[オールドレンズ探訪記] Industar-22(インダスター) 50mm F3.5を使って光のゴーストシャワーを手に入れよう!(作例・撮影Tipsあり)
こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。前回はキレ味鋭いライカのレンズLeica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8の作例ご紹介しましたが、今回はかなりのくせ者レンズIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)のご紹介です。
たくさんレンズを使うほど、レンズごとの違いや個性がより分かるようになってきますね。
上記の写真の通り、すんごいゴースト。Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)は僕の好みでした。
やっぱ旧ソ連のオールドレンズは面白いっ!!このレンズ欲っしいなぁ。
【前回の記事はこちら】
[オールドレンズ探訪記] Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8のキレ味と発色の良さに惚れた(作例・撮影Tipsあり)
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)について
まずは、今回作例を撮影したIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)について簡単な紹介です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)とは
外観はライカの「エルマーF3.5」に似ていますね。これも沈胴レンズなので、レンズの前面を出した状態で取り付けて撮影をします。
レンズを沈めた状態だと撮影ができませんし、ミラーレス一眼カメラ内部の撮像素子(イメージセンサー)を傷付けてしまうかもしれないので、ご注意下さい。
ピントを最短にしておけば、イメージセンサーにはぶつかりませんが、無限遠だとぶつかるようです。
うっかりということもあるので、沈胴はさせないのが無難。とはいえ、持ち運びを考えると撮影時以外はピントを最短にしておいて沈胴がいいのかな。
※サンライズカメラ スタッフ注:Industar-22のような沈胴レンズは安全のため基本的に、ミラーレス一眼カメラ+マウントアダプターでの撮影の際は、パーマセルテープなどを巻いて、物理的に沈胴できないようにしておくのがおすすめです。
JUPITER-8(ジュピター) 5cm F2と同じ、L39マウント(ライカスクリューマウント)となりますね。このレンズの描写も好きだったし、Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)はまた違う個性が爆発していたので、L39マウント(ライカスクリューマウント)のオールドレンズ粒ぞろいですね。
使用したマウントアダプターはこちら。
ではでは早速作例にいってみましょう!
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)の作例紹介
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)+ミラーレス一眼カメラで撮影した作例です。
ミラーレス一眼カメラは、今回もSONY α7を使用しました。
なかなかのシャープな描写。色乗りもよい
はじめてのオールドレンズを使う時は、とりあえず開放で撮影してみます。Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)は開放がF3.5、しかも最短撮影距離が1m。
あまり近寄れないので、ボケは弱いですね。
曇天の日に撮影した作例ですが、ピントの甘さは感じませんね。
次はお天気の日の作例写真。F8で撮影しましたが、描写はシャープ。このサイズだと分かりませんが、鳥居に書かれた「櫻井神社」という文字もカリカリでした。
周辺光量落ちは少しありますね。この作例でも写真の四隅の光量が落ちているのが分かります。
オールドレンズの中ではなかなかシャープな部類に入るかな。
現代のミラーレス一眼カメラ用のレンズと比べるとこれでもピントは甘いですが、オールドレンズとして楽しむなら、ここまで撮れれば充分です。
また別の日に撮影。猫が寄ってきたのでちょっとモデルになってもらいました。
天気は晴れ時々曇り。
この作例では絞りは開放ですが、曇天の日の写真の方がシャープなような気が……。
日差しが少し強くなると、またシャープになったような気が(笑)。
なかなか掴み所が難しいレンズだけど、色のノリは良いので、あっさりした、眠たい写真にはなりませんね。
階調が滑らかなので、撮り方によっては少しふわっとするみたいですね。
目には見えない、薄い光のベールに包まれるかのよう。
旧ソ連で作られたレンズ特有の個性が出ていますね。これだからオールドレンズは面白い。
JUPITER-8(ジュピター) 5cm F2と同じ場所で比べてみた
どちらが好きですか?
