[オールドレンズ探訪記] Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8でドラマチックな質感を体験しよう(撮影Tipsあり)
こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。オールドレンズ探訪記と題しまして、さまざまなレンズの作例をご紹介していくコーナー。
今回はCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8です。
このシリーズでは初のカール・ツァイスですが、東ドイツのカール・ツァイスなのです。マウントはなんと、M42。
M42マウントは、オールドレンズ初心者にオススメの「Helios-44」や「PENTAX Super takumar」があります。
最近紹介した中では、「MC Jupiter-9 85mm F2」もですね。同じく癖レンズです。
M42マウントでツァイスレンズが使えるのは知らなかったですね。オールドレンズの世界は奥が深い。
旧東ドイツのレンズ自体、初めてです。
潜るほどにいろいろ発見があります。
TOPの写真は「Industar-22 50mm F3.5」と同じ場所。時間帯は少し違いますが、この描写の違い。
インダスターも好きですが、こちらもいい。
全然違うけど、どっちも好きなんですよね。これだから色々揃えたくなっちゃう。
目次
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8について
- Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8で撮影した作例紹介
- 撮影Tips「逆光で際立つドラマチックな描写」
- Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8を使用してみた感想
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
- Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8 簡単な解説
- Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8 まとめ
- 2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8について
まずは、Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8の作例を撮影して気がついたこと、簡単な紹介です。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8とは?
このレンズ、Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8には、JenaとDDRという文字があります。
Tessar(テッサー)というレンズ名は知っていましたが、Jena(イエナ)とDDRはなんだろうと。
調べてみると、DDRは東ドイツのことで、Jena(イエナ)はドイツの都市の名前。ドイツの東西分断でカール・ツァイスも西と東に分かれたようです。そして、Jenaを称するものは旧東ドイツ生産、西側のカール・ツァイスが「Opton(オプトン)」と名乗ったようですね。
第二次世界大戦ではソ連からカール・ツァイスの光学技術をアメリカ軍が阻止したと、ウィキペディアに書かれています。
カール・ツァイスのレンズだと、プラナーやゾナーを何度か使いましたが、テッサーは初めて。
と思っていたら、「Rollei 35」にも搭載されているレンズでしたね。
M42マウントアダプターを使用
先ほども書いたように、マウントはM42マウント。
ミラーレス一眼カメラで使う際は、マウントアダプターはM42を使用します。
使用したKIPONブランドのマウントアダプターが通販サイトにないので、K&F Conceptブランドの商品リンクを貼り付けます。
こちらも精度、品質ともに十分おすすめです。
最短距離が短いレンズ
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8は最短撮影距離が35cm。テーブルフォトにも使えますね。
使ってみた結論は、またまた「欲しい!!」です。
これまでに僕が使ったM42マウントのオールドレンズの中では、最も描写力が高かったです。
ミラーレス一眼レフのSONY(ソニー) α7にも馴染んでますね。
てことで今回は作例を盛りだくさんでお届けします。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8で撮影した作例紹介
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8+ミラーレス一眼カメラで撮影した作例です。
上に書いたように、ミラーレス一眼カメラは中古価格が手頃なSONYのα7を使用しました。
F2.8でもボケが楽しめる。絞るとキレキレ
開放F2.8での作例。思っていたよりしっかりボケてくれました。そして、ピントの合った水仙のキレも鋭いですね。
ここ数回のコラムでは緩めの描写のオールドレンズを使ったので、その差は歴然。
しかも35cmまで寄れますからね。こりゃ楽しい。
F8で撮影した作例。絞って撮影するとさらにキレ味も増してきます。
