[オールドレンズ探訪記] 非日常が得られる JUPITER-12 35mm F2.8はフレア、ゴーストが個性的(作例あり)
今回は、旧ソ連製の広角レンズ、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8についてご紹介します!
この世に数えきれないほどの種類が存在するオールドレンズ。
そんなオールドレンズの中から、サンライズカメラがおすすめできるレンズを1本1本紹介していく、「オールドレンズ探訪記」と第したコーナーです。
これまでに数々のオールドレンズを使ってきた雨樹一期さんと、まだまだ初心者な私いくたで、一緒に様々なオールドレンズで撮影をした作例をご紹介していきます。
ぜひ、お気に入りの一本を見つけてみてくださいね!
なかなか出かけれらない今のご時世だからこそ、改めてじっくり試してみたいレンズを見つける手助けになれば嬉しいです^^
【前回の記事はこちら】
【オールドレンズ探訪記】Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8でドラマチックな質感を体験しよう(撮影Tipsあり)
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8について
まずは、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8とはどんなオールドレンズなのか簡単にご紹介します。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8とは
さてはて、今回ご紹介したいオールドレンズはこちら、旧ソ連製レンズ、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8。
旧ソ連製のレンズといえば、オールドレンズの中でも、手頃な価格で切れ味鋭い描写が楽しめる大人気レンズ。
そして、そんな旧ソ連製レンズの中でも、サンライズカメラが特におすすめしているのが「ジュピター」(Jupiter)シリーズです!
後玉が飛び出た対称型広角レンズ
何よりパッと見て特徴的なのは、この突出した後玉レンズ。これは「対称型広角レンズ」と言います。
対称型広角レンズとは、レンズの断面図を見たときに前側と後側が対称型になっている構成のレンズのこと。構造上、レンズの後玉がカメラボディ内部、レンズマウントよりも後側に張り出すため、フィルムカメラの時代に、レンジファインダーカメラ用にしか作ることができないレンズだったそうで。
現代に入り、ミラーレス一眼レフカメラやマウントアダプターを使用することで、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8が再びより多くの人にとって使いやすくなったことはとても有難いですね!
絞りの操作は前面の内側
最初使用したときに、「絞りはどこで変えられるの?」と迷ってしまいましたが・・・絞りリングはレンズ前面の内側についていました。
これがとっても回しづらくて!絞りを動かした拍子に、フォーカスリングの方が動いてしまったりします。笑
フィルターをつけると絞りが操作しやすい
と思って色々調べてみると、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8にレンズフィルターをつければ、フィルターをつまんで回すことで操作が楽になるという裏技を発見し、もともと付いていたフィルターを改めて付けてみるとあら簡単。
このロゴもなんだかエスニック臭ぷんぷんでいいですよね〜。
ミラーレス一眼カメラで使うときは干渉に注意
マウントは、バルナックライカと同じマウントのL39マウント(ライカスクリューマウント)を採用しています。
なのでマウントアダプターはL39マウント→SONY Eマウントのものを使いました。
一点注意が必要なことは、このレンズは、後玉が張り出しているため、ボディの機種によってはカメラ内部の部品と干渉してしまい、装着ができない場合があります。
具体的には、SONY(ソニー)のAPSサイズのミラーレス一眼カメラ(NEX-5やNEX-7、α4桁シリーズ等)は使用ができません。
今回私が撮影しているフルサイズカメラのSONY α7シリーズや、富士フイルムのXシリーズ、APS-Cサイズのミラーレス一眼カメラでは問題なく使用可能なようです。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8の作例紹介
では続いて、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8 + ミラーレス一眼カメラで撮影した作例です!
