Nikon(ニコン)F6/上質さを兼ね備えた最後の「F一桁機」
Nikon F6(ニコンF6)。
おそらく最後のF一桁機となるであろうカメラです。
Nikonがプロのために作り続けてきた一眼レフ、F一桁機。
報道で、スポーツで、戦場で。
タフで信頼のおける寡黙な道具として、第一線で愛用され続けてきました。
その伝説の数々から、中古でも常に高い人気を保っています。
しかしながらNikon F6は、それまでのF一桁機とはまったく異なった状況でこの世に生を受けたのです。
Nikon F6が発売されたのは2004年。
すでにフィルムカメラに対するデジタルカメラの優勢が明らかとなっていた時代です。
さらに中古カメラブームや高級コンパクトブームを経て、フィルムカメラの「上質さ」にも目が向けられていました。
デジタルカメラ全盛の世の中にあえて送り出されたNikon F6。
すでに中古でも手に入れやすくなったカメラを通じて、Nikonはわたしたちに何を伝えようとしたのでしょうか。
目次
Nikon F6
最後のF一桁機、Nikon F6。
Nikon F6とはいったいどんなカメラなのでしょうか。
中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが解説します。
Nikon F6の性能とスペック
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、30秒〜1/8000秒 電子式 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | 3D-RGBマルチパターン測光(GタイプまたはDタイプレンズ使用時) RGBマルチパターン測光(GタイプまたはDタイプ以外のレンズ使用時) 中央重点測光 スポット測光 |
AE | プログラムAE シャッター優先AE 絞り優先AE |
ファインダー | 固定式アイレベル 約0.74倍 視野率約100% |
レンズマウント | ニコンFマウント |
対応レンズ | Gタイプ・Dタイプレンズ:全機能使用可 Gタイプ・Dタイプ以外のAFレンズ:3D-RGBマルチパターン測光以外の機能使用可 AI-Pタイプレンズ:3D-RGBマルチパターン測光とAF以外の機能使用可 Ai方式のMFレンズ:絞り優先・マニュアルのみ可 非Aiレンズ:デフォルトでは使用不可。サービスセンターにてAi連動爪可倒化改造を行うことで絞り込み測光で使用可 |
連射速度 | 最高8駒/秒(マルチパワーバッテリーパックMB-40使用時) |
電池 | CR123Aリチウム電池(Amazon)x2 もしくは MB-40装着時、単3乾電池8本または専用リチウム電池EN-EL4a/EN-EL4 |
発売年 | 2004年 |
出典:ニコン公式Webサイトより「F6 主な仕様」(2021年3月24日閲覧)
https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/f6/spec.html
Nikon F6が備えたスペックは、それまでのF一桁機の集大成ともいうべきものです。
シャッター速度は30秒から1/8000秒、縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター。
ストロボ同調速度は1/250というスペックを無理なく搭載しています。
中古で人気の高いNikon New FM2がかつてシンクロ1/250秒を実現したときは、まさに夢の機能として捉えられたもの。
それが当たり前になっているのには隔世の感を覚えます。
測光方式はF5から更に成熟した3D-RGBマルチパターン測光。
もちろん中央重点測光やスポット測光にも切り替え可能です。
もちろんファインダー視野率はそれまでのF一桁機と変わらず100%を保っています。
不変のFマウントはF6でも変わらず
現在のデジタル一眼レフに至るまで連綿と受け継がれ続けている、Nikon伝統のFマウント。
もちろんNikon F6でも多数のNikkorレンズを使用可能。
かずかずの中古レンズを楽しめますよ。
Nikon F6ならではの利点としては、過去のレンズでも3D-RGBマルチパターン測光を使えることが挙げられます。
前代のF5の時点では、3D-RGBマルチパターン測光対応はCPU対応レンズに限られていました。
それに対しF6では、Aiレンズをはじめとする非CPUレンズでも、3D-RGBマルチパターン測光でより容易に適正露出を得ることが可能となったのです。
さらにAuto Nikkorなどの非Aiレンズもサービスセンターで連動爪の可倒化改造を行うことで使用可能です。
Noct-Nikkorをはじめとする数々の名レンズたちをフィルムで使うなら、F6こそがベストな選択肢であるといえるでしょう。
ニッコールオールドレンズについては、こちらの記事もご覧ください。
ファインダーは固定式に
FからF5までのF一桁機では基本的に交換が可能だったファインダーですが、Nikon F6では固定式に変わりました。
