[2024年最新] 写ルンですよりお得に長く使える!? 3万円以下で買えるオススメフィルムカメラ10選
いま、巷で大人気の「写ルンです」。
軽くて、安くて、レトロな描写……。平成時代に流行ってましたが、令和の時代の今も10代を中心にとてつもない人気を得ています。
フィルムカメラでしか実現できない、味のあるエモい写真を撮れることが魅力ですよね。
じつは、そんな写真が撮れるカメラが他にもたっくさん存在していることを知っていましたか?
デジタルカメラが当たり前になる前には、普通にどこでも使われていたフィルムカメラ。
じつは、写ルンですのように味のある質感や色彩で、しかもとてもきれいな画質で写真が撮れるフィルムカメラが、中古でとても手軽に手に入るんです。
おすすめなのは「フィルムコンパクトカメラ」。
可愛い見た目に、軽くて持ち運びが便利なコンパクトサイズ。
しかも、写ルンですと違って、中のフィルムを入れ替えて使うことができるので、お気に入りのカメラをいつも持ち歩くことができますよ。
そこで今回は、写ルンですでフィルムカメラを知った方にぜひおすすめしたい、3万円以下で手に入るお手軽&goodレンズ搭載のコンパクトフィルムカメラを紹介します!
目次
フィルムコンパクトカメラについて 2024年追記
この記事では主に「マニュアルフォーカス」で操作に手動の部分があるコンパクトカメラを紹介しています。
「オートフォーカス」で操作がさらに簡単なコンパクトカメラについては、2022年版のこちらの記事がおすすめです!
マニュアルフォーカスというのは、自分で撮りたいもののピントを合わせることなのですが、フィルムコンパクトカメラは、全然それも難しくないので安心して使えますよ。
写ルンですよりお得! おすすめフィルムコンパクトカメラ
まず、フィルムコンパクトカメラとはどんなものか紹介します!
フィルムコンパクトカメラとは
フィルムコンパクトカメラとは、21世紀に入る前、デジタルカメラが一般的になる前に普通に使われていたカメラのことです。
きっとあなたの家にも昔のアルバムがあるはず。
子供のころの写真、両親や祖父母の写真……。
そんな写真の多くは、きっとフィルムコンパクトカメラで撮影されたはずです。
フィルムカメラには、コンパクトカメラの他にも「一眼レフ」や「レンズ交換式レンジファインダーカメラ」などいくつかの種類がありますが、コンパクトカメラとは一般的に「レンズが固定されている」カメラのことを指しています。
今はほぼ販売が終了しており、当サイト、中古フィルムカメラ専門店 サンライズカメラをはじめ、中古でカメラを販売しているお店で手に入れることが可能です。
1960年代〜1990年代に主流のカメラ
フィルムコンパクトカメラがもっとも使われていたのは、1960年代から1990年代のことで今から…え、何十年前ですか!?。
1950年代にはまだ、写真を撮るには「露出」や「ピント」といった知識が必要でした。
当時はカメラは「お父さんの道具」と呼ばれており、カメラは一家に1台だけの貴重品でした。
もちろん、カメラを持っていない家もたくさんありました。
ところが1960年代以降、どんどん技術が進歩していくことによって、写真について知識がない人でも簡単に写真が撮れるカメラが販売されるようになったのです。
今となっては時代がかった古い表現ですが、昔のフィルムコンパクトカメラには「女性でも撮れるカメラ」「子供でも撮れるカメラ」といったコンセプトのものがたくさんありました。
それくらい、フィルムコンパクトカメラが登場する以前のカメラは操作が難しいものばかりでした。
フィルムコンパクトカメラが登場したことで、カメラは誰でも使える道具になったのです。
いま誰もが使っているスマホのカメラのご先祖様といえるかもしれませんね。
写ルンですよりお得・もっと味のある写真が撮れる
近年ブームになった「写ルンです」。
写ルンですでフィルムカメラの魅力を知った方も多いと思います。
フィルムコンパクトカメラは、写ルンですでフィルムカメラを始めて使ったというあなたにぜひおすすめしたいカメラ!
