OLYMPUS(オリンパス)OM-1/可愛さ・精悍さ・思想が同居した名一眼レフ
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)は、いまでも非常に中古で人気が高い、日本製一眼レフ名機中の名機。
特徴は小型軽量なこと。
そして設計思想が美しいことです。
「使う人のため」をすべての面にわたって考えた設計。
初めて中古フィルム一眼レフカメラを使う人でも、違和感なく使うことができる操作体系は、名技術者・米谷美久が生み出したもの。
そして、可愛さと精悍さが同居した優美なルックス。
肩からぶら下げているだけでおしゃれになれる。
そんなカメラがOLYMPUS OM-1。
初めての中古フィルムカメラとしてもイチオシの機種だといえるでしょう。
目次
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)とは
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)は、日本のカメラメーカー、OLYMPUSが1972年に発売した一眼レフカメラ。
オリンパスの一眼レフ、OMシリーズの初代となる機種です。
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)のスペック
形式 | 機械式一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出 | マニュアルのみ |
露出計 | TTL中央重点平均測光 |
ファインダー | 視野率97% 0.92倍 |
レンズマウント | オリンパスOMマウント |
大きさ | 横幅136mmx高さ83mm×奥行き50mm |
電池 | MR-9水銀電池 x1 ※販売終了品のため、代替電池PX-625(Amazon) もしくはボタン電池用アダプター(Amazon)にて代替 |
発売年 | 1972年(M-1) 1973年(OM-1) 1974年(OM-1MD) 1979年(OM-1N) |
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)の特徴と魅力
オリンパスOM-1は、すべての一眼レフの歴史を変えた記念碑的なカメラです。
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)が送り出された1972年。
日本製の一眼レフは、まだ初心者にとって使いにくいものでした。
カメラに機能を付け加えるたびに、大きく、重くなっていく。
さらに、一眼レフには内部に動くミラーが存在するため、コンパクトカメラに比べて手ブレしやすいのも大きな問題でした。
そんな一眼レフの欠点を解決し、老若男女、誰にでも使いやすいカメラを作る。
それが、このOM-1が生み出された理由だったのです。
小さな一眼レフ
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)は、それまでの一眼レフカメラに比べてとても小さなサイズのものでした。
当時の一眼レフカメラのなかでは幅も、高さももっとも小さかっただけでなく、その後のフィルム一眼レフや、現代のデジタル一眼レフと比べても、もっとも小型の部類に入ります。
肩から掛けても大きさや重さが気にならず、カバンに気軽に入れて持ち運ぶことができる。
OM-1の最大の魅力だといえるでしょう。
小さくても使いやすさは一級品
でも、ただカメラを小さくしただけでは使いにくくなってしまう可能性もあります。
その点OLYMPUS OM-1は、操作性にも気を配りました。
カメラ本体は小さくても、操作するダイヤルやレバーは大型に。
シャッター速度を変えるダイヤルはレンズの根本にありますが(通常はカメラの上部にあります)、これも回しやすさを考えてのことです。
さらに、小型のカメラながら明るくて広いファインダーを搭載。
まるで現実の風景をそのまま切り取ったような、明瞭な視界で被写体を見つめることができるのです。
シャッターを切るショックを最小に
さて、当時の一眼レフカメラが抱えていた大きな問題に「ミラーショック」がありました。
一眼レフカメラでは、内蔵した鏡で光を反射せることでファインダーに被写体を映し出し、撮影するときは鏡を跳ね上げてフィルムに光を送る構造になっています。
ところが、それまでの一眼レフカメラでは、鏡が動作するときに、どうしてもショックが生じてしまっていました。
ミラーショックは、フィルムカメラに慣れていない人にとっては手ブレの原因になってしまいます。
そこでOLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)では、ミラーにダンパーを装着することで、ミラーショックを最小限に抑えることを実現したのです。
ダンパーの効果は抜群。
他の一眼レフカメラと違って、シャッターを切ったときにはふんわりとした感触が手に伝わってきます。
この使用感は現在でも完璧に通用するもの。
中古で売られている個体でも、独特の使い心地がそのまま保たれていることがほとんどです。
小型・軽量であることや使いやすい操作性と合わせて、これからフィルムカメラを中古で入手するときにおすすめできる理由です。
無駄のない流麗なボディライン
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)が名機と言われるのは、単に使いやすさだけが理由ではありません。
無駄な部分がまったくない美しさもまた、このカメラの魅力を無限大に高めています。
「フィルムカメラ」と言われて想像する形をそのまま作り上げたようなルックス。
それでいて、角ばった部分と丸まった部分がバランスよく配置され、ボディラインはまるで流れるよう。
日本製一眼レフカメラのなかで、それどころか世界のカメラのなかでも1、2を争う美しいカメラ、それがオリンパスOM-1。
美しさもまた、OM-1が中古カメラの中でももっとも人気がある部類に入る理由です。
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)を生み出した名技術者・米谷美久
そんなOM-1は、1人のカメラ技術者の手によって生み出されたカメラです。
その名は米谷美久(まいたに よしひさ、1933-2009)。
OM-1のほかにも、オリンパス ペンシリーズやオリンパスXAといったかずかずの名機を生み出しています。
オリンパスOM-1の操作性も、見た目の美しさも、米谷美久氏がいなければ存在しないものでした。
名技術者がカメラに込めた情熱と思想。
それこそがOM-1を名機たらしめているのです。
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OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)の種類
それでは、これからOM-1を中古で購入するなら、どんな機種を選べばよいのでしょうか。
まずOM-1の種類を解説します。
OLYMPUS M-1(オリンパスM-1)
1972年。
最初に発売されたのがオリンパスM-1です。
現在ではOM-1として知られているカメラですが、発売時はOがないM-1という名称でした。
Mという名称は、技術者の米谷美久氏のイニシャルに由来しています。
翌年になってOM-1という名称に変わることになりますが、その理由としては、同じくM3やM2といったカメラを製造したライカからのクレームが入ったとも言われています。
M-1は数が少なく、現在ではコレクターズアイテムになっているため中古はOM-1より高価。
(とはいっても、ライカやローライの中古に比べればずっと安価ですが……)
実用上は通常のOM-1と変わりませんが、他人と違うカメラが欲しい方におすすめです。
なお、レンズもM-1の時期のものはOM-SYSTEM ZUIKOではなくM-SYSTEM ZUIKOと刻印されています。
M-1を手に入れたらぜひレンズもMズイコーを付けてあげたいですね。
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)
↑ボディ上部のロゴが変更された
1973年になって名称が変わったのがOLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)です。
カメラのシステム自体の名称も、OLYMPUS M-SYSTEMからOLYMPUS OM-SYSTEMに変更されました。
はじめは日本国内版はM-1のままで、海外発売時にOM-1となり、日本国内ではM-1の在庫がなくなるとともにOM-1に入れ替わったようです。
機構的にはM-1と大差ありません。
ただし、1973年当時の初期のモデルには、モータードライブを取り付けることができません。
判別点は底蓋にモータードライブ用の穴がないことです。
OLYMPUS OM-1 MD(オリンパスOM-1 MD)
1974年、OM-1にモータードライブ(フィルムの自動巻き上げ機)を取り付けられるように改良されたモデルがOM-1MD。
