CONTAX(コンタックス)RTS・II・III/ツァイスの性能を引き出すための最新技術 初代からRTS IIIまで徹底解説
CONTAX RTSシリーズは、ヤシカ・コンタックスを代表する高級一眼レフカメラ。
中古人気の高いCONTAXのなかでも、ポルシェデザインによる端正なボディデザインと、ツァイスのレンズを使うための研ぎ澄まされた機能・操作性が魅力です。
初代CONTAX RTSが発売されたのは1975年のこと。
その時代にして、高級機ながらカメラ全体の電子化が行われています。
カメラの電子化という設計思想は、単に最新技術を喧伝するためのものではありません。
目的は、カメラを使用する人間にとって最適な操作性を実現するため。
シャッターボタンをわずかに押すだけでシャッターが切れる(フェザータッチと称されました)反応性の良さは、どんなときでもシャッターチャンスを逃さないという設計思想ゆえのものです。
ほかのどんな国産一眼レフとも似ていない中古カメラ、CONTAX RTS。
RTS II、RTS IIIと改良を重ねた高級一眼レフについて、中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
CONTAX RTSシリーズ
CONTAX RTSシリーズの各機種について紹介します。
共通する特長は、人がカメラに合わせるのではなく、カメラが人に合わせる設計思想。
また、バウハウスの残り香を感じるモダンなドイツデザインも魅力です。
中古購入の参考にもしてくださいね。
初代CONTAX RTS
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、4秒〜1/2000秒 電子式 横走布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 |
AE | 絞り優先AE |
ファインダー | 視野率約92% 倍率約0.87倍 |
レンズマウント | Y/Cマウント |
対応レンズ | Y/Cマウントレンズ |
電池 | 4LR44(Amazon)x1個 |
発売年 | 1975年 |
1975年、ドイツのカール・ツァイスと日本のヤシカが合弁で立ち上げた新生CONTAXブランド。
その最初の機種として鳴り物入りで発売されたのが、初代CONTAX RTSでした。
初代CONTAX RTSは、日本メーカーの血が入っていながら当時の他のどんな一眼レフとも似ていないカメラ。
ツァイスのレンズのポテンシャルを引き出すためヤシカお得意の電子技術を最大限に活用。
電子制御のシャッターは、当時他に比類するもののない反応性を獲得しました。
性能・スペックとしては、電子制御のシャッターは最高1/2000秒。
低速側も電子制御ならではの4秒まで可能です。
シャッター幕自体は布幕の横走りとなっています。
そして、1975年という時代の上級機種としては例を見ない、絞り優先AE搭載。
同時代の高級機種はNikon F2やCanon 旧F-1という時代です。
いかにこの初代RTSが未来を見据えていたかわかります。
70年代という時代。
中古カメラであなたも追体験してみませんか?
シャッターボタンはストローク0.7mmという、「フェザータッチ」と呼ばれる非常に敏感な反応性のもの。
少し触れただけでシャッターが切れる即応性は、「撮影したい」という人の意思にカメラが即座に応えるという設計思想のあらわれです。
CONTAX RTSの操作系
ここで、初代RTSで採用された操作系について見てみましょう。
RTSは操作部品の配置を既存の一眼レフカメラとは大きく変えてきました。
巻き上げレバーのある右手側、多くのカメラではシャッターダイヤルがある部分には感度設定ダイヤル兼露出補正ダイヤルが。
同時代のカメラではファインダー脇に置かれていたシャッターダイヤルは、左肩、巻き戻しダイヤルと同軸に移動しました。
これもまた、ツァイスの最高のレンズの性能を完璧に引き出すために、露出意図を自由自在に操ることができるようにするためのもの。
カメラを使うのはあくまでも人。
すべての人間にとって使いやすいカメラであること。
それこそがRTSが目指した理念なのです。
またこの配置変更は、内部の機構と操作部品の位置に関係がない電子カメラだからこそできた試みでもありました。
[contaxb]
CONTAX RTS II
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、4秒〜1/2000秒 16秒〜1/2000秒(AE時) 電子式 横走布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 |
AE | 絞り優先AE |
ファインダー | 視野率約97% 倍率約0.87倍 |
レンズマウント | Y/Cマウント |
対応レンズ | Y/Cマウントレンズ |
電池 | 4LR44(Amazon)x1個 |
発売年 | 1982年 |
そして1982年、初代CONTAX RTSの改良版、CONTAX RTS IIが発売されました。
一見すると初代と寸分変わらない外観にも見えるこのカメラ。
実は各部の信頼性と堅牢性を大幅にアップしています。
初代では製造技術の問題で手配線が残っていた電装系はフレキシブル基板に。
シャッター幕も布幕からチタン幕に変更されました。
また、電池が切れると撮影できない弱点がある電子カメラとして、1/60秒の緊急用機械式シャッターが使用できるようになったのはうれしいポイントです。