1枚目の作例がIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)で2枚目の作例がJUPITER-8(ジュピター) 5cm F2です。どちらもjpg撮って出しになります。
似ているようで、別物。僕はJUPITER-8(ジュピター) 5cm F2の優しい陽だまり感が好きですね。
MC JUPITER-9(ジュピター) 85mm F2 と同じ場所で比べてみた
焦点距離は異なりますが、旧ソ連時代に作られたJupiter-9で撮影した作例と比べてみます。
1枚目がIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)で2枚目がMC JUPITER-9(インダスター) 85mm F2 です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)の玉ボケはレモン型で、あまりキレイではないですね。
ボケ具合も玉ボケも、圧倒的にMC JUPITER-9(インダスター) 85mm F2がキレイです。
でもね、この結果は相手の長所と比べたからです。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)が面白いと感じたのはこれじゃないんです。
降り注ぎまくるゴーストを、自分好みに調整できることなんです。
撮影Tips「降り注ぐ光のシャワー」で絵作りをしよう
どうですか?他のオールドレンズでここまで写真全体にゴーストが出ることってないですよね。
それでいて、被写体が潰れすぎることもありません。
やっぱりオールドレンズを楽しむには、光が必要なんですね。
ピントは合っていませんが、雰囲気だけはなかなか。いやー、面白いぞ。
さらに面白いのが、光の加減でシャワーの注ぎ方が変わってくることなんです。
この作例はブランコの下に、虹色ゴーストのラインが出ていますね。
ちょっとアングルを変えると、また全体に降り注ぎました。
光を直接入れると、なぜかゴーストが消えました。
これを上手く調整すると、部分的にゴーストシャワーを入れることも可能なんです。
どうですこれ?やばいでしょ。ほんの微調整でゴーストの範囲や全体的な柔らかさが変わってくるんです。
もう、絵作りが楽し過ぎました。
ゴーストも品が良く見えてきます。
この作例はまるで雨が降っているみたい。
太陽からゴーストが降り注ぐなら右上から左下になるはずなのに、レンズの中でいろいろ反射したからなのか、左上から右下に注いでいますね。
逆光でもゴーストが出ないように撮ると、突然シャープになります。不思議なレンズ。
太陽の入れ具合でここまで表情が変わるレンズはなかなかありませんね。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)を使用してみた感想
正直はじめは、最短撮影距離が1mだから被写体に寄って撮影ができないし、絞りが開放でもF3.5だし、絵作りが制限されて難しいなーと思っていましたが、むしろ逆のレンズでしたね。
これまでは「PENTAX Super Takumar 55mm F1.8」のような虹色の輪っかゴーストが好みでしたが、これにはすっかりやられちゃいました。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)は欲しいというか、僕に必要なオールドレンズなのかもしれない。
初心者の方にとっても、この描写が好きならはじめの一台としてもありかもしれません。安価なのもポイント。
ただ、ボケを楽しむレンズではないですけどね。
オールドレンズは状況によって使い分けると、本当に無限大に楽しめますよね。
いろんな種類を使えば使うほど沼にはまっちゃいます。
また、面白いレンズに出会っちゃいました!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)簡単な解説
ここからは中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)について簡単に解説します。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)
マウント | L39マウント(ライカスクリューマウント) |
構成 | 3群4枚 |
メーカー | 旧ソ連製 |
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)は、旧ソ連製のレンズ。俗にいうロシアレンズです。
マウントはL39マウント(ライカスクリューマウント)で、Fed(フェド)やZorki(ゾルキー)といったレンズ交換式の連動距離計カメラのためのレンズでした。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)の特徴は沈胴レンズであるということ。
旧ソ連製レンズならではのお手軽な中古価格で、コンパクトかつクラシック感抜群の沈胴レンズが味わえるということで、さまざまなIndustar(インダスター)銘のレンズの中でも人気が高い一本です。
ちなみに、Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)は旧ソ連崩壊後にさかんに作られたフェイクライカの交換レンズの改造元としても用いられています。
銘板がライカのElmar 5cm F3.5に打ち替えられていることも多いですが、絞りの操作部材の形状が異なるためすぐに判別できます。
↑本物のElmar 5cm F3.5:絞りの操作部材が四角く楔形断面の形状
↑Industar-22 50mm F3.5(インダスター22):絞りの操作部材がレンズ前玉を取り囲んでいる
↑Industa-22(もしくはIndustar-50)をもととしたフェイクのElmar 5cm F3.5。絞りの操作部材の形状がIndustarそのまま。
↑フェイクライカの例。レンズはIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)をもととしている。
ただし、Industar-22より前に作られたIndustar-10 50mm F3.5はElmarと操作部材の形状が似通っているので注意が必要です。
L39マウント(ライカスクリューマウント)のIndustar(インダスター) 簡単な紹介
L39マウント(ライカスクリューマウント)には、Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)のほかにもさまざまな旧ソ連製レンズがあります。
