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[オールドレンズ探訪記] 唯一無二の描写!ニコン全盛期前夜のNikon Nikkor-Q 13.5cm F3.5 Sマウントの写りに絶句した…

唯一無二の描写 Nikon Nikkor-Q 13.5cm F3.5 作例・解説【オールドレンズ探訪記】

こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。さまざまな中古レンズをミラーレス一眼カメラで撮影して作例をご紹介していくコーナー「オールドレンズ探訪記」

今回ご紹介するのは日本光学のNikon Sマウントレンジファインダーカメラ用レンズ、「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」になります。
中望遠のオールドレンズは何度か撮影したことがあり、コラムにもなりましたが、135mmの望遠ははじめて。どんな描写なのか、楽しみです。

ちなみに同じレンズNikon S用の「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」を使用して、レンジファインダーのフィルムカメラ「Nikon S3」でも作例を撮影中。また撮り終わりましたら公開いたします。
「Nikon S3」では、「Nikkor-S 5cm F1.4」でも作例を撮影しています。

【オールドレンズ探訪記 前回の記事はこちら】

【オールドレンズ探訪記】TAYLOR-HOBSON Cooke Kinetal 75mm T2.8 F2.6は晴れた日に持ち出したくなるシネレンズだった

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Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5について

Nikkor-Q 13.5cm F3.5

焦点距離は135mm、開放はF3.5。最短撮影距離は約5フィートなので、約1.5mになります。
今時のレンズではなかなかみない細長さ。

「ニコンSマウント」のレンズですが、マウントアダプターはContax レンジファインダーカメラ用(外爪用)を使用しました。

※ミラーレス一眼カメラ用のマウントアダプターについては、この記事の後半で詳しく解説しています!

Nikkor-Q 13.5cm F3.5 無限遠時

ピントリングを回して距離を∞(無限遠)、一番短い状態にするとこんな感じ。
それでも、SONY α7よりも長いですね。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5 最短撮影距離時

最短撮影距離距離にするとこれくらいのサイズ感です。

マウントアダプターで取り付けたところ

マウントアダプターでSONY 初代α7に装着するとこんな感じ。んー、長い。重たくはないけど、カバンの中で少しかさばりますね。

焦点距離も考えると、いつもカバンに忍ばせておくレンズではないです、僕はいつも外出するときはカメラを一台持っていきますが、オールドレンズにつけるのはだいたい50mmの標準レンズです。

ただ、その望遠が役立つシーンや、持ってきたら良かったーーって悔やむこともあるんですよね。

てことで、持ち出し率が悪くいつもよりも撮影に時間がかかりましたが、作例いってみましょう。

 

Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5の作例

Nikkor-Q 13.5cm F3.5+ミラーレス一眼カメラで撮影した作例です。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5をα7に取り付けたところ

今回も作例の撮影にはミラーレス一眼カメラのボディはSONY α7を使用。
SONY α7 III も持っていますが、オールドレンズと使用する際はSONY α7を使っています。

中古価格が安いのでフルサイズミラーレス入門にもおすすめのボディです。

今回のレンズ、Nikon S用の「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」では最初、なかなか上手く撮れないなーっと悩みながら撮影していました。
でも慣れてくるとレンズの癖も分かってきて、徐々に好きになりました。

作例写真は時系列で掲載していきます。

Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5 はふわっと緩めな描写

開放でのポートレート作例

まずは開放で撮影した作例から。
カメラのホワイトバランスはオートです。SONY α7でのクリエイティブスタイルもスタンダード。特に設定はいじってない状態ですね。撮影後の編集もしていません。

だからこそ、レンズごとの違いが分かります。
色のノリ、コントラスト、シャープ感。撮った瞬間「このレンズはすげー」って、思うことがあるんですよね。

開放でのポートレート作例

Nikkor-Q 13.5cm F3.5は逆のパターン。シャープなキレ味はありませんでした(笑)。コントラストも弱めで、鮮やかでもありません。

薄い光のベールがかかってるような光がふわーっとした描写。

少し絞った作例

F8での作例

F8での作例

絞り値をF8で撮影。んー、カリッとした感じもあまりないですね。
遠くの景色を撮るのにはやや不向きかもしれません。

ふたたび絞りを開け気味で

絞り開き気味の作例

足元に咲いていた小さな花を撮影。こちらの方がカリッとしてる気がします。

絞り開き気味の作例

ニャンコを撮る娘。この写真もうっすら光のベールが。いわゆる、眠たい写真になりがちな描写。

絞り開き気味の作例

木の上で寝ていたニャンコ。これは望遠じゃないと撮れない一枚ですね。玉ボケもやわらかい描写と合ってます。
緩い描写ってのは良くも悪くも、ですね。

ここが中古レンズ、オールドレンズの面白さでもありますから。

絞り開き気味の作例

別のニャンコ。近づいて撮影。これまでで一番パリッとした感じが。

絞り開き気味の作例

さらに近づいて撮影してみました。

撮影距離が近いほうがシャープ?

