Rollei(ローライ)Rolleicord/小型軽量でも描写は本物!ローライコードで二眼レフを始めよう
ドイツ製カメラの名門、Rollei(ローライ)の二眼レフであるローライフレックスとローライコード。
Rolleicord(ローライコード)は廉価版として販売されていたカメラになります。
しかし、ローライコードは単なる廉価機種ではありません。
ドイツ製の銘レンズを搭載しているため、描写はローライフレックスにまったくひけをとらない本物。
さらに、ローライフレックスよりも機構が簡素化されているため、ボディが軽量で、かつ一回り小さいサイズになっています。
ローライフレックスとは一味違った魅力をまとったローライコード。
いったいどのようなカメラなのでしょうか?
中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
Rolleicord(ローライコード)
Rolleicord(ローライコード)は、フランケ&ハイデッケ社製の二眼レフカメラ。
ローライフレックスと並んで二眼レフカメラの代表です。
中古カメラの中でも二眼レフというとローライフレックスばかりが前面に出てきますが、これがなかなか、ローライコードもよいカメラなのです。
Rolleicord(ローライコード)の標準的なスペック
形式 | 二眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒〜1/500秒(III型以降) 機械式 レンズシャッター |
レンズ | 固定式 |
露出計 | なし |
ファインダー | ウエストレベルファインダー |
フィルム装填 | スタートマーク式(III型以降) |
シャッターチャージ | 手動 |
使用フィルム | 120フィルム |
※機種によって異なります。
Rolleicord(ローライコード)の特徴:単なる下位機種ではなく
1933の初代、ローライコードI型から、1962年のローライコードVb型まで、廉価版二眼レフカメラとして製造されたローライコード。
ドイツ製カメラの名門、フランケ&ハイデッケ社の製造した、言わずと知れた二眼レフの名機です。
廉価機種、下位機種というと、ローライフレックスに比べて劣っているような印象を受けてしまうかもしれませんが、実は、まったくそのようなことはありません。
発売当時から現在まで、ローライフレックスとは異なる立ち位置のカメラとして、多くのフィルムカメラファンに愛用されてきたのです。
ローライコードがローライフレックスに勝っている点。
それは、無駄な機構が一切ないシンプルさと、小型軽量であることでした。
Rolleicord(ローライコード)とRolleiflex(ローライフレックス)の違い
廉価機種として販売されたローライコードでは、ローライフレックスに搭載された機構のいくつかが省略されています。
まずフィルム装填。
ローライフレックスではフィルムを入れたら巻き上げるだけでよい「オートマット方式」を採用していましたが、ローライコードでは、ボディ下部の赤窓(I型・II型)もしくはスタートマーク(III型以降)を使用する形式に簡略化されています。
また、巻き上げ方法もローライフレックスのクランク巻き上げと異なり、ノブ式となっています。
ローライコードの側面
ローライフレックスの側面
さらにローライコードの場合、フィルムを巻き上げるとシャッターが自動的にセットされる「セルフコッキング」方式ではなく、巻き上げるたびにシャッターを手動でチャージする必要があります。
これらをひとつひとつ挙げていくと、使用が不便であるかのようにも感じるかもしれませんが、実際に手にしてみるとそのようなことは一切ありません。
現在、中古のフィルムカメラを使うということは、一枚一枚の写真を丹念に、心こめて撮るということ。
フィルムを巻き上げ、シャッターをチャージして、写真を撮る。
そんな一連の流れが、慣れてくると儀式のように快くなってくるのです。
機構がシンプルなため、故障する可能性が低いというメリットも生じました。
安価でもレンズは超一級品
さらに、ローライコードのレンズはローライフレックスに劣ることがない一流のもの。
初期の機種ではカールツァイスのトリオター、後期ではシュナイダーのクセナーを中心に、ドイツ製の銘レンズが搭載されています。
とくにクセナーは、ツァイスのテッサーと同様の3群4枚構成。
単に収差が補正されているだけでなく、空気感まで切り取ることができる、ドイツ製ならではのレンズの味を楽しむことが可能です。
フィルムカメラの性能は、ボディよりもむしろレンズで決まるもの。
小型軽量かつ最低限の機構を搭載したボディながら、描写は世界最高レベルのものなのです。
ドイツ製のレンズを中古カメラで味わうなら、ローライコードはまさに一押しの機種にほかなりません。
多くの日本製カメラの原型となったカメラ
このローライコードは、ローライフレックスと並んで、多くの日本製カメラが模倣した機種でもあります。
むしろ、構造が複雑なローライフレックスよりも、シンプルなローライコードのほうが多くのカメラの原型となったことは間違いないでしょう。
日本製カメラのヤシカフレックスやリコーフレックス(上位機種)をはじめ、ローライコードをコピーしたカメラは枚挙にいとまがありません。
それだけ、このローライコードの設計が完成していることの証左であるともいえるのです。
それでいて、国産中古二眼レフを触ったあとにローライコードに触れると、その仕上げの差に驚くことも間違いないでしょう。
二眼レフカメラについてはこちらの記事もご覧ください。
中古価格はローライフレックスよりも安価
これからクラシックカメラや二眼レフを中古で入手する場合、ローライコードは非常におすすめできる選択肢だといえるでしょう。
その理由はローライフレックスよりも相対的に中古が安価であること。
もともと廉価機種であったこともありますが、機構が簡素なため専門店での整備にも手間がかからないことも理由のひとつです。
オーバーホールや修理が行われた中古品も、数多く市場に出回っています。
機種によっては3万円程度から中古で入手できるので、手軽にドイツ製の「本物の」二眼レフカメラを楽しむことができますよ。
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Rolleicord(ローライコード)の種類とおすすめ中古機種
それでは、ローライコードにはどんな種類があるのでしょうか?
