーザー本位の操作性がコンセプトとされた1990年代の流行が、α-9も使いやすいカメラに仕上げているといえるでしょう。
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シャッターは歴代最高速の1/12000秒
α-9のカタログスペック上特筆すべき部分。
それが、シャッター最高速が1/12000秒ということです。
これは前代のフラッグシップ機、α-9xiから受け継いだもの。
1/12000秒のシャッターを装備したカメラは、実用可能なものとしてはα-9とα-9xiの2つだけ。
2018年現在、デジタル一眼カメラにも存在しません※。
1/8000秒よりもさらに半段早いシャッターが切れる。
まさに夢のようなスペックです。
※デジタル機ではNikon D1系列が1/16000秒を搭載。ただし、1999年発売のデジタル一眼レフのため、実用は厳しいといえるでしょう。
α-9最大の特徴、それはファインダー
機能面では同時代の他社上級機に比類しているα-9。
しかし、その最大の魅力は、カタログスペックに現れない部分にありました。
α-9をいま、使う意味。
それがファインダーなのです。
α-9のファインダーは、すべてのフィルム一眼レフカメラのなかでも最高との呼び声高いもの。
すみずみまでクリアーなファインダーは、実際に使ってみれば他のカメラには戻れないほどの上質さです。
さらに、ファインダースクリーンを交換することで、レンズのボケまでファインダーで味わうことが可能です。
α-9のファインダースクリーンのうち「M」と「M II」はスーパースフェリカルアキュートマットと呼ばれ、マニュアルフォーカスの味に特化したもの。
ピントの山の見やすさは抜群です。
※ただし、暗いレンズには対応していないので注意しましょう。
ファインダーの構造自体も、視野率100%というフラッグシップ機ならではの仕様です。
ミノルタはMF時代にアキュートマットを導入するなどファインダーの見えには定評がありましたが、その完成形として面目躍如だといえるでしょう。
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その他の特徴
ミノルタα-9は、フラッグシップ機ながらストロボを内蔵しています。
上位機種にストロボは不要という風潮は現在もありますが、感度の低いフィルムカメラでは緊急時に役立ってくれることでしょう。
また地味なところでは連射速度も5.5駒/秒と、他社製AF一眼レフの上位機種と同等以上です。
ボディは約1kg弱と重いですが、そのぶん後述するα-7に比べ堅牢性も高く、信頼性では勝っています。
ボディは全金属製。
1990年代の、プラスチックボディから金属ボディへの回帰というトレンドが反映されています。
ミノルタα-9Ti
1999年にはα-9のチタン外装バージョン、ミノルタα-9Tiが発売します。
1000台限定。
機能的にはα-9とほぼ同一。
チタン外装により、約100gという大幅な軽量化を実現しています。
変更点として、カスタム設定の設定項目が変更・追加されています。
限定品のため中古は素のα-9よりずっと高価。
ですが、ミノルタの頂点として、ぜひ中古で手に入れてみたい名機だといえるでしょう。
ミノルタα-9 中古購入時のポイント
SSM対応かチェック
ミノルタα-9の登場時には、レンズ内にモーターを内蔵したSSMレンズに対応していませんでした。
そのためのちに純正で基盤交換による改造が行われています。
もし、現行のSONY αのAマウントレンズがAFで使いたい場合には、対応改造が行われたものが必須となります。
ソニーのAマウントレンズは取り付け可能だが、SSM非対応の場合AFが作動しない。
(α-7ではAF可)
ただし、α-9の中古のうち、改造されたものは少数しかありません。
SSM対応品を購入したい場合、中古の状態表示に「SSM対応」と書いてあるものを選びましょう。
なお、後述するα-7は最初からSSMに対応しています。
グリップのべたつき
この時代のAF一眼レフにはありがちですが、α-9も個体によっては、グリップのゴムにべたつきが生じているものがあります。
中古でこれから探す場合には、外装の状態をチェックすることをおすすめします。
なおゴムのべたつきはアルコールで取る方法などもありますが、あくまでも自己責任となります。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
ミノルタα-7
ミノルタα-9もとても出来のよいフィルムカメラでしたが、ミノルタは中級機でさらに改良を行いました。
α-9の弟分として登場したα-7は、α-9を部分的に超えるカメラ。
使いやすさもさらに向上しているので、ミノルタユーザーの中にはα-7のほうを愛用する方も多くいました。
ミノルタα-7の性能・スペック
