[オールドレンズ撮り比べ6] OLYMPUS ZUIKO 50mm F1.4と35mm F2 それぞれの特徴を掴んで上手に使いこなそう
こんにちは、雨樹一期です。最近はフィルムカメラのみの記事が続きましたが、今回は2本のオールドレンズを使い、フィルムカメラとミラーレス一眼カメラで撮り比べてみました。
標準レンズのOLYMPUS(オリンパス) G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4と、少し広角のOLYMPUS(オリンパス) ZUIKO AUTO-W 35mm F2です。
どちらも個性的で面白いレンズでしたよ。
前回のオールドレンズ撮り比べはこちら
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
OLYMPUS OM-1 の魅力
まずは使用したフィルムカメラについてです。フィルム一眼レフの中ではメジャーなOLYMPUS(オリンパス) OM-1です。
小型で軽量で使いやすいです。デザインも洗練されていて、女性の一眼デビューにオススメです。実際、使っている方はとても多いですね。
ちょっとマニアックな部分ですが、シャッター音がめっちゃ好みです。そこに執着している訳ではありませんが、撮るたびにふわっとテンションが上がります(笑)。
*年代によって若干、音が違うようです
ハッセルブラッドは「ブフォ」って音、PENTAX SPは「パコーン」って音。CONTAX Ariaは同時に巻き送りを行っていて音はやや大きめ。どれもデジタルにはない味があるのですが、OM-1はメカニカルでかっこいいんです。
デジタルカメラのシャッター音は作られた音って感じがしますが、フィルムカメラは生の音で小気味良いんですよね。
フィルムの一眼をまだ持っていない頃、その音にも憧れがあって購入したのを覚えています。
それからいろんなフィルムカメラを使ってきましたが、OM-1の音が一番好きです。
OLYMPUS G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4 で撮影
それでは、G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4がどんな描写なのか、ミラーレス一眼カメラとフィルム一眼レフで味わっていきます!
SONY α7+G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4での作例(ミラーレス一眼カメラ)
ミラーレス一眼カメラの作例は、フルサイズのなかでも中古価格が手頃で、気軽にオールドレンズを楽しめるSONY α7を使用しました。
マウントアダプターはK&F Concept製です。
ISO 100/絞り F1.4
まずは開放のF1.4での撮影です。かなりふわっとしていますね。ピントはタイヤ付近に合わせました。
ISO 100/絞り F8
同じ場所でF8で撮影しましたが、「ナンジャコリャー」です。同じレンズとは思えない描写の違い。色の乗りも違います。
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4は絞り値によって描写が大きく変わるレンズですね。
ISO 100/絞り F1.4
とにかく開放での明瞭度はすごいです。加工したみたいな滲み方。
だけどボケは硬く感じます。
ISO 100/絞り F1.4
ボケが硬いからでしょうか?画面がややうるさく感じますね。開放で撮る時は背景をしっかり意識したいです。
ISO 100/絞り F2.8
少し絞りました。コントラストは高めですね。
ISO 100/絞り F8
絞るほどにカリカリになっていきます。
ISO 100/絞り F2
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4は、絞りがF1.4〜2.8はポートレート向き。風景はF5.6〜11くらいでの撮影が良さそうですね。F1.4とF2でもシャープさは随分変わってきます。
とにかくF1.4の個性は爆発しています。
ISO 100/絞り F1.4
TOPと同じ写真です。開放で撮るならシンプルに白の背景がいいかもしれませんね。開放での色乗りはやや落ちます。
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4は好みの分かれそうなレンズだなと感じましたが、開放での写真が好きな方にはオススメのレンズですね。
F5.6からはカッチリに変化。良く言えば万能にこなせるレンズです。
最後にフレア・ゴーストもどう出るのか調べてみました。
ミラーレス一眼カメラは、フレアやゴーストを意図的に出すのも簡単です。
ヒゲみたいになっちゃいましたが、見事な虹色!
