[オールドレンズ探訪記] TAMRON(タムロン) SP 500mm F8 55BB 驚くほどコンパクトな癖あり超望遠レンズ!(作例・撮影Tipsあり)
この世に数えきれないほどの種類が存在するオールドレンズ。
そんなオールドレンズの中から、サンライズカメラがおすすめできるレンズを1本1本紹介していく、「オールドレンズ探訪記」と第したコーナーです。
使用カメラは、「SONY α7R」というミラーレス一眼カメラを主に使用して撮影していきます!
これまでに数々のオールドレンズを使ってきた雨樹一期さんと、昨年からフィルムカメラやオールドレンズに触れ始めた、初心者な私いくたで、一緒に様々なオールドレンズで撮影をした作例をご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、「TAMRON SP 500mm F8 TELE MACRO 55BB」です!
私いくたにとっては、初めての焦点距離、500mmの超望遠レンズ。
まだまだ勉強不足で恐縮ですが、試行錯誤しながら撮影するのもとても面白かったです!
作例もたっぷりなので、ぜひ温かい眼差しでご一読いただけたら嬉しいです^^
【オールドレンズ探訪記 前回の記事はこちら】
[オールドレンズ探訪記] 銘玉!CONTAX Carl Zeiss Makro-Planar T* 60mm F2.8は圧倒的な描写力と微細な世界を兼ね備えていた(作例・撮影Tipsあり)
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
「TAMRON SP 500mm F8 55BB」について
まずは、今回作例を撮影したTAMRON SP 500mm F8 55BBがどんなレンズなのか簡単に紹介します。
TAMRON SP 500mm F8 55BBのスペック
レンズ構成 | 4群7枚 |
最短撮影距離 | 1.7m |
フィルター径 | 30.5mm |
発売年月 | 1983年 |
価格 | 62,400円 |
参考文献:TAMRON公式Webサイトより、TAMRON SP 500mm F8 55BBの紹介ページ(2022年6月16日閲覧)
とても小型の超望遠レンズ
望遠レンズは300mmくらいまでしか使用したことがなく、密かにずっと使ってみたかった超望遠レンズ。
野鳥観察とか、旅先で遠くの人とか動物とか撮りたいと思うことも多いので、1本あればすごい楽しめるだろうなぁ〜と!
最初は、500mmと聞いて、もしやあのバズーカーのようなレンズか・・?!
と思ったら、TAMRON SP 500mm F8 55BBはめちゃくちゃ小さくてびっくりしました。笑
ミラーレス一眼カメラに装着しても、そこまで違和感なく、手のひらに収まるサイズ感。
そしてそして・・・こんな風貌のレンズは初めてお目にかかりました!
「反射望遠」や「ミラーレンズ」と言われる種類だそうです。
比較的リーズナブルな価格で、超望遠の世界が楽しめるレンズとして、マニュアルレンズの全盛期には愛されたレンズとのこと。
コンパクトな超望遠レンズとして人気みたいです!これは旅にもめちゃくちゃ重宝しそう。
ただ、ミラーレンズという種類はいまではレアみたいですね、レアと言われるとなんとなく惹かれますね。
タムロンのMFレンズは交換マウントの「アダプトール」
TAMRON SP 500mm F8 55BBは、元々アダプトールというレンズのマウントが交換できる種類だそうで、いつもミラーレス一眼カメラとオールドレンズの間に挟むアダプターと、もう一つアダプターを挟む、ダブルアダプターという形!(勝手に命名)
最初は装着方法がよくわからんくて戸惑いましたが、全てがカチッとハマる感覚にプチ達成感を感じます。笑
ミラーレス一眼カメラに取り付けるためのマウントアダプターは「アダプトール」(アダプトール2)がペンタックスKマウント用だったので、SONY Eマウント→Kマウントのものを使いました。
ちなみにタムロンのアダプトールを直接ミラーレス一眼カメラへ変換するマウントアダプターもあるようです。
F値は固定でF8通し。
ドーナツ状のミラーから生まれる、独特のリングボケも特徴的とのことで、どんな写りでしょうか?
早速、以下の作例をご覧ください〜!
「TAMRON SP 500mm F8 55BB」で撮影した作例
それでは!
超望遠レンズのTAMRON SP 500mm F8 55BBでどんな写真が撮れるのか、作例いってみましょう!
遠くの被写体が細かい部分まで見える!
初めて超望遠レンズで作例を撮影してみた、ファーストインプレッションは・・・マクロレンズみたい!
