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[フィルムカメラぶらり撮影散歩13] FUJIFILM GW690 II Professionalが魅力的すぎて手放せない理由

感動を与えてくれる中判カメラFUJIFILM GW690 II Professional [フィルムカメラぶらり撮影散歩13]

こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。

今回の【フィルムカメラぶらり撮影散歩】は久しぶりに中判の中古フィルムカメラ。
作例をご紹介するのはレンジファインダーの中判カメラ「FUJIFILM GW690 II Professional」です

年々、中判カメラが好きになってきてるのもあって、とても楽しく撮影ができました。

FUJIFILM GW690 IIの作例

いやー、良いです。好きです、この描写。
中判カメラはいろいろ使ってきましたが、フィルムの装填〜操作の面では一番使いやすかったです。

【フィルムカメラぶらり撮影散歩 前回の記事はこちら】

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FUJIFILM GW690 IIの魅力

FUJIFILM GW690 II

「FUJIFILM GW690 II」は、中判カメラのハッセルブラッドやブロニカに比べると、軽くて使いやすい、操作も簡単な中判カメラです。それでいて高画質。良いいとこ尽くしでございます。

軽いといっても重量は(レンズは固定式です)約1.5kg(笑)。僕の持ってるブロニカはレンズを取り付けると2.2kgくらいあるので、それに比べると軽く感じるだけですが。

しかも大きいのでかさばります。そんな部分は中判カメラでは当たり前ですよね。
短所に負けない高画質という長所がありますから。

 

気軽に使える中判カメラ

FUJIFILM GW690 II

冒頭でも書きましたが、フィルムの装填〜操作の面では中判カメラの中では個人的には一番使いやすかったです。
6×9サイズなので、35mmと同じ縦横比になります。スクエアの6×6に不慣れな方も多いと思います。そういった部分でもすんなりと使えるのではないかなと思います。

 

超高解像度の「EBC FUJINON 90mm F3.5」

EBC FUJINON 90mm F3.5

搭載されたレンズは、「EBC FUJINON 90mm F3.5」
最短撮影距離が1mと、もう少し寄りたい点こそありますが、高い解像度となめらかなボケを兼ね揃えています。

 

FUJIFILM GW690 IIの難点(ある意味長所!?)

難点もしっかりと書いておきます。まず、レンズの交換ができないこと。中判カメラって、撮影の際にいろんなレンズを持っていくことは少ないんですけどね。違う画角で撮ることはできないのは、少し残念な点。

※ただし、レンズシャッターのカメラなのでストロボに全速同調するのはよいですね。

続いてフルマニュアルカメラであること。絞りもシャッタースピードも自分で決める必要があるので、初心者の方だと露出を合わせるのは苦労します。
電池が必要ないことや、故障も少ないというのは嬉しいポイントですけどね。

もう一つ最大の難点があります。6×9サイズなので、120フィルム1本で撮れる枚数はたったの8枚。
コストパフォーマンス激マズです(笑)。

フィルムの価格も1,500〜2,000円くらい。そこに現像費も必要ですからね。
もう、1枚を命懸けで撮る勢い(笑)。

でもそれはきっと長所でもあります。ただ適当に撮る写真からおさらばは間違いないですから。

今回は作例よりも執筆メインなので、じっくり撮影ではないですが、本意気で持ち出すと一日撮影してもフィルム一本で終わるかもしれません。
一枚を大切に撮れるカメラ。1台は所有すべきですよね。

 

圧倒的な美しい描写

作例 圧倒的な美しい描写

これに関してはもう、作例を見て頂ければ伝わるかと思います。隅々まで美しい。撮影された場所に行きたくなる、そんな描写。

作例の撮影も終わって今更ですが、リバーサルフィルムでも撮りたかったかな。

簡単操作・レンジファインダー

レンジファインダー(連動距離計)内蔵。こちらも不慣れな方は戸惑うかもしれません。
好きな方もいますが、僕はちょっぴり苦手。ピントがなかなか合わせられず、もたもた撮影してました。慣れが必要ですね。

FUJIFILM GW690 IIの関連記事

こちらの記事でFUJIFILM GW690 についてより詳しく解説しています。

FUJIFILM(富士フイルム)GW690 IIで撮影した作例

それでは、FUJIFILM GW690 IIのEBC FUJINON 90mm F3.5がどんな描写なのか、撮影した作例を見ていきましょう!