コンパクトカメラは、写ルンですと同じように、操作はほとんど「押すだけ」。
使い方はとっても簡単です。
しかも、一回使ったらおしまいの写ルンですと違って、中のフィルムを入れ替えて、何度も使うことが可能。
お気に入りのコンパクトカメラを見つけたら、そのカメラで何度でも、繰り返し撮影することができますよ。
写ルンですの独特の色彩、味のある空気感はフィルムカメラ特有のものです。
だからこそ、フィルムコンパクトカメラでも写ルンですと同じように、フィルムでしか味わえないレトロな写真を撮ることができるんです。
しかも、カメラとしては簡易的なつくりの写ルンですと違って、コンパクトカメラなら「シャッターを押すだけ」で簡単に、よりきれいな写真を撮ることができますよ。
フィルムコンパクトカメラの特徴
それでは具体的に、フィルムコンパクトカメラにはどんな特徴があるのでしょうか?
簡単に撮れる!
フィルムコンパクトカメラは、とても簡単に写真を撮ることができます!
「写ルンです」ではシャッターボタンを押すだけで写真が撮れましたが、それはフィルムコンパクトカメラでも同じ。
厳密には、コンパクトカメラの中には「ピントを合わせる」などの操作が必要なものもあります。
でも、新品で販売されていたときは、老若男女、誰でもコンパクトカメラを使っていました。
使い方は一瞬で覚えられますよ。
そう、コンパクトカメラは、「誰でも写真が撮れる」ように作られたカメラ。
いまスマホのカメラやデジカメを誰もが使っているように、フィルムカメラの時代には、みんなコンパクトカメラを使って写真を撮っていたのです。
「カメラについてまったく知識がない人」でも使えるように作られたカメラなので、使い方に戸惑うことなく、すぐに使い始めることができますよ。
コンパクト&軽量
名前からもわかる通り、コンパクトカメラはとても小型で軽量。
首や肩からぶら下げても重くないですし、カバンの中に入れても邪魔になりません。
具体的なサイズとしては、小型のものはスマホの大きさ程度。
すこし大きめのカメラでも、手のひらに乗るくらいの大きさです。
写ルンですを使ったことがある人は、だいたいそれと同じくらいの大きさと思えば間違いないでしょう。
高性能レンズを搭載
さて、そんなフィルムコンパクトカメラは、じつは写真の写りが抜群なのです!
その理由は、高性能の「単焦点レンズ」を搭載しているため。
単焦点レンズとは、ズーム機能がない、焦点距離が1つしかないレンズのこと。
フィルムコンパクトカメラは誰でも使えるカメラですが、初心者のための道具だと思って手を抜くことは一切していません。
プロ用の一眼レフカメラにひけを取らない本気の描写。
もちろん、フィルムを使うカメラなので、写ルンですのような味があるレトロな描写はそのままです。
写ルンですのような写真なのに、とても画質がいい。
フィルムコンパクトカメラの高性能単焦点レンズでは、そんな写真を撮ることができるのです。
暗いところでも撮れる&ボケも可能な明るいレンズ
しかも、フィルムコンパクトカメラには、いまの水準から見てもとても「明るい」レンズが搭載されています。
「明るい」というのは、暗いところでも写真が撮れる、「F値が小さい」レンズのこと。
レンズの性能は「38mm F2.8」というように表すことができますが、この「F2.8」の部分の数字が小さいほど、レンズが明るいということになります。
フィルムコンパクトカメラのレンズの場合、標準的な明るさはF2.8。
さらに、当時の上級機種ではF1.9やF1.7といった、一眼レフの標準レンズ並に明るいレンズを搭載しています。
明るいレンズということは、暗いところで写真が撮れるだけでなく、背景がボケた写真も撮れるということ。
もちろん、明るいレンズは設計にも製造にもお金がかかる高級レンズ。
描写だって一級品です。
レンズが高性能な理由
フィルムコンパクトカメラが「明るいレンズ」を搭載していたのは、まだカメラにストロボを内蔵する技術が未発達だったため。
ストロボを内蔵したカメラは1975年の「コニカC35EF」が初めてのもので、その後、カメラにはストロボが組み込まれるのが普通になっていきます。
そのため、F1.7レベルの明るいレンズを搭載したカメラは、ほとんどが1970年代以前のものとなっています。
ズームレンズ付きのコンパクトカメラはあまりおすすめできない
ただし、ひとつだけ注意が必要なことがあります。
それが、ズームレンズがついたカメラはやめたほうがいいということ。
上に書いたように単焦点レンズはズームができません。
というと不便に思うかもしれませんが、実は、ズームレンズは構造が複雑なため、写真の画質が大きく下がってしまいます。
主に1990年代のコンパクトカメラにはズームレンズを採用したものが多くありますが、購入するときにはこの記事で紹介するような「単焦点レンズ」搭載のものを選ぶのがおすすめです。
可愛い&格好いい見た目
フィルムコンパクトカメラの魅力のひとつが、可愛い&格好いい見た目。
本物のフィルムカメラでしか味わえない、時代ごとの最先端の、いまとなってはレトロなデザインを楽しむことができますよ。
1960年代のカメラならレトロフューチャーな、20世紀に想像した21世紀のようなデザイン。
1980年代のカメラは、当時の車やバイクのようなメカニカルなデザイン。
しかも、主に1970年代以前のカメラは外装が金属で作られているので、プラスチックのカメラに比べて質感も抜群です!
