PENTAX(ペンタックス)MX/機械式最小の一眼レフカメラ ペンタックスMX
世の中にさまざまな小型カメラがあっても、PENTAX MX(ペンタックスMX)以上に小さい機械式一眼レフカメラはありません。
特徴的なカメラであることから、非常に中古での人気が高いカメラです。
PENTAX SPの時代から小型軽量を信条としてきたPENTAX。
その到達点がPENTAX MXだといえるでしょう。
OLYMPUS OM-1を強く意識した超小型ボディは完全機械式。
小さなボディの中に巧みな設計で宝石のようなメカを収納しています。
端正なスタイリングと機械式ならではの精密感により、PENTAXファン以外にも中古人気が非常に高いカメラ、PENTAX MX。
「最小の機械式一眼レフ」とはいったいどんなカメラなのか、中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
PENTAX MX
PENTAX MXの特長について紹介します。
何よりも超小型カメラならではの精密感が魅力的な中古カメラ、それがPENTAX MXです。
ぜひ中古を探す参考にしてくださいね。
PENTAX MXの性能・スペック
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL中央重点測光 |
AE | なし(マニュアルのみ) |
ファインダー | 視野率約95% 倍率約0.95倍 |
レンズマウント | PENTAX Kマウント |
使用電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1976年 |
PENTAX MXは1976年に発売した機械式35mm一眼レフカメラ。
機械式中古カメラのファンの間でいつまでも人気を保ち続けるカメラです。
超小型ボディながら、緻密な設計で機械式カメラとして必須の性能をすべて実現しています。
シャッター速度はB、1秒〜1/1000秒。
マウントはPENTAX Kマウントで、絞り環のあるKマウントレンズがすべて使用可能。
豊富なKマウント中古レンズをフィルムで楽しむのに最適です。
露出計は中央重点測光で、測光素子は前期型がSPG(ガリウムヒ素ダイオード)、後期型はSPD(シリコンフォトダイオード)。
CdSなどに比べ経年劣化が少ない素子なので、中古購入でも良好な露出系精度を保ってくれていますよ。
露出計の表示はLED式のため、こちらも針式に比べて故障の心配が低くなっています。
シャッターは横走り布幕フォーカルプレーンシャッター。
後述しますが、小型化のためにこのシャッターにはMX独自の設計が採用されています。
またレンズ上部の絞り値直読み窓で、ファインダーを覗きながら絞りの確認が可能です。
OM-1より0.5mmずつ小さなボディ
さて、このPENTAX MXの誕生に際して、設計者が強く意識したカメラがありました。
それがOLYMPUSのOM-1。
こちらも中古で人気が高いカメラですが、それまで小型軽量一眼レフの第一人者だったPENTAXから、その王座を奪った存在でもあります。
OM-1のボディの大きさはPENTAX SPよりも小さい、横136mm x 縦83mm x 奥行き50mm。
いっぽうでPENTAX MXのボディサイズは、横135.5mm x 縦82.5mm x 奥行き49.5mm。
この2つの数値を見れば一目瞭然。
PENTAX MXは、OM-1のボディサイズよりそれぞれ、きっちり0.5mm小さく作られているのです。
小型軽量の王座を奪われたPENTAXが意地を見せた設計だといえるでしょう。
OM-1を選ぶかMXを選ぶか。
中古カメラファンの間での悩みのひとつです。
機械式超小型カメラのためのシャッター機構
この超小型一眼レフを実現するために、PENTAX MXではとくにシャッター機構に独自の設計が取り入れられました。
それが、布幕横走りフォーカルプレーンシャッターのシャッターリボンを、細い紐に置き換えるというもの。
シャッターリボンとはフォーカルプレーンシャッターの走行時に、シャッター幕を巻き取るための部品。
そのままではリボンの幅がボディサイズを大きくしてしまうため、紐に置き換えることでボディ高さの縮小を実現したのです。
もちろんこの紐には十分な強度が確保されているため、切れたりする心配は無用です。
機械式のため、中古を手に入れたらオーバーホールを行って末永く使うことができますよ。
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小型軽量に立ち戻ったPENTAX Mシリーズ
このPENTAX MXは、PENTAX Mシリーズの一員であり、その口火を切ったカメラ。
その開発には、小型軽量一眼レフの流行という要因がありました。
