Voigtlander(フォクトレンダー)BESSAシリーズまとめ 中古でレンジファインダーを味わおう!
日本のカメラメーカー、コシナが展開していたレンジファインダーカメラ、BESSAシリーズ。
ドイツの名門ブランド、フォクトレンダー(Voigtlander)の名前を受け継ぎ、使いやすい35mmレンジファインダーカメラとして、フィルムカメラからデジタルカメラへの移行期を彩ったカメラです。
特徴は、日本製カメラの堅実な構造をベースとして設計されているということ。
カメラの主要機構部は非常に信頼できる、安定した設計のもの。
そのうえで上質なレンジファインダーを搭載しているのだから、そんなカメラが使いにくいはずがありません。
実用のためのレンジファインダーカメラとして、M型ライカやヘキサーRFといったライバルに引けを取らない魅力を持った、フォクトレンダー BESSAシリーズ。
2015年に生産が完了し、現在では市場在庫と中古のほかには手に入れるすべはありません。
ぜひ中古で手に入れてみたいこのカメラは、いったいどんな特徴を持っているのでしょうか?
またフォクトレンダー BESSAシリーズには一眼レフカメラのBessaflex TMも存在しています。
M42マウントのレンズを楽しむときに便利なこのカメラについても紹介します。
目次
フォクトレンダー BESSAシリーズ
まず、フォクトレンダーのBESSAシリーズとは、いったいどんなカメラなのか紹介します。
フォクトレンダー BESSAの登場
フォクトレンダー BESSAは、1999年に初代ベッサLが登場し、2015年まで製造が続いたレンジファインダーカメラのシリーズ(一部、レンジファインダー非搭載モデルもあり)。
製造は日本のカメラメーカー、コシナが担当しています。
レンジファインダーカメラといえば、真っ先に思い浮かべられるのがM型ライカやニコンS型。
フォクトレンダー BESSAシリーズは、ともすれば中古市場での価格がとても高くなりがちな高級レンジファインダーカメラを強く意識して、より安価かつ快適にレンジファインダー用レンズを楽しむことを主眼に開発されたカメラです。
内蔵のレンジファインダーは、M型ライカを彷彿とさせる一眼式のもので、ファインダー倍率も複数存在。
さまざまな焦点距離のレンズに対応可能です。
また、マウントもライカMマウント、L39スクリューマウント(ライカLマウント)、ニコンSマウント、コンタックスマウントと取り揃えられており、レンジファインダー用の著名なレンズはベッサシリーズですべてカバー可能です。
また露出計を標準装備。
AE搭載機種もあるので非常に便利に使用できますよ。
そんな高機能・多バリエーションのBESSAシリーズですが、なぜそんなふうにラインナップを揃えることができたのでしょうか?
実はその陰には、「無名の名機」の存在があったのです。
コシナの一眼レフカメラをベースに設計・開発
フォクトレンダー BESSAシリーズは、実は既存のカメラの技術をベースに設計・開発されています。
COSINA CT1シリーズ
その原型となったのが、コシナ CT1シリーズ。
↑画像はCT1シリーズのひとつ、COSINA CT1G
コシナ CT1シリーズは、1979年に初代機種が発売したフィルム一眼レフカメラ。
機械式の縦走り金属幕シャッターを搭載しています。
初代CT1はシャッター最高速度が1/1000秒でしたが、1983年には最高速が1/2000秒のCT1 Superに発展。
そのほかにも絞り優先AE搭載機をバリエーション展開するなど、機械式シャッターから電子式シャッターまで、ベーシックながら堅実な設計を持ち味にしていました。
さて、コシナがフォクトレンダー BESSAシリーズを設計するにあたって、カメラの心臓部はほぼCT1 Superの設計をベースとしています。
具体的には巻き上げやシャッター。
BESSAシリーズは、基本的にモダンな縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッターを採用しています。
その他にも、BESSA各機種に搭載された露出計やAEにも、コシナがこのCT1シリーズで培った技術が惜しげもなく投入されているのです。
コシナというカメラメーカー