なるほど、Nikkor-Q 13.5cm F3.5は近い距離の方が描写がシャープになりますね。望遠レンズだけど、近くを撮る用として使用する方が相性が良いです。

望遠レンズって、初心者の方からすると遠くを撮るイメージが強いですが、ボケを楽しむレンズでもあります。
焦点距離が長くなるほど、同じ絞り値でもボケ味は強くなりますから。

近距離の作例
ある程度、被写体に近づいて撮るとシャープな絵になります。猫なら全身入れてもいいですが、人を撮るならバストアップくらいが良いのかな。

近距離の作例

前ボケを入れて撮影した作例です。だんだん使い方にも慣れてきました。

近距離の作例

レタッチでコントラスト・彩度を上げ気味の作例

ここからの作例は少し編集で、コントラストを強めて、彩度をあげて鮮やかにしています。

コントラスト・彩度高めの作例

コントラスト・彩度高めの作例

編集することで写真がぐっと引き締まりました。いまの写真世界は編集ありきですからね。
ただ、できるだけ編集なしで、カメラの個性だけでいきたいのも本音です。

コントラスト・彩度高めの作例

F3.5で撮影すると背景が全てボケてしまうので、F5.6で撮影。コスモスと団地の自転車置き場。
レトロ、ノスタルジーを感じる場所とオールドレンズの組み合わせが最強です。

無編集の作例

違うアングルで、次はF3.5で撮影。こちらは編集なしです。良い感じですね。
このレンズ、光の当たり方によっては編集しないと眠たい写真になりがちですが、絶妙な光加減を見つけると映えます。

緩い描写に目がいっていましたが、このボケ感とかめっちゃ好きです。特に前ボケが。
これは感覚的なものかもしれません。でも「あー好き」って思えるボケ感ってありますよね。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5は写真が上達するオールドレンズ

逆光気味の作例

強い光はやっぱり苦手ですね。これはオールドレンズによって様々で、その弱点が一番の個性だったりもします。

「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」は、適当に撮っても虹色のゴーストが出たりするような「簡単面白オールドレンズ」ではなく、どちらかというと絵作りが難しい側のオールドレンズ。

逆光気味の作例

だからこそ、写真の上達にはオススメしたいオールドレンズでもあります。この緩さを上手く味方に付けて撮影できるようになれば、他のどんなオールドレンズでも雰囲気良く撮影が出来るようになりそうです。

望遠ならではの写真も

望遠ならではの写真も

近くで座って撮ろうとすると、ニャニャー言いながらガンガン近付いてくる懐っこいニャンコです。
それはかわいくて嬉しいのですが、「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」は望遠レンズですから(笑)。

置きピンの作例

ってことで、遠くに離れて、適当な位置にピント合わせておいて、そこに来た瞬間を撮影。

この作例のように、被写体の距離が近いほど雰囲気が良いですね。前足、ヒゲ、背景のボケが絶妙。

絞った遠景の作例

絞って遠くを撮影した作例。実際に大きな画面で見ると、シャープ感はそこまで感じないんですよね。

これはやっぱり景色より、ポートレートやお花を撮るのに適したレンズですね。

絞りを開いてニャンコ

続いて、なぜか微妙な距離でカメラ目線をしてきたニャンコ。こちらは編集でグッと引き締めています。

シャープ感もしっかりでていますね。なんだか、どんなレンズでも「編集すればええやん!」って感じもしてしまいそうです。

でもね、オールドレンズって「そんなことはない!」って思える写真も撮れるんですよね。
個性だけで撮れる唯一無二の一枚ってのに出会えるんです。

それは後ほど。

猫の作例

猫の作例

徐々に下がりながら撮影。後ろにもう1匹いますね。

ド逆光で撮影

ド逆光で撮影しました。かなりふんわりしました。
けど、なんかいい感じ?

逆光の作例

そのままの勢いでキバナコスモスも撮影。ドラマチックな一枚になりました。

逆光かつアンダーの作例

この作例は露出補正でアンダー気味(暗く)にしました。これはこれで好きかな。なんとなく、Nikkor-Q 13.5cm F3.5でも光を操れるようになってきました。

 

Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5 でしか撮れない一枚

ようやく出会えた一枚

ようやく出会えた一枚。多くのオールドレンズを使っているからこそ分かる、気付くだけかもしれませんが、これは「Nikon Nikkor-Q 13.5cm F3.5」 唯一無二の描写。

ホワイトバランスこそ変えながら撮影していますが、編集はしていません。

先ほどとは逆で、「編集せんでもええやん!」って思えます。

お気に入りの一枚

この作例もお気に入りの一枚。標準レンズじゃ撮れません。
Nikon S用の「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」の緩さ、ニャンコに吸い込まれそうなボケ感。

苦労が報われた2枚です。やっぱりオールドレンズは使ってなんぼですよね。数枚撮るだけじゃ分からない魅力を持ったレンズがたくさんあります。

「Carl Zeiss ULTRON 50mm F1.8(カール・ツァイス ウルトロン)」を使った時もよく似た感じでした。この緩い描写とかも、ちょっと似た感じ。撮れる絵は全く違うんですけどね。