この点についてはF5以前の機種のほうが中古カメラファンにとって魅力的に感じるかもしれませんがさもあらず。
かつてのFやF2では露出計、F3では眼鏡の着用に対応したハイアポイントファインダーなど、ファインダー交換には一定の需要がありました。
ですが90年代に発売されたF5の時代になると、事実上、ファインダーを交換する必要性は減少していたのも事実。
Nikon F6ではあえてファインダーを固定式とすることで、それまでのF一桁に比べてより高い防塵防滴性を実現することを選んだのです。
デジタル一眼レフのように使える「F一桁」
Nikon F6の操作系は現代のデジタル一眼レフとほとんど同じ。
90年代後半から一般化した前後コマンドダイヤルの操作系は、現在のNikonのデジタル一眼レフが搭載しているものと変わりありません。
実はこのNikon F6では、はじめから各部をデジタル一眼レフカメラと共通設計としています。
共通設計とされたのは、当時のデジタル一眼レフのフラッグシップ、D2シリーズ。
そしてD一桁の流れはD3、D4、D5と続きます。
F一桁からD一桁へと続くプロ用一眼レフの血脈は、間違いなく現在に至るまで受け継がれているのです。
デジタルカメラネイティブのカメラファンの方にとっては、古いマニュアル機を中古で手に入れるよりも使いやすいかもしれませんね。
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F一桁は無骨から上質へ
デジタルの時代に生まれたF一桁、Nikon F6。
フィルムならではの使い心地を求めて、プロのための信頼性はそのままに、無骨なだけではない上質なカメラに生まれ変わりました。
音にこだわったカメラ
Nikon F6が重視した要素、それが「使っていて気持ちがいい」ということ。
ともすればプロの道具として軽視されがちな操作感。
Nikon F6は信頼性と操作性をそのままに、質感や音にまで十二分に気を配っています。
まさに、爛熟の域に達したF一桁機の余裕であるといえるでしょう。
使い心地への配慮は、他のカメラを軽く凌駕する域にまで達しています。
「音」に拘ったこともそのひとつ。
フィルムカメラの構造は、簡単にいえばフィルムを露光するための暗箱。
Nikon F6ではボディという箱で反響する音をも解析し、「気持ちのよいシャッター音」を追求したのです。
古今東西、どんなカメラでも感じることができなかった、爽快感あふれるシャッター音。
レリーズを切るたびに満足感で全身が充たされること間違いありません。
Nikon F6を中古で買うなら?
さて、そんなNikon F6も、いまなら中古市場で簡単に入手することが可能です。
前機種のF5の中古価格が非常に安くなっているのに比べて、最後の「F」であることから中古のF6はそれより少し高め。
ですが、「巨大すぎる」F5に比べ取り回しがよいことから、中古のF6の実用性は非常に高いといえるでしょう。
また経年が新しく、2017年時点でまだ現行機種(ニコン最後のフィルムカメラ!)であることから、中古といえど状態がよいものは非常に多いです。
2021年3月追記:ニコンF6は2020年に製造終了し、Webサイトでは旧製品として掲載されています。
出典:ニコン公式Webサイトより「F6 概要」(2021年3月24日閲覧)
https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/f6/
F5にするか、F6にするか。
はたまたF5ジュニアのF100にするか。
当サイトではニコンのAF機について解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
とはいえ、F6はとてもお買い得なカメラ。
ニコンがおそらく最後に全力を注ぎ込んで作り上げたカメラが、いまなら中古で気軽に手に入る。
ニコンファンでまだF6を手にしたことがなかったら、ぜひ中古で手にしてみるとよいですよ。
上質なF一桁機を楽しもう
Nikon F6は最後のF一桁機にして、それまでのF一桁機とコンセプトを異にしたカメラ。
AFの中古カメラはちょっと……と思っているオールドカメラ派の方にも、その上質な作りは強く訴えかけること間違いないでしょう。
単に道具であるだけではない、使う人に語りかける写真機です。
Nikon F6で写真を撮るのは写真機と語り合う行為。
デジタルを普段使っている方のフィルムカメラ入門にも移行がシームレスですし、中古カメラファンにとっても一度は使ってみてほしい渾身の名機です。
ぜひあなたもF6を中古で手に入れてカメラとの対話を楽しんでみませんか?
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更新履歴
2021年3月24日
- スペック表の出典を明記(ニコン公式Webサイト)
- 製造終了について追記
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