ミラーレス一眼カメラのボディは、上の写真に写っているSONY α7Rを使用しています。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8 + ミラーレス一眼カメラの作例
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8で撮影した作例を紹介していきます。
最初にざっくり特徴を申し上げると、こんな感じでした。
・彩度、コントラストは弱め
・周辺の光量落ち、乱れがすごい
・画面中心部の写りはとても鮮明、絞れば絞るほどクリア
・フレア、ゴーストが個性的
非日常が撮れるレンズ
これはすごい顕著な周辺露光了の落ち方。そして画面端っこの荒さが面白いくらいです。絞れば少しはましになります。
丸い筒から知らない世界を覗きこんでいるみたいで非日常的な世界観になります。
でもこの画面端っこが引っ張られたようになる感じ、35mmで撮影できる絵と相性がマッチしている気もします。非日常感がすごい・・・。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8は素晴らしい解像感
クセのあるオールドレンズとは言え、解像度は本当に素晴らしく、細かい葉っぱもシャープに繊細な表現ができてます。
ミラーレス一眼レフで撮影しても、どこかフィルムカメラで撮影したような色味・肌触りを感じます。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8のフレア・ゴースト
なんじゃこりゃ〜!少し絞ると紫色の五角形が大量出現!笑
オールドレンズの楽しみ方の一つ、フレアゴーストで思う存分遊べそうなレンズですね。
陰陽、本当に美しく繊細な描写力。
順光ではどんなときも期待以上の写り
逆光に順光、どんなシチュエーションで撮影しても、期待以上の写りをしてくれます。見慣れた景色もどこか不思議な世界観に変えてしまう力をもったJUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8。
撮影Tips!光条撮影をしてみよう
キラーンとした太陽。この光源から伸びる光の筋のことを専門用語で「光条(もしくは光芒)」と言います。
知らなかった頃私は、「どんな編集技術が必要なんだろう?!」と思ってましたが・・・実はこのキラーンを撮影するのは誰でも簡単にできます。
答えは、ただ”絞るだけ”で良いんです。
ちなみにこの光条の数は、レンズの絞り羽根の数によって決まります。レンズによって光条の数や、ゴーストの形もさまざまなので、特にオールドレンズにおいては個性的な表現が楽しめます。
ふわっと感を出したい時はなるべく開放で、光源の形をくっきり残したい場合は絞ります。
上はF8で撮影、下はF2.8で撮影したもの。
光条撮影をする際に、もう1点おすすめしたいことは、露出をアンダー気味にすること。
普通に撮影すると、太陽の強すぎる光に反応して、光条どころか白飛びしてしまうので、大袈裟なくらいマイナス露出にするとちょうど良く光条が表現できます。
一番上のシルエット風の写真は、昼間に撮影した写真ですが、あえてかなり露出を下げることで、太陽のキラーン感をメインに、全体をクールな感じに引き締めてみました。
ぜひ、クセのあるオールドレンズで撮影する際にチャレンジしてみてください^^
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8 簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回ミラーレス一眼カメラで撮影したJUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8について簡単に解説します。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8
銀鏡筒のJUPITER-12(L39マウント)
黒鏡筒のJUPITER-12(L39マウント)
マウント | Kiev用(旧Contax用) L39マウント(ライカスクリューマウント) |
構成 | 4群6枚 |
メーカー | 旧ソ連製 |
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8は旧ソ連で製造された、レンズ交換式レンジファインダーカメラ用の広角レンズです。
第二次世界大戦以前に、カール・ツァイスにてルートヴィッヒ・ベルテレ博士が設計したBiogon(ビオゴン)35mm F2.8がもととなったことが知られています。
これは、第二次世界大戦後、カール・ツァイスの技術者を製造設備ごと旧ソ連国内へ連行し、レンジファインダーコンタックスと専用レンズの製造を行うようになったため。
レンジファインダーコンタックスは、工場が現ウクライナのキエフに置かれたことから、そのまま「Kiev」(キエフ)と名乗るようになりました。
(※カメラの「キエフ」にはロシア語読みのKievと刻印されているため、本記事でもKiev、キエフと表記しています)