デジタルカメラのなかにはフィルムカメラのデザインを受け継いだレトロなものがありますが、フィルムコンパクトカメラのデザインは、そんなデザインのまさに源流・オリジナル。
模倣ではないオリジナルのデザインが、カメラを使う楽しさをさらに盛り上げてくれること間違いなしです!
何度でも繰り返し使えて愛着がわくカメラ
コンパクトカメラと写ルンですの最大の違い。
それが、コンパクトカメラはフィルムを入れ替えて、何度でも繰り返し使えるということです。
写ルンですが使えるのはもちろん1回きり。
1回使ったら、また新しい写ルンですを買わなくてはなりません。
その点フィルムコンパクトカメラなら、カメラの裏側にある蓋を開けて、フィルムを入れ替えることが可能。
お気に入りのカメラをずっと使うことができますし、もし興味が湧いてきたら、白黒フィルムなどさまざまな種類のフィルムを使うこともできますよ。
ずっと使い続けられる、愛着のわくカメラ。
それがフィルムコンパクトカメラなのです。
価格はとてもリーズナブル
高性能のレンズを搭載した、何度でも使えるカメラ。
というと、値段が少し高いのではないかと思うかもしれませんが……。
その点については大丈夫!
いま中古で手に入るフィルムコンパクトカメラは、とてもお手軽な値段で購入できます。
どの機種も、おおむね3万円以下で入手可能。
機種によっては、中古の相場が1万円以下のこともありますよ。
さらに、フィルム1本の値段は写ルンです1個の値段よりも安いので、一度フィルムコンパクトカメラを手に入れたら、写ルンですよりずっと安く写真を撮ることが可能です!
フィルムコンパクトカメラの種類
フィルムコンパクトカメラは、「レンズが固定されている」「誰でも使える」カメラの総称。
ですが、主にピント合わせの方法によって3つに分けることが可能です。
1.目測式カメラ
目測式カメラとは、「見た目でピントを合わせる」カメラのこと。
「ゾーンフォーカス式」カメラと呼ばれることもあります。
ピントを合わせるときには、人や風景といった被写体への距離を自分で判断して、ピントリングを回して自分で距離を合わせることになります。
勘で距離を合わせることになるので難しいのでは……と思いきや、操作はとても簡単。
目測式カメラのピントリングには「人の上半身」「人の全身」「山の形(風景)」などのイラストが描かれていて、だいたい3〜4段階で合わせるだけでよいのです。
2.レンジファインダー式カメラ
コンパクトカメラのなかでももっとも厳密にピントを合わせることができるのが、このレンジファインダー式カメラ。
「ライカ」などの高級カメラでも用いられている方式です。
レンジファインダー式カメラには、カメラの中に「連動距離計」という部品が内蔵されています。
カメラのファインダーを覗くと、中心部に色が異なる部分があります。
ピント調整のリングを回すと、その部分が左右に動きます。
そして、色が異なる部分の像と、その他の部分の像がぴったり重なると、ピントが合っている、ということになるのです。
目測式のカメラよりも更にピントがぴったり合った写真を撮ることができるので、写真をより深く楽しみたい方にはレンジファインダー式のカメラがおすすめです。
3.オートフォーカス式カメラ
1970年代に登場。
1980年代以降は完全に主流となったオートフォーカス式カメラ。
現代のデジカメやスマホのカメラと同じように、自動でピントを合わせてくれるカメラです。
オートフォーカス式のカメラでは、特別な操作は一切必要ありません。
シャッターボタンを押すだけで、自動でピントを合わせてくれますよ。
コンパクトカメラで使うフィルム
この記事で紹介しているコンパクトカメラでは、すべて「35mmフィルム」という種類のフィルムを使います。
35mmフィルムは、お店で売っているフィルムとしては一番普通のもの。
入手性はよいので心配はありません。
おすすめの35mmフィルム
35mmフィルムはこちらがおすすめです。↑で紹介したフィルムは、アメリカのKodak(コダック)と日本のFUJIFILM(富士フイルム)の製品。
基本的には、フィルム(とくにカラーのもの)はこの2つの会社のものを選ぶのがおすすめです。
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どこでも持ち歩ける相棒です。
おすすめフィルムコンパクトカメラ11選
それではここから、写ルンですよりお得で高性能! なフィルムコンパクトカメラを紹介していきます!