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、30秒~1/8000秒 電子式 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター ストロボ同調速度は1/200秒(専用ストロボでハイスピードシンクロ可) |
露出計 | 14分割ハニカムパターン測光 中央部重点平均測光 スポット測光 ※14分割SPC受光素子を使用 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE シャッター優先AE |
ファインダー | 固定式アイレベル 0.8倍 視野率92%(横)94%(縦) |
レンズマウント | ミノルタAマウント |
対応レンズ | ミノルタαレンズ |
連射速度 | 4駒/秒 |
電池 | CR123Aリチウム電池(Amazon)x2 |
発売年 | 2000年(α-7) 2001年(Limited) |
ミノルタα-7は、実質的にミノルタ最後の上位機種。
2000年発売と、新規のフィルムカメラとしては末期のモデルとなります。
シャッター最高速は1/8000秒、連射は4駒/秒。
ファインダー視野率は92%・94%。
このようにカタログスペック上は、ミノルタα-7にはα-9から省略されたように見える部分が見受けられます。
しかし、それ以外の部分の完成度から、α-7はα-9にも勝る名機として、ミノルタの中古カメラを愛する人々に讃えられ続けているのです。
当時から評価は非常に高く、日本・世界でカメラ業界の各賞を総ナメにしています。
α-9ゆずりの見やすいファインダー
ファインダー視野率こそ下がってしまったものの、スーパースフェリカルアキュートマットを採用したファインダーは健在。
こちらも、歴代フィルム一眼レフのなかでも随一の、見やすいファインダーが味わえます。
α-7は軽量・取り回しの良いカメラ
α-7は、外装こそプラスチックですが、大幅な小型・軽量化を実現。
α-9の1kg弱から、α-7は500g台にまで軽くなっていて、カメラを1日持ち歩いたら、その差は確実に実感できるでしょう。
α-9よりさらに使いやすい操作系
ミノルタα-7も、α-9を踏襲したダイヤルによる操作系を採用。
直感的な操作で、快適に撮影を行うことが可能です。
大型の背面液晶でデジタルカメラのように撮影
ミノルタα-7で新たに加えられたパーツ。
それが、カメラ背面の大型液晶です。
一見するとデジタルカメラのようにさえ見える液晶には、シャッター速度や絞りをはじめ、各種情報を見やすく表示。
白黒ですが、ドット表示なので内容は非常に充実しています。
フィルムカメラなのでもちろん撮影した画像は見られませんが、絞りやシャッタースピードを変えるのに慣れていない方でも、しっかりと確認しながら撮影することができますよ。
デジタルカメラ前夜に登場したフィルムカメラならではの機能。
デジタルカメラに慣れている方の初めての中古フィルムカメラとしても、最適な表示方法だといえるでしょう。
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ミノルタα-7 Limited
ミノルタα-7にも限定モデルがあります。
その名もミノルタα-7 Limited。
2001年発売です。
α-7がカメラグランプリ(日本)、TIPA AWARDS(ヨーロッパ)、EISA AWARDS(ヨーロッパ)の3つを受賞したことを記念したモデルで、各部が金色になっているほか、Limitedのロゴも追加されています。
日本国内では2001台限定。
通常のα-7の中古が1万円前後で手に入るのに対し、Limtedの中古は3万〜4万円以上とコレクターズアイテムになっています。
ミノルタα-7 中古購入時のポイント
ミノルタα-7も、α-9同様グリップのべたつきには注意が必要です。
なおα-9と違いSSMレンズにはデフォルトで対応しているので注意は不要です。
α-9・α-7で使いたいAマウントレンズ
ミノルタAマウント(αマウント)にはかずかずの銘レンズが使用可能。
初期のレンズは金属製鏡筒で作りが抜群。
後期のレンズは高性能。
こちらの記事でAマウントレンズも紹介しているので、併せてご覧ください。
α-9・α-7の関連商品
MINOLTA α-9もα-7も、電池はCR123Aリチウム電池を使用します。
ミノルタ製フィルムカメラの集大成を中古で使ってみませんか?
カタログスペックでも他社の上級機に迫るα-9とα-7。
ですが、そのほんとうの魅力は使ってみないとわかりません。
なによりも至高なのはファインダー。
フィルム、デジタルを通じてこれ以上のものは存在しない名ファインダーに、一瞬で魅せられてしまうことでしょう。
ぜひ、ミノルタ製フィルムカメラの集大成、α-9とα-7を使ってみませんか?
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
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