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フィルムカメラの基本的な使い方まとめ フィルム装填から撮影まで

フィルムカメラの使い方

いま新しく始める方が増えているフィルムカメラ。
これから初めて使うとき、本当に自分でも写真が撮れるのか心配になるかもしれません。

でも大丈夫。
フィルムカメラはコツさえ覚えれば簡単に使いこなすことができますよ。
また、フィルムカメラの操作方法はどのカメラもほとんど共通しているので、一度だけ覚えればOKです。

この記事ではマニュアル操作のフィルムカメラに共通する基本的な使い方を紹介します。

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フィルムカメラの使い方

フィルムカメラ最大の魅力は、フィルムカメラを自分で操作して心のこもった写真を撮れること。
ダイヤルやリングを回してシャッター速度や絞り、ピントを合わせて写真を撮る。
写真を撮っている実感が深まる幸せな瞬間です。

実は、フィルムカメラは思っているより簡単に使える道具です。

それも当然。
フィルムカメラしかなかった時代には、老若男女、みんなフィルムで写真を撮っていたのです。

フィルムカメラの撮影で覚えること

コツさえ覚えればフィルムカメラの使い方はとても簡単です。

覚えるのは、以下のような点だけ。

■フィルムの入れ方
■ピントの合わせ方
■絞りとシャッター速度の設定
■フィルムの取り出し方

この4つのポイントは、すべてのフィルムカメラに共通していること。
基本さえ覚えれば、あとはどんなフィルムカメラでも、すぐに使い方を理解することができますよ。

それでは具体的に使い方について見ていきましょう。

本記事では例として、Nikon F3を使って解説します。

Nikon F3 アイレベル

1.フィルムの入れ方

まずフィルムを入れます。

フィルムカメラを初めて購入した場合、使うフィルムは35mmフィルムと120フィルムのどちらかです。

35mmフィルムと120フィルム

35mmフィルムを主に使うカメラ:一眼レフ、レンジファインダー、コンパクトカメラ
120フィルムを主に使うカメラ:二眼レフ
※例外もあるので購入時に使用フィルムを確認しましょう!

この記事で使っているNikon F3は、35mmフィルムを使うカメラです。

フィルムについては以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。

裏蓋を開く

まず、フィルムを入れるために裏蓋を開きます

裏蓋を開くとき、もし前回使ったフィルムが巻き戻さず入れっぱなしだと、感光してだめになってしまいます。
あらかじめ、前回のフィルムが取り出し済みか確認しましょう。
(巻き戻しクランクを回してみるか、裏蓋のフィルム覗き窓を見るとわかります)

裏蓋を開く方法には数種類あります。
このNikon F3の場合、巻き戻しクランクを上に引っ張ることで開きます。

裏蓋を開ける

他にも、カメラボディ側面にある開閉ロックをスライドしたり、開閉ノブを回すなどの方式もあります。

注意!
裏蓋をあけたときにボディ中央にあるシャッターには、絶対に触らないようにしましょう。
故障の原因になります。

フィルムをフィルム室に入れる

フィルムカメラの裏蓋を開くと、左側か右側にフィルムを入れるスペースがあります
Nikon F3の場合は左側です。

フィルムを入れる

その部分にフィルムを入れて、巻き戻しクランクを元に戻します。

フィルムを巻き上げ軸に挿入する

フィルムを引き出して、右側の巻き上げ軸に差し込みます

差し込んだら、裏蓋を開けたまま一度だけ巻き上げて、正常にフィルムが送られているか目で見て確認しましょう

重要!
ここでフィルムがうまく差し込まれていないと、巻き上げに失敗して写真を撮ることができません。
しっかりと巻き上げられることを確認してから裏蓋を閉じましょう。

裏蓋を閉じる

問題ないようでしたら裏蓋を閉じます。

空シャッターを切る

裏蓋を閉じたら、フィルムカウンターが0になるまで数回、空シャッターを切ります

空シャッターを切る

これでフィルム装填は完了です。

2.ピントの合わせ方

フィルムカメラの使い方がデジタルカメラと大きく違う点に、ピントを自分で合わせるというところがあります。

もちろんデジタル一眼カメラでもマニュアルフォーカスは可能。
ですがオートフォーカスしか使ったことがない方が多いのではないでしょうか。
フィルムカメラでマニュアルフォーカスの使い方に慣れると、デジタルでもマニュアルでピントを合わせることができるようになりますよ。

