OLYMPUS(オリンパス)XA/コンパクトカメラの歴史を変えたケースレスフィルムカメラ
OLYMPUS XA(オリンパスXA)は、コンパクトカメラの歴史に残る新基軸を打ち出した名機のひとつ。
伝説の光学技術者、米谷美久が生み出した傑作のひとつで、中古フィルムカメラの愛好家にも一目置かれる機種です。
オリンパスXAの特徴、それが「キャップもケースもいらない」フィルムカメラであるということ。
カメラ本体にレンズキャップを兼ねたスライドカバーを内蔵し、いつでも一瞬で撮影状態に入ることができるようになりました。
1980年代以降のコンパクトカメラには同様の設計のものが数多くありますが、そのすべてがオリンパスXAの影響下にあるもの。
けっしてフィルム一眼レフカメラのように目立つ存在ではありませんが、日常的に持ち歩けるフィルムカメラを生み出したという点で、XAもまた、カメラを変えた存在であることに間違いありません。
しかも、初代オリンパスXAはレンジファインダーまで内蔵。
シリーズ化もしており、より操作を簡便化したXA2、広角レンズ採用のXA4など、それぞれに個性豊かです。
今回はオリンパスXAとその兄弟について、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが解説します。
目次
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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写真・動画どちらもハイクオリティ、迷ったらこの一台!
価格と性能のバランスが取れた名機です!
どこでも持ち歩ける相棒です。
オリンパスXA
まず、オリンパスXA(OLYMPUS XA)について、その特徴をみていきましょう。
中古フィルムカメラ愛好家も満足させる名機には、どんな個性があるのでしょうか?
オリンパスXAの性能・スペック
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 10秒~1/500秒 |
レンズ | F.Zuiko 35mm F2.8(5群6枚) |
露出計 | 外部測光 |
AE | 絞り優先AEのみ |
ファインダー | アルバダ式 ブライトフレーム |
フォーカス | レンジファインダー |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1979年 |
1970年代末〜1980年代前半は、フィルムカメラの技術がいちだんと進歩した時代。
コニカからは初のオートフォーカスカメラが登場、一眼レフカメラはAE搭載、電子シャッターが当たり前に。
そんな中でオリンパスも、コンパクトカメラの構造を大きく変える機種を創り出しました。
それがオリンパスXA(OLYMPUS XA)です。
オリンパスXAは、超小型ボディに、フィルムカメラ愛好家も満足のギミックを組み込んだ名機。
中古コンパクトカメラのなかでも、人気が高いもののひとつだといえるでしょう。
設計は、オリンパスの名機のかずかずを生んだ光学技術者、米谷美久(まいたに よしひさ、1933〜2009)。
XAは初代PENやOM-1と並ぶ代表作に数えられています。
米谷美久氏の生み出したかずかずの名機については、こちらの記事をご覧ください。
それでは、どんなところに新しさがあったのでしょうか?
キャップもケースもいらないフィルムカメラ
オリンパスXAの最大の特徴。
それが、「ケースレスカメラ」であるということです。
レンズの前の蓋をスライドさせて電源を入れるコンパクトカメラを見たことはありませんか?