OLYMPUS OM-1+G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4の作例(フィルムカメラ)
続いてフィルムカメラの「オリンパスOM-1」での撮影です。またガラリと変化します。
撮り比べとしてはかなり分かりやすい違いが出ました。
ISO 100/絞り F1.4
今回、フィルムは価格が手頃なFUJIFILM(富士フイルム)の業務用100を使用しました。
(販売終了になってしまいましたが、FUJICOLOR 100が代替品として使えます)
ミラーレス一眼と比べると、色がかなりこってりです。
開放で撮りましたが、明瞭度はミラーレスよりも少し控えめになった気もしますね。
ISO 100/絞り F8
絞りをF8で撮影。ミラーレス一眼の時と同じく、かなりカリッとしますね。
ISO 100/絞り F4
めっちゃ鮮やかですね。
ISO 100/絞り F8
空を撮ってもフィルムらしい一枚になります。右上に薄っすらゴーストが出ています。
ISO 100/絞り F8
フィルムらしい一枚ですね。この味はなかなかデジタルでは出せません。
ところで、OLYMPUS(オリンパス) OM-1のシャッタースピードは最速が1/1000秒なので、快晴の日中は開放ではなかなか撮れません。光を入れすぎてかなり露出オーバーになってしまいます。
その点を考えるとこのG.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4はミラーレス一眼カメラ向きかもしれませんね。
SONY α7なら最速で1/8000秒だから、F1.4もバンバン使えます。
ISO 100/絞り F5.6
ただ、フィルムカメラはそんな縛りがあるからこそ、考えて撮るようになる利点もあります。
ISO 100/絞り F2.8
少し日陰になっている場所ならF2.8くらいで適正露出になりますね。
ISO 100/絞り F5.6
作例を見ていただいても分かるように、同じレンズを使っている感じがしません。
やっぱりフィルムには味があります。
気軽に開放で撮れるミラーレス一眼カメラ向きだと書きましたが、そもそもがフィルムカメラの為に作られたレンズなので、できればどちらも試して頂きたいですね。
絞りによって表情が大きく変わる
オリンパスの標準レンズ「OLYMPUS G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4」は開放で撮影すると極端に明瞭度が低くなり、ピントをしっかり合わせても輪郭はふわっと縁取られます。
ハイライトの滲みもすごいです。
ミラーレス一眼で撮影 ISO 100/絞り F1.4
カールツァイスのプラナーはボケがとろっとしていましたが、こちらは割とカチッとしています。
背景をシンプルにしないと画面がうるさくなる可能性もあります。
フィルムカメラで撮影 ISO 100/絞り F8
だけど絞ると明瞭度も高まりカリッとします。
色乗りは良く、コントラストも強くなります。フィルムだとかなりこってりした色になりますね。
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4 まとめ
レンズって昔は絞り値しか気にしていませんでしたが、メーカーによって写りが全然変わります。
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4は絞りによって表情を変える不思議なレンズですが、性格をつかめば面白いですね。これぞオールドレンズの味ですね。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
OLYMPUS ZUIKO AUTO-W 35mm F2 で撮影
次に、オリンパスの準広角レンズ、ZUIKO AUTO-W 35mm F2をミラーレス一眼カメラとフィルムカメラで撮影した作例です。
SONY α7+ZUIKO AUTO-W 35mm F2の作例(ミラーレス一眼カメラ)
ISO 100/絞り F2
このレンズは35mmなので、人によっては50mmより使いやすいかもしれません。開放での撮影ですが50mmほどの滲みはありませんね。
ISO 100/絞り F8
絞って撮影。パキっとした一枚が撮れます。
ISO 100/絞り F2
お次は開放で撮影。流れるようなボケになりました。歪みが出るレンズといわれていますが、歪曲のほかにも各種の収差が残っているのは確かですね。
ISO 100/絞り F8
ZUIKO AUTO-W 35mm F2の写りは、色の乗りなどが撮るたびに変化しているような気もします(笑)。フィルムっぽい描写になりました。ZUIKO AUTO-W 35mm F2は性格を掴みづらいレンズです。
ISO 100/絞り F11
だけど表現力は決して悪くありません。オールドレンズはそれぞれ癖があるので、それを掴んで撮影に生かしていくのですが、「ZUIKO AUTO-W 35mm F2」は出たとこ勝負です(笑)。
広角気味とはいえ35mmなので、フルサイズミラーレス一眼カメラのなかでは古めのSONY α7でも、的を射た作例を撮影することができたのではないかと思います。
OLYMPUS OM-1+ZUIKO AUTO-W 35mm F2の作例(フィルムカメラ)
続いてフィルムカメラのOLYMPUS OM-1です。
ISO 100/絞り F2
こちらも50mm F1.4と同じくFUJIFILM(富士フイルム)の業務用100を使用しました。色の乗りはミラーレス一眼カメラよりもフィルムの方がいいですね。鮮やかです。
ISO 100/絞り F5.6
ZUIKO AUTO-W 35mm F2、僕はフィルムで使う方が好きですね。ミラーレス一眼カメラよりも相性が良さそうです。
ISO 100/絞り F8
絞ってF8で撮影すると全体にピントが合うのですが、フィルムの味がより出てきます。
ISO 100/絞り F8
ミラーレス一眼カメラでは性格を掴めないと書きましたが、むしろフィルムカメラで使ったときのほうがフィルムの雰囲気を楽しめるレンズですね。
ISO 100/絞り F8
