MINOLTA(ミノルタ)CLE/ライカレンズが使える端正なレンジファインダーカメラ
MINOLTA CLE(ミノルタCLE)は、Leitz Minolta CL(ライツミノルタCL)の流れを汲んで開発された、ライカMマウントを持つレンジファインダーカメラ。
貴重なMマウント機でしかもAEが使えるとあって、中古で一定の人気があるカメラです。
Mマウント互換のレンジファインダーカメラはフォクトレンダー BESSA Rシリーズをはじめ2000年前後にも数多く世に出ましたが、それらとはコンセプトからして異なる、小型で軽快なカメラに仕上がっています。
M型ライカとも他のレンジファインダーとも異なる、四角い端正なボディ。
必要十分な機能を備えたボディは、よりMマウントレンズを身近なものとしてくれるでしょう。
ノンライツのMマウント機として同じく中古で人気の高いBESSAよりも、さらにサイズがコンパクトなのが魅力です。
ライカとMINOLTAの提携の残り香が随所に感じられるカメラ、MINOLTA CLEにはどんな魅力があるのでしょうか。
中古カメラ専門店サンライズカメラの、実際にCLEを使ったことがあるスタッフが紹介します。
MINOLTA CLE(ミノルタCLE)
MINOLTAが開発したライカMマウントのレンジファインダーカメラ、MINOLTA CLEとはどのようなカメラなのでしょうか。
ぜひ中古購入の参考にもしてくださいね。
MINOLTA CLEの基本性能・スペック
形式 | 電子式レンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 電子式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | 内蔵(マニュアル時には動作せず) SPD(シリコンフォトダイオード)によるTTLダイレクト測光 |
AE | 絞り優先AE |
ファインダー倍率 | 0.58倍 |
ファインダー枠 | 28mm・40mm・90mm |
レンズマウント | ライカMマウント |
巻き上げ | レバー式、1ストローク |
巻き戻し | クランク式 |
電池 | SR44酸化銀電池(Amazon)x2 |
製造年 | 1981年〜 |
参考文献:中村信一 『新M型ライカのすべて』(1996年 朝日ソノラマ) p.103-108
MINOLTA CLEはMマウントのレンジファインダーカメラ。
国産レンジファインダーの中でも中古人気の高い実用機のひとつです。
レンズ交換式レンジファインダーとして独自性が強い点として、絞り優先オートが使えることが挙げられるでしょう。
このカメラの発売された1981年、MINOLTAはXG-Eなどをはじめとする一眼レフで、絞り優先オートのカメラを販売の軸としていました。
XG-EやX-700と同じ、シャッターダイヤルと同軸に黒と銀色のシャッターボタンを備えていることからもわかるとおり、MINOLTAの一眼レフカメラをベースとした設計となっています。
追記:上記スペック表でも参考文献に挙げた『新M型ライカのすべて』では、ミノルタX-7の機構を流用したと記述されています。
測光はシャッター幕で行われるダイレクト測光。
露光中にもフィルム面の光量をリアルタイムで計測することで、より正確なAEを実現しています。
下の画像のように、シャッター幕には測光用のパターンが印刷されています。
シャッターはBと1〜1/1000秒、横走り布幕の電子シャッター。
シャッターが横走りであることも同時期のミノルタ製一眼レフカメラと同じです。
マニュアル時に露出計が作動しない点は多くのカメラファンから指摘を受けることではあるものの、M型ライカに伍して十分に使用可能です。
ファインダーはうっすらと青みがかっており、ブライトフレームは28mm、40mm、90mmを備えています。
前機種だといえるLeitz Minolta CLと同じく、40mm標準レンズを前提としたスペックです。
レンジファインダーの基線長は約19mmで、このカメラで主に使用することになるであろう40mmや28mmには必要十分なスペックです。
ライカになれなかったカメラ MINOLTA CLE
このMINOLTA CLEがライカMマウントを備えている理由。
それはライカ(ライツ)とMINOLTAの提携に遡ります。
1973年、ライカとMINOLTAはそれまでのM型ライカとはまったく異なるカメラをこの世に送り出しました。
それがLeitz Minolta CL(ライツミノルタCL)。
Compact Leicaの略ともいわれるLeitz Minolta CL(海外ではLeica CL)は、ライカM5譲りの測光素子がアームで露光面に飛び出る機構、縦走り布幕シャッター、そしてなによりコンパクトなボディで、Mマウントレンジファインダーの新境地を開拓しました。
Leitz Minolta CLについて詳しくはこちら
ライカとMINOLTAの提携はその後も続き、ライカの一眼レフ、RシリーズがMINOLTAの一眼レフをベースにしていることは多くの人の知るところです。
そして、このCLEも本来は、ライカとのダブルネームとなる前提で開発が進められていたようなのです。
ところが結果としては、CLEにライカの名が冠されることはありませんでした。
すでにドイツのカメラよりも合理的設計に長けていた日本のカメラメーカーならではの設計思想が、ライカに受け入れられなかったとも言われています。
結果、MINOLTA CLEはMINOLTA単独での発売となり、販売も海外では認められなかったとされています。
