[旅×フィルムカメラ第12弾] レンジファインダーカメラ Canon P(ポピュレール)+ RUSSAR 20mm F5.6で日本三大銘茶の産地を訪ねてみた(作例あり)
旅好きな私いくたが、フィルムカメラやオールドレンズを相棒として携え、出会った素敵な景色をお見せしていく連載。
第11回目となる今回の旅は、静岡県は川根本町への旅。
日本三大銘茶の一つである川根茶の産地であり、日本の里100選にも選出された、緑いっぱいのどかな町です。
作例を撮影したカメラは、国産レンジファインダーカメラの決定版ともいえる、「Canon P(ポピュレール)」です。
めっちゃかっこいい・・・。
ライカLマウント(L39マウント、ライカマウント)を採用したフィルムカメラなので、すでにオールドレンズ探訪中で、ライカLマウントのレンズいくつか持ってるよー!という人にもおすすめです。
今回私は、広角20mmオールドレンズの撮り比べでも撮影した「RUSSAR(ルサール) 20mm F5.6 MP-2 Leica Lマウント」(キリル文字表記ではРУСАЛ)を付けて作例を撮影しました。
【旅×フィルムカメラ 前回の記事はこちら】[旅×フィルムカメラ第11弾] Canon New EOS Kissで青春18切符 清里の旅
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Canon P(ポピュレール)について
まずは、今回作例を撮影したフィルムカメラ、Canon P(ポピュレール)がどんな機種なのか簡単に紹介します!Canon P(ポピュレール)の詳細
1959年に登場したCanon Pは、それまで高級路線のレンジファインダーカメラを作ってきたCanonが、大衆向けに売り出そう!という戦略から生まれた普及版機種。かなり売れたそうです。
ちなみに、Canon Pの「P」は、大衆機を意味する「Populair」(ポピュレール)の略とのこと。
レンジファインダーカメラと言えば、”憧れのライカ”が思い浮かぶかもしれませんが・・・
もっと安価に、かつ完成度の高い性能やルックスを楽しみたい人には、ぜひおすすめしたい機種です。
Canon Pのスペック
形式 | 35mmレンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | なし (専用の外付け露出計あり) |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー パララックス自動補正式 アルバダ式ブライトフレーム(50mm・100mm) 全視野が35mmに相当 倍率1.0倍 |
レンズマウント | ライカマウント |
対応レンズ | ライカマウントの各種レンズ |
電池 | 不要 |
発売年 | 1959年 |
さらに詳しくは、上記のCanon公式Webサイトの参考文献や、下記記事でもご紹介していますのでご参照ください。
Canon(キヤノン) P・7/廉価で実用的な国産レンジファインダーカメラの決定版
Canon Pの使い方
次にCanon Pの使い方を少し解説。
フィルム室の開け方がちょっとわかりづらくて、でもクールなんです。
まず、カメラ下部の半円のつまみを起こして、
くるっと回すと、ひっかかりが収納されます。(おぉーっ!!ってなりました笑)
ひっかかりが無くなったことで、このつまみを下ろすことができるようになり、
ぱかっとオープン。
誤って撮影中に開いてしまわないよう工夫された箇所かと思いますが、デザイン性を損なわない程度に、細やかなカラクリが施されている感じに、わくわくしました。
フィルム装填の仕方は、よくあるスプールへ差し込む方式です。
巻き上げレバーに、シャッターボタン、全体的に端正なデザインがとても美しいです!左側の巻き戻しクランクは、折り畳んで収納するようになっています。
フィルムを巻き戻すときは、シャッタボタン周りのつまみを「A」から、右下側の「・」のところへ回してから、巻き戻しクランクを回します。
Canon P(ポピュレール)ならではのアピールポイントとして、ファインダー倍率が「等倍」であるという点も挙げられます。
肉眼と同じような見え方がするので、例えばスナップ写真を撮影する際、右目でファインダーを覗きながら、左目で周囲を確認することも、違和感なくできます。
このロゴのスタイルも、レトロでかわいい。
使用レンズ「RUSSAR(ルサール) 20mm F5.6 MP-2 Leica Lマウント」
レンジファインダーカメラとは、「連動距離計」を内蔵したカメラのことを言いますが、
今回使用したレンズ「RUSSAR(ルサール)20mm F5.6 MP-2 Leica Lマウント」(キリル文字表記ではРУСАЛ)は、測距計が連動しない仕様のため、目測でピントを合わせました。(なかなかコツがいりますね・・!)