FUJICOLOR PRO160Sで撮影した作例

まずは富士フイルムのFUJICOLOR PRO160Sのフィルムを使っての作例から。少し期限が切れてるフィルムを冷蔵庫で保存していたもので、色味に少し劣化はあるかもしれませんが、基本的に富士フィルムは優秀。劣化がほんと少ないです。

色味はナチュラルで、赤や黄色の被りは少ないです。

FUJICOLOR PRO160Sで撮影

はい、見て。この高画質。う、美しい。

PENTAX 67(バケペン)を使った時にも思ったけど、真四角ではない中判カメラって魅力的。
6×9サイズの中判カメラってはじめて使いましたが、ハナミヅキの花、手前ボケ、空の広がりまで写し込めちゃいますから。

絞りは開放のF3.5で撮影しています。

FUJICOLOR PRO160Sで撮影

こちらの作例は絞り値はF8で撮影。
ネット用のサイズでは少し分かり辛いかもしれませんが、めっちゃシャープです。

FUJICOLOR PRO160Sで撮影

ピントやや外しの、露出もややズレ(笑)。

失敗写真ではあるんですが、フィルムの失敗写真って不思議なほぼ魅力的。「狙って淡く撮ってみました!」って言ってもバレなさそう(笑)。

FUJICOLOR PRO160Sで撮影

いつものごとく、娘を引っ張り出して撮影しています。

連載初期の頃から約4年。ずっとモデル役をやってもらっています。いつまで撮影に付き合ってくれるのか、心配で夜も眠れません(笑)。

FUJICOLOR PRO160Sで撮影

こちらの作例は試し撮りの一枚目。猫ちゃんまでの距離感だとピント合わせって辛いですよね。
手前の猫ちゃんに合わせたはずが、後ろの子に合ってます。

とりあえずフィルム1本使って思ったのは、画質はいいけど、淡さもあるってこと。シャープだけとふわっと感もあります。
フィルムの色味もあって、描写が柔らかいんですよね。

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Kodak Ektar100で撮影した作例

続いての作例はKodak Ektar 100(コダック エクター100)を使用しました。
2022年現在、少し価格は高めなものの期限内のものが購入可能なようです。

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世界最高の粒状性を持つフィルム。コントラストも強く、鮮やかクッキリした描写。フィルムっぽさはやや薄れて硬めな描写になります。
赤〜黄色かぶりで、レトロ感は出ます。

Kodak Ektar100で撮影

どうでしょ。このエモさって、まさにフィルムの味わいですよね。もうエモいって言わなくなってるのかな?
フィルムの色味もいいですね。

Kodak Ektar100で撮影

作例の撮影場所もフィルムと相性の良さそうな場所を探しています。
レトロな公園、キレイじゃないほどフィルムとの相性が良いです(笑)。

Kodak Ektar100で撮影

田舎とフィルムの相性は抜群。が、子供にピント合わせたつもりがボケちゃいました。
この距離の被写体にピント合わせるのは少し難しいですね。

でも、背景の山はめっちゃシャープです。

↓ 山の部分を拡大した画像

Kodak Ektar100で撮影

35mmのカメラとは明らかに描写力が違いますね。

Kodak Ektar100で撮影

フィルム1本で8枚しか撮れないのに、ピント外してしもうた写真が盛りだくさん。

レンジファインダーカメラってやっぱり僕は苦手で。どうしてもピントを外してしまう写真が数枚でちゃう。
でもこの激マズのコスパですからね。動くものとか狙うのはなかなかキツイかな。