F16で撮影した作例。カリッと感も凄いのですが、色の乗りも抜群ですね。
カール・ツァイスのレンズを使っていて思うのは、このドラマチック感。
いつもうまく説明ができないんですが、他のオールドレンズとは空気感が違うんですよね。
それは実際に自分で撮影していると分かるものかもしれません。
まだツァイスのレンズを持っていない方は、「ぜひ一本!」です。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8は艶っぽい描写のレンズ
娘を撮影しながら思ったのは、描写が艶っぽくなるなと。
この質感は女性のポートレートにも相性が良いですね。
ボケ具合も自然です。
ごろごろあくび猫。描写力があるレンズは安心して撮影できますね。
撮影方法によっては、周辺が少しグルグルすることもありました。
鮮やかさや強めのコントラストはさすがですね。ボケは開放でもF2.8なのですが、自然と被写体が浮かび上がります。
絞り値を変えて撮影した作例
同じ場所で絞り値を変えて作例を撮影してみました。ピントは中央付近の錆びに合わせています。
まずは、F2.8の作例。
続いてF5.6の作例。
最後はぐっと絞り込んでF16の作例。
開放から大きく変わらずシャープなのが分かります。
石のベンチに置いたどんぐりが浮かび上がっています。
30cmまで寄れる楽しいレンズ
単純に寄って撮れるというのは、やっぱりいいですよね。
最短撮影距離が1mのレンズを使っていると、寄って撮りたい場面が絶対出てきますから。せめて50〜60cmくらいは、と思っちゃいます。
最短撮影距離の作例。ここまで花を大きく撮れます。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8が一台あればいろいろ撮れますね。
今回の作例では、昼間よりも夕方に撮影した写真が良かったです。
色温度は赤や黄色寄りの設定がいいですね。ホワイトバランスでいうと、曇天や日陰。
オートで撮るのもいいのですが、オールドレンズは描写がノスタルジックなので、相性的には合ってます。
もちろんそこについては好みですけどね。
撮影Tips「逆光で際立つドラマチックな描写」
もはやオールドレンズあるあるですが、逆光の描写がこれまた良かったです。
虹色の輪っか、降り注ぐ系など、ゴーストの形もレンズによって様々ですが、Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8は柔らかいハレーションと、ふわっとした玉ゴーストでした。
散歩がてら撮影することが多いのですが、当コラムの作例ではもはや定番のこの公園。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8はこれまでで一番ドラマチックに撮影できましたね。
なんというか、とにかく「いい!」んです(笑)。
光をどれだけ入れるか、アングルなど、コントロールする必要はありますが、これはオールドレンズでしか撮れないんですよね。
僕は10万円以上するミラーレス一眼カメラなどデジタル用のレンズも数本持っていますが、ほぼ仕事用。
外出時はたいていオールドレンズを付けています。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8を使用してみた感想
僕はツァイスレンズが好きです。これまで当サイトで作例をご紹介してきたなかではCONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 MMJ(プラナー)はオールドレンズユーザーにぜひオススメしたいのですが、やや高価なのが難点。
今回、Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8を使ってみて、プラナーの代用品としてもありだなと思いました。
東ドイツ製のレンズということもあって、価格もかなり控えめです。
僕はこれも欲しいんですけどね(笑)。
価格も安いし買いやすいレンズですね。
ドラマチックで立体感のある描写。そしてどこか艶っぽさを感じるオールドレンズです。
オススメばっかりしていますが、持ち上げようとしているわけじゃなくって、本当にこれもオススメなんです。
個人的にはですよ。たとえ開放F2.8で物足りなさはあっても、CanonやOLYMPUSの標準レンズより、描写はCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8が断然好きです。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8 簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8について簡単に解説します。
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8
マウント | M42マウント |
構成 | 3群4枚 |
メーカー | Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) |
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8は、旧東ドイツ製のオールドレンズ。
雨樹さんの解説にもあったように、第二次世界大戦後、ドイツが東西に分裂した際に、東ドイツ側のツァイスはCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) を名乗るようになりました。