中古の市場価格も目安として掲載しているので、購入する際の参考にしてみてください(2024年2月現在)。
1.コニカC35
レンズ | 38mm F2.8(C35、C35Flashmatic) 38mm F1.8(C35FD) |
ピント合わせ | レンジファインダー式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1968年(C35) 1971年(C35Flashmatic) 1973年(C35FD) |
中古価格 | 約2万円(C35、C35Flashmatic) 約3万円(C35FD) |
備考 | – |
まず、初めてのフィルムコンパクトカメラにおすすめするのがコニカC35。
コンパクトカメラの中でも名機と呼ばれるひとつです。
なんといっても、「コンパクトカメラ中のコンパクトカメラ」そのものの可愛い外観が魅力です。
レンズはコニカ「Hexanon」(ヘキサノン)を搭載。
コニカのヘキサノンレンズは切れ味するどい描写に定評があり、小さなボディながら本格的な描写を楽しむことができますよ。
ピント合わせはレンジファインダー式。
高性能レンズを、ぴったり合ったピントで味わうことが可能です。
さて、コニカC35シリーズにはいくつかの機種があり、後期になるとフラッシュ内蔵(世界初!)やオートフォーカス搭載(こちらも世界初!)のモデルもありますが、おすすめは断然、初期の小型のモデル。
具体的には、C35、C35 Flashmatic、C35 FDの3機種から選ぶとよいでしょう。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
コニカC35
初代・コニカC35は、「ジャーニーコニカ」というニックネームでも知られるカメラ。
ハーフサイズカメラ並みの小型のボディでフルサイズの写真が撮れるという、新しいジャンルを切り開いた記念碑的機種です。
この記事で続いて紹介する、オリンパスやミノルタ、キヤノンといったメーカーが送り出したコンパクトカメラも、この初代C35への対抗馬として発売されたものです。
機構的には、シャッターはプログラムシャッター。
シャッター速度と絞りの変更はできませんが、バルブ撮影が可能です。
搭載レンズは38mm F2.8という標準的スペックです。
コニカC35 Flashmatic
C35 Flashmaticは、初代C35にストロボ撮影を簡易化する「フラッシュマチック機構」を内蔵したマイナーチェンジ機種です。
その他は搭載レンズ含め、ほぼ初代C35と同様となります。
いまとなってはフラッシュマチック機構を実用することはないと思われるので、中古を探すときに上記の初代C35と、このC35 Flashmaticで迷った場合、どちらを選んでも差し支えありません。
コニカC35 FD
C35 FDは、ヘキサノン38mm F1.8という明るいレンズを搭載した、C35の上級機種。
高性能レンズを搭載していることからマニア人気が高く、中古価格も他のC35シリーズより高めです。
しかも、単にレンズが明るくなっただけでなく、機構面でもシャッター優先AEを搭載。
撮影者の意図を反映した撮影が可能なので、「押すだけ」では満足できないあなたにぜひおすすめしたいカメラです。
関連記事
写真家 雨樹一期さんによるKONICA C35の作例はこちら!