さて、そんなコシナは、今でこそこのBESSAシリーズや、フォクトレンダー、ツァイスをはじめとする交換レンズで、カメラファンの間では知られた存在となっています。
しかしながら、かつては無名のメーカーのひとつにすぎませんでした。
コシナは、志賀高原にほど近い長野県中野市に本拠を置く光学機器メーカー。
設立は1959年。
写真用レンズの下請けに始まり、1960年代には35mmフィルムコンパクトカメラや一眼レフカメラの製造にも乗り出します。
多くのカメラメーカーの廃業が相次いだ1970年代も乗り切ったコシナ。
現在まで続くメーカーでありながら、無名である時期が長かったのには理由があります。
それが、コシナはあくまでも下請けに徹したメーカーであったためです。
コシナの作るカメラは、各社にOEMとして供給され、あまりの種類の多さに、どれだけのブランド名を名乗ったかさえわからないくらいです。
有名所では、BESSAシリーズと同様にCT1 Superをベースとしたモデルとして、
- Nikon FM10
- OLYMPUS OM2000
- Canon T-60
などが挙げられます。
そう、世界に名の轟く一流メーカーもコシナのお世話になっているのです。
そんなコシナが、独自の勝負に出たのは20世紀も終わりになる1999年のこと。
この記事で紹介しているBESSAシリーズの初代、BESSA Lの登場です。
BESSAシリーズの展開開始とともに、コシナの快進撃が一挙に始まりました。
その背景には、中古カメラファンの間で、使いやすい実用的なレンジファインダーカメラが求められていたこともありました。
M型ライカでは高すぎるし、故障が怖くてガンガン使えない。
LマウントのCanon製レンジファインダーでは古すぎる。
コニカ ヘキサーRFは良いカメラだが、自動巻き上げではつまらない。
そんな中古カメラファンのわがままな要望にぴったり応えた存在こそがフォクトレンダー BESSAシリーズ。
ニッチを掴んだことで、現在に至るコシナの隆盛が始まったのです。
フォクトレンダーというカメラメーカー
では一方で、コシナにブランドを提供したフォクトレンダーとは、いったいどんなメーカーなのでしょうか?
フォクトレンダー(Voigtlander)は、かつてドイツの名門カメラメーカーの一角を担った、歴史あるブランド。
設立はカメラ発明以前の18世紀に遡り、望遠鏡やオペラグラスの製造から始まりました。
世界最初の実用的な写真技術であるダゲレオタイプが発明された直後の1840年代にはレンズ制作を開始。
19世紀を通じて、ドイツが誇る著名カメラ・レンズメーカーの一角に躍り出ます。
20世紀には数々の名機を送り出したフォクトレンダー。
第二次大戦後もドイツを代表するカメラメーカーとして、数々の大衆カメラの歴史に残る機種を製造します。
フォクトレンダーのカメラとしてよく知られているものとしては、
二眼レフカメラのスパーブ、ブリラント。
SUPERB(スパーブ)
レンズ固定式レンジファインダーカメラのヴィトー。
Voigtlander VITO II(ヴィトーII)
そして、この記事で紹介しているBESSAの名前の元となった、69判のスプリングカメラ、ベッサなどが挙げられます。
Voigtlander Bessa II(ベッサII)
戦前の中判スプリングカメラ、BESSAは、ツァイス・イコンのイコンタと並ぶ高級機種。
そんな銘カメラから名前を取ったことからも、現代のBESSAシリーズが特別なカメラとして位置づけられたことが読み取れます。
そんなフォクトレンダーも、他のドイツ製カメラメーカーの例に違わず、1960年代以降、苦戦を強いられます。
その要因はやはり、日本製カメラの隆盛。
1969年にはツァイス・イコンに吸収され、その後はフォクトレンダーのブランド名は各社を転々とすることとなります。
そして1999年、フォクトレンダーブランドの使用権をコシナが取得し、レンジファインダーカメラとして生まれ変わったBESSAシリーズの誕生に至るのです。
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フォクトレンダー BESSAシリーズのメリット
さて、数ある中古レンジファインダーカメラのなかでも、フォクトレンダー BESSAシリーズを選ぶのにはどんなメリットがあるのでしょうか?