また、このレンズの後玉がかなり突出しているため、フィルムカメラではレンジファインダー機ではないと装着できないようです。
一癖も二癖もある旧ソ連製のレンズを装着しての撮影、どんな風になるでしょうか?作例へ続きます〜
Canon P(ポピュレール)で撮影した作例
それでは、Canon P(ポピュレール)+RUSSAR(ルサール)20mm F5.6 MP-2で撮影した作例の紹介です。カラーネガフィルムで撮影
まずはカラーネガフィルムで撮影した作例から。今回、レトロなフィルムカメラということで、初めてモノクロ写真にも挑戦してみました。
カラーネガフィルムはFUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400を使用しました。 (一部、C200も使用)まずは出発前の地元の景色から。色も描写力もなかなかです!
静岡県川根本町は、町域の約95%が森林とのこと。「日本で最も美しい村連合」というのにも加盟しているのもうなずける。美しい景色にたくさん出会えました。
個人的には、「青」や「緑」の色が好きで、いわゆる”フィルムっぽい色味”を見ると、デジタルより好きだ〜と感じて嬉しくなります。
この作例からもわかるように、かなりこってりとした塗りです。
今回の旅でお世話になったお宿は、大井川鉄道沿いに位置する、「大井川 ゲストハウス ゆる宿 Voketto」さん。
フラメンコ音楽を愛し、ギター1本で世界各国を旅したというオーナーさんが、ゆるりと温かく出迎えてくれます、おすすめです。
HPはこちらから→「大井川 ゲストハウス ゆる宿 Voketto」さん
大井川鉄道大井川線の終点「千頭駅」から2駅手前の「青部駅」が最寄。激渋でめちゃくちゃ良い駅でした。こりゃフィルムカメラCanon Pの出番です。
宿のウッドデッキから列車がすぐ見えるのもいいところ。夜、トンネルから列車が出てくる姿は、銀河鉄道のようでテンションあがりました。
ちなみにウッドデッキのテーブルにしている箱は、お茶を保存するように使用されていた「茶箱」です。防湿性・防虫性に優れてるので、最近ではカメラの保存ボックスとして使用する人もいるとかいないとか・・・?
