Leica(ライカ)M7/フィルムライカの最終進化系は最強のスナップシューター
Leica M7(ライカM7)は、2002年に発売されたレンジファインダーフィルムカメラ。
ライカがM8で本格的にデジタルカメラに舵を切る前の、「実用」として新規開発された最後の機種となります。
特徴は、それまでのライカがかたくなにこだわってきた機械式シャッターから電子式シャッターへと、内部構造が大幅に変化したこと。
電子シャッターの採用に伴い、初めての絞り優先AEも搭載されました。
電子カメラになってもM型ライカならではの精密感はそのまま。
露出計とAEの双方を搭載したことで、とても使いやすいレンジファインダーカメラに仕上がっています。
今回はそんなLeica M7(ライカM7)の魅力を、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
Leica M7(ライカM7)
初めての電子ライカ、それがLeica M7(ライカM7)。
機械式のM型ライカとは一味違うカメラです。
Leica M7(ライカM7)の性能・スペック
形式 | 電子式レンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、4秒〜1/1000秒 電子式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL スポット測光 |
AE | 絞り優先AE |
ファインダー倍率 | 0.72倍(M7) 0.58倍(M7 0.58) 0.85倍(M7 0.85) |
レンズマウント | ライカMマウント |
巻き上げ | レバー式、1ストローク |
巻き戻し | クランク式 |
電池 | CR1/3Nリチウム電池(Amazon)x2 |
発売年 | 2002年 |
Leica M7(ライカM7)の特徴
Leica M7(ライカM7)は、2002年に送り出されたライカ初の絞り優先AE搭載カメラ。
そして、ライカが初めて電子シャッターに舵を切ったカメラでもあります。
ライカMマウントを採用したカメラとしては、Leitz minolta CL(ライツ・ミノルタCL)の後継機であるMINOLTA CLE(ミノルタCLE)もすでに絞り優先AEを採用していましたし、コニカ・ヘキサーRFも既にAEを搭載していました。
しかし、ライカ本体は頑なに、機械式シャッターとマニュアル露出のカメラだけを作り続けていました。
露出計こそM5とM6で搭載したものの、カメラ本体の機構はM型ライカ伝統の、布幕横走りフォーカルプレーンシャッターを機械で制御するというもの。
そのクラシカルさこそがライカの伝統ともいえたのかもしれませんが、しかし、ライカはそこに留まることはありませんでした。
絞り優先AEで最強のスナップシューターに
M型ライカが最も活躍するフィールド。
それは街中でのストリート・スナップにほかなりません。
もちろん熟練のライカ使いたちは、それまでもM型ライカをマニュアル露出で手足のように操って、最高のキャンディッド・フォトを生み出してきました。
しかし、瞬時に、しかもライカM6やライカM5以外は露出計すらついていないというカメラを使って最高のネガを仕上げるのは、アマチュアには至難の業。
その点ライカM7なら、誰でも、フィルムカメラに入門したばかりでも美しいネガを手に入れることが可能です。
ライカファンだけでなく、これからフィルムカメラに入門しようとするカメラファンにも使いやすいフィルム・ライカ。
それがライカM7なのです。
もちろん内蔵の露出計はマニュアルでも動作するため、マニュアル撮影の難易度も大幅に下がっています。
また、フィルム感度設定はマニュアルの他にDXコードにも対応。
さらにカメラ内部の自動化を進めています。
伝統を受け継いだスペック
とはいえ、ライカM7のスペックそのものは、M型ライカの伝統を色濃く受け継いでいるもの。
シャッターは伝統の布幕横走りフォーカルプレーンシャッター。
電子化こそされていますが、仮に電池切れになったとしても1/60と1/125は機械式で切ることが可能です。
この、ストリートスナップで多用するシャッター速度を機械式とした事実にも、ライカM7の設計思想を深く読み取ることができます。
フィルムライカの実質最終機
そんなライカM7は、フィルムを使用するライカの、実質的な最終進化系ということができるでしょう。
もちろん、ライカM7のあとにもフィルムを使用するライカの新型は送り出されています。
現行ではライカM-AやライカMP。
しかしそのどちらも、内部機構は伝統的な機械式シャッターに回帰しているのです。
そう、現在新たに送り出されている機械式ライカは、写真を撮るために現役で用いられる道具というよりも、一種のステータスシンボル。
機械式時計が趣味の道具になっていたように、あくまでも、カメラ自体を楽しむためだけに開発された高級カメラです。
ライカM7も、当然ながら高級カメラであることは同じ。
異なるのは、まだフィルムカメラが現役で用いられていた2002年に送り出されたカメラだということです。