さて、このJUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8も、そのレンジファインダーコンタックスがもととなったキエフ用のレンズのひとつでした。
そのため旧コンタックスマウント互換から製造がはじまりましたが、L39マウント(ライカスクリューマウント)用も製造されるようになります。
対称型広角レンズとしては中古価格が安いもののひとつ
このJUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8を中古で手に入れるのがおすすめな理由のひとつ。
それが、対称型の構成をした広角オールドレンズとしては、もっとも中古での価格が安いもののひとつであるため。
対称型広角レンズならではの歪みの少ない描写を手軽な価格で味わえるという点で、とても貴重な選択肢なのです。
ミラーレス一眼カメラで使いやすいのはL39マウント
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8のレンズマウントで中古が多いのは、旧Contax・Kiev用のマウントと、L39マウント(ライカスクリューマウント)の2種類。
それぞれ、
・旧Contax・Kiev用:価格が安い、マウントアダプターでは使いにくい
・L39マウント用:価格は高め、マウントアダプターで使いやすい
という特徴があります。
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8 Kiev用
旧Contax・Kiev用のマウントアダプターは、比較的価格が高め(価格の安いものには、精度が怪しいものも……)。
いっぽう、L39マウントはマウントアダプターは価格が安く入手性もよいです。
ただしその分、旧Contax・Kiev用のJUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8は中古価格が安いです。
フィルムカメラでも撮影したいという場合も事情は似ています。
L39マウントの場合、取り付けられるボディはよりどりみどり。
いっぽう、旧ContaxやKievは中古ボディの選択肢は少々狭くなります。
ですが、旧ContaxやKievには、ツァイス・イコンの精緻な設計を楽しめるという魅力も。
旧ContaxレンジファインダーやKievについては以下の記事で解説しています。
ぜひご覧ください。
Contax (コンタックス)I・II・III/旧コンタックス Contaxレンジファインダーカメラ徹底解説 Contax I・II・IIIとは?
ミラーレス一眼カメラでは周辺部の描写に注意
JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8をはじめ、対称型の広角レンズをミラーレス一眼カメラで使う場合、周辺部の描写が悪くなることがあるため注意が必要です。
これは、デジタルカメラのイメージセンサーは、光が垂直に近い角度で入ることが前提の設計をしているため。
ところが、JUPITER-12(ジュピター12) 35mm F2.8のような対称型広角レンズではレンズの後玉を通った光がイメージセンサーに入ってしまいます。
そのため、ミラーレス一眼カメラにマウントアダプターで取り付けた場合、周辺部の描写が悪くなることがあるのです。
今回のいくたさんの作例でも、周辺部の描写が甘いものがありました。
レンズの味ということができなくもないですが、もしかするとミラーレス一眼カメラとの相性によるものである可能性もあります。
今回使用したミラーレス一眼カメラのSONY α7Rは、フルサイズのミラーレス一眼カメラとしては古めの機種のため、このような特性が出やすい部類です。
近年のミラーレス一眼カメラ、たとえばNikonのZシリーズなどでは、対称型の広角レンズでも同様のことが起こりにくくなっているともいわれています。
もしこれからミラーレス一眼カメラを買う場合、SONY以外も中古の出物が増えていることもあり、他メーカーを選ぶのもよいかもしれないですね。
クセのある表現ができる旧ソ連製レンズは1本あると便利
これまた私にとってはドキドキワクワクな初めての旧ソ連製中古レンズ。その中でも定番といわれるジュピターシリーズで撮影をさせていただき、大変貴重な体験でした!
レンズ自体は100gちょっととスーパー軽いですし、街歩きの際に1本持っておくと、遊び甲斐がありそうです。
クセのある表現を楽しみたい方には必見の一本です!
そのほかにもおすすめしたい中古レンズをサンライズカメラでは沢山ご紹介していますので、皆さんもぜひ、オールドレンズのコアな世界に一緒に足を踏み入れいきましょう^^
【次の記事はこちら】
[オールドレンズ探訪記] Voigtlander ULTRON 28mm F1.9 Aspherical 味わいと繊細な写りを兼ね備えたレンズ(作例あり)
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