【オールドレンズ探訪記】Carl Zeiss ULTRON 50mm F1.8 ツァイスなのにウルトロン!?(作例・撮影Tipsあり)

 

Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5を使ってみた感想

Nikon S用 Nikkor-Q 13.5cm F3.5

「あれ?なんか微妙かも」ってとこから撮り続けて、お気に入りに出会えた時の喜び。これもオールドレンズの楽しさなんですよね。

「Nikkor-Q 13.5cm F3.5」はそれを教えてくれると共に、写真の上達もできるオールドレンズです。

ただオールドレンズデビューの一台目としてはオススメしないです。特に望遠レンズを使い慣れてない方からすると使いづらさはあります。
やっぱりそこは標準レンズから入ってもらう方がスムーズです。1枚目から強い癖が出てくれるオールドレンズは他にもたくさんありますからね。

逆に、2台目、3台目で、望遠レンズも使ってみたいなーって方には良いですね。
中古の価格も低めだし、また別の面白さはあります。

ネットで検索してみてもあまり使ってる方がいないようなので、個人的には他の方の写真も見てみたいですね。
絶妙に楽しいレンズでした!

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Nikkor-Q 13.5cm F3.5 簡単な解説

ここからは、今回作例を撮影したオールドレンズ Nikkor-Q 13.5cm F3.5について、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが簡単に解説します。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5

Nikkor-Q 13.5cm F3.5

マウント Nikon Sマウント(L39用もあり)
構成 3群4枚
最短撮影距離 約1.5m(5 feet)
メーカー 日本光学(現ニコン)

この記事で作例をお届けしたレンズ、Nikkor-Q 13.5cm F3.5は日本光学(現在のニコン)がレンズ交換式の連動距離計カメラに供給した望遠レンズです。
135mm F3.5というスペックは単焦点の望遠レンズとしては非常にメジャーなもの。

「ニッコール千夜一夜物語」の第43夜(外部リンク)ではこのレンズの前身であるNikkor-Q・C 13.5cm F4が取り上げられていますが、その記事によればNikkor-Q 13.5cm F3.5は、13.5cm F4を村上三郎氏がNikon S用に改良したもの、とのことです。

構成は3群4枚、前身の13.5cm F4とともにテレゾナータイプです。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5をマウントアダプターで使う

Nikon Sマウント

今回作例撮影に使用したNikkor-Q 13.5cm F3.5はNikon S用のため、旧Contaxレンジファインダーカメラ用のマウントアダプター(外爪専用)を使用しました。

よく知られているように、Nikon S系レンジファインダーカメラのマウントと旧Contax レンジファインダーカメラは、レンズの取り付け自体にはほぼ互換性があるものの、厳密には寸法が異なるため望遠レンズになるほど誤差が増え、実用することが難しくなります。

ですが今回のようにミラーレス一眼カメラで使用する分には、ピント合わせ自体をEVFや液晶での拡大表示で行うことになるのでとくに問題は発生しません。
本レンズをはじめ、Nikon S系用の外爪レンズをミラーレス一眼カメラで使用する場合、旧Contax用のマウントアダプターを共用してもよいといえるでしょう。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5

手軽に使うならL39マウント用もおすすめ

またNikkor-Q 13.5cm F3.5は、日本光学の自社製カメラであるNikon S系機種だけでなく、NiccaをはじめとするL39マウント(ライカマウント)のレンジファインダーカメラにも供給されていました。

ミラーレス一眼カメラでマウントアダプターで使用するなら、L39マウントの中古を選ぶのもマウントアダプターの入手性・価格ともに良好なためおすすめです。
幸い、本レンズは135mmと望遠のためL39マウントの場合でも中古価格はレンジファインダーカメラ用レンズとしては廉価な部類です。

※Nikon S用も同マウント用の中古レンズとしては価格は低めです。

フィルムカメラに取り付ける場合、連動距離計で使用するレンズとしては限界に近い焦点距離ですが、その分中古価格が安いので50mm(5cm)の次に手軽に手に入れてみるのも面白いかもしれないですね。

今回使用したミラーレス一眼カメラについて

今回の作例撮影ではSONYのミラーレス一眼カメラ、初代α7を使用しました。

Eマウント機でオールドレンズを楽しむなら――

中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。 新品でより高性能なフルサイズミラーレス機が欲しい方にはSONY α7 IIIα7 IVがおすすめです。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5で望遠オールドレンズを楽しんでみませんか?

今回はNikon S用のオールドレンズ、Nikkor-Q 13.5cm F3.5の作例を紹介しました。

望遠系の単焦点というとオールドレンズのなかでもマイナーになりがちですが、じつはさまざまな描写を楽しむことが可能。
標準系のレンズにはない光学系もさまざまに味わえます。

Nikkor-Q 13.5cm F3.5をはじめ、レンジファインダーカメラ用の中古オールドレンズをぜひ使ってみませんか?

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どこでも持ち歩ける相棒です。
著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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