中古を探す際には、こだわりがなければこちらのほうが安心して使えるといえるでしょう。
[contaxb]
CONTAX RTS III
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、4秒〜1/8000秒 32秒〜1/8000秒(AE時) 電子式 縦走金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 スポット測光 |
AE | 絞り優先AE シャッター優先AE |
ファインダー | 視野率約100% 倍率約0.74倍 |
レンズマウント | Y/Cマウント |
対応レンズ | Y/Cマウントレンズ (AEレンズではシャッター優先AE使用不可) |
電池 | 2CR5リチウム電池(Amazon)x1個 |
発売年 | 1990年 |
1990年には、CONTAX RTSシリーズの最終機、CONTAX RTS IIIが送り出されました。
CONTAX RTS IIIでは外観も大幅に変更されましたが、それよりもさまざまなスペックが時代に合わせてブラッシュアップされたのが大きな魅力です。
最高シャッター速度は1/8000に高速化。
また、それまでは別体式だったモータードライブがボディと一体化し、秒間5コマの高速連写が標準で可能となりました。
初代とRTS IIとはまったくの別物ですが、完成度が非常に高く、中古の中でもおすすめのモデルです。
ただし、前2機種と比べ中古価格は高めです。
CONTAX RTS IIIのフィルム吸引機構
そして、このCONTAX RTS IIIには今なお語り草となる独自の機構が搭載されています。
それが、フィルムの平面性を高めるための吸引(バキューム)機構です。
具体的には、背後からフィルム圧板にフィルムを吸引することで、完璧な平面性を実現しています。
現代のデジタルカメラではCCDやCMOSなどの撮像素子は完璧に平面です。
しかしながら、フィルムカメラで使用するフィルムは、通常のカメラでは厳密には完全に平面ではないものでした。
大きく引き伸ばすことが前提のフィルムカメラでは、プロに求められる撮影品質においてフィルムの平面性は大きな問題。
CONTAX RTS IIIでは、それまで顧みられてこなかった「フィルムの平面性」という問題に対して真っ向に向き合い、問題解決を実現しているのです。
この独自ギミックだけでも、CONTAX RTS IIIの魅力は否応なしに高まるといえるでしょう。
フィルムカメラで完璧なピント精度の写真を手に入れるとしたら、中古カメラのなかでも他に選択肢はありません。
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RTSでツァイスを楽しむ
コンタックスRTSシリーズは、CONTAXのカール・ツァイスレンズを使うための最高峰の機種。
ツァイスのT*レンズは日本製の他のレンズと別次元の描写です。
ぜひ、フィルムで写真用レンズの真髄を味わってみませんか?
また、コンタックスのカメラ製品についてはこちらの記事で解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
中古でRTSシリーズを手に入れるなら
それでは、これから中古でRTSシリーズを手に入れるとしたら、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
まず、真っ先に気をつけたいのが電子部品の動作。
とくに中古の場合、初代RTSはシャッターの電磁レリーズに持病があるため注意が必要です。
中古店で状態がよいとされているものなら問題ありませんが、高度に電子化されたカメラのため、少しでも不具合がある中古は避けましょう。
もしくは、こちらも古い電子カメラではありますがRTS IIを選ぶのもよいでしょう。
いっぽう、RTS IIIについては電子カメラの設計が板についてきた時代のもののため、他メーカーの中古電子カメラと同様のチェックをすれば問題ありません。
そして、RTSに限りませんがCONTAXの中古で気をつけたいトラブルがミラーずれ。
マウント内のミラーがずれていないか、中古購入時にチェックするようにしましょう。
CONTAX最上級機の魅力は今なお健在
このように、CONTAX RTSシリーズは、その時代ごとの最高のカメラを目指して作られた存在。
フィルムカメラに込められた技術者の願いを、いまなら中古カメラで気軽に味わうことができますよ。
最高の技術、最高の性能、最高の操作性。
最高のレンズであるツァイスの性能を引き出すべく、多くの新機軸が注ぎ込まれています。
中古のY/Cマウントツァイスレンズもよりどりみどりです。
黒いモダンデザインのボディは物としての魅力も完璧。
中古でRTSシリーズを手に入れて、最上級機でツァイスを使う悦びをあなたも体験してみてくださいね。
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修正履歴
2021年4月12日
初代RTSの操作部品の配置について加筆修正
RTSIIIのスペック表、シャッター速度が1/2000秒となっていたため1/8000秒に修正(本文は1/8000秒と記載)
2022年8月2日
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