そもそも、イエナはカール・ツァイスの創業地。
ContaxがもととなったKievの製造に関する逸話に、設備ごとツァイスの技術者が旧ソ連へ連行されたというものがありますが、イエナはのちに東ドイツに属する位置にあったため、カール・ツァイスも2つに分裂することになってしまったのでした。
(なお、ライカが作られていたヴェッツラーはドイツ国内でも比較的西寄りにあったため、第二次世界大戦後も西ドイツに属することになりました)
とはいえ、1950年代までは東側カール・ツァイスと西側カール・ツァイスは盛んに交流していたといわれています。
東側のテッサー
さて、今回のCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8は、カール・ツァイスを代表するレンズのTessar(テッサー)です。
構成はもちろん3群4枚。
東西に分裂したとはいえ、1960年くらいまでのCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) は一眼レフ用レンズをリードする存在でした。
そのため、レンズ自体の素性はよく、作例で伝わったかと思いますが写りもなかなかのものです。
ただし今回使用したテッサーは1970~1980年代の比較的新しいもので、鏡筒の作りなどはそれ以前のものに比べると少々劣っています。
なお、旧東側の中古レンズにありがちなことですが、製造数が非常に多いこともあって中古の玉数は非常に多いです。
中古価格も、西側のカール・ツァイスレンズに比べるととても安いです。
カール・ツァイス・イエナのレンズについては以下の記事で解説しています
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) のテッサー ざっくりとした分類
非常にざっくりとですが、年代別の変遷について触れます。
銀鏡筒
1950年代~の、一眼レフ用としては比較的古いものです。
中古でよく見かけるマウントとしてM42マウントとエキザクタマウント、プラクチナマウント(プラクチカマウントとは異なる)があります。
絞りは手動です。
ゼブラ
ピントリングの縞模様からゼブラと呼ばれることもあるモデル。
外観から中古人気がとても高いです。
こちらは主にM42マウントとエキザクタマウントがあります。
ゴム巻きの新しいもの
主にプラクチカ一眼レフなどに供給された、1970~1980年代の比較的新しいものです。
作りは以前のものよりも少々劣る印象。
M42マウントです。
中古価格はとても安く、東ドイツ製オールドレンズの中でもとくに価格が低い部類です。
レンズマウントについて
Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8にはいくつかのレンズマウントがありますが、基本的には、今回作例に使用したもののようにM42マウントのものが最もつぶしが効きます。
↑銀鏡筒のM42マウント
いっぽう、とくにゼブラや銀鏡筒のもので見かけることの多いエキザクタマウントのものは、ミラーレス一眼カメラでの使用には少々不便です。
というのが、M42マウントのマウントアダプターに比べてエキザクタマウントのマウントアダプターは少し価格が高く、選択肢も少ないのです。
↑銀鏡筒のエキザクタマウント
ただし、使用が少し不便なこともあり、エキザクタマウント版の東ドイツ製レンズは中古価格が安め。
エキザクタマウント~ミラーレス一眼カメラのマウントアダプターを手に入れて、安い価格でオールドレンズを楽しむのもおすすめです。
ミラーレス一眼のボディについて
ミラーレス一眼のボディはSONY α7初代を使っています。
センサーサイズを問わずミラーレスのボディはどんどんサイズが大きくなっている印象ですが、このような単焦点のオールドレンズを使ううえでは、SONYの比較的小柄なボディが似合う気がしますね。
オールドレンズを念頭にSONY Eマウント機を選ぶなら――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。Carl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8 まとめ
今回はCarl Zeiss Jena (カール・ツァイス・イエナ) Tessar 50mm F2.8について見てきました。
このレンズ、テッサーならではのシャープな描写と、ボケ味やゴーストのようなオールドレンズらしさの双方が味わえます。
東ドイツ製オールドレンズは中古価格が安く、旧ソ連で作られたレンズよりも状態のよい中古が多い印象なので、ミラーレス一眼カメラに取り付けるレンズラインナップを増やしたい方にぜひおすすめです!
一味違うオールドレンズをあなたのミラーレス一眼カメラで楽しんでみませんか?
次回の記事はこちら
次回はいくた りかさんの執筆で、旧ソ連製のオールドレンズ、Jupiter-12 35mm F2.8(ジュピター12)+ミラーレス一眼カメラの作例をご紹介します。
ツァイスのBiogon(ビオゴン)がもとになっていることで有名なオールドレンズ。
対称型広角レンズの描写はいかに?
ぜひ次回もご覧ください!
[オールドレンズ探訪記] 非日常が得られる JUPITER-12 35mm F2.8はフレア、ゴーストが個性的(作例あり)
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