Nikon (ニコン) New FM2/写真がうまくなる「小型・軽量・堅牢」の三拍子が揃った名機
Nikon New FM2。
初めて中古マニュアル一眼レフを触る人のカメラとして、そしてプロのサブ機として。
New FM2は、機械式フィルム一眼レフの最終形態かつ最終型として、多くの人に愛されてきたカメラです。
長い間に渡り写真学校の新入生の教材として指定されてきた、という逸話もあるこのカメラ。
現に写真学校に通った知人によると、新入生が50mmと一緒に中古で買うことは非常に多いようです。
すべての面において「スタンダード」であることこそが、他のカメラとは違うこのカメラならではの特徴であるのです。
他のカメラについて考えるときの基準となるカメラ、それがNikon New FM2。
はじめての中古フィルム一眼レフ選びの正解と言い切ってもよいと思います。
使えば使うほど写真がうまくなるカメラかもしれません。
今回は中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが、New FM2の魅力についてお伝えします。
目次
Nikon New FM2
偉大なるスタンダード、それがNikon New FM2(ニコン ニューFM2)。
まずはその性能と特徴について見てみましょう。
Nikon New FM2の性能・スペック
ブラックボディ
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/4000秒 シンクロ速度1/250秒 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター 機械式 |
露出計 | TTL開放中央重点測光 |
AE | なし |
ファインダー | 視野率約93% 倍率約0.86倍 |
レンズマウント | ニコンFマウント |
対応レンズ | Ai化以降のニッコールレンズ (Ai連動爪跳ね上げ機構がないためオートニッコールの使用は不可) |
電池 | SR44(Amazon)x2もしくはLR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1984年 (初代FM2は1982年) |
至ってスタンダードな機械式フィルム一眼レフカメラ。
それがNikon New FM2です。
露出モードは当然ながらマニュアル露出のみ。
フォーカスも当然マニュアルフォーカスオンリー。
余計なものはなにひとつありません。
シャッター速度を決め、絞り環を回し、ファインダーを覗いてピントを合わせる。
プリミティブな写真表現の基礎を学ぶのに、これ以上の教材はありえません。
写真学校の指定教材の座に長い間君臨していたのもうなづけます。
シャッター速度はバルブと1-1/4000、シンクロ速度は1/250。
LED表示の露出計。
伝統のNikon Fマウント。
このカメラにあるものはたったそれだけ。
ですが、そのシンプルさこそがこのカメラを貴いものとしているのです。
1/4000 マニュアルカメラの最終進化
とはいえ、ただシンプルなだけのカメラで終わらないのがこのNikon New FM2の凄いところ。
もしこれが、1/1000の布幕横走りシャッターを積んだ平凡なカメラだったら、このカメラがここまで多くの人に愛されることはなかったでしょう。
プロに愛用されるということもなかったかもしれません。
Nikon New FM2を機構的に特徴づける部分。
それが超高速シャッターです。
このNew FM2をはじめ、1980年代のNikon 中級一眼レフの特徴だったのが1/4000の超高速シャッターでした。
F一桁機のNikon F3の最高速が1/2000だった時代、New FM2をはじめとする3種のカメラ(「コンパクトニコン」 FM2、「シンプルニコン」FE2、「マルチニコン」FA)は一気に露出にして1段分の高速化を成し遂げたのです。
高速シャッターを実現したのは、シャッター幕の強度と軽量化を両立するためのハニカム構造でした。
シャッター幕に蜂の巣型の模様をエッチングすることで、それまでの縦走り金属膜シャッターに比べてシャッター幕を高速で走らせることができるようになったのです。
(ただし後期型ではコストダウンと技術進歩のため、このハニカム構造は省かれています)
どんな明るいレンズでも開放撮影を可能とする高速シャッター。
そして、この高速シャッターには、プロが注目するとある副産物を産んだのです。
設計に無理があるわけでもないので、中古でもシャッターは快調に動作してくれますよ。
FM2とNew FM2
じつはNew FM2が製造されるまでの短い間、名前に「New」のつかないただのFM2というカメラが生産されていました。
FM2とNew FM2の違い。
それはストロボのシンクロ速度でした。
FM2は1/200で同調、New FM2は1/250で同調。
わずかな差ではありますが、Nikon New FM2ではより使いやすく、露出の計算も簡単な同調速度を実現したのです。
↑Nikon FM2(New FM2ではない)
↑Nikon FM2の上部。シャッターダイヤルの1/4000の隣に1/200の表示(X200)がある
↑Nikon New FM2の上部。シャッターダイヤルの250が赤文字になっている
さて、この高速なストロボ同調速度は、プロにとってもうれしい機能でした。