また、KONICA C35については以下の記事で詳しく解説しています。
2.オリンパス35DC
レンズ | 40mm F1.7 |
ピント合わせ | レンジファインダー式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1971年 |
中古価格 | 約2万円-2万5000円 |
備考 | – |
オリンパスもかずかずのフィルムコンパクトカメラを送り出してきましたが、このオリンパス35DCは、そのなかでも最も人気が高い機種のひとつ。
こちらのカメラも、最大の魅力は搭載レンズ。
F.Zuiko 40mm F1.7は、単に明るいだけでなく、オリンパスが誇るズイコーレンズ特有のシャープな写りを楽しめますよ。
さらに、オリンパスのカメラならではの精悍なデザインも、「持つ喜び」をいやおうなしに高めてくれるはず。
同時代のカメラであるOM-1を連想させるような、オリンパス特有のデザインが各所に施されています。
機構面を見ると、基本的にはプログラムAE専用のレンジファインダーコンパクトカメラです。
サイズはC35よりわずかに大きいですが非常にコンパクト。
持ち運びも非常に便利です。
オリンパスファンならぜひ選びたい一台、それがオリンパス35DC。
もちろん、初めてのコンパクトカメラとしても非常に使いやすい道具に仕上がっていますよ。
3.オリンパス トリップ35
レンズ | 40mm F2.8 |
ピント合わせ | 目測式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1968年 |
中古価格 | 約2万2,000円 |
備考 | – |
もう1機種、オリンパスのフィルムコンパクトカメラを紹介します。
オリンパス トリップ35は、「あの」PENシリーズの遺伝子を受け継いだコンパクトカメラ。
上で紹介した35DCと異なり、コンパクトカメラのなかでも普及機として位置づけられるカメラです。
……というと、カメラとしての機能が劣っているのではないかと思うかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。
そもそも、このトリップ35の元となったオリンパス PENシリーズは、ハーフサイズの小型カメラながら、レンズにはふんだんにお金を掛け、プロの使用に耐えうる描写を実現したのが特徴でした。
その特徴はトリップ35も同じ。
搭載したD.Zuiko 40mm F2.8レンズは3群4枚のテッサータイプで、もちろん解像力抜群です。
その他の面でもオリンパス PENシリーズの特徴を引き継いでおり、巻き上げは背面のノブ式、セレン受光素子によるプログラム露出の制御方式もPEN EEシリーズと同様です。
ピント合わせは目測のゾーンフォーカスで、こちらもPEN EEシリーズ同様です。
また、上記の35DCに比べ、レンズがボディからあまり飛び出していないので持ち運びも便利ですよ。
関連記事
雨樹一期さんによるオリンパス トリップ35の作例はこちら。
オリンパスには他にもおしゃれなカメラがいっぱい。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
4.ヤシカ エレクトロ35CC
レンズ | 35mm F1.8 |
ピント合わせ | レンジファインダー式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1970年 |
中古価格 | 約1万3,000円 |
備考 | – |
ヤシカの「エレクトロ」シリーズは、1960年代に一世を風靡したシリーズ。
「ロウソクの火1本でも写る」をキャッチフレーズに、明るい大口径レンズを搭載した家庭用カメラの先駆けとなりました。
今回紹介するヤシカエレクトロ35CCは、そんなエレクトロシリーズを一挙に小型化した機種。
初期のヤシカエレクトロシリーズは、ギラギラと光る銀色のメッキが特徴で、いまとなっては少々時代を感じてしまうデザインなのですが、このエレクトロ35CCはすっきりしたデザインとなっており、いまの目から見ても格好良い見た目に仕上がっています。
搭載レンズはCOLOR-YASHINON DX 35mm F1.8。
他のヤシカのカメラ同様、知る人ぞ知る名光学メーカー・富岡光学製のレンズを搭載しており、昭和のカメラ特有の優しさを秘めた、それでいて解像力にも富む、味のある写真が撮れますよ。
ピント合わせはレンジファインダー式、露出制御は他のエレクトロ35シリーズ同様に絞り優先AEを採用。
絞り優先AEのコンパクトカメラということで、とても手に馴染む操作感に仕上がっています。
5.オリンパス ペンEEシリーズ
レンズ | 28mm F3.5 |
ピント合わせ | 目測式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1961年 |
中古価格 | 約2万円 |
備考 | 3種類あります |
オリンパス ペンEEシリーズは、1961年に発売が開始され、今でも多くの女性を中心とした層に人気のあるカメラです。
元々のコンセプトが「使いやすさに徹底」されたもので、シャッタースピード1/60秒や露出は絞りが自動調整してくれると、機能を合理的に割り切ってつくられたもので、ボタンを押すだけで誰でも簡単にキレイな写真が撮れるカメラとして誕生しました。
ペンEEシリーズは初代EE、そのあとに生まれたEE-2、そしてEE-3があります。どの機種も大きな変化はなく、見た目のデザインもほぼ同じで、カバンの中にスッと入れて持ち運ぶことが出来るくらいコンパクトな設計になっています。