ガンガン使えるレンジファインダーカメラ
中古カメラファンなら誰でも特別な思い入れがある、レンジファインダーというカメラ。
ですが、どちらかといえば、レンジファインダーカメラにはどれも「高級カメラ」というイメージがあるのではないでしょうか。
M型ライカは、もともとの中古価値の高さもあいまって、どうしても大切に扱ってしまおうとしてしまうもの。
またライカMマウントを採用したコニカ ヘキサーRFや、ミノルタCLEといったカメラも、Mマウントのカメラだというだけで、どこか繊細なイメージを持たれてしまうきらいがあります。
いっぽう、フォクトレンダーのBESSAシリーズなら、そんなことを気にせずに、ガンガン外に持ち出して使うことが可能です。
これは、BESSAシリーズの価値が低いから使い潰してよい、と言っているのではありません。
フォクトレンダー BESSAシリーズならではの信頼性の高い設計ゆえに、より積極的にレンジファインダーカメラでの撮影が楽しめるということなのです。
そもそもBESSAシリーズのベースとなったCT1シリーズは、OEMとして供給された先で、発展途上国の過酷な環境で使用されていました。
衝撃や砂埃などにまみれた環境の中でも、確実な仕事を果たしてきたのです。
そんなCT1の機構を受け継いだBESSAシリーズが、ちょっとやそっとの過酷な使い方でへこたれるはずがありません。
どんどん持ち出して、惜しげなく撮影を楽しめるレンジファインダーカメラ。
それこそが、BESSAシリーズの持ち味であり、中古を手に入れるメリットだといえるでしょう。
機械式マニュアルから絞り優先AEまで幅広く楽しめる
さて、そんなフォクトレンダー BESSAシリーズには、機械式のマニュアルカメラも、電子シャッターを搭載した絞り優先AE機も存在しています。
「カメラは機械式でないと認めない」という中古カメラファンの方にも。
名レンズを絞り優先AEのボディに取り付けて、どんどんストリートスナップを楽しみたいという方にも。
ぴったりの機種を選ぶことで、どんな使い方にも対応します。
手持ちのオールドレンズに合ったマウントの機種を選べる
さらに。
フォクトレンダー BESSAシリーズは、レンジファインダーカメラに用いられたことのあるメジャーな各種マウントのボディがすべて存在します。
具体的には、
・L39スクリューマウント(ライカLマウント)
・ライカMマウント
・ニコンSマウント
・コンタックスマウント
の各マウントに対応。
ライカMマウントやLマウントのカメラは、ライカの他にもいくつか存在していますが、ニコンSマウントやコンタックスマウントの互換カメラは他にはほぼ存在しません。
(コンタックスマウントに関してはロシアカメラのキエフもありますが、信頼性に問題あり)
オールドレンズをフィルムで楽しむときに、BESSAシリーズは心強い味方になってくれますよ。
フォクトレンダー BESSAシリーズ 各機種紹介
さて、それではフォクトレンダー BESSAシリーズの各機種にはそれぞれどんな特徴があるのでしょうか?
