[オールドレンズ探訪記] Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8のキレ味と発色の良さに惚れた(作例・撮影Tipsあり)
こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。今回のオールドレンズ探訪記でご紹介いたしますレンズは――
ついにきました!
ライカですよ(ドドン!)。
はい。Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8のご紹介です。
ついついライカなので大袈裟になりましたが、はじめて使うわけではなく、同じエルマーでもL39マウント(ライカスクリューマウント)のF3.5は撮ったことがあるし、ズミクロンも撮影してコラムも書いています。
[オールドレンズ撮り比べ16] Leica (ライカ) Summicron 5cm F2とLeica(ライカ) M3の実力はすさまじかった
それでも、どうしても、ライカってちょっと構えてしまう存在なんですよね。他のメーカーにはない魅力を感じます。
カメラやレンズの質感、描写の空気感。そしてロマン。持っているだけで、巨匠のような眼光で被写体を探しはじめます(笑)。
【オールドレンズ探訪記 前回の記事はこちら】
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8について
まずは今回ミラーレス一眼カメラで作例を撮影した、Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8について簡単にご紹介します。
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8
今回作例をお届けするLeica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8は外観がブラック。
1950年代のMマウントのELMAR-M 50mm F2.8は外装が銀色、今回の新しい(1990年代)ものには外装がシルバーのモデルもありますがこれもステキですね。
SONY α7にめちゃくちゃ馴染んでいます。
ミラーレス一眼カメラ用のマウントアダプターはLeica M。「Elmar 5cm F3.5」はLマウントでしたが、同じライカでも違います。
ここらへんがなかなか覚えられませんが、ご購入の際はお気をつけください。
沈胴レンズ+マウントアダプターは注意が必要
沈胴レンズなので、レンズの前面を出した状態で取り付けて撮影をします。
レンズを沈めた状態だと撮影ができませんし、内部の撮像素子(イメージセンサー)を傷付けてしまうかもしれないので、ご注意下さい。
調べてみると、今回のLeica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8は1995年発売とのことで、復刻レンズみたいな感じになるのかな。
めっちゃキレイに撮れ過ぎるけど…と思っていたらそういうことですか。オールドレンズとしては比較的新しい部類ですね。
オールドレンズだなって感じのゴーストも出ましたけど。
ちなみに、このレンズを使うならどのカメラがいいか。
デジタルのM型ライカが100万円くらいするのかな(笑)?
SONY(ソニー) α7の初代は、10万円以下。
今回の作例で使ったミラーレス一眼カメラは、もちろんSONY(ソニー) α7です。SONY(ソニー) α7IIIも持っていますが、なんとなくオールドレンズはSONY(ソニー) α7で使っちゃうんですよね。
それでは、キレ味抜群の作例をどうぞ!
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8の作例紹介
それでは、Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8+ミラーレス一眼カメラの作例をどんどんいってみましょう!
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8は良い意味でカリッとした描写
まずはとりあえず開放での作例。なかなかキレ味鋭い写真になりますね。ボケはやや硬めかな。
L39マウントの「Elmar 5cm F3.5」と比べると、全体的にも描写が硬く感じます。もちろん、いい意味で。
前ボケを入れて撮影してみました。開放からカリッとした描写ですね。
じつははじめ「Elmar 5cm F3.5」と同じく、製造から50年以上経っていると勘違いしていたので、それを考慮してレトロスポットで撮影してきました。
実際は1994年~1995年発売ってことでしたが、レトロスポットとの相性は良かったですね。
最近のコラムでは、「開放で撮影すると滲むような甘い描写をするオールドレンズ」が多かったので、このキレ味の鋭さにはすぐに気が付きました。
どちらがいいかは好みになりますが、全然違いますね。
開放でF2.8になるので、F1.4のオールドレンズを使っているとボケが物足りなく感じそうですが、画像に締まりがあるので立体感はありますね。
なんというか説明しにくいんですよね。ただ、他とは違うんです。
ライカという言葉に洗脳されているのかな(笑)?
ライカってなんとなくモノクロで撮影したくなりますよね。やっぱり洗脳されてる!?