シャドウ部分がやや緑かぶりしていますね。ここらへんは、フィルムならではです。
ISO 100/絞り F2.8
思いがけない表現が生まれるレンズ
フィルムカメラで撮影 ISO 100/絞り F2
コントラスト、発色、ハイライトやシャドーの表現が面白いですね。悪く言えば安定感がありませんが、いいボケ味も出します。
ミラーレス一眼で撮影 ISO 100/絞り F2
こちらはミラーレス一眼カメラでの一枚ですが、フィルムっぽくなりましたね。意図しない表現が生まれやすい、面白いレンズです。
35mmなので50mmよりも広角。歪みが出ると言われているレンズですが、そこまで気になる感じはありません。
ZUIKO AUTO-W 35mm F2 作例まとめ
ZUIKO AUTO-W 35mm F2の作例を撮影した感想としては、まずコントラストや色乗りは50mm F1.4と似ています。安定感は50mm F1.4の方が上で、35mmは使いこなすのが難しいかもしれません。
だけどそれがきっと特徴。出たとこ勝負を楽しめますよ。
今回使用したカメラ・レンズの解説
ここからは簡単に、雨樹さんに代わり、サンライズカメラ 担当スタッフが簡単に今回使用したカメラとレンズを解説します。
OLYMPUS OM-1
形式 | 機械式一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出 | マニュアルのみ |
露出計 | TTL中央重点平均測光 |
ファインダー | 視野率97% 0.92倍 |
レンズマウント | オリンパスOMマウント |
大きさ | 横幅136mmx高さ83mm×奥行き50mm |
電池 | 水銀電池MR-9 x1 |
発売年 | 1972年(M-1) 1973年(OM-1) 1974年(OM-1MD) 1979年(OM-1N) |
OLYMPUS OM-1(オリンパス OM-1)は、1972年に「M-1」として登場したフィルム一眼レフカメラ。
フィルム一眼レフカメラの中でも歴史を変えた名機中の名機で、このスペースでは語りきれないほどの逸話があるカメラです。
キーワードは、小型化・軽量化。
そして、ユーザーとしても技術者としてもカメラを熟知した名開発者が、それまでの一眼レフカメラの使いにくい点を大幅に改良した愛情あふれる機種なのです。
人気機種だけあって中古の在庫は豊富な印象。
中古価格も日本製一眼レフとしては比較的手頃です。
ただし、OLYMPUS OM-1にはファインダーの腐食をはじめ経年劣化する箇所があります。
きちんと整備すれば問題なく直るカメラなので、きちんと使える中古を探す際は整備済みのものを選ぶとよいでしょう。
(整備済みのカメラとしては購入しやすい価格のものも比較的見つかります)
OLYMPUS OM-1について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4
マウント | OLYMPUS OMマウント |
構成 | 6群7枚 |
メーカー | OLYMPUS |
G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4はオリンパス OM-1の標準レンズ。
開放値がもう少し暗く価格が低かった50mm F1.8も中古市場ではよく見かけますが、発売時のアサヒカメラ「ニューフェース診断室」(1972年10月号)でボディとともにテストされたのはこちら。
50mm F1.4という定番のスペックからもわかる通りOM Zuikoのラインナップの中核となるレンズです。
6群7枚の変形ダブルガウスタイプで、「ニューフェース診断室」では当時の標準レンズとしては非常に高い性能であると評価されています。
標準レンズだけあって中古の在庫も豊富です。
価格面も状態によってよりどりみどりですが、経年で貼り合わせ面に曇りが出ているものがあるため状態をチェックし、保証付きのものを選びましょう。
ZUIKO AUTO-W 35mm F2
マウント | OLYMPUS OMマウント |
構成 | 7群8枚 |
新品時価格 | 30,000円 |
メーカー | OLYMPUS |
ZUIKO AUTO-W 35mm F2はOMマウントの準広角レンズ。
35mm F2というスペックはいまでこそ当たり前の明るさですが、時代を考えると準広角としては少し攻めた、ハイグレードなレンズであったといえます。
ということもあり、作例でもその特徴は出ていますが収差の残った、いわゆるオールドレンズっぽい写りをする印象です。
もちろん、その特徴はオールドレンズの「味」としてプラスに捉えることもできるでしょう。
明るいOM用レンズの中古は人気を集めていて価格も上昇傾向。
よい状態の中古を見つけたら買いかもしれないですね。
OLYMPUS OM用レンズの関連記事
今回使用したミラーレス一眼カメラ
このシリーズでは、中古価格が手ごろなフルサイズミラーレス、SONY α7を使用しています。
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。G.ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4 & ZUIKO AUTO-W 35mm F2まとめ
今回作例を紹介したレンズはいずれも独自の個性がキラリと光っています。
特徴が分かりやすいのは50mmですが、撮っていて楽しいのは35mmでした。
次回のオールドレンズ撮り比べでは、こちらもオリンパスOM用レンズの90mm F2の作例をフィルムカメラとミラーレス一眼カメラでご紹介します。
OM用レンズのなかでも銘玉として知られるレンズ。
ぜひご覧ください。
[オールドレンズ撮り比べ7] OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2は最高・銘玉と呼ぶにふさわしい逸品
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どこでも持ち歩ける相棒です。
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