実際にペンEE-3を使った作例記事がありますので、どんな写りをするか、どんなカメラなのかを知りたい方はぜひご覧ください。
ハーフサイズカメラ OLYMPUS(オリンパス) PEN EE-3を持って下田の港町をぶらり。【旅×フィルムカメラ第6弾】
6.ミノルタ ハイマチックE
レンズ | 40mm F1.7 |
ピント合わせ | レンジファインダー式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1971年 |
中古価格 | 約1万6000円 |
備考 | – |
ミノルタのコンパクトカメラといえば「ハイマチック」シリーズ。
初代ハイマチックがアメリカの宇宙船に搭載されたことでも有名です。
このハイマチックEは、ここまでに紹介した、コニカC35、オリンパス35DC、ニューキヤノネットQL17といったカメラと非常に似通ったスペックを備えています。
というよりも、1960年代後半〜1970年代初頭、どのカメラメーカーも、「コンパクトカメラ」というジャンルでしのぎを削っていたといったほうがよいでしょう。
ハイマチックEは、ミノルタ ハイマチックシリーズの中でもとくに人気の高い1台。
レンズは明るいROKKOR-QF 40mm F1.7で、クリアな描写が味わえます。
プログラムAEの性能も優秀なので、レンズの性能を最大に活かした写真を撮ることができるでしょう。
このハイマチックEが発売されたのは1971年ですが、その1年後の1973年には、ハイマチックFという機種も送り出され、同様に人気があります。
ハイマチックFはレンズが38mm F2.7という標準的スペックになっていますが、その分ボディは軽量。
ハイマチックEとハイマチックF、好みで選ぶとよいでしょう。
7.リコーオートハーフ
リコーオートハーフS
レンズ | 25mm F2.8 |
ピント合わせ | 固定 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 自動(ぜんまい式) |
発売年 | 1962年〜1979年 |
中古価格 | 約1万5,000円 |
備考 | ハーフサイズカメラ |
リコーオートハーフは、まさに1960年代という時代を象徴するようなカメラ。
名前の通り、普通の35mmフィルムの半分の面積で撮影するハーフサイズカメラとなっています。
オートハーフには多くの機種がありますが、なかでも1960年代後半に発売された機種(とその改良版)がおすすめです。
具体的には、
オートハーフS(1965年):セルフタイマー内蔵
オートハーフE(1966年):オートハーフSからセルフタイマーを除いたもの
オートハーフSE(1967年):セルフタイマー、フィルム自動空送り機能を内蔵
オートハーフSE2(1976年):オートハーフSEの改良版(ホットシューを追加)
オートハーフE2(1976年):オートハーフSE2からセルフタイマーを省略
これらの機種がおすすめです。
というと、どれを選ぶか悩むかもしれませんが、上記はすべて、ほとんど同じカメラです。
見た目がほとんど同じで、セルフタイマー以外は機能的にもほぼ変わらないので、どの機種を選んでも大丈夫です。
(この記事に掲載しているモデルはオートハーフSです)
さて、リコーオートハーフシリーズ最大の特徴は、「押すだけで写る」カメラを実現した、最初期の機種であるということ。
露出制御はプログラムAE。
ピント調節は固定焦点式。
そして、ゼンマイを内蔵することで巻き上げまで自動化されているのです。
シャッターを押す以外、なにも操作がいらないカメラ。
未来的なデザインと相まって、1960年代の人々に未来を感じさせたことでしょう。
実際、1970年代の大阪万博に際しては、オートハーフEの前側のデザインを変更した記念モデルも販売されています。
それ以外にもレンズ横の部分にさまざまなデザインが施されたモデルがあるので、中古を探すときにはぜひお気に入りを見つけてみましょう。
8.キヤノン Demi EE17
レンズ | 30mm F1.7 |
ピント合わせ | 目測式 |
外装 | 金属 |
巻き上げ | 手動 |
発売年 | 1966年 |
中古価格 | 約1万8,000円 |
備考 | ハーフサイズカメラ |
もう1機種、ハーフサイズカメラのなかでも人気が高いものを紹介します。
それが、Canon Demi EE17。
1960年代、日本ではハーフサイズカメラのブームが存在しました。
まだフィルムが高価だった当時、普通の35mmフィルムカメラの2倍撮れるハーフサイズは、経済的なカメラとしてもてはやされたのです。
ですが、そんなハーフサイズカメラも、差別化のため徐々にスペックの競争が行われるようになります。
このCanon Demi EE17は、そんなハーフサイズカメラの進化の極北とでも言える存在でしょう。
なんといっても特徴は、30mm F1.7という大口径レンズを搭載しているということ。
ハーフサイズカメラのレンズの主流はF2.8やF3.5クラスだった中、オリンパスPEN EEDやヤシカハーフなどと並び、コストをふんだんにかけた高性能レンズをおごっています。
さらに、露出制御はシャッター優先で、さまざまな撮影意図に対応。
しかもファインダーはブライトフレーム付きで、全体的に、ハーフサイズカメラとしてはこれ以上なく手間がかけられたつくりです。
見た目も1960年代ならではのレトロなデザインで魅力満載。
構えて可愛く、使うと高機能。
フィルムカメラの魅力を存分に味わえるDemi EE17を、ぜひ中古で探してみませんか?