1980〜1990年代のフィルムコンパクトカメラや、2000年代のデジタルカメラで多用された機構。
その元祖は、このオリンパスXAにあります。
ケースをスライドするだけで即撮影状態
※この画像はXA2
オリンパスXAのボディには、レンズの前にカバーが組み込まれています。
撮影するときには、このケースをスライドさせるだけでOK。
カメラの電源も自動で入ります。
さらに、カバーを閉じているとファインダーも真っ暗になるので、撮影できる状態か、そうでないかは一目瞭然。
中古フィルムカメラを使っていてよくある、キャップをしたままシャッターを切ってしまうという失敗とも無縁です。
もちろん、撮影中にレンズキャップを紛失することもありません。
このアイデアは1980年代以降、多くのコンパクトカメラが模倣しています。
コンパクトデジタルカメラにも使われた機構なので、きっとこの記事を読んでいる方もそのようなカメラを使ったことがあるはず。
また、キャップを不要にするというアイデアは、後年、スライド式のレンズキャップという別のアプローチでも実現されることになります。
しかし、その方法もオリンパスXAがなければ生まれることはなかったものといえるでしょう。
レンズキャップを取り外す必要がない、速射性のあるフィルムカメラとは、それくらいに斬新なものだったのです。
小型・フラットなボディの「ポケットに入る」フィルムカメラ
このスライドカバーを実現するには、レンズがカメラボディから飛び出ていない必要があります。
初代XAは、5群6枚のF.Zuiko 35mm F2.8で小型レンズを実現。
オリンパスXAは、カバーを閉じているときには突起部分がない、とてもフラットなデザインとなりました。
厳密にはレンズ部分だけ少し出っ張っているのですが、その部分はたくみに楕円形のなめらかな盛り上がりとして処理。
それまでにも、当のオリンパスのハーフサイズカメラ、PENをはじめ、ポケットに入るフィルムカメラはいくつもありました。
しかし、サイズ的にはポケットに入っても、レンズ部分が出っ張っていると、取り出すときに引っかかってしまうのが現実。
凹凸がないフィルムカメラというものは、それまでにはほとんどないものでした。
表面の平滑化も、それ以降のフィルムコンパクトカメラのトレンドとなっていきます。
コンパクトカメラについて詳しくはこちら
PEN譲りのノブ巻き上げ
オリンパスXAの巻き上げは、親指で行うノブ式。
これはオリンパスがPENシリーズで採用したものそのままです。
オリンパスが培ってきた設計を受け継いで、小型軽量の老若男女が使えるカメラを是とする米谷美久ならではのデザインを実現しています。
プラスチックなのに高級感あるデザイン
オリンパスXAの外装はプラスチック製。
プラスチック製というと中古カメラファンに敬遠されがちですが、例外的にオリンパスXAのプラスチック仕上げはとても上質で、けっしてプラスチック「っぽさ」を感じさせないものになっています。
黒いプラスチック製カバーに刻印された「OLYMPUS」の白い文字が映えるデザイン。
後述するオリンパスXA2は、グッドデザイン賞も受賞しています。
フェザータッチの赤いシャッター
全体的に黒基調のデザインの中で、キラリと光るのがボディ上面の赤いシャッターボタン。
ストロークが少なく、軽く押し込むだけでシャッターが切れる電子式で、カメラ全体の平滑化にも寄与しています。
初代XAはレンジファインダー・絞り優先AE
さて、オリンパスXAシリーズ各機種の中でも中古カメラ愛好家にもっとも人気があるのは、断然初代XAだといって間違いないでしょう。
その理由は、マニアをもうならせる機能。
中古のコンパクトカメラのなかでもとくに、撮影者の意図を反映させやすい機構が組み込まれているのです。
世界最小レベルのレンジファインダー機
初代XAが中古でとても人気がある最大の要因。
それが、超小型のフラットボディにレンジファインダー(連動距離計)が組み込まれていることです。
基線長こそとても短いですが、焦点距離35mmの広角レンズにとっては必要十分。
ファインダー窓の脇にしっかりと開けられている距離系窓が、このカメラがレンジファインダーカメラであることをしっかり主張しています。
ピント合わせはレンズ下の左右にレバーを左右に動かして行います。
ファインダー自体はアルバダ式のブライトフレームが組み込まれていて、この小ささながら、レンジファインダーのフィルムカメラとして一定以上の水準はゆうに満たしているといえるでしょう。