L39マウントのElmar 5cm F3.5は発色がいまいちでモノクロがハマったのですが、MマウントのLeica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8は発色が良いのでカラーがオススメ。
上記の作例は突っ込みどころ満載な写真ですが(笑)。これぞ大阪のごった煮感なんです。
僕のコラムでは登場回数多めなハート柄の猫ちゃん。撮影が冬なのでどこかに隠れてるかなーと思っていたけど、しっかりいつもの場所にいてくれました。
にしても、ほんとキレイに撮れるんですよね。
ここでの掲載は写真を小さくしていますが、等倍で見ると毛並みの再現などもすごいです。
ちょっと逆光で作例を撮影したかったので(ゴーストを出したかった)、日向に呼び出しました。
猫を誘導する怪しいおっさんですが、この街はそんなおっさんがベースなので全く気になりません(無茶苦茶言うてるな)。
ちなみに猫撮影の基本は、同じ目線にすること。それだけで、リアリティーが全然違ってきます。
なので、これよりもっとローアングルでの撮影がオススメ。
最近使ったオールドレンズの中では控えめですが、ゴーストもしっかり出ますね。
現代的なレンズのゴーストではなく、プラスチックレンズみたいなゴーストです。これぞ、オールドレンズらしさですね。
でも写真全体にではなく、ちょうど左上の余白を埋めてくれる、控えめ感がちょうど良いです。
「Elmar 5cm F3.5」同様、画面を切り裂くようなゴーストも出ました。
虹色ゴーストも好きだけど、これも好き。
ゴーストのキレ味まで鋭い。
撮影Tips「アンダーで撮ろう」
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8は発色も良くて、締まりがいいレンズです。
そこでオススメなのが明るく(オーバー)撮影してふわっとさせるよりも、暗く(アンダー)撮影してみることです!
アンダーめで撮影してみた作例
百聞は一見にしかず、普通に撮影した作例と、アンダーめに撮影してみた作例を見てみましょう。
↑普通に撮影した作例
↑アンダーめで撮影した作例
2枚を比べてみてどうですかね?
もちろん場所にもよりますが、そもそもライカのイメージってゆるふわ系じゃないでしょ?
だから2枚目がしっくりくるんです。
アンダー+モノクロもオススメ
1枚目をモノクロにしてみました。レタッチで明るさもアンダーめに。ふんわりより断然コチラがいいですね。
フィルムカメラで撮るなら、コントラストが強めなフィルムなんて良さそう。たとえば「Lomography Earl Grey100」とか。
発色も良いので、リバーサルフィルムでも良さそうです。富士フィルムの「Velvia 100」とか。
ていうか、そもそもがVelvia 100の描写に似てますね。鮮やかで黒の締まりがいいです。
ミラーレス一眼カメラでの撮影なら後からレタッチも可能ですが、アンダーを意識して撮影する(露出補正−1〜-2)といいですね。
やっぱりその場で結果を想像して撮るのと、レタッチを考慮してカメラ任せで撮るのでは違います。
それは結果にも出ますよね。被写体選びや光の使い方が変わってきますから。
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8を使用してみた感想
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8を使ってきましたが、描写がとてもソリッドで、近景から遠景まで使えるレンズです。
ソリッドなレンズ
とりあえず、マイナス面がほぼありませんでした。でもNikonなどの優秀なレンズとはまた描写が違うんですよね。
色の乗りもよく、開放からピントの甘さもありません。
なんていうのか、他のオールドレンズにはないソリッド感があります。
遠景もカリカリの描写
ミラーレス一眼カメラでのみの撮影ですが、L39マウントの「Elmar 5cm F3.5」と比べると、遠景の再現が全く違いますね。
L39マウントのElmar 5cm F3.5ではかなり甘くなりましたが、「ELMAR-M 50mm F2.8」は一転しっかりカリカリ描写に。
展望台付近をアップしても、かなり鮮明なのが分かります。
L39マウントのElmar 5cm F3.5だと近景のピントは解像度が高いのですが、遠景になるとかなり甘くなっていました。
F2.8だからボカせるようになったイメージですが、むしろ遠景向きになりましたね。
パンフォーカスのスナップにも使えるレンズ
パンフォーカスで街撮りするのもいいですね。
コントラストが強いということなのか、暗い部分(黒)の表現が得意なレンズだと感じました。
でも明るい部分(白)はやや苦手なような。白飛びするけど、黒潰れはしないような。
って、締めが曖昧な表現になっちゃいましたが、オールドレンズらしさは「Elmar 5cm F3.5」の方が感じられましたが、「ELMAR-M 50mm F2.8」はキレ味が抜群でした。
フィルムで撮るなら「Elmar 5cm F3.5」の方が相性が良さそうですね。
同じエルマーでも、全く別のレンズだなって感じました。
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写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
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ELMAR-M 50mm F2.8 簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回の作例に使用したLeica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8について簡単に解説します。
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8
マウント | ライカMマウント |
構成 | 3群4枚 |
メーカー | ライカカメラAG |
発売年 | 1994年(M6J用として、銀色) 1995年(単品として) |
※参考資料:中村信一 『新M型ライカのすべて』1996年、朝日ソノラマ、pp.134-138, 173-175.