関連記事
Canon Demi EE17やリコーオートハーフのようなハーフサイズカメラについて、詳しくはこちらの記事で解説しています!
ぜひ併せてご覧ください。
9.キヤノンオートボーイシリーズ
レンズ | 38mm F2.8(80年代の多くのモデル) 40mm F1.9(AF35ML) |
ピント合わせ | オートフォーカス式 |
外装 | プラスチック |
巻き上げ | 自動 |
発売年 | 1979年(初代オートボーイ) 1981年(AF35ML) |
中古価格 | 6,000円前後(初代オートボーイ) 1,7,000円前後(AF35ML) |
備考 | – |
1979年からデジタルカメラの時代まで、Canonのコンパクトカメラに名付けられた名称、それが「オートボーイ」。
なかでも初代オートボーイは、フィルムコンパクトカメラを大きく変えたエポックメイキングな機種です。
特徴は「押せば写る」カメラを完成させたということ。
上で紹介したオートハーフも押すだけのカメラでしたが、そちらはレンズは固定焦点、ゼンマイの巻き上げが必要、とまだ未完成の要素がありました。
それに対しオートボーイでは、巻き上げ・巻き戻しは電動化。
ピント合わせはオートフォーカスを内蔵と、すべての部分において自動化を成し遂げたのです。
もちろんフラッシュも内蔵しているため、夜間の撮影も可能です。
この初代オートボーイのコンセプトは大成功。
他社を含めて、1980年代以降のフィルムコンパクトカメラは、ほぼすべてが同様の機構を搭載するようになりました。
もちろん、初代オートボーイはレンズの描写も優れています。
のちの機種ではズームレンズ搭載で画質が悪くなってしまったものも多いのですが、単焦点レンズを搭載した機種では、古きよき1960〜1970年代のカメラに引けを取らない高画質が楽しめますよ。
大口径レンズ搭載のAF35ML(オートボーイスーパー)
そんなオートボーイシリーズの中でも特筆すべき機種が、シリーズ全体で2機種目の、「AF35ML」です。
最大の特徴は、40mm F1.9という大口径高級レンズを搭載しているということ。
このAF35MLのほかに、オートフォーカス時代のフィルムコンパクトカメラで同様のレンズを搭載した例はほとんどありません。
さらに、CCDラインセンサーによるオートフォーカスは、同時代のオートフォーカスコンパクトカメラに比べ高性能。
明るいレンズを活かすピント合わせが可能です。
明るく大きな、まるで吸い込まれるようなレンズ。
大口径レンズのコンパクトカメラという、キャラが立ったカメラAF35MLは、コンパクトカメラながら人を惹き付ける精悍さを持った機種だといえるでしょう。
10.ニコン L35AF・L35AD
レンズ | 35mm F2.8 |
ピント合わせ | オートフォーカス式 |
外装 | プラスチック |
巻き上げ | 自動 |
発売年 | 1983年 |
中古価格 | 27,000円前後 |
備考 | 日付写し込み機能つきはL35AD |
ニコンL35AF・L35ADは、ニコン・ピカイチというニックネームでも知られるカメラ。
日付写し込みなしのモデルがL35AF、ありのモデルがL35ADとなります。
上で紹介したキヤノンオートボーイの大成功により、他のカメラメーカーも、オートフォーカス・自動巻き上げ・自動巻き戻し・フラッシュ内蔵というフィルムコンパクトカメラを次々と送り出すようになりました。
それは世界のニコンも同様。
実はこのL35AFが発売されるまで、ニコンはコンパクトカメラを作ったことがありませんでした。
それまで販売したのはレンズ交換式レンジファインダーカメラと一眼レフカメラのみ。
高級カメラメーカーとしての自負があった、といえるかもしれません。
そんなニコンが送り出した初めてのコンパクトカメラは、他社とは一味違っていました。
機構面だけ見れば、オートフォーカス・自動巻き上げ・自動巻き戻し・フラッシュ内蔵という他社と同様のスペック。
では何が違うのかというと……。
搭載しているレンズがまったく異なるのです。
ニコンL35AFが搭載しているレンズは35mm F2.8。
普通、このスペックのレンズでは3群4枚のテッサータイプを使うのが普通です。