そのため中古ではLeitz Minolta CLのほうが人気が高く、中古価格も高めとなっています。
ですがCLEはより使いやすくブラッシュアップが図られているため、現代的な操作感を味わうことができますよ。
80年代ならではの使いやすさを感じる中古カメラ、それがCLEであるといえます。
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MINOLTA CLEで使いたいMマウントレンズ
28mm、40mm、90mmのブライトフレームを備えたCLE。
もちろん50mmや35mmのライカレンズも問題なく使用できますが、最も似合うのは、CLやCLEのために製造されたレンズだといえるでしょう。
中古レンズはMマウントとしては廉価なので、まずは専用レンズを合わせてみるとよいでしょう。
40mmのSUMMICRONとROKKOR
MINOLTA CLEの標準レンズは40mm。
Leitz Minolta CLから受け継がれた設計です。
40mmのMマウントレンズとして販売されたのが、ライカのSUMMICRONとMINOLTAのROKKOR。
ライカはCLの時代にSUMMICRON C 40mm F2を。
MINOLTAはCLの時代とCLEの時代にM-ROKKOR 40mm F2を販売しています。
またMマウントでは後年に、コシナVoigtlanderもNOCTON Classic 40mm F1.4を製造しているので、そちらを選ぶのも面白い組み合わせだといえるでしょう。
レンズの中古価格は、やはりミノルタのロッコールのほうが安め。
とはいえライカ製レンズの中古が高価なのはブランド価値による面も大きいため、CLEを使うなら、CLEの時代のロッコールを付けるのもじゅうぶんおすすめできます。
詳しくはこちらもご覧ください。
28mmと90mm
CLEの備える28mmのブライトフレーム。
広角に強いこともCLEの中古フィルムカメラとしての魅力です。
ライカの28mmレンズはElmarit 28mm F2.8(エルマリート28mm F2.8)を中心に各世代のレンズが使用可能です。
また、このCLEのために開発されたM-ROKKOR 28mm F2.8はライカのレンズよりも非常にリーズナブルなため、手軽に使える実用のための道具として八面六臂の活躍をみせてくれることでしょう。
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90mmについてもライカレンズとM-ROKKORの双方がそれぞれ使えるため、用途と予算に合わせて自在に合わせることができますよ。
MINOLTA CLEを中古で探すなら
ではそんなMINOLTA CLEを中古で手に入れるときにはどんなことを気をつけたらよいのでしょうか。
まず基本的に電子カメラのため、各部の動作、とくに露出計やAEといった電装系をチェックするのは他の中古カメラと同様。
なお前述した通りメーターはマニュアル時には動かないので、中古チェック時に故障だと勘違いしないようにしましょう。
電子カメラながら、CLEの修理が可能なカメラ修理業者も存在しているのは中古を手に入れる際に心強いところです。
もちろん状態の良い中古を手に入れるのがベストなのは言うまでもないですが、まだまだ現役で末永く使うことができますよ。
Mマウントのカメラとして中古の価値もある程度認められているため、修理済みで状態がよい個体が見つけやすいのもよいところです。
MINOLTA CLEの限定モデル
ミノルタCLEには限定モデルが存在します。
ミノルタのカメラ製造300万台を記念したゴールドモデルです。
実用というよりもコレクターズアイテムであるといえます。
各部画像
MINOLTA CLEのレビュー記事
こちらの記事でMINOLTA CLEの作例を紹介しています。
プロフォトグラファーで旅好きないくた りかさんが、フィルムカメラやオールドレンズを相棒として携え、出会った素敵な景色をお見せしていく連載「旅×フィルムカメラ第4弾」で北海道を撮ってきてくれました。
ぜひご覧ください!
小型軽快なMマウントのカメラならCLEで決まり!
MINOLTA CLEはM型ライカとも、後年のBessa Rとも違う、小さく軽く、それでいてライカの残り香を感じることができるレンジファインダーカメラ。
MINOLTAのカメラながら、プリントした写真からはどこかドイツの風が漂ってくるようです。
Leitz Minolta CLの正常進化系であるとともに日本製ならではの手に馴染む感覚を兼ね備えたMINOLTA CLE。
ぜひ中古で手に入れて、肩に提げてどこにでも連れていきたいカメラです。
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更新履歴
2021年3月29日
- 参考文献に出典を記載(『新M型ライカのすべて』)
- 一眼レフの機構を流用したという記述に、『新M型ライカのすべて』p.107にあるミノルタX-7がベースという記述を参考に追記
- 「ライカとのダブルネームとなる前提で開発が進められていた」という記述について、ソースが確認できなかったため打ち消し線にて削除
- 旧ライツの時代の内容について、社名の意味で「ライカ」と書いていた箇所に(ライツ)を併記
2022年8月2日
画像を追加、差し替え。限定ゴールドモデルについて追記。
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