最寄りのスーパー!楽しげな看板。
旅以外で撮影したお写真も。
岡本太郎美術館に行った際の。撮影OKだったので、床に置いて超低速シャッタースピードで。なんだかここにくると、生きる力がみなぎります。
岡本太郎さんもフィルムカメラで沢山写真を撮られていたようで、ちょうど写真展もやってて面白かったです。
雨の日のかなり暗い中での撮影。露光量が足りないシーンだと、少し深緑がかった色味が滲む写真が多かったです。
動き回るお子さんの撮影でのフィルムカメラはかなり至難の技!ということでご家族のみなさんが色々とお題を作ってくれて楽しく撮影。
ちょっと暗くなってしまったけど、広角レンズも活かして面白い写真が撮れました。
モノクロフィルムで撮影
続いて、初めてのモノクロフィルムで撮影した作例です。
作例に使用したのは、カラーネガフィルムと同じようにお店で現像できるILFORD(イルフォード) XP2 SUPERです。光と影を意識して撮影したいなぁと思ってたところ、大井川を横目に、雨上がりの霧がかった山道を走っていると感動する景色に出会いました。
同じ場所で、思い切って太陽をレンズに入れ込んでみた作例↓
レトロな列車がちょうど走っていて、モノクロフィルム持ってきててよかったぁ!と思った。
日本唯一のアプト式列車である、大井川鉄道井川線に乗車しました。
始点千頭駅から終点井川駅までの往復。雨の中、わずかな乗客しかいない中でも、熱心に走って働く乗務員さんの後ろ姿がとても目に焼き付いていたので。
無駄なものがない。列車が自然の中にひっそりと溶け込んでいるような場所。終点井川駅も行ってよかったと思える場所でした。
あとは、旅以外の作例写真も載せていきます。
白黒写真、面白いなぁ。もっと撮ってみたい。
最後は静岡で再会した元職場の友人(先輩)とそのべびちゃん。時代がタイムスリップしてしまったかのような写真に。笑
Canon P(ポピュレール)で撮影した感想
レンジファインダーのフィルムカメラ、やっぱかっこいいですね!持ってるだけでテンション上がります。
そして今回トライした、モノクロ写真とのマッチングも最高でした。
目測だったり少々不便はあった中でもだいぶ満足した撮影ができたので、ほかにも色々なライカLマウントのオールドレンズで撮り比べしてみたいなぁという欲が湧いてきました。
操作性も非常に簡単ですし、描写力も素晴らしかったです。
ぜひいろんな人におすすめしたいカメラでした!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Canon P(ポピュレール)について簡単な解説
ここからは中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したCanon P(ポピュレール)についてもう少し簡単に解説します!
Canon P(ポピュレール)
形式 | 35mmレンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | なし |
露出 | マニュアルのみ (専用の外付け露出計あり) |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー パララックス自動補正式 アルバダ式ブライトフレーム(50mm・100mm) 全視野が35mmに相当 倍率1.0倍 |
レンズマウント | ライカマウント |
対応レンズ | ライカマウントの各種レンズ |
電池 | 不要 |
発売年 | 1959年 |
Canon Pは1959年にCanon(キヤノン)が発売した、連動距離計のついたフォーカルプレーンシャッターのカメラ。
俗にいうレンジファインダーカメラです。
マウントはそれまでのCanon製レンジファインダーカメラ同様、L39マウント(ライカマウント)で、さまざまなレンズが使用できます。
さて、いまでも世界トップクラスのカメラメーカーであるCanonは、もともと、ライカに範を取ったレンジファインダーカメラの製造から始まった会社でした。
戦後も日本光学(Nikon、ニコン)と並び、日本を代表する高級35mmフィルムカメラメーカーであったわけですが、このCanon Pでは、それまでのレンジファインダーカメラから一気に値段を下げ大衆化を図ります。
上でも紹介されていたようにCanon PのPというのは大衆的を意味する「ポピュレール」の略。
実際、52,700円(50mm F1.4付き)/37,700円(50mm F2.8付き)という価格[1]P型(Populaire) – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧)は、それ以前のVI L型の79,800円(50mm F1.8、キヤノンメーター、 マガジン、ケース付き)[2]VI L(6L)型 – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧)やVLT型の52,500円(ボディのみ)[3]VI T(6T)型 – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧)に比べ(付属レンズなど異なるため単純な比較にはなりませんが)大幅に廉価になったものでした。