具体的に異なるポイントとしては、ファインダー、採用しているレンズマウント、機械式マニュアルか電子式AE機か、などが挙げられます。
さまざまなシーン・使用レンズに対応できるフォクトレンダー BESSAシリーズ。
ぜひこの記事も参考にして、あなたにぴったりの一台に中古で出会うことができれば幸いです。
BESSAシリーズに共通するスペック
基本的にベースとなる機能は共通のBESSAシリーズ。
まず最初に、共通するスペックについて記載します。
シャッター | B、1秒〜1/2000秒 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー (二重像合致式) 採光式ブライトフレーム パララックス自動補正 (BESSA L・BESSA Tを除く) |
露出計 | TTL測光 LED定点合致式 |
巻き上げ・巻き戻し | 手動 |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
BESSA L(ベッサL)
ファインダー枠 | (ファインダーなし) |
ファインダー倍率 | (ファインダーなし) |
レンズマウント | L39スクリューマウント |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 1999年 |
1999年に中古カメラファンに驚きを持って迎えられた、フォクトレンダー BESSAシリーズの初代機種。
それがBESSA L(ベッサL)です。
このBESSA Lは、それ以降のBESSAシリーズとは明らかに異なるカメラ。
そして、レンジファインダーカメラ用レンズを取り付けられるカメラとしては、非常に稀な特徴を持った機種であるといえます。
BESSA Lの特徴。
それが、「ファインダーがない」ということです。
ファインダーがない。
比喩ではなく、レンジファインダーはおろか、ビューファインダーさえないのです。
ではどうやって使用するかというと、まず距離合わせについては、広角レンズの被写界深度の深さを利用した目測での距離合わせを行います。
そしてフレーミングについても、汎用規格のホットシューに外付けファインダーを取り付けることを前提としているのです。
50mm外付けファインダー
すなわち、目測でのストリートスナップ、さらにはノーファインダーでの撮影さえも主眼としてしまった、非常に尖った機種であるということができるでしょう。
このBESSA Lに似たカメラとして、「ファインダーのないM型ライカ」であるライカMDを思い浮かべる人が多いはず。
ライカMDは各種工業機器への組み込みや、ライカを一眼レフ化するビゾフレックスの使用のために制作されましたが、このBESSA Lについては、「使い方を自分で考える」趣味のカメラ。
スナップに使用するもよし。
外付けレンジファインダーを上に「生やす」もよし。
マニアックな使い方が無限に思い浮かぶカメラです。
BESSA R(ベッサR)
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm |
ファインダー倍率 | 0.7倍 |
レンズマウント | L39スクリューマウント |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2000年 |
1999年のBESSA Lの登場に、中古カメラファンはにわかに色めき立ちました。
L39スクリューマウントを搭載したベッサLを見て、コシナがレンジファインダーを搭載した、正調レンジファインダーカメラも送り出すのではないかと想像したのです。
その夢は現実となりました。
2000年に登場したBESSA R(ベッサR)は、まさにカメラファンが夢見ていた「理想のレンジファインダーカメラ」そのもの。
機械式シャッター採用という勘所は押さえながらも、日本メーカーではの「癖のないTTL露出計」を内蔵。
慣れ親しんだフィーリングでレンジファインダーの撮影が可能な、実用の道具としてこれ以上ない完成度を実現していたのです。
ファインダー倍率は0.7倍と、ライカM2以降のM型ライカを連想させる、標準的かつとても使いやすいもの。
ライカの代替たりうるレンジファインダーとして、諸手を挙げて歓迎されました。
このBESSA Rをベースに、その後フォクトレンダー BESSAシリーズは各機種を発売していくことになります。
BESSAシリーズとしては初期のモデルであるBESSA Rは中古でもレンジファインダーカメラとしては比較的安く手に入れることが可能。
レンジファインダーを初めて中古で手にする方にもおすすめできるモデルです。
BESSA T(ベッサT)
ファインダー枠 | (ビューファインダーなし) |
ファインダー倍率 | (ビューファインダーなし) |
