[闇鍋オールドレンズレビュー] 第3回 Jupiter-8 50mm F2.0 Leica Lマウントで街ブラ写真
Jupiter-8 50mm F2.0 Leica Lマウントが届いた。
このレンズも記憶の奥の方にあるぞ。
このJupiter-8 50mm F2.0 は阪神淡路大震災後の混乱期に街を記録する為に使っていた。確かメイン機をコニカヘキサーにしてサブ機としてcanon 7+Jupiter-8 50mm F2.0を携帯していた。canonの純正レンズも持っていたがどうにも線が太く写るのが嫌でこのJupiter-8 50mm F2.0 を愛用していた。フィルムはTRI-X 400をパトローネに自分で詰めて使っていた。懐かしいな。
歳を取ると昔話ばかりでいかん。これでは若者に嫌われしまう。
【前回の記事はこちら】
[闇鍋オールドレンズレビュー] 第2回 Micro-Nikkor P.C Auto 55mm F3.5 マクロレンズで花を撮る
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Jupiter-8 50mm F2.0とは
それでは改めて、
詳しい歴史はググれば出てくるのでここでは割愛するが、一つだけ「ドイツから接収したガラス素材を原料にしていたので、それが枯渇した後のレンズは同じ名前でも全然違う別のレンズになってしまった」という事実は面白いので書いておこう。ガラス素材が変わると屈折率も変わりレンズの設計も変更しなければならないからだ。いい感じのソ連感出してる話だ。余談になるが、ソ連では戦闘機製造の生産性を上げるために設計の精度を整数cmまでとしたモデルがあるらしい。当然、事故を起こしまくったそうだ。
今回使うこのJupiter-8 50mm F2.0 はどうやら中期型らしい。製造年は1957年以降となっているので、とんでもない遥か昔の生まれ。仮に1957年製だとすると今年で62歳という事だから、あと3年で年金受給者になる程の年齢だ。
Jupiter-8 50mm F2.0 Leica Lマウント スペック
焦点距離 50mm
絞り F2.0~F22
最短撮影距離 100cm
絞り羽根枚数 9枚
Jupiter-8 50mm F2.0の外観
見慣れないキリル文字がSFっぽくていい。
9枚絞りが滑らかに動いている。
α7に装着するとこんな感じ。Nikonのレンズよりしっくりくるな。小さいのがいい。
近くで見ると、こんな感じ。
レンズの中を透かして見るとゴミや曇りがあって最高のコンディションとは言えないがそこはオールドレンズ、割り切ってそれも味として付き合う方が良い。
Jupiter-8 50mm F2.0の作例
今日は梅雨も明けて天気もいいので梅田方面から天満橋まで大川沿いを歩く。
すごく暑いけど。
最初の一枚は緊張する。絞りリングの位置やヘリコイドの回転角などレンズによって全く違うのでやたらと操作を間違うからだ。
しかも暑いし。
とりあえず絞り開放で交差点を撮る。レンズの曇りが影響しているのか、かなり白けた写真になってる。f2.0なので被写界深度は浅いのだろうけど、それにも増して大きな収差が影響して独特な写りになっている。気軽に四隅とは言えないような大きな範囲がボヤボヤになっていて面白い。
ビルを狙うとボケた所が空なのであまり気にならないが、こうやってみると周辺減光もえぐい。しかし中心部のシャープネスは悪くない。
やっぱり周辺減光は凄い。
F2.8 手前の樹木にピント。
上の写真から中央部切り出し。
F2.8 奥の樹木にピント。
上の写真から中央部切り出し。
この比較を見ると前ボケは後ろボケにくらべて幾分素直なボケのように思える。
絞りごとの描写の変化
次は絞りによる描写の変化。f2.0からf22まで。
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
これぐらいの大きさで見るとf5.6ぐらいから画面全体の描写が安定してその後はf22まで大きな変化が無い。では、それぞれの絞りで画面右下を切り出した写真を見ていただく。
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
こうして拡大してみると、f4.0までは像が流れてf5.6で回復する。F8とF11はきちんとピントが来るが、f16から回折現象の影響が出始めてf22では画面全体がぼんやりしている。周辺とのバランスで見るとf8.0ぐらいが最も良い描写をしている。
最短付近の描写は?