ピントリングを回す

フィルムカメラのピントは、レンズのピントリングを回して合わせます。

ピントリング

ピントリング

この記事で例にしているニコンF3のような一眼レフカメラでは、ファインダーを覗きながらピントリングを回すと、ボケていた映像のピントが合ってきます

ピンボケ

ピントが合っている

また、ライカなどのレンジファインダーカメラでは、ファインダー中央にある「二重像」がぴったり合うと、ピントも合った状態になります

二重像

レンジファインダーカメラについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

3.絞りとシャッター速度の設定

フィルムカメラの使い方で重要なのが、自分で絞りとシャッター速度を設定して、露出を決めること。

露出とは:
フィルムにどれだけの量の光をあてるのか、ということ。

露出は、絞りとシャッター速度という2つのダイヤルを回して設定します。

多くのフィルムカメラには露出計が内蔵されています。
露出計とは、適切な絞りとシャッター速度を示してくれるメーターのこと。
基本的には、この露出計を使って露出を合わせることになります。

絞りの合わせ方

絞りとは、レンズを通ってきた光を、どれくらいの「量」取り込むのか決める部分。

レンズを覗き込むと、人間の黒目のような部品が見えると思います。
これが絞りです。

New Nikkor 50/1.4
ガラスの中にある黒い部品が「絞り」

絞りの操作は、多くのカメラではレンズについている絞りリングを回して行います。
このNikon F3をはじめとする一眼レフでは、レンズの根本についていることが多いです。

絞りリング

絞りリングの場所
レンズの根本:ニコン、キヤノン、ペンタックスなど大半のマニュアル一眼レフ
レンズの先端:オリンパスの一眼レフ
※交換レンズによって異なる場合もあります。

絞りリングには、F1.4、F2、F2.8、F4 〜 F16、F22というように数字が刻まれています。

この数字は、数が小さいほど多くの光を取り込み、数が大きいと少しの光しか取り込まないようになっています。

絞りの数字

絞りの概念

明るい場所:絞りの数字を大きくする(F2、F2.8、F4、F5.6など)
暗い場所:絞りの数字を小さくする(F11、F16、F22など)

と覚えましょう。

ポイント
絞りはピントの合う範囲を決めるのにも使います。
数字が小さいほど背景がボケた写真が、数字が大きいほど広い範囲にピントが合った写真が撮影できます。

背景がボケた写真
背景がボケた写真

遠くまでピントが合った写真
遠くまでピントが合った写真

絞りを少しずつ変えると、下の画像のように写り方が変化しているのがわかります。

絞り値ごとの変化

※上の作例:撮影 雨樹一期 使用レンズ OM ZUiko 50mm F1.4 作例記事はこちら

シャッター速度(露光時間)を合わせる

シャッター速度(露光時間)を合わせるには、シャッターダイヤルを操作します。

Nikon F3の場合、ボディの上にシャッターダイヤルがついています。

シャッターダイヤル

シャッターダイヤルの場所
ボディの上部:ニコン、キヤノン、ペンタックス、ライカなど多くのカメラ
レンズの根本:オリンパスの一眼レフ
レンズの先端:1970年代以前のコンパクトカメラ
※交換レンズによって異なる場合もあります。

シャッターダイヤルの数字の意味は、フィルムに光をあてる「時間」。

1000と書いてあれば1/1000秒、125と書いてあれば、1/125秒、8と書いてあれば1/8秒、光を取り込みます。

シャッターの概念

※1秒以上の長時間シャッターが搭載されている場合、2秒と1/2秒、4秒と1/4秒の間違いには注意しましょう。

シャッター速度には、実は露出だけでなく、もう1つの重要な意味があります。
それが、手ブレを防止するということです。

シャッター速度が遅すぎると、フィルムに露光している間にカメラが動いて、手ブレした写真になってしまいます。

そこで、シャッター速度を設定するときは、基本的には1/125秒以上の速い(露光時間が短い)シャッター速度にするのがおすすめです。

ポイント
手ブレを防ぐには「焦点距離分の1」のシャッター速度にするとよいといわれています。
50mmレンズなら1/60秒以上、100mmレンズなら1/125秒以上ということになりますが、実際には余裕を持って、さらに速いシャッター速度にするのがおすすめです。
暗くてシャッター速度が1/30秒、1/15秒、1/8秒など遅くなってしまうときは、三脚を使うようにしましょう。