めちゃくちゃ遠くにあるはずの被写体のかなり細かい部分を見ることができる感動。
蓮の葉っぱの上に弾く水滴。繊細な描写が叶います。
琵琶湖での作例
続いて、滋賀県琵琶湖で撮影した作例たちを。
水平線にぼんやりと光る光の線。
小さな島の灯台まで見えました。
肉眼では見えないのに、レンズを覗くと色々なものが見えて面白い!双眼鏡として使えます。笑
水面にスポットを当ててみる。
猫ちゃんに気づかれないよう、逃げられないように、、、盗撮できてしまう超望遠レンズ。
・・・お!見つかった。
前ボケが原型をほぼ成さないレベルにボケます。
背景のボケもかなり乱れるので、なんだか不思議な世界観に。
ミラーレンズならではの「リングボケ」
そしてそして、TAMRON SP 500mm F8 55BBは、ミラーレンズの特性上、ボケがとても独特。
この作例のようにあえてピントを外してぼかしてみるとよくわかります、ドーナツ型!
「リングボケ」と呼ばれているらしいです。
被写体の前後がかなりボケて、圧縮効果もすごいので、暗い場所でほんの少し光が当たっている部分に焦点を合わせてみるだけで、なんだか雰囲気がでました。
ピントを奥に合わせるのと、手前に合わせるのと、それぞれの違いを。
撮影Tips!超望遠レンズの楽しみ方
さて。
ここからは、TAMRON SP 500mm F8 55BBのような超望遠レンズならではの撮影方法を解説します!
1.圧縮効果
圧縮効果とは、実際には遠く離れて存在する被写体が、あたかもとても近い距離にあるようになる効果です。
広角レンズが、遠近感を感じさせるのと真逆で、遠近感の無い写真になります。
遠景と近景、それぞれ一つのレイヤーとして捉えたとして、その複数のレイヤーをすべて圧縮して一つの画角の中に収めることができる、というイメージでしょうか。
海と、山々の連なり。
作例のように、実際の距離でいうとかなり離れているはずの山同士が、圧縮効果によりまるで隣り合わせになっているように見えます。
この黄昏時の淡い色味の空。そして前の山から、後ろへいくにつれ段々色が薄くなっていく感じ・・・自然のグラデーションがすごく好きです。
2.大胆なボケ
望遠レンズは、被写界深度がとても浅くなります=ボケます。
今回作例を撮影しているレンズ、TAMRON SP 500mm F8 55BBは、ボケの形がドーナツ型のような不思議な玉ボケも面白かったです。
圧縮効果も相まって、かなり背景もボケるので、
背景に沢山情報を入れたくないときに、マクロレンズっぽく被写体のみを浮き彫りにするのも効果的だなぁ。
と個人的には感じました。
3.遠くのものを大きく写す
一番オーソドックスな特徴ですが、TAMRON SP 500mm F8 55BBのように500mmという焦点距離だと、かなり遠くのものを捉えることができて、純粋に楽しいです。
おぼろづき。この作例は手持ち撮影だったのでちょいとブレましたが、トリミングとかせずにこんなに月を大きく写せるんだぁ!と素直に感動。今度はもっときれいに撮りたいな!
走っている電車の中から撮影したのでブレブレ・・・ですがとても綺麗だった日の入り。
「TAMRON SP 500mm F8 55BB」で撮影した感想
初めての超望遠レンズ、TAMRON SP 500mm F8 55BB。
作例を撮影した率直な感想は、ピント合わせがとても難しかったです!望遠レンズの特徴のひとつとして、ブレやすいというのもありますね。
それでもISO感度をガンガン上げれば撮れなくはないし、三脚使えば暗い場所での撮影ももっとスムーズにできるし、なにより最新のレンズと比べたら、一癖も二癖もある独特な描写も楽しめるレンズ。
普段、超望遠レンズを使わない自分にとっては、コンパクトとは言えやっぱり少し重たく感じましたが、いつもと違う視点で撮影を楽しめるのですごく勉強になりました!