ここでは簡単に、焦点距離50mmのIndustar(インダスター)のうちメジャーなものを紹介します。
基本的に3群4枚のテッサー型です。
今回の作例のようにゴーストが楽しめるだけでなく、ゴーストやフレアが出ない条件ではもちろんシャープな写真も撮影することができますよ。
Industar-10 50mm F3.5(インダスター10)
旧ソ連製レンズの沈胴レンズのなかでも古いものです。
銘板にはFEDの刻印があることも。
なおFED用のなかでも古いレンズはフランジバックがL39マウント(ライカスクリューマウント)と厳密には異なる場合があるので注意が必要です。
見た目はクラシカルなのですが、実用には少々難のあるものが多い印象です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)
今回作例を撮影したレンズです。
中古価格は沈胴式であることもあり中くらい~少し高め。
開放F値の明るいJupiter-8 50mm F2と同じくらいの中古価格であることも多いです。
Industar-26M 50mm F2.8(インダスター26M)
Industar-26Mは、固定鏡筒かつ開放がF2.8の旧ソ連製レンズ。
FED等の標準レンズでした。
鏡筒が銀色で、製造年代が古いため作りは比較的よいです。
中古価格はIndustarのなかでも低め。
Industar-50 50mm F3.5(インダスター50)
Industar-50 50mm F3.5は、Industar-22よりも少し新しいレンズ。
Industar-22と同様の沈胴タイプのものと、固定鏡筒のものがあります。
固定鏡筒のものはレンズ本体は一眼レフカメラのZENIT用のものと部材を共用していて、中間リングでL39マウントにフランジバックを合わせた構造になっています。
↑L39マウント(ライカスクリューマウント)のIndustar-50
↑ZENIT用M39マウントのIndustar-50
ZENIT用M39マウントのものは、物理的にはL39マウント(ライカスクリューマウント)のレンジファインダーカメラに取り付けられてしまうのですが、無限遠が出ず撮影ができないので購入時には注意しましょう。
中古価格は、沈胴式のものはIndustar-22と同じくらいで、Industarのなかでは少し高めです。
いっぽう、固定鏡筒のIndustar-50はさまざまなIndustar銘の標準レンズのなかでももっとも価格が安い部類です。
Industar-61 50mm F2.8(インダスター61)
Industar-61は固定鏡筒、開放がF2.8の旧ソ連製レンズ。
年代によって外装の仕上げが異なり、焦点距離の表記や、レンズ銘板に刻印された内容も微妙に変わります。
中古価格は、固定鏡筒のIndustar-50と並んで、Industar銘標準レンズのなかでももっとも安い部類です。
Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)を中古で買うなら
旧ソ連で作られたレンズ全般にいえることですが、
中古価格が安いこともあり、無保証のジャンクで取引されることも多いです。
わかって購入するぶんにはよいのですが、もし確実に状態のよいものを手に入れるなら、単に価格が安いものよりも、状態をきちんとチェックしているお店で購入するのがよいでしょう。
当店、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ 公式Webサイトもぜひご覧ください。
ミラーレス一眼のボディについて
今回使用したミラーレス一眼のボディは、SONYの初代α7。
発売から年数が経っていますが、オールドレンズで遊ぶならまだまだ現役のボディです。
SONY Eマウント機をオールドレンズ向けで手に入れるなら――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。Industar-22 50mm F3.5(インダスター22)まとめ
今回はIndustar-22 50mm F3.5(インダスター22)で撮影した作例と解説をお届けしました。
3群4枚のテッサー型ということで優等生レンズかと思いきや、オールドレンズらしいゴーストも楽しめる、一粒で二度美味しい旧ソ連製レンズ。
中古価格も安いので、ぜひあなたのレンズラインナップに加えてみませんか?
オールドレンズ探訪記 次回の記事はこちら
次回のオールドレンズ探訪記は、日本のMinolta(ミノルタ)のL39マウント(ライカスクリューマウント)のレンズ。
MINOLTA SUPER ROKKOR 45mm F2.8+ミラーレス一眼カメラの作例をご紹介します。
その外観から「梅鉢レンズ」として知られるミノルタ35の標準レンズ。
3群5枚、前玉が3枚貼り合わせという構成からくる描写がどんなものなのか、ぜひ作例をお楽しみに。
[オールドレンズ探訪記] MINOLTA SUPER ROKKOR 45mm F2.8を使って寄せ集めた個性を楽しもう(作例・撮影Tipsあり)
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
関連記事
-
KONICA SIIが人気ない理由とは?描写力が証明する隠れた名機の魅力を再発見
2024.11.26 フィルムカメラぶらり撮影散歩Konica・小西六初心者向けレンジファインダー(レンズ固定式) -
[フィルムカメラぶらり撮影散歩15] 初めてのPENTAX17で見つけた“撮る楽しさ”
2024.11.19 Series Blog-写真家さんフォトグラフ-初心者向けハーフサイズフィルムカメラPENTAX17 -
[コラム]【2024年版】フィルムカメラが再燃!今注目すべき最新モデルと世界のトレンドを徹底解説
2024.10.21 Fan Blog-魅力を語る-PanonハーフサイズフィルムカメラPENTAXRolleiフィルムカメラおすすめ機種紹介コンパクトカメラ -
「フィルムカメラは終わらない」-PENTAX 17が業界に起こす革命-
2024.10.10 機種別PENTAX初心者向けコンパクトカメラ高級コンパクトカメラフィルムカメラハーフサイズフィルムカメラ -
[コラム] 21世紀が生んだマニュアルカメラ ニコンFM3A
2024.10.09 Fan Blog-魅力を語る-Nikonフィルム一眼レフ日本MF一眼レフコラム