まだフィルムカメラが現役だった時代を知っているライカ。
それがライカM7。
フィルムで最高の写真を写し取るための戦闘的なカメラだということができるでしょう。
歴代M型ライカの解説はこちら
ライカM7に至るM型ライカの名機たち。
こちらの記事で各機種を解説しています。
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Leica M7(ライカM7)中古購入のポイント
それでは、ライカM7を中古で購入する場合にはどんなことに気をつけたらよいでしょうか。
ライカM7には、ファインダーの違いで3種類の機種が存在しています。
中古購入時には、使いたいレンズに合わせてボディを選ぶとよいでしょう。
ライカM7のファインダー別モデル
ライカM7を中古で入手する場合、気をつけたいのがファインダー別のモデル。
大きく、ライカM7(0.72倍)、ライカM7 0.58(0.58倍)、ライカM7 0.85(0.85倍)に分かれています。
ライカM7は、0.72倍のスタンダードなファインダーを搭載したモデル。
ファインダー枠は50/75mm、28/90mm、35/135mmとなっています。
どの焦点距離にも対応できるため、迷ったらこのモデルを選ぶとよいかもしれません。
これまでにM2やM4、M6を中古で手に入れて使っていた方なら、使用時に一切戸惑うことはありません。
ライカM7
ライカM7 0.58は、0.58倍の広角ファインダーを搭載したモデルです。
ファインダー枠は、50/75mm、28/90mm、35mm。
135mmが省かれていることからもわかるとおり、広角側に性能を振ったモデルとなっています。
28mmや35mmがメインで使いたい場合、このモデルを選ぶのがおすすめです。
ライカM7 0.85は、逆に標準レンズの使用を前提とした、0.85倍のファインダーを搭載したモデルです。
この0.85倍というファインダー倍率は、ライカM3の0.91倍にも近い、肉眼で見たのと近い視野を確保することができるもの。
ファインダー倍率は50/75mm、90mm、35/135mmを搭載していますが、このカメラではぜひ50mmレンズを付けて、ライカM3さながらの視野を味わってみたいところです。
中古のズミクロンがあなたを待っています!
ライカM7 0.85
ボディによっておすすめレンズが違ってくるライカM7。
ぜひさまざまな純正ライカレンズを使ってみたいカメラです。
こちらの記事でライカレンズを紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
「現代のライカ」が欲しいならM7
さて、ここまでM7について解説してきましたが、M7の中古は非常に高価。
M6よりもずっと高値で取引されています。
それでいて電子カメラというところに、いまひとつ惹かれない中古カメラファンの方もいるのでは。
正直なところを言ってしまうと、M7の中古価格の高さもまた、ステータスシンボルとしての色が濃いのは事実です。
デザイン面でも、M6までと違い、M7は「現代のライカ」のデザインとなっているため、クラシックではない、現代の高級カメラであることが見る人が見ればわかります。
実用としては中古のM6でも十分なのは確かです。
M7を中古で購入するときに決定打となるのは、「現代ライカ」が欲しいかどうか、というところになるのでしょう。
中古購入時のチェックポイント
それでは、中古購入時には他にどんな点をチェックすればよいでしょうか。
ライカM7はいまだに中古市場では比較的高価に取引されているモデル。
それだけに、仮に調子が悪くても修理をして中古店に並ぶことがほとんどです。
ですが、M7にも状態の悪い個体は存在するため、オークションサイトなどでは注意が必要です。
他のライカでもそうですが、もし中古で問題のある個体を購入してしまうと、修理に高額な費用がかかってしまう可能性も。
外観に大きなアタリがないかなどもチェックして、内部機構に問題のない個体を選びましょう。
やはりカメラの性質上、中古といえども外観は重視したいところ。
電子カメラということもあり、ぜひ状態のよいライカM7を中古で手に入れられるよう気をつけましょう。
Leica M7(ライカM7)で使用する用品
電池はCR1/3Nという、LR44を2つ重ねたサイズの電池を2つ使用します。
M型ライカで使える定番用品としては、多彩なL39マウントレンズが使えるLMアダプターがおすすめです。
ライカ最強のスナップシューターを操ろう
このように、AEと露出計の搭載が特色のライカM7は、まさに最強のスナップシューターと呼ぶべきカメラ。
そして、フィルムの現役時代に送り出された最後のライカでもあります。
そんな記念碑的カメラなら、街の風景を思った通りに、美しく切り取ることができること間違いなし。
フィルムで写真を撮るためのマッシブな道具として生を受けたライカM7。
中古で手に入れて、ぜひあなたの手で自由自在に操ってみませんか?
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