それに対し、L35AFのレンズは4群5枚のゾナータイプ「ニッコール千夜一夜物語 – 第三十三夜 | Enjoyニコン | ニコンイメージング」2022年5月13日閲覧。
そう、他社のコンパクトカメラに比べて、コストがかかった一段上のレンズを採用しているのです。
レンズ名こそ「Nikon Lens」となっていますが、そのシャープな写りは一眼レフ用のニッコールレンズ顔負けのもの。
実際、ニッコールレンズと同様の設計態勢で作られているのだから当然です。
ニコンが作った初めてのコンパクトカメラ。
作りも非常によく、ニコンならではの真面目なつくりが魅力の一台です。
11.富士フイルム Silvi F2.8
レンズ | 24-50mm F2.8-5.6 |
ピント合わせ | 自動 |
外装 | プラスチック |
巻き上げ | 自動 |
発売年 | 2002年 |
中古価格 | 約26,000円 |
備考 | – |
最後に、フィルムコンパクトカメラの進化の最終形態を紹介しましょう。
ここで紹介する富士フイルム Silvi F2.8は、2002年に発売された機種。
すでにデジタルカメラが普及しはじめた時代のカメラです。
このカメラ、機能的には1980年代以降のコンパクトカメラとしては標準的なスペックだといえるでしょう。
自動巻き上げ、巻き戻し、オートフォーカス、フラッシュ内蔵など、どれもこの時代としては当たり前の機構です。
では、このSilvi F2.8にはどんな凄さがあるのでしょうか?
それはやはり、レンズなのでした。
このSilvi F2.8に搭載されたレンズはSUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6。
本記事で紹介した他のカメラと違ってズームレンズです。
スペックを見ればわかるとおり、このレンズの広角側は、なんと24mm。
コンパクトカメラとしてはまれに見る超広角です。
さらに、ズームレンズというと画質が低下してしまうのが一般的なところ、富士フイルムならではのレンズ設計技術と、スーパーEBCコーティングで、単焦点コンパクトカメラに引けを取らない描写力を実現。
超広角で、表現力豊かな写真を撮ることができますよ。
じつは、このカメラが超広角を採用したのには理由がありました。
それが「自撮り」のため。
広角レンズで、さらに0.35mまで寄ることが可能。
しかも、自撮り時の撮影範囲を示すランプと、自撮り用の鏡、そして左右両側にシャッターボタンを搭載と、これ以上なく、自撮りに特化しています。
写ルンですで自撮りをしていたあなたにぜひおすすめしたいカメラ。
それがSilvi F2.8なのです!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
コンパクトカメラでフィルムカメラに入門してみませんか?
このように、フィルムコンパクトカメラには魅力的な機種がいっぱい。
もちろん、どれも使い方が非常に簡単、値段も安いので、写ルンですを使っていたあなたにおすすめです。
フィルムカメラの世界はとても広いもの。
写ルンですでもフィルムならではの描写は楽しめますが、さまざまなカメラを使ってみることで、より深く、フィルム写真を味わうことができますよ。
もしフィルムコンパクトカメラを使ってみて興味が出てきたら、レンズ交換式の一眼レフカメラやレンジファインダーカメラを使ってみるのもおすすめ。
当店、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラの公式サイトでは、中古カメラの販売やフィルムカメラについてのコラムを掲載しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
更新履歴
2022年5月13日
no imageとなっていた箇所に画像を追加。
冒頭に2022年版記事へのリンクを追加。
一部、出典を追加。
2024年2月08日
最新の価格情報の反映、現在人気のフィルムコンパクトカメラの見直しをしました。サンライズカメラでは、一部フィルムコンパクトカメラにネガフィルムを一本付属して販売していますので、多くのフィルムカメラ初級者さんから人気を得ています。
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