レンズマウント | VMマウント |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2001年 |
2001年、BESSAシリーズ第三弾として登場したBESSA T(ベッサT)は、オーソドックスなBESSA Rとはうってかわって、BESSA L並に尖ったカメラとなりました。
このBESSA Tの特徴。
それが、「レンジファインダーのみを搭載」したカメラだということ。
すなわち、連動距離計は装備しているものの、フレーミング用のファインダーは一切ないのです。
ではどうやって使用するのかといえば、こちらもホットシューにフレーミング用の外付けファインダーを装着することとなります。
距離合わせとフレーミングでファインダーを使い分ける。
というと、すぐに思い浮かぶのがバルナックライカの使用方法です。
バルナックライカでは、標準レンズ以外では外付けファインダーを取り付けることとなります。
すなわち、このBESSA Tは、バルナックライカの使用感を現代に蘇らせたカメラだと言っても過言ではないでしょう。
さまざまなレンズを使い分けるなら、焦点距離に合わせてファインダーも取り替えればよい。
思い切った設計思想のBESSA Tは、他に類を見ない、ぜひ中古で一度は使ってみたいカメラです。
限定モデルとして、フォクトレンダーの名レンズ、「ヘリアー」の101周年を記念したモデルが存在します。
(ここで紹介している写真も限定モデルです)
BESSA R2(ベッサR2)
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm |
ファインダー倍率 | 0.7倍 |
レンズマウント | VMマウント(ライカMマウント互換) |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2002年 |
2000年に発売したBESSA Rには、最大にして唯一の欠点がありました。
それが、LマウントのためライカMマウントレンズは使用できないということです。
ライカレンズを使うなら、LマウントだけでなくMマウントの銘玉もぜひ使ってみたいもの。
しかしM型ライカは気軽に持ち出すには高価過ぎるカメラですし、ミノルタCLEは状態が悪い個体も多いもの。
コニカ ヘキサーRFも、自動巻き上げのモダンな仕様のため、好みと合わないという意見のカメラファンもいることでしょう。
そんな、ライカMマウントレンズを使用したいという中古カメラファンのわがままな要望にも、コシナはもちろん応えました。
2002年、BESSA R2(ベッサR2)の登場です。
基本的にはBESSA Rと同様のスペックですが、マウントはライカMマウント互換のVMマウントへ変更。
古今東西のライカMマウントレンズが使用可能です。
ライカMマウントは、マウントアダプターを介することでL39スクリューマウントのレンズが制限なく使用可能。
BESSA R2なら、レンジファインダーの中でももっともメジャーな、MマウントとLマウントという2つのマウントの中古レンズが使い放題なのです。
中古オールドレンズを楽しむなら、このBESSA R2は非常に便利な選択肢。
レンズを楽しむ母艦として、ぜひ中古で手に入れて一台持っておきたいカメラです。
BESSA R2S(ベッサR2S)
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm |
ファインダー倍率 | 0.7倍 |
レンズマウント | ニコンSマウント |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2002年 |
2002年。
コシナは矢継ぎ早に、フォクトレンダー BESSAシリーズのバリエーションを展開しました。
BESSA R2S(ベッサR2S)もそのひとつ。
BESSA R2Sは、BESSA R2のマウントをニコンSマウントに変更したバージョンです。
ニコンSマウントとは、ニコンSPやニコンS3をはじめとする、ニコン製レンジファインダーカメラで使用されたマウント。
このBESSA R2S以前には互換マウントのカメラは存在せず、使用するためにはニコン製のレンジファインダーカメラを中古で手に入れるか、復刻版を購入するほかありませんでした。
ですが、ニコン製のレンジファインダーカメラ、Sシリーズは中古でもそれなりの値段がするうえに状態もピンキリ。
いっぽうで復刻版のS3やSPは、現在でも中古はコレクターズアイテムとして非常な高値を保っています。
そこでこのBESSA R2Sの出番がやってきます。
ニコンのレンジファインダー用オールドニッコールを、露出計つきのモダンな環境で楽しむことができるのです。
