[闇鍋オールドレンズレビュー] 第2回 Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5 マクロレンズで花を撮る
Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5が届いた。ニコンが続いている。
【前回の記事はこちら】
実は以前にこれと同じレンズを所有していたことがある。あれはメイン機がNikon F4 2台、サブ機としてF801 2台を使っていた頃だから20年以上前の話だ。あの頃は俺も若かった。一応プロとしてマクロレンズ(Nikonの場合はマイクロレンズ)の50mmクラスと100mmクラスは持っておかねばならないので、105mmのAFレンズと55mmはこのMFレンズで揃えていた。標準域のマクロレンズはあんまり使わないのでMFで充分だったのだ。
そしてあまり使わないまま時は流れ、いつ手放したのかも定かでない記憶の片隅にこのレンズがあって、今回届いた時には何とも懐かしい感じがした。
しかし、そんな感傷的な気分に浸っている暇はない。このMicro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5をα7に付けて写真を撮り記事を書かねばならない。この前は第一回目ということもありレンズ単体の写真を撮り忘れていたので、今回はきちんと撮影して最初に載せておく。
目次
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Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5について
このMicro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5も前回の105mmと同じようにピントリングのトルクが丁度よく、また絞りも元気でこのまま適切に保管すればあと50年は使えるんじゃないだろうか。まったく昭和中期生まれの工業製品には驚かされる。ちょっとググってみたらMicro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5は1972年以降の生産らしい。47年も前か!
スペックを記すと
焦点距離 55mm
解放絞り F3.5
絞り羽根 6枚
最短撮影距離 24.1cm
撮影倍率 1/2倍
鏡胴を繰り出すと1/1の表記があって、まさかと思ったがファインダの像は1/2倍程度だった。不思議に思って調べたところ、どうやらこれは接写リングを付けた時の撮影倍率らしい。ひょっとして接写リングとセットで売ってたのかな?そんな事ないよな。
ひっこめたところ。
全出し。
そして全体像。かっこいいね。
Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5の作例
とにかくMicro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5をボディに付けて前回同様、外に出てみるも生憎の天気で、というか台風来てるし….
マクロレンズなんだから寄って撮らないと話にならんという事で最初の一枚。
なんか前回の写真と似てるので普通にガッカリしたが、まあ、作例なので仕方ない。開放F3.5で植込みの花。ISO400に設定してめしべにピントを合わせた。ぱっと見た目は気にならないが、ピント面に近いの後ろボケは激しい2線ボケで始まっていた。反面、このレンズはコーティングが良くなった「C」タイプなので色乗りは前回の105mmよりも随分と良い。丁度、世間にカラーネガフィルムが普及し始めた頃なんだろうな。
お次は遠景。
F3.5
F5.6
F8
おおーっ!
これは素晴らしい。開放からf8までほとんど変化がない。少しコントラストが変化するぐらいか。これなら開放から安心して使える。遠景がこんなに綺麗なら最初に買う単焦点オールドレンズでいけるかも。
それはそうと、やっぱり天気が怪しくなってきた。仕方ないのでお花屋さんで花買って帰って続きはスタジオで撮るぞ。
ひまわりの作例
夏の花、ひまわり。
かわいいね。
ということで、またまた絞りごとの接写写真。
F3.5
F5.6
これぐらい寄って撮るならf8ぐらいがいい。
F11 辺りから回折現象が酷くて何処にもピントが合っていないように見えるからとりあえず F8までにしまして……面白く無いぐらいちゃんと写ります。普通に良いです。バッチリです。後ろボケの事を気にしないのなら超安い高性能マクロレンズとして買いだな。しかもその後ろボケも同年代のレンズと比べてダメという事もないと思うので総合的に言うとやっぱり良いレンズだ。
スゲーぞNikon。
クセノタール型の描写はいかに?
なんでも、この Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5 はクセノタールタイプのレンズらしくて、それがどのように良いのか知らないけどクセノタールといえば、かの有名なシュナイダーの名レンズでして、俺がその昔所有していたローライフレックス 80mm F2.8にもクセノタールが付いていてあれはよく写った。
気をよくしたので、スタジオ内の小物を取り出して色々撮ってみた。
F3.5
手前のボケは割と綺麗なので前ボケを作る構図にしたらいいね。
F3.5
窓辺に置いてやはりこれも前ボケで。壁の直線を見ると少し歪曲収差があるけど、これぐらいなら問題ない。
F5.6
少し絞っての後ろボケ。
開放の時よりはちょっとましだけどやっぱり2線っぽい。
F5.6
そして少し引いた構図。
こうなるとシャープさが際立って、もうオールドレンズには見えない。カリッカリの描写で気持ちいい。自分で作った料理や手芸品などを撮影するときに威力を発揮するだろうね。
そして、ちょっとお遊び的な写真を…
こういうシャープなレンズでコントラストの高いモノクロを作るといい感じになるんです。これは「グリーンスター」っていう名前らしい。(お花屋さんで値札に書いてあった)
何故かその辺に転がっていたパンチングメタルの板とひまわり。サイドから当たる光だと全体に安定した画面になる。
やっぱり後ろのボケはヤバいぐらい太ってるな。パンチングメタルの穴がドーナツみたいになってる。でもまあ、これはこれで面白いかも。強い反射光が入っても酷い滲みなし、ハイエストライト付近のコントラストが若干落ちるぐらい。
Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5 総評
ピントが合った所はかなりカリカリに写るので、そういう描写が好きな人にはたまらないレンズ。逆にふわっとした絵が好きな人には向かないだろう。
いずれにしても、万能レンズはないので自分の用途に合った物を使うしかないという点でこのMicro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5 は買って損のないレンズである。
安いし。
【次回の記事はこちら】
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