Leica(ライカ) ELMAR-M 50mm F2.8はライカMマウントの標準レンズ。
Mマウント用のエルマーは、ライカM3の登場時は50mm F3.5でしたが、1957年にIIIg用のL39マウント版、1958年にはMマウントでも銀色の沈胴レンズとして50mm F2.8が登場しました。
↑初代のElmar 50mm F2.8 Mマウント
エルマーというレンズは一度ライカ用純正レンズのラインナップから消滅したのですが、1994年にM6Jのセット品として、そして1995年には今回作例に使用した黒鏡筒・沈胴のものが単品で発売しました。
その後銀鏡筒のものも発売しています。
↑銀鏡筒のELMAR-M 50mm F2.8
本項の参考にした『新M型ライカのすべて』では、黒鏡筒のこのエルマーのことを「ニューエルマー」と呼称しています。
ELMAR(エルマー)という名称は、標準レンズにおいては開放F値がF2.8もしくはF3.5に用いられるもの。
ライカのレンズは、基本的には開放F値によって名称が決まります。
切れ味鋭いレンズ
当サイトでは以前、L39マウント(ライカスクリューマウント)のElmar 5cm F3.5も雨樹さんによる作例記事を掲載しました。
いわゆるバルナックライカが35mm小型カメラというフォーマットを普及させることができたのは、レンズの写りがよかったことも理由のひとつ。
5cm F3.5もとても切れ味鋭いレンズでした。
ところが、雨樹さんも書いているように、このELMAR-M 50mm F2.8は5cm F3.5以上のソリッドでカリカリのレンズなのです。
ライカのレンズのポテンシャルを存分に味わえるELMAR-M 50mm F2.8。
ぜひあなたも中古で探してみませんか?
今回使用した1990年代のエルマーの最短撮影距離は0.7mですが、ミラーレス一眼カメラ用のヘリコイド内蔵マウントアダプターを使って近接撮影をするのもよいですね。
マウントアダプターのなかでもヘリコイド内蔵のものは価格が多少高めですが、オールドレンズを楽しむならぜひ持っておきたいアイテムです。
沈胴レンズなのでミラーレス一眼カメラでは注意が必要
↑レンズ鏡筒が引き出された状態
マウントアダプターでミラーレス一眼カメラに取り付ける場合、沈胴レンズなので注意が必要です。
雨樹さんも書いているように、レンズを沈胴させると、ミラーレス一眼カメラのマウント内部を傷つけてしまう可能性があるのです。
対策としては、レンズ鏡筒部にパーマセルテープ(写真用の、はがしても跡が残らないテープ)を貼って、沈胴できないようにして使うとよいでしょう。
※ただしパーマセルテープは跡が残らないといっても、長期間貼りっぱなしだと鏡筒表面を傷めてしまうので、使用後は剥がすのを忘れずに。
パーマセルテープの価格は1,000円程度で、ヨドバシカメラなどのカメラ系量販店やAmazon等で購入できます。
ELMAR-M 50mm F2.8を中古で買うなら
ELMAR-M 50mm F2.8のうち、今回作例に使用したものは1990年代~2000年代の製品なので比較的新し目。
ですが、古いものは製造から20年以上経ってしまっているので、保管状態によってはそろそろ経年変化がはじまっている中古もあります。
レンズというのは保管状況によって内部にクモリが生じるもの。
清掃によって取れるクモリもありますが、中古を購入する際は多少価格が高くてもメンテナンスを受けたものがおすすめです。
中古価格の面については、50mm F2.8と開放F値が多少控えめなこともあり、ライカMマウントの純正中古レンズとしては比較的お手頃です。
とはいえ近年、オールドレンズの中古価格は上昇基調。
ズミクロン等に比べるとまだまだ買いやすい価格ですが、欲しいときが買い時なのは間違いないでしょう。
ELMAR-M 50mm F2.8をお探しの際は、当店、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラの公式Webサイトもぜひご覧ください。
今回使用したミラーレス一眼カメラ
今回もミラーレス一眼のボディはSONY α7(初代)を使用しています。
黒鏡筒エルマーとの取り合わせ、ルックスが相性抜群ですね。
SONY Eマウントのフルサイズミラーレスでオールドレンズを楽しむ場合――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。ELMAR-M 50mm F2.8 まとめ
今回はELMAR-M 50mm F2.8で撮影した作例をお届けしました。
写りがよく、沈胴できてコンパクト。
これからM型ライカを使ってみたい方にとって、価格も手頃で50mm標準レンズ最初の1本としてもおすすめのオールドレンズです。
ELMAR-M 50mm F2.8をお探しの際は、ぜひ中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ 公式サイトもご覧ください。
次回の記事はこちら
次回は同じく沈胴レンズですが、うってかわって旧ソ連製レンズのIndustar-22 50mm F3.5の作例をお届けします。
下手をすると今回のエルマーの1/10の価格で買える可能性もあるレンズ。
Elmar 5cm F3.5や今回のELMAR-M 50mm F2.8と同じ3群4枚ですが、描写がどのように違ってくるのか、乞うご期待!
[オールドレンズ探訪記] Industar-22(インダスター) 50mm F3.5を使って光のゴーストシャワーを手に入れよう!(作例・撮影Tipsあり)
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