30年にわたって改良が重ねられたローライコードは、大きくI型からV型に分けることが可能です。
ここではそれぞれの特徴と、中古で入手する場合おすすめの機種について紹介します。
Rolleicord I(ローライコードI型)
1933年に発売された初代ローライコードにはじまるI型。
最初期の機種は金色の独特のデザインで、「アールデコ」として知られています。
1934年になると、外観が他の二眼レフと同様に黒いボディに変化します。
以後の機種は、黒い革が貼られた、いわゆる二眼レフらしい姿となります。
フィルム装填は、ボディ下部の赤窓で1枚目を確認して、カウンターを目測で確認して送る形式です。
レンズは3枚玉(トリプレット)のトリオター7.5cm F4.5。
3枚玉というと廉価版の印象がありますが、ツァイスのレンズだけあって、このレンズでしか味わえない美しい描写を味わうことが可能です。
また途中からレンズは少し明るくなり、トリオター7.5cm F3.8となります。
↑トリオター7.5cm F3.8付き ローライコードI(画像はジャンク品)
1936年には改良され、フィルム巻き上げが自動巻き止め付きとなります。
Rolleicord II(ローライコードII型)
1936年から第二次世界大戦を挟んで生産された機種です。
レンズはトリオター7.5cm F3.5。
途中で撮影用レンズにフードなどのアクセサリを取り付けるバヨネットが追加される、シャッターの最高速度が1/500秒となる、などの改良が行われています。
Rolleicord III(ローライコードIII型)
1950年のローライコードIII型は、ピントフードにスポーツファインダーを追加。
レンズはトリオターのほかに、クセナー75mm F3.5が加わりました。
フィルム巻き上げはスタートマーク方式となりました。
Rolleicord IV(ローライコードIV型)
1952年発売。
それまでのローライコードを受け継いだ機種ながら、シンプルなだけでなく、ボディ内部に内面反射防止用のバッフルが追加されるなど、さらに描写が美しくなりました。
巻き上げノブの大型化、ストロボ接点のM-X切り替えなどの追加もなされています。
この機種から、レンズはシュナイダー製のクセナー75mm F3.5のみとなりました。
中古で手に入れる場合、完成度が高いのと、ライトバリューがないので使いやすいのが魅力です。
Rolleicord V(ローライコードV型)
それまでのローライコードと大きく変わったのが、このV型。
最大の変更点は、露出の設定が「ライトバリュー式」となったことです。
ライトバリュー方式とは、シャッター速度と絞りの値が連動して変化する形式のこと。
露出計が普及しはじめた当時、利便性を考えて取り入れられた機構でした。
途中、1957年のVa型からピントノブがボディ右側から左側に移りました。
ローライコードはその後、1962年のVb型が最終型となり、生産が終了されます。
中古としては年式の新しさからくる完成度がポイントとなります。
Rolleicord(ローライコード)を中古購入するならIII型以降がおすすめ
これらの機種の中から、実際にフィルム写真を撮るためにローライコードを選ぶとしたら。
おすすめの中古は、III型以降の機種だといえるでしょう。
III型からフィルム装填が二眼レフとしては一般的なスタートマーク方式となったため、利便性が大きく向上していることが理由のひとつ。
III型とIV型はライトバリュー方式ではなくシンプルなことがメリット。
ライトバリューを好まない方は、IV型の中古を探しましょう。
V型はIII型やIV型よりもさらに完成度が高まっており、信頼性も高いのがおすすめポイントです。
とくに最終型のVb型は非常に中古人気が高いです。
ローライコードでぜひ使いたいアクセサリー「レリーズボタン」
そんなローライコードでぜひ使用したいアクセサリがあります。
それが「レリーズボタン」です。
レリーズボタンとは、シャッターのケーブルレリーズ取付部に装着する、シャッターを切るためのボタンのこと。
ローライコードでは通常、シャッターを切るときはシャッターレバーを操作することになります。
しかしレバーを引いてチャージして、押すことでシャッターが切れるというのは、現在のカメラに慣れていると違和感があるもの。
そこでレリーズボタンを取り付けることで、ボタンを押すとシャッターが切れるという明快な操作性に変えることができるのです。