小型軽量という、中古カメラファンには魅力的なキーワード。
MXが人気を保つ理由です。
一時は大型化したPENTAXのカメラ
PENTAX SPをはじめ、小型軽量で知られたPENTAXの一眼レフ。
しかし1970年代に入ると、機能の増加によってボディは大型化の一途を辿っていました。
1975年、PENTAXはM42スクリューマウントからバヨネット式のKマウントへの移行を図りますが、それと同時に発売されたPENTAX Kシリーズ(K2、KX、KM)で大型化は最高潮に達します。
M42マウントのTakumarレンズでは49mmだったフィルター径も52mmに拡大され、PENTAXのカメラはこのまま大型化の一途を辿るかに思えました。
市場が求めた小型軽量一眼レフカメラ
ところがPENTAXは再度、小型軽量の一眼レフカメラに立ち戻ることになります。
最大の要因は1972年に発売されたOLYMPUS OM-1(初期はM-1)。
35mmカメラの元祖であるバルナックライカのサイズに立ち戻ったこのカメラは、市場の流れを変えました。
それに対し、大型化の進んだPENTAX Kシリーズへの市場の反応はいまひとつ。
PENTAXは原因をカメラの大型化にあると考え、小型軽量の一眼レフを再度リリースすることとなったのです。
PENTAX Mシリーズ
PENTAXが再度リリースした小型軽量の一眼レフ、Mシリーズ。
PENTAX SPなどに比べても更に小型化を進めたカメラです。
1976年に発売されたのがこのMX。
そして同年には続いて、絞り優先専用機かつMXより更に小さなPENTAX MEが登場します。
またレンズも、フィルター径52mmのSMC PENTAXレンズ(通称Kレンズ)からフィルター径49mmのSMC PENTAX Mレンズに移行。
こちらもカメラの小型軽量化にさらに寄与します。
その後1980年代前半までMシリーズはPENTAXのカメラ製品の主力を占め、多くのユーザーに愛用されることとなったのです。
Mシリーズの中でのMXの特異性
しかしながら小型軽量ということ以外、PENTAX MXは他のMシリーズはまったく異なったカメラでもありました。
MXは横走り布幕機械式シャッターを備え、性能や機構はオーソドックスなフルマニュアル機そのもの。
いっぽうでMEをはじめとする他のMシリーズのカメラは、基本的に縦走り金属幕シャッターを搭載、シャッター機構も電子制御です。
↑縦走りの電子シャッター搭載機種のひとつ、PENTAX ME Super
当時は最新の機構ということでMEなどのAE搭載機種が人気を集めたようですが、1990年代以降になると中古の人気が逆転します。
フルメカニカルの機構を備え、しかも史上最小レベルのボディ。
しかも、電子カメラのMシリーズ他機種と異なり、中古で買ったあとに修理も可能です。
PENTAX MXは伝統の機構をブラッシュアップしたことで、多くの人に愛されるカメラとなったのです。
MXを中古で探すなら
さて、そんなMXを中古で探すときにはどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
機械式カメラのため修理が可能とはいえ、経年により状態の悪い中古も混ざっています。
PENTAXのカメラは現状品の中古も多いので、動作が快調な、Aランクや良品といった評価のついた中古を選ぶのがおすすめです。
シャッター紐が切れたという話は聞いたことがありませんが、露出計の動作や、過去に筆者が手にした個体では巻き上げレバーの収納ロックが弱っていたものなどもあったので、各部チェックは気をつけて。
おすすめのパンケーキレンズ
ぜひMXに付けたいレンズとして、SMC PENTAX 40mm F2.8のパンケーキレンズが存在します。
MXにもっとも似合うレンズこそこのレンズ。
ぜひ中古で見つけてみませんか?
こちらの記事でおすすめのKマウントレンズを解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
小さな宝石 PENTAX MX
このようにPENTAX MXは小さな身体に充実の機能を搭載した、超小型機械式一眼レフカメラ。
スローガバナーの音を聞くたびに幸せな気分になれることでしょう。
精密な機構をあなたの手でぜひ扱ってみてくださいね。
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更新履歴
2021年4月12日
OM-1についての記述
>35mmカメラの元祖であるバルナックライカのサイズに立ち戻ったこのカメラは、市場に喜びをもって受け入れられました。
OM-1の初期の製造数は少なく徐々にコンセプトが浸透していったため、「市場の流れを変えました」に訂正。
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