気になる方は、ぜひ中古で見つけたらチェックしてみてくださいね^^
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
TAMRON SP 500mm F8 55BBについて簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したTAMRON SP 500mm F8 55BBについて簡単に解説します。
TAMRON SP 500mm F8 55BB
レンズ構成 | 4群7枚 |
最短撮影距離 | 1.7m |
フィルター径 | 30.5mm |
発売年月 | 1983年 |
価格 | 62,400円 |
参考文献:TAMRON公式Webサイトより、TAMRON SP 500mm F8 55BBの紹介ページ(2022年6月16日閲覧)
TAMRON SP 500mm F8 55BBは、タムロン アダプトール2の超望遠レンズ。
いくたさんの解説にもあったように、タムロンのマニュアルフォーカス時代のレンズは交換式マウントを採用しています。
「アダプトール2」は、そんなタムロンの交換マウントの決定版。
日本の大手メーカー各社をはじめ、マイナーなマウントまで非常に多くのレンズマウントに装着可能です。
名前にSPと付くので、タムロンのアダプトール2レンズとしては高性能ラインの製品ですね。
ミラーレンズ
さて、このTAMRON SP 500mm F8 55BBはミラーレンズ(反射望遠レンズ)です。
ミラーレンズと、その他の多くの写真レンズとの違い。
それが、光学ガラスで作られたレンズの屈折だけでなく、曲面鏡による反射が用いられていることです。
※鏡による反射だけでも像を結ばせることは可能ですが、多くのミラーレンズは鏡とレンズが併用されています。
ミラーレンズの特徴は、通常の屈折光学系のレンズに比べ、超望遠レンズを小型に作ることができるということ。
ただし、
- 絞り値は基本的に固定となる
- ボケ像の形が独特になる
- AF化が難しい(後年AF化を達成したメーカーもあり)
といった特徴もあります。
今回撮影された作例でも、ミラーレンズならではのリングボケがあらわれていましたね。
※なお、ミラーレンズのような鏡を使った望遠鏡は、写真の発明以前から反射望遠鏡として存在していました。
サイズ・中古価格ともに手ごろな超望遠
ミラーレンズは癖が強いためどちらかというとマイナーな存在になってしまっていますが、マニュアルフォーカスでよければ超望遠をコンパクトに使うことができます。
中古価格についても手ごろなものは多いです。
開放F値が暗いことについても、ミラーレス一眼カメラのEVFなら問題になりません。
このTAMRON SP 500mm F8 55BBについてもそこまで中古の価格が高くないものが多いので、あなたのカメラボディやマウントアダプターに合ったアダプトールとセットで買ってみるのはいかがでしょうか。
タムロン製レンズ 関連記事
[オールドレンズ探訪記] TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBはゆるふわ系の写真が撮れるレンズ
参考:オートフォーカスの反射望遠レンズ
参考までに、オートフォーカス化が難しいとされていたミラーレンズ(反射望遠レンズ)でAFを実現したメーカーがありました。
日本のミノルタです。
まず、世界初のAF反射望遠として、Aマウント用にAFレフレックス500mm F8を発売。
そしてその技術をもとに、APSフィルム用一眼レフカメラ Vectis SシリーズのVマウント用にも、こちらもオートフォーカス可能な反射望遠レンズ、Vレフレックス400mm F8を送り出しました。[1]ミノルタ公式Webサイトより V レフレックス 400mm F8製品紹介(Wayback Machineによる2000年2月2日時点のアーカイブ)
なお、AFレフレックス500mm F8は、LA-EA4やLA-EA5を使うことでSONYのミラーレス一眼カメラでもAF動作可能です(Aマウント→Eマウントアダプターについての関連記事はこちら)。
新品でも手に入る反射望遠レンズ
なおミラーレンズ(反射望遠レンズ)は2022年現在でも新品購入が可能。
日本国内で入手しやすいものとしては、ケンコー・トキナーがそれぞれのブランドで400mm F8と500mm F8のものを販売しています。
マニュアルフォーカスではありますが、マウント部が望遠鏡などで使われるTマウント(T2マウント)になっているため、マウントを交換してさまざまなボディで使用可能です。
TAMRON SP 500mm F8 55BB まとめ
今回は個性的な描写が魅力なミラーレンズ、TAMRON SP 500mm F8 55BBのお話でした。
コンパクトなのに超望遠ならではの描写が楽しめるミラーレンズは、中古ならお手頃な価格のものも多いのが魅力。
マニュアルフォーカスではありますが、お手頃に超望遠に入門するのにもおすすめです!
オールドレンズ探訪記 次の記事はこちら
次回のオールドレンズ探訪記では、日本光学(Nikon、ニコン)の明るい望遠レンズ。
Ai NIKKOR 135mm F2+ミラーレス一眼カメラの作例をお届けします!
ぜひご覧ください。
[オールドレンズ探訪記] Nikon Ai Nikkor 135mm F2 Part1 極上の1枚をあなたも撮れる!(作例あり)
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
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どこでも持ち歩ける相棒です。
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