機構面では、それまでのCanon製レンジファインダーカメラの特徴であった変倍ファインダーをやめ、ファインダー内に50mmと100mmのアルバダ式ブライトフレームを常時表示、ファインダーの全視野が35mmレンズの画角に相当するようにしています。
それ以外の点では、外付けの露出計をシャッター速度に連動させて使用できることを含め、同時期のフィルムカメラに求められる性能をすべて備えており、単に安いカメラというだけにとどまらず、トップクラスの性能をリーズナブルな価格で提供するカメラという、その後のキヤノン製品にも共通するコンセプトをこの時点で実現していたのでした。
近い時期では、EE(自動露出)つきの高機能なレンズシャッターカメラを他社より大幅に安く提供した1961年の初代Canonet(キヤノネット)も似た立ち位置にあるといえるでしょう。
なおその後、レンズ交換式・フォーカルプレーンシャッターのレンジファインダーカメラでは、Canon 7(1961年)が50mm F1.4付きで47,500円と、露出計を内蔵、切り替え式の採光式ブライトフレームなどCanon Pよりさらに高機能であるにもかかわらず、さらなる値下げを実現しています。
Canon Pを中古で買うなら
さて、このCanon Pは、このようなレンジファインダーカメラを実用のために中古で買うなら、もっとも実用的な選択肢だといえるでしょう。
露出計こそ内蔵していませんが、それ以外の点では、非回転・一軸のシャッターダイヤル、一眼式ファインダー、レバー巻き上げなど、モダンなスペックをすべて備えているため、操作に癖のある部分はありません。
またレンジファインダーカメラに慣れていない方にとっては、シャッター幕が金属製であることもポイント。
キャップをつけ忘れて布幕を焼いてしまう心配はありません。
※ただし、このシャッター幕には経年変化でヨレが生じる持病があります。実用上は多少ヨレていても撮影に問題はない(スタッフが私物で使った際にはそう感じました)ですが、気になる方は多少価格が高くても状態の良い中古を選ぶとよいでしょう。
中古価格は、製造台数が多いこともありこのようなレンジファインダーカメラとしては安いです。
また状態のよい中古の数も多いです。
ライカ以外の実用レンジファインダーカメラとして他に選択肢に上がることの多い、コシナ・VoigtlanderのBESSAシリーズは、2020年代に入りフィルムカメラの人気が再燃したことで中古価格が上昇基調にあります。
その点、Canon Pは露出計がないことを除けば、価格が手頃な実用レンジファインダーカメラの選択肢として間違いなくおすすめの機種であるといえるでしょう。
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使用レンズ RUSSAR 20mm F5.6について
今回の使用レンズ、RUSSAR(ルサール) 20mm F5.6は、旧ソ連の時代に開発された超広角レンズです。
キリル文字表記ではРУСАЛとなります。また本来は間違っているのですがアラビア文字に転写してPyCCAPと書かれることもあります。
最大の特徴は20mmという、35mmフィルムカメラ用のさまざまな広角レンズのなかでも非常に広い部類の画角を持つこと。
レンジファインダーカメラ用レンズであることもあり、後玉が大きく飛び出ています。
このような構造のためミラーレス一眼カメラでの使用には制限がある場合もあり、今回のCanon Pのようなフィルムカメラとの組み合わせが最適といえるのではないでしょうか。
本来は外付けファインダーを併用したいですがノーファインダーで使うのもよいですね。
なお、同じく旧ソ連製で後玉が飛び出していることで有名なJupiter-12 35mm F2.8はもともとドイツのカール・ツァイスのビオゴンに源流がありますが、こちらのRUSSAR(ルサール)は旧ソ連で独自に設計されたものといわれています。
旧ソ連製レンズの関連記事
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Canon P + RUSSAR 20mm F5.6 まとめ
今回はCanonのレンジファインダーカメラ、Canon Pと旧ソ連製レンズのRUSSAR(ルサール)20mm F5.6で撮影した作例をご紹介しました。
Canon Pは、上の解説文でも書いた通り実用レンジファインダーカメラとしては間違いなく最もおすすめできる機種。
中古価格も手頃なので、ぜひCanon Pでレンジファインダーカメラに入門してみませんか?
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
脚注
↑1 | P型(Populaire) – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧) |
---|---|
↑2 | VI L(6L)型 – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧) |
↑3 | VI T(6T)型 – キヤノンカメラミュージアム(2022年6月13日閲覧) |
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