ローライコードを中古購入するなら、ぜひ一緒に手に入れたいアイテムです。
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Rolleicord(ローライコード)の使い方
それではここから、具体的にローライコードの使い方について解説していきます。
今回は、V型を用いて使用方法を解説します。
他の二眼レフカメラも、多くはローライコードと使い方は同様。
ここで紹介する使い方を参考にすれば、どんな二眼レフでも使えるようになりますよ。
1:フィルムを装填する
■フィルム装填は以下の動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
まずはフィルムを装填します。
裏蓋を開けるには、底面の二重ロックを解除します。
まず底面のロックを左に回し、
その下にある引っ掛け部分を起こします。
裏蓋が開きました。
もし、スプール(フィルムの軸)が下側に入っていたら、上側に移します。
下側のフィルム室に120フィルムを入れ、引き出します。
フィルムの先端を、スプールの中のスリットに入れます。
フィルム先端がしっかりと入ったら、裏蓋が開いたままフィルムを巻き上げていきます。
巻き上げは、カメラを構えたときに右側にあるノブを使って行います。
巻き上げるとき、フィルムがふくらまないように手で押さえるようにしましょう。
スタートマークを合わせる
ローライコードの使い方で重要なのがスタートマーク合わせ。
ローライコードは「スタートマーク式」というフィルム装填方法をとっています。
スタートマーク式とは、フィルムに印刷されたスタートマークと、カメラ側の目印を合わせてから裏蓋を閉じ、以降は自動で1枚ごとに巻き上げが止まる方式。
具体的には、以下のようにフィルム上のマークと、(ローライコードの場合には)赤い目印で示されているスタートマークが一致するまでフィルムを巻き上げます。
スタートマークが合うまでフィルムを巻き上げたら、裏蓋を閉めます。
裏蓋を閉めたら、側面のフィルムカウンターが1になるまでフィルムを巻き上げます。
1が表示されると自動で巻き上げが止まります。
これでフィルム装填・撮影準備は完了です。
多重露光防止機構をONに
ローライコードIV型以降には、多重露光(フィルムの二重写し)を防止する機構が備わっており、レンズ脇のスイッチで切り替えられます。
このローライコードV型の場合には、正面から見てレンズの右側にあるスイッチで切り替えます。
赤い丸が見えていると多重露光が「できる」状態、隠れていると多重露光防止状態になります。
通常は、この赤い丸が見えない状態にするようにしましょう。
2:シャター速度と絞りを合わせる
撮影するときは、まずシャッター速度と絞りを合わせます。
シャッター速度と絞りは、レンズ側面のレバーで合わせます。
設定した値は、レンズ脇の窓に表示されます。
以下の動画でもシャッターと絞りの設定を解説しています。
露出の合わせ方
ローライコードは全機種とも露出計を内蔵していません。
シャッター速度や絞りを合わせるときには、単体露出計かスマホの露出計アプリを使いましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
3:ピントを合わせる
撮影時にはピントを合わせます。
ピントはボディ側面のピントノブで合わせます。
ピントノブを回すとレンズが前後に繰り出されます。
ピント合わせの操作・動画
ウエストレベルファインダーでフレーミング・ピント合わせ
ローライコードのファインダーは、他の二眼レフ同様ウエストレベルファインダーです。
ウエストレベルファインダーでは、上から覗き込んで撮影し、ファインダー像は左右が逆となります。
ローライコードのウエストレベルファインダーでピント合わせをする様子は、以下の動画を御覧ください。
4:シャッターを切る
シャッター速度・絞りを設定し、ピントを合わせたらシャッターを切ります。
ローライコードの使い方においては、少し古めの設計のため「シャッターチャージ」という操作を手動で行う必要があります。
シャッターチャージとは、バネ仕掛けのシャッターを、バネにテンションがかかってチャージされた状態にすることです。
具体的には画像のようにシャターチャージレバーを動かします。