一眼レフカメラに一般に使われるフォーカルプレーンシャッターでは、構造上、ストロボ同調速度以上でシャッターを切るとストロボが使用できない、という問題がありました。
ハッセルやマミヤのような中判スタジオカメラがレンズシャッターを採用しているのもそのためです。
それまでのフィルム一眼レフの同調速度は、1/60か1/125。
F一桁の最上級機、Nikon F3でも1/80と、プロにとっては不満の残る速度でした。
そこに1/250でシンクロ可能なNew FM2が出現したのです。
プロのカメラマンも、本来は中級機であるNew FM2をこぞって使うようになりました。
写真学校の学生から第一線のカメラマンまで、結果としてNikon New FM2はすべての人に愛用される一眼レフカメラとなったのです。
旧FM2も製造台数が少ないわけではないと思うのですが、製造期間の違いからか、中古ではNew FM2のほうがずっと多く見かける印象です。
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写真がうまくなるカメラ
さて、このNikon New FM2は、使えば使うほど写真がうまくなるカメラだといえるでしょう。
いまでも写真学生が中古で手に入れて現役で使うという理由。
それはいったい、どんなものなのでしょうか。
シャッター速度と絞りとフォーカスを自分で合わせる撮影行為
マニュアル露出とマニュアルフォーカスだけのカメラ。
露出計以外電装部品がなにもないカメラ、それがNikon New FM2。
35mmフィルムカメラとしてはプリミティブな構造のカメラだからこそ、写真とはなにかを学ぶには最適です。
カメラの本質、それは暗箱。
フィルムに露光する瞬間だけ光を取り込むための箱です。
現在のデジタル一眼レフではすべてがオートで行われるためにその仕組みがわかりにくくなっていますが、実はカメラというのはとても単純な機械。
ピントを合わせるのも、露光量を決めるのも、じつは手動でも簡単に行えるのです。
マニュアルしかないからこそ、自分ですべての作業を行うしかない。
そんな写真行為を繰り返していくうちに、オートのカメラの使い方もどんどんうまくなっていくこと請け合いです。
もちろん、このNew FM2の使い方を覚えることで、さまざまな中古フィルムカメラの使い方が理解できるようになりますよ。
Nikon New FM2を中古で買うのなら
それではこれからNikon New FM2を中古購入するなら、どんな点に気をつければよいのでしょうか。
New FM2はとても製造期間の長いカメラです。
製造初年は1984年から2001年までの足かけ17年間。
それだけに、中古市場での数も非常に豊富です。
Nikon(ニコン)のカメラだけあって非常に頑丈。
さらに、1980年代の電子化されたカメラは中古だと調子が悪いこともありますが、機械式なのでそのような心配もありません。
状態がよいものを簡単に見つけることができますよ。
なお、前期型と後期型の有意な中古価格差はあまりないようです。
New FM2を使うなら標準レンズがおすすめ
そして、このカメラにぜひ組み合わせたいのが50mmの単焦点標準レンズ。
ズームを使わず、画角を変えるときは自分が足で動いて写真を撮る。
それによってさらに写真がうまくなることでしょう。
具体的にはAi NikkorかAi-S Nikkorの50mmF1.4かF1.8が、中古価格も安く、品数も多い定番なのでおすすめです。
ニッコールレンズについては、こちらの記事で詳しく解説・紹介しています。
一味違うNew FM2――FM2/T
初心者からプロまで愛されたNikon New FM2。
もしも他人とは違うNew FM2を中古で手に入れたいとしたら、おすすめのカメラがあります。
それがFM2/T。
チタンボディのNew FM2です。
どんなシチュエーションにも対応する頑強なチタンボディ。
普通、チタンボディはF3などの最上位機種にしか使われない素材。
それが使われたということは、New FM2をNikonとしてもプロ機に準じるものと認識していたことがわかります。
チタン外装の高級カメラのため、中古価格は倍くらいしてしまいますが、それだけの価値がこのカメラには存在します。
ぜひFM2/Tのチタンの感触を愛でてみませんか?
Nikon New FM2のレビュー記事
「フィルムカメラ遊泳記」はプロフォトグラファーのいくた りかさんが、Nikon New FM2を使ってフィルムカメラに入門していく連載記事です。
ぜひご覧ください!
New FM2でプリミティブな写真行為を楽しもう
「使えば使うほど写真がうまくなるカメラ」、それがNikon New FM2。
中古フィルムカメラ最初の一台に、ぜひおすすめしたいカメラです。
売り文句としてではなく、さまざまな中古カメラを扱った実感として、はじめて買う中古はこのカメラ以外あり得ないといっても言い過ぎではありません。
中古フィルムカメラで写真がうまくなるならNew FM2。
多くの人が最初の1台に選んだこのカメラで、ぜひあなたも写真を撮るコツを学んでみませんか?
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更新履歴
2022年8月2日
旧FM2の画像を追加、New FM2/Tの画像を差し替え、各部画像を追加。
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