見た目では、ボディ正面左上に「MD」のマークが付いていることと、ボディ下のモータードライブ取付部に蓋があることが判別点となります。
↑モータードライブ非対応のOM-1下部
↑OM-1MDの下部。左側の電池蓋の横に、モータードライブ接続用の蓋が追加されている。
OM-1とOM-1MDのどちらを中古で選ぶのがおすすめか、という点ですが、現在ではOM-1にモータードライブを取り付けて使うことは考えにくいため、どちらを選んでも問題はありません。
またカメラ自体の信頼性としても、初期のモデルも後期のモデルも、中古の場合、さほど変わりはありません。
なお、OM-1MDのなかでも1970年代後期に製造されたモデルには、ボディ左上の「MD」マークがついていない個体も多いです。
見た目の面では、MDマークがない方がシンプルでよいかもしれないですね。
OLYMPUS OM-1N(オリンパスOM-1N)
1979年、OM-1のマイナーチェンジ・改良版として発売されたのがOM-1N。
機構的には、専用フラッシュの使用が可能となりました。
↑画像は専用アクセサリーシュー装着状態。OM-1用と異なりホットシューの接点が増えている。
ボディ上面の刻印にもNが追加され、別物であることがわかります。
その他内部構造も改善されています。
ただしこちらも、現在ではOM-1でフラッシュ撮影を行うことは少ないと思われるので、あまり気にしなくてもよいかもしれません。
その他の機能的にはそれまでのOM-1と同等です。
むしろ、現在中古購入する場合は、製造年代が新しく、状態がよい可能性が高いのが魅力です。
どのOM-1を中古で買うのがおすすめか
それでは、これから実際にOM-1を中古で購入するならどの機種がおすすめなのでしょうか。
結論から言えば、フィルムカメラ初心者の方が購入するなら、M-1以外ならどれも大差ないといってよいでしょう。
フラッシュやモータードライブは現在となっては実用性が低いので、機種の違いよりもむしろ、オーバーホールされているか、状態がよいか、といった点を重視したほうが無難です。
OM-1は中古市場にはとても多いのですが、ひとつひとつのカメラの個体により状態の良し悪しの差が非常に大きいため、中古を探すときには、カメラそのもののコンディションが最優先になります。
M-1については、先述したようにコレクターズアイテムとしての色が強いので、値段を考えると無理に購入しなくてもよいかと思われます。
OLYMPUS OM-1(オリンパスOM-1)中古購入時のポイント
オリンパスOM-1を中古購入する場合、チェックしたほうがよいポイントがいくつか存在します。
動作チェックやオーバーホール・修理がなされているかは当然ですが、以下の点については、中古購入時に失敗しないようにぜひチェックすることをおすすめします。
ファインダーの腐食
中古のオリンパスOM-1に非常に多いトラブルとして、ファインダーの腐食が挙げられます。
OM-1のファインダーには銀蒸着という技術が使われていますが、その部分が非常に経年劣化しやすくなっているのです。
腐食すると、ファインダー内に黒い線が見えたり、被写体の上に陰が被ったりして、非常に見づらくなってしまいます。
ファインダーが腐食している場合他の部分も経年劣化していることが考えられますので、購入は避けたほうがよいでしょう。
ファインダープリズムが交換されていたり、オーバーホール済みの個体でしたら問題ありません。
OM-1の電池
OM-1では、露出計の動作に、現在では生産中止された水銀電池(MR-9)が使用されています。
そのため、露出計を正確に動作させるためには電池のアダプターが必要です。
また、ネット通販で水銀電池互換のアルカリ電池も購入できるので、そちらを利用するのもよいですね。
筆者は水銀電池を使うフィルムカメラは、基本的に互換品のアルカリを使っています。
電池については、こちらの関連記事もご覧ください。
OLYMPUS OMシステムの関連記事
機種解説
当サイトではOM-1のほかにも、OLYMPUS OM各機種について解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
作例記事
また、OLYMPUS OM-1やOM ZUIKOレンズの作例も紹介しています。
オリンパスの銘玉のかずかず、ぜひご覧ください!
美しい一眼レフ OM-1を使ってみませんか?
どんな一眼レフカメラよりも美しく、それでいて使いやすい設計思想を併せ持っている。
それがOM-1の特徴です。
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