Sマウント用レンズ W-Nikkor C 3.5cm F1.8
ニコン製レンジファインダーカメラは、ボディ前面のダイヤルで距離合わせを行う方式を採用しており、このBESSA R2Sも同様の機構を搭載しています。
またR2Sには限定モデルとして、輸入カメラ協会(ICS)の30周年を記念した、オリーブ塗装の限定モデルが存在しています。
BESSA R2C(ベッサR2C)
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm |
ファインダー倍率 | 0.7倍 |
レンズマウント | コンタックスマウント |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2002年 |
ニコンSマウントのBESSA R2Sと似通った機種ながら微妙に違う。
それが、コンタックスマウントのBESSA R2C(ベッサR2C)です。
こちらはコンタックス(Contax)のレンジファインダーカメラ用レンズを用いるためのBESSA。
Contax III型とSonnar 50mm F2
そもそもニコンSマウントはコンタックスマウントを模倣して作られたマウントで、その構造は非常に似通っています。
しかしながら寸法が微妙に違い、完全な互換性はありません。
その、微妙な違いにも完璧に対応したのが、このBESSA R2C。
BESSA R2Sと同様、モダンなカメラでコンタックスレンジファインダー用レンズを楽しむことができますよ。
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BESSA R2A・R3A・R4A
BESSA R3A
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm(R2A) 40mm・50mm・75mm・90mm(R3A) 21mm・25mm・28mm・35mm・50mm(R4A) |
ファインダー倍率 | 0.7倍(R2A) 1.0倍(R3A) 0.52倍(R4A) |
レンズマウント | VMマウント(ライカMマウント互換) |
シャッター | 電子式 |
発売年 | 2004年 |
さて、2004年になるとBESSAシリーズは更に新しいステージに突入しました。
それが、絞り優先AEの搭載と、ファインダー倍率のバリエーション展開です。
BESSA R2A・R3A・R4Aという、2004年に登場した3兄弟は、機種名に「A」と付くことが象徴しているように、絞り優先AEを搭載。
そのためシャッターは電子シャッターとなりました。
BESSA R3A
AE搭載レンジファインダーカメラというとミノルタCLEやライカM7、ヘキサーRFなどが思い浮かびますが、BESSAのAEは実用面では間違いなく最高の完成度。
国産カメラならではの違和感のないフィーリングで、確実に使いこなすことが可能です。
また、それまでのBESSA Rシリーズのファインダーを受け継いだR2Aに加え、標準寄り・広角寄りのファインダーを持つモデルが追加されました。
R3Aは1.0倍、すなわち等倍のファインダーを採用。
あのライカM3でさえ、等倍ではなく0.91倍のファインダーだったことを考えると、これはまさにカメラ史に残る偉業。
ぜひ標準レンズをつけて使いたいカメラです。
いっぽうR4Aは0.52倍のファインダーで広角レンズに特化。
なんと21mm対応のフレームまで内蔵しているので、超広角でも快適に撮影を楽しむことができますよ。
泣かせるのが25mmのフレーム。
25mmといえば、Canonの広角レンズでも知られる、レンジファインダーカメラの広角レンズ特有の画角です。
コシナのスタッフの「わかっている感」をそこはかとなく感じるチョイスだといえます。
絞り優先AEのレンジファインダーとして、世界一の完成度。
それが2004年発売のBESSA三兄弟なのです。
BESSA R2M・BESSA R3M・BESSA R4M
BESSA R3M
ファインダー枠 | 35mm・50mm・75mm・90mm(R2M) 40mm・50mm・75mm・90mm(R3M) 21mm・25mm・28mm・35mm・50mm(R4M) |
ファインダー倍率 | 0.7倍(R2M) 1.0倍(R3M) 0.52倍(R4M) |
レンズマウント | VMマウント(ライカMマウント互換) |
シャッター | 機械式 |
発売年 | 2006年 |
2004年に発売した、AE化したBESSA Rシリーズで、BESSAの完成度は頂点に達した……はずでした。
しかし中古カメラファンから更なる要望が求められたのです。
それが、機械式にしてほしいということ。
中古カメラファンに共通するのが、機械式のフルメカニカルカメラへの愛着。