絞り優先AEで撮影者の意図を反映
さらに、初代XAはXAシリーズの中で唯一の絞り優先AE機。
これも初代XAが中古で人気の理由です。
絞り値はレンズ脇の上下に動かすスイッチで設定します。
ファインダー内にはシャッター速度が指針で表示される愛好家も納得の仕様です。
レンズを開放状態にしての撮影でも、レンジファインダーと組み合わせることで、ぴったりピントを合わせられますよ。
なお、ボディ底面には逆光補正レバーが装備されており、使用時には露光が1.5段明るくなります。
ボディと一体化したデザインの外付けストロボ
1979年という初代XAの発売時期は、ちょうどフィルムコンパクトカメラに内蔵ストロボが一般的となった時期。
あえてXAは、ストロボを外付け式にしています。
専用の外付けストロボはボディ正面から見て右側に取り付け。
ストロボ接合部(この画像はXA2)
ボディ本体と一体感のあるデザインで、取り付けてもXA本体のすぐれたボディデザインは寸分も崩れることはありません。
どうしても大型化してしまう内蔵ストロボを採用せず、専用アクセサリーを用意することで、小型・フラット設計をスポイルすることなく夜間撮影に対応。
いま中古カメラを使う目線で見ると、不要な機能を省いたことがさらに評価を高めているといえるでしょう。
もちろん、もう少し設計が新しいコンパクトカメラにありがちな、勝手にストロボが発光するようなトラブルとも無縁です。
外付けストロボにはガイドナンバー(明るさ)の違いで、A16、A11、A9があります。
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オリンパスXAの兄弟たち
オリンパスXAシリーズの各機種について解説します(発売年順)。
1.初代XA(1979年)
この記事で解説してきた初代機種。
絞り優先AE、レンジファインダー内蔵が特徴です。
中古では最人気。
2.XA2(1980年)
オリンパスXA2は、おそらくXAシリーズでもっとも売れた機種。
機能的にはゾーンフォーカス(ピントが目測式)で、露出制御はプログラムAEのみ。
初代XAで絞りレバーがあった場所が、ピント合わせレバーになっています。
スライドカバーを閉じるとピントが中間に自動で戻り、初心者でもピンぼけしにくくなっています。
このXA2は初代を差し置いてグッドデザイン賞を受賞。
その理由は、ともすればマニア向けの要素が多いXAに比べ、より簡便で誰にでも使えるカメラだったからだともいわれています。
さらに、レンズが3群4枚のD.Zuiko 35mm F3.5となったことで、実は少々描写に難があった初代XAよりもレンズ性能が向上しています。
中古ではもっとも入手しやすい機種です。
カラーモデルもあり、赤、青、グレー、ピンクが存在しています。
3.XA1(1982年)
セレン光電池を採用した廉価版のプログラムAE機。
電池不要、レンズはD.Zuiko 35mm F4の固定焦点。
4.XA4(1985年)
広角レンズを装備したXAシリーズ。
レンズはZuiko 28mm F3.5。
ピントは目測式です。
このXA4から、DXコードによる感度自動設定に対応しています(手動設定も可能)。
XA4のユニークなポイントが付属のストラップ。
ストラップの長さが最短撮影距離と合わせられており、ストラップを垂らして先端を被写体に合わせることで、本などの複写が可能になっています。
クオーツデート(日付写し込み)ありとなしが存在。
他の広角モデルコンパクトカメラの例に漏れず、中古フィルムカメラ愛好家に珍重されています。
5.XA3(1985年)
XA4と同時期に発売。
XA2にXA4同様のDXコードを組み込んだ機種です。
フィルム室内にDXコードの電子接点がある。
こちらもクオーツデート(日付写し込み)ありとなしが存在。
いつでも使えるフィルムカメラ、オリンパスXA
同様のレンズカバーを採用したフィルムコンパクトカメラはいくつもありますが、完成度はXAが初代にして至高。
絞り優先とレンジファインダーを楽しむなら初代XA。
レンズの切れ味と中古の入手しやすさならXA2もおすすめです。
ぜひあなたもXAシリーズを中古で手に入れてみませんか?
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