Kodak Ektar100で撮影

Kodak Ektar100で撮影

うん。やっぱり好きだなぁ。この雰囲気。
僕はデジタルカメラだけでは生きていけないってことを再確認させられます。

Kodak Ektar100で撮影

Kodak Ektar100で撮影

てことでEktar100で撮った写真、8枚全部掲載しました。

 

Kodak GOLD200で撮影した作例

続いての作例は、Kodakの120フィルム、GOLD200です。

2022年になり新たに登場した中判のカラーネガフィルム。
現行品の中では価格も相対的に安く、温かみのある、ノスタルジーな描写。コダックのフィルムは赤〜黄色被りですね。
上で作例を紹介したFUJIFILM PRO160NSはすでにディスコンなので、常用フィルムとしてもおすすめ。

温かみのある暖色系、レトロ系が好きならコダックですね。

Kodak GOLD200で撮影

フィルム3本目にして、ようやくピントを合わせれるようになってきました。
シャープな描写ばかりに注目してましたが、「FUJINON 90mm F3.5」のボケ感も良いですね。

Kodak GOLD200で撮影

続いて前ボケ。カリッとからふわっとまで、「FUJINON 90mm F3.5」は器用なレンズです。

Kodak GOLD200で撮影

Kodak GOLD200で撮影

レンジファインダーでのピント合わせについては慣れれば大丈夫そうでした。

はじめて使う時は、慎重にじっくりと、止まっている被写体からがオススメですね。

Kodak GOLD200で撮影

こちらの作例のように、F16まで絞って撮影すれば遠くの背景までカリカリです。風景からポートレートまで幅広く使っていただけますね。

Kodak GOLD200で撮影

高画質なのに柔らかい描写。中判カメラ最強です。どれだけ高性能なデジタルカメラが出ようが、敵いません。
まだ使ったことない方は、レンタルでもなんでも良いので一度は体験してみてほしいですね。

もぅ、感動ですから。

 

FUJIFILM (富士フイルム) GW690 II Professional / FUJINON 90mm F3.5で撮ってみた感想

FUJIFILM GW690 II

作例を見て頂ければ分かるように、とにかく圧倒的な画質。描写の硬さはフィルムの描写が和らげてくれています。
これまでに使ってきた中判カメラの中では、一番操作が簡単でした。35mmのフィルムカメラに近い感覚で操作ができます。
6×9サイズなので、35mmと縦横が同じ比率。ポートレート撮影としても扱いやすいですよね。
たしかにこれは、集合写真なんかには最適ですね。

レンジファインダーなので、慣れてない方はピント合わせに苦労するかもしれませんが、それもはじめだけでした。
慣れれば案外使いやすいです。

フィルム1本で8枚しか撮れないという、価格面でコスパの悪さはあるけど、1枚を大切に撮ることもあって、失敗写真は格段に減ります。
この1枚を大切に、というのがポイントですね。被写体と向かい合う時間が長くなる。

ステキを探すアンテナも、精度があがります。
どうしてこれを撮ったのか?それがより明確になると思います。

そうやって大切に撮った1枚は、これまでにない感動を与えてくれるのは間違いありません。

フィルムカメラぶらり撮影散歩 中判カメラの作例記事はこちら

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FUJIFILM GW690 II 簡単な解説

ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、FUJIFILM GW690 II Professionalについて簡単に解説します。

FUJIFILM GW690 II Professional

FUJIFILM GW690 II Professional

形式 中判レンジファインダーカメラ
シャッター コパル #0 レンズシャッター
機械式
T、1秒〜1/500秒
レンズ EBC FUJINON 90mm F3.5
露出計 なし
AE なし
ファインダー 採光式ブライトフレーム
レンジファインダー
パララックス自動補正
倍率92%
0.75倍
電池 不要
発売年 1978年(GW690)
1985年(GW690II)
1992年(GW690III)
相場 9万-12万円(2024年2月現在)