AE化したBESSAでは、ファインダー倍率・フレームを選べるようになりましたが、追加されたR3AとR4Aのファインダーは、電子式シャッターの機種でしか選択できないままでした。
そこでコシナは要望に応え、R2A・R3A・R4Aを機械式シャッターとした機種を投入。
それぞれ、R2M・R3M・R4Mとなりました。
BESSA R3M
機械式シャッターで撮影を楽しみたいなら、R2A・R3A・R4Aよりも、こちらのR2M・R3M・R4Mが魅力的なのは当然。
BESSAのレンジファインダー最終機種となるので、中古でも非常に人気の高いカメラです。
なおR2M、R3Mについては、通常版に先んじて発売された、フォクトレンダーの250周年記念モデルが存在しています。
BESSA R2M フォクトレンダー250周年記念モデル
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BESSAの姉妹機種
さて、そんなBESSAシリーズレンジファインダーには、姉妹機種ともいえる、設計を共用したカメラが存在しています。
Rollei 35RF(ローライ35RF)
Rollei 35RF(ローライ35RF)はローライ35を名乗っていますが、高級コンパクトカメラのローライ35とはまったく関係ありません。
基本的にはBESSA R2のネーム違いで、ライカMマウント搭載のレンジファインダーカメラです。
ファインダー枠のみ異なり、通常のR2が35mm・50mm・75mm・90mmなのに対し、
40mm・50mm・80mmとなっています。
ZEISS IKON(ツァイス・イコン)
ZEISS IKON(ツァイス・イコン)は、2004年、コシナがカール・ツァイスと提携してツァイスブランドのレンズを発売する際に、同時に送り出されたレンジファインダーカメラです。
名称は、かつてツァイスの企業体名であった、ツァイス・イコンをそのまま名乗ったもの。
基本的にはBESSA同様のスペックで、VMマウントを搭載したレンジファインダーカメラです。
BESSAとの違いがレンジファインダーの基線長。
距離計の精度に影響する基線長が75.0mmと、歴史上販売された35mmレンジファインダーカメラの中でも最高レベルに長くなっており、明るいレンズでも非常に精密なフォーカシングが可能です。
詳しくはこちらで紹介しています。
BESSAの一眼レフカメラ
さて、フォクトレンダー BESSAブランドは、レンジファインダーカメラだけのものではありません。
一眼レフカメラのBessaflex TMも存在しています。
Bessaflex TM
詳しくはこちらでも解説しています。
Bessaflex TMは、M42スクリューマウントを採用した一眼レフカメラ。
基本的にはコシナCT1 Superベースですが、外装は金属となっています。
このカメラの開発された目的。
それは、M42マウントの中古オールドレンズを楽しむことにほかなりません。
Bessaflex TMの操作部品は、M42マウント一眼レフの最高傑作であるペンタックスSPのものを踏襲しています。
M42マウントのカメラとして非常に標準的なつくりとなっているため、モダンな内部部品と操作系で、M42中古オールドレンズを快適に使用することが可能です。
ファインダーもペンタックスSPより大幅に明るく見やすいもの。
ペンタックスSPはいまとなってはスペック的に古く、状態が悪いものも多いため、これからM42スクリューマウントの中古オールドレンズを楽しむなら、このBessaflex TMをおいて他に選択肢はないでしょう。
M42マウントの豊富なオールドレンズを味わってみませんか?
中古レンズを楽しむためのカメラ、BESSA
このように、ライカLマウント、Mマウント、ニコンSマウント、コンタックスマウントと多彩なレンズマウントに対応しているフォクトレンダー BESSA。
一眼レフではM42マウントも味わえます。
その設計意図は、中古オールドレンズをモダンなボディで楽しむ、というものにほかなりません。
設計が新しく、使いやすさも国産カメラならでは。
もしこれから中古オールドレンズ本来の描写をフィルムで楽しむなら、BESSAを使ってみませんか?
中古でも状態が良いものが多いので、快適に入手可能です。
ぜひ、あなたの手持ちのレンズを快適な環境で使ってみましょう!
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記事更新履歴
2022年4月4日
ドイツの旧Voigtlander製カメラの画像を差し替え、COSINA CT1Gの画像を追加。
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