シャッターチャージのレバーは無理やり動かさないようにしましょう。
カチッと音がするまで動かして、指を離すと元の位置に自動で戻ります。
これでチャージ完了です。
シャッターがチャージできたら、同じレバーを押しこむとシャッターが切れます。
これで一枚撮影することができました。
シャッターの切り方については以下の動画でも解説しています。
撮影が終わったら巻き上げます。
5:撮影完了
ローライコードの66判は12枚撮りです。
12枚の撮影が終わったら、そのままフィルムを巻き上げていきます。
巻き上げていくと、中で下部のスプールからフィルムが抜けて、巻き上げが軽くなります。
その後念のため少し多めに巻き上げたら、フィルム装填のときと同様に裏蓋を開けます。
すると上部のフィルム室に撮影済みフィルムが入っています。
これで撮影が完了です。
(中判の120フィルムは、35mmフィルムのように巻き戻しは必要ありません)
動画でも解説しています。
撮影済みフィルムを取り出したら、裏に水で溶ける糊がついた紙帯がついているので、フィルムがばらけないように固定します。
120フィルムは強い光に弱いので、現像に出すまで光に当たらないように保管しましょう。
下部には、今回使用したフィルムがもともと巻かれていたスプールが残っています。
このスプールは上部に移し替えて、次回の撮影時に使うのでなくさないようにしましょう。
Rolleicordの撮影に使えるグッズ・フィルム
Rolleicordでの撮影におすすめの用品とフィルムを簡単に紹介します。
露出計
露出計のないフィルムカメラの使用にあたっては、アクセサリーシューに取り付けられる露出計を使用するのがおすすめです。 中国製の小型クリップオン露出計としては以下のものが。120フィルム(中判フィルム)
中判カメラで使う120フィルムは、以下のものがおすすめです。Rolleicord(ローライコード)の作例
さて、そんなローライコードではどんな写真を撮ることができるのでしょうか?
今回、実際にRolleicord Vb(ローライコードVb)を使用して撮影してみました!
※使用フィルム:富士フイルム PRO160NS
※現像はトイラボにて行いました
Rolleicord Vb(ローライコードVb)作例
まずは風景・スナップの作例から。
木々の緑も美しく、ローライフレックスとはまた異なる、印象的な発色を見せてくれています。
街中での試写。
光線状態もあいまって、非常に立体的な描写。
シュナイダー製レンズの面目躍如です。
続いてポートレート。
モデルの魅力を、ローライコードならではの描写力がいやおうなしに引き出します。
立体感あふれる豊かな描写。
そして、とろけるような背景のボケ味。
ポートレートに最適なレンズであることは間違いありません。
こちらもポートレート。
モデルが浮き出てくるかのような描写が味わえます。
風景でもポートレートでも、ドイツ製舶来レンズならではの魅力的な描写を味わうことができるローライコード。
ぜひあなたも、被写体の魅力をローライコードでいっそう深く引き出してみませんか?
Rolleicord Vb type 2 / Xenar 75mm F3.5のレビュー記事
写真家、雨樹一期さんによるフィルムカメラ名機散歩第9弾です。
ROLLEI CORD Vb type 2 / Xenar 75mm F3.5を片手にお散歩しながら素敵な写真を撮っていただきました。
ぜひご覧ください。
ローライコードはローライフレックスとはまったく異なる二眼レフ
このように、シンプルな機構、かつローライフレックスよりも軽量なローライコードは、単なる廉価版である以上の魅力を持った二眼レフカメラです。
価格も安価なため、これから初めて二眼レフを中古で入手する場合にも、ぜひおすすめしたい選択肢だということができるでしょう。
廉価機種でもドイツ製カメラの魅力は本物。
「小さな本物」ローライコードを中古で手に入れて、ぜひあなただけのましかく写真を撮影してみませんか?
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更新履歴
2022年5月13日
ローライコードII型の箇所にI型の画像が挿入されていたのを修正。ローライコードI型(F3.8)、IV型の画像を追加。
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