参考文献:『最新 中判カメラマニュアル』 2001年、玄光社、p.166

FUJIFILM(富士写真フイルム/富士フイルム)GW690 II Professional69判の中判カメラ。
GW690、GW690 II、GW690 IIIと三代にわたってリニューアルされたシリーズのうち、二番目に登場した機種です。
発売は1985年。

このFUJIFILM GW690シリーズは、正式名称のProfessionalという単語に違わず、プロのカメラマンが仕事に使うために開発された機種。
本機以前に同様の需要向けに販売されたG690やGL690同様、営業写真(写真館や集合写真など)のユーザーがメインターゲットだったようです。
とくに、学校や観光地などの集合写真では多用されたようですね。

69判は120フィルム、いわゆるブローニーの本来の規格で、横約84mm x 縦約56mmの大画面。

FUJIFILM GW690 II Professional

本機がこのような画面サイズになっているのは、フィルムの面積が大画面であるほうが画質が良くなることがひとつ。
そして、アスペクト比3:2の横長さが集合写真に向いていることも理由のひとつだと思われます。

一定以上の世代の方は、きっとGW690シリーズで撮影された集合写真に写ったことがあるはずです。

このGW690 IIもそうですが、各機種とも非常に評判の良いEBC(エレクトリック・ビーム・コーティング)が施されたEBC FUJINON 90mm F3.5を装着。
中判カメラのなかでもかなり良好な描写を得ることが可能です。

手持ちでも使えるモダンな69判カメラ

本来は営業用に開発されたカメラですが、GW690 IIをはじめとするGW690シリーズは、スナップや風景をはじめ作品制作にももちろんおすすめです。
むしろ2020年代の現在では、中判カメラの大画面を味わうのに最適な中古中判カメラのひとつだといえるのではないでしょうか。

状態にもよりますが、けっして製造台数が少ないカメラではないので初代からGW690 IIIまで探せば中古は見つかるはず。
各部も機械式なので、中古を整備して使い続けることも可能でしょう。

ブライトフレームのついた連動距離計、信頼ある国産レンズシャッターなど各部のつくりも非常に良好

FUJIFILM GW690 II Professional

ほかに69判の中古カメラの選択肢というと、マミヤプレスやスーパーイコンタあたりが比較対象になるかと思いますが、GW690 IIをはじめとするGW 690シリーズのモダンさは際立っています。
以前は中古価格が安かったマミヤプレスも価格が値上がりしている昨今。
67判に比べて69判の中古カメラ自体選択肢が少ないので、GW690シリーズの中古の出物があったら手に入れるのがおすすめです。

新たにフィルムカメラを始めたユーザーの方の間では、中判や大判の大画面が人気を集めています。
ぜひあなたも、69判のポジを楽しんでみませんか?

FUJIFILM GW690 IIで使えるフィルム・用品

FUJIFILM GW690 IIやGW690シリーズで撮影を楽しむなら、こちらのフィルムや用品がおすすめです。

120フィルム

中判カメラで使う120フィルムは、以下のものがおすすめです。
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ポジフィルム(リバーサルフィルム)で撮影するなら、富士フイルムのPROVIA 100Fが定番です。

露出計

GW690 IIをはじめGWシリーズには露出計がありません。もし露出を自分の目で測るのが難しい人には露出計がオススメです。

露出計のないフィルムカメラの使用にあたっては、アクセサリーシューに取り付けられる露出計を使用するのがおすすめです。 中国製の小型クリップオン露出計としては以下のものが。 日本のセコニックの定番露出計としては以下のものが。
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それぞれおすすめです。

GW690シリーズで69判の大画面を楽しんでみませんか?

今回作例をご紹介したFUJIFILM GW690 II Professionalは、120フィルムのなかでもとくに大画面が楽しめる69判のフィルムカメラであることが最大の魅力。
さらに大画面のフィルムカメラとしては大判もありますが、ロールフィルムの軽快さは大判カメラにはない利点です。

大画面と取り回しの良さ、双方を兼ね備えたバランスの良い中判レンジファインダーカメラ。
あなただけの作品づくりにぜひおすすめしたい中古フィルムカメラです。

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著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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