次は中之島のバラで最短撮影距離付近を試す。
これで1mぐらいの距離、最短撮影距離だ。なのでこのレンズ単体でお花の撮影とか小物撮影は難しい。そしてバラの赤はどのレンズ・カメラでも飽和しやすいので、撮影時そして現像時に注意しなければいけない被写体の一つだと思うけど、このJupiter-8 50mm F2.0でも色が飽和して、プリントした写真の上から赤の絵の具を塗ったみたいになってる。そして見ての通りこの独特のグルグルしたボケで画面が煩くなるから撮影時に上手に背景を処理した方がいい。(俺がね…)
Jupiter-8 50mm F2.0 が作られた時代はモノクロ写真が主流だったはずなので、上の写真をモノクロにしてみた。
こうすると色に関する収差が気にならなくなって、古めかしい良い写真になった。これならいいね。
もう一枚バラの写真。もの凄い勢いでグルグルしてるなあ。こういう使い方も面白い。主題を真ん中に置くと周辺のグルグルが効果的にグルグルしてなかなか良い。
逆光ではオールドレンズらしい描写
逆光では鬼のような内面反射を起こして画面が真っ白になるが、これはオールドレンズならではの描写なので積極的に使っていきたい。この写真ではホワイトバランスをちょっと弄って青い空気を演出した。
F5.6で順光だとかなりカチッとした絵になる。歪曲収差も少なくいい感じ。
ピーキングだけを使ってさっとピント合わせをして撮った。やはり歪曲収差が少ない。慌てていたのでカメラを下に向けすぎた、もう少し上に向けて撮ればビルに変なパースが付かずに済んだのにな。(要練習)
随分昔、ハリー・キャラハンやリー・フリードランダーみたいな写真が撮りたくて写真を始めたのを思い出した。古いレンズを使うと色々昔の事を思い出す。
ロシアがまだソ連だった頃に出版された写真集にこういう感じの写真がたくさん載っていた。あの写真集何処にいったのかな?風景写真なのにやたら後ろをぼかしていて見た目に新鮮だったことを思い出した。
調べたところに拠るとこのレンズには年代ごとにモデルチェンジを繰り返して、大きく括ると3種(前期・中期・後期)とそれぞれの時代に細かなヴァリエイションがあるらしい。しかもずいぶん古いレンズと来ているので個体ごとのコンディションも違う。要するに同じレンズを買ったつもりでもそれぞれ全然違っているので、何本か買って撮り比べても面白いだろう。
それから数日後、もう一度撮影へ
一度目の撮影で得られた写真を見て学んだことを活かしながらもう一度近所を撮影したのが以下の写真。絞りは開けてF4、普段はF5.6という掟を作って望んだ。
拡大するとこんな感じ。よく写ってる。
近所の公園。出来るだけ後ろをボカしたかったのでこれはf4。
フラットな光が来ている所でf5.6まで絞れば普通のレンズになる。
遠景のピント合わせが意外に難しい。ヘリコイドの回転角が広いからだろう。合わせたつもりが後ろに抜けてるといったミスを何度も繰り返した。この辺はずっとf5.6。
そして、スタジオに戻ってからクローズアップフィルタを使って寄りの写真を撮ってみた。指でクローズアップフィルタをレンズ先端に押し付けて撮影した。絞りF4でも接写するとボケが綺麗だ。
Jupiter-8 50mm F2.0 総評
オールドレンズという事以前にJupiter-8 50mm F2.0 はレンジファインダーカメラ用のレンズであり、それをミラーレス一眼に付けて実像を見ながら撮影する事が出来るだけで大きな喜びである。(今更そんなこと言っても…)
しかし、高性能なデジタルカメラに付けるとその古さゆえの欠点もリアルタイムで見えてしまうので、撮影時にいろいろな迷いが生じるのも事実である。
個人の好みといえども、ある程度の写真を得るのには使い込んで特性を知る必要があると考える。
Jupiter-8 50mm F2.0 はレンズ沼の入り口に立つ最初の案内人である。
【次の記事はこちら】
[闇鍋オールドレンズレビュー] 第4回 Ernst Leitz Wetzlar Hektor 13.5cm F4.5 (ヘクトール13.5cm)でブラっと散歩写真
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