絞りとシャッター速度の関係

絞りリングとシャッターダイヤルの2つを回して、露出を適正に合わせます。

絞りとシャッターの値には関連性があります。

絞り:光を取り込む「量」を変える
シャッター:光を取り込む「時間」を変える

よく例えられるのが水の流れです。
水をバケツに汲むとき、同じ量の水でも、水道管の太さによって汲む時間が変わってきます。

水道管が太い(絞りの数字が小さい)ときは、短い時間(シャッター速度が速い)でバケツが一杯になる。
水道管が細い(絞りの数字が大きい)と、バケツが一杯になるのに時間がかかる。

これが絞りとシャッター速度の関係です。

そのため、例えば以下のようなとき、フィルムにあたる光の量は同じになります。

絞りF2.8 シャッター速度1/1000秒
絞りF16 シャッター速度1/30秒

シャッター速度と絞りの相関性

露出計を使って合わせる

絞りとシャッター速度の関係だけ見ると、最初は難しいように思えてしまいますよね。
でも大丈夫。

露出計を使えば、数字を意識しなくても適正露出に合わせることができますよ。

おすすめの使い方は、まずシャッター速度を設定することです。

シャッター速度を、まず1/125秒か1/250秒に設定しましょう。

これで手ブレの心配はなくなります。

次に、ファインダーのなかの表示が適正露出を示すように、絞りリングを回します
これだけでOKです。

ファインダー内の露出計の表示は、カメラの機種によって使い方が大きく異なります。

Nikon F3の場合は、ファインダー左上の液晶画面に、露出が多すぎる(オーバー)のときは+が、少なすぎる(アンダー)のときは-が。
適正露出のときは+と-が両方表示されます。

マニュアル露出時のファインダー表示

他のカメラで多い方式として、
露出計の針を中央に合わせる
露出計の針をファインダー脇のシャッター速度表示に合わせる
LEDの表示を適正露出に合わせる

といったものがあります。

露出計の針を中央に合わせる

露出計の針を中央に合わせる

露出計の針をファインダー脇のシャッター速度表示に合わせる

露出計の針をファインダー脇のシャッター速度表示に合わせる

LEDの表示を適正露出に合わせる

LEDの表示を適正露出に合わせる

このようにして、ピントと露出が合ったらシャッターを切って撮影しましょう

露出計がないカメラでは

古いフィルムカメラには、露出計が内蔵されていないものがあります。
そのような場合には、「単体露出計」か、スマホの「露出計アプリ」を使いましょう

【単体露出計の例】

露出計について詳しくは以下の記事で解説しています。

4.フィルムの取り出し方

1本のフィルムでは、35mmフィルムの場合24〜36枚の撮影が可能です。

フィルムを使い切ると、巻き上げレバーが重くなって、それ以上巻き上げられなくなります。
フィルムが終わったサインなので、巻き戻してフィルムを取り出しましょう。

フィルムを巻き戻すには、まず、巻き戻しボタンを押して、カメラを巻き戻し状態にします

巻き戻しボタンは、ほとんどのカメラではボディの下面についています。

巻き戻しボタン

巻き戻しボタンを押したら、巻き戻しクランクを回して、フィルムを巻き取っていきます

巻き戻しクランクでフィルムを巻き戻す

巻き戻し終わると、巻き戻しクランクが急に軽くなります。
これで巻き戻しが完了です。
余裕をもって、巻き戻しクランクが軽くなった後も多目に回しておくのがおすすめです。

あとは、フィルムを入れたときと同じように裏蓋を開けて、フィルムを取り出すだけです。

裏蓋を開ける

これでフィルムカメラの撮影は完了です。

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フィルムカメラの使い方は一度覚えたら忘れない

フィルムカメラの使い方で難しいのは、絞りとシャッター速度の設定だと思います。
逆にいえば、その部分の使い方さえ覚えれば、もう怖いものはありません。

この記事で紹介したフィルムカメラの使い方はすべてのカメラに共通しているので、一度覚えれば、どんなカメラでも使うことができるようになりますよ。
ぜひあなたも、フィルムカメラを使って、使い方を覚えてみませんか?

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更新履歴

2022年9月26日

作例画像を差し替え、解説画像を追加。

著者紹介: サンライズカメラ スタッフ

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