[旅×フィルムカメラ第9弾] Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)が70年の時を超え、ローカル鉄道を撮る。
旅好きな私いくたが、フィルムカメラやオールドレンズを相棒として携え、出会った素敵な景色をお見せしていく連載。
第9回目で撮影したカメラは、「Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)」(大窓)です!
・・・めちゃくちゃかっこいい!
もちろん中古カメラなのですが、結構綺麗な状態で、大切に扱われていたんだなぁと感じます。
しかし、フィルムカメラ初心者の私にとっては、かなりチャレンジングで、クラシックなフィルムカメラ。
最初はとっつきづらくて、ちょっと気が重たかったのですが・・・。
現像した写真を見て、感激!!
一皮向けた達成感がありました。
今回は、そんなクラシカルなKodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)と、親和性が高いであろう、レトロなローカル列車の旅というシーンにて撮影をしてきました。沢山の作例もお届けしたいと思います^^
【旅×フィルムカメラ 前回の記事はこちら】
[旅×フィルムカメラ第8弾] カメラ女子にオススメ!FUJIFILM KLASSE(富士フイルム クラッセ)で日常に彩を。
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)について
まずは、今回作例を撮影したKodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)大窓がどんなフィルムカメラなのかを簡単に紹介します。
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)の詳細
コダックのレチナシリーズは、現在最も広く一般に使用されている135フィルム(35mm判パトローネ入りフィルム)が写真に使用されることが広まる時期に登場した、かなり一世を風靡したクラシカルカメラ。
今回ご紹介する、Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)は、1954年に登場したKodak Retina IIIc(小窓)を改良したもの。
初めて露出計が内蔵されていて、今も中古カメラ市場で、根強い人気ある機種のようです!
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)は、IIIcとIIICの2種類あって(最後のアルファベットが小文字のcと大文字のCなのが違います)、「小窓」「大窓」の違いがあるそうです。
購入の際は確認してください!(今回私が使用させて頂いたのは、IIICで大窓です。)
Kodak Retina IIIC(大窓)のスペック
形式 | 35mmレンズシャッターカメラ |
シャッター | シンクロコンパーBH B、1秒〜1/500秒 |
露出計 | セレン露出計を内蔵 |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー パララックス自動補正式(小窓は自動補正なし) アルバダ式ブライトフレーム |
標準レンズ | Schneider Kreuznach Xenon C 50mm F2 もしくは Rodenstock Retina-Heligon C 50mm F2 |
レンズマウント | 前玉交換式の専用マウント |
対応レンズ | 35mm、80mmの対応前玉交換レンズ |
電池 | 不要 |
発売年 | 1958年(大窓) ※小窓は1954年 |
参考文献:片山良平『クラシックカメラ選書12 レチナブック』1999年、朝日ソノラマ、pp.70-73, 154-155
※今回作例を撮影したRetina IIICのレンズは、Schneider Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)のXenon C 50mm F2がついています。
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)の特徴と使い方
それでは、Kodak Retina IIICにはどんな特徴があるのでしょうか?
フィルムの入れ方をはじめ、使い方についても解説します。
折り畳み式の蛇腹カメラ
このKodak Retina IIICは、いわゆるスプリングカメラのように折りたたんで小さくすることができます。
「携帯性」がユーザーに求められたのですね。
蓋を開けるときは、この↓つまみを横にずらして開けます。
蓋を閉める際は、ピントのノブを無限にして、レンズ上下についているボタンを押して閉めます。
露出設定は手動で
カメラには露出計がついているのですが、、自動ではありません。
これは最初に私がかなり戸惑った操作方法の一つ・・・。
シャッターや絞りなどを設定した上で、そこからEV値という値を、手動で設定するようになっています。
フィルムの装填方法
さらっとフィルム装填の手順について。
フィルム室の蓋を開けるには、カメラ下部のここを矢印方向に回して、
小さい丸ぽちボタンがお目見え。ここを押すと、
かちゃっ。開きました。(この操作過程がなんともアナログでわくわくします!!)
ぱかーん。
左側の巻き戻しノブを、2回カチッと音がなるまで上に持ち上げます。
フィルムをはめこみ、引き伸ばしたフィルムの先端を、スプール(縦長の溝)に差し込みます。
蓋を閉じて、今度はフィルムカウンター(カメラ上部の下のボタン)を押しながら、フィルムカウンターロック解除ボタンを矢印の方向に押して、カウンターを◆のマークまで合わせていきます。
(↓フィルムカウンターロック解除ボタン)
フィルム巻き上げレバーは、カメラ下部に。
ここは、使用しているフィルムの種類のメモに。(いちいちおしゃれ!)
ファインダー・シャッター速度・絞り
ファインダーはこちら。
あとは、シャッタースピードと絞り値を設定し、算出されたEV値をダイヤルに合わせて、撮影していきます。
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)の作例
それでは。
Kodak Retina IIIC(大窓)で撮影した作例をご紹介します。
今回は秩父鉄道と青梅線、2つのローカル鉄道に行ってきました!
使用フィルムは富士フイルムの業務用100です。
(サンライズカメラ スタッフ注:すでに製造中止のため、似た描写のフィルムとしてはFUJICOLOR 100がおすすめです)
秩父鉄道SL列車の作例
目の前に立ちはだかるは、秩父盆地のシンボルとも言われる武甲山。標高1,304mのなかなか迫力のある景色を眺めながら、西武秩父線は進んでいきます。
「打合復唱」・・・?。
時代が止まっているかのような、レトロな景色が沢山残っている秩父線沿い。
西武秩父線「西武秩父駅」から、少し歩いて、秩父鉄道「御花畑駅」へ。到着するSL列車を撮影待ちします。
親子連れもわんさか。観光客だけでなく、地域の人にも愛される列車です。
来ましたっ!シゴハチ!
焦ってちょっとハイキー気味になってしまいました・・!
ここではSL列車に乗らず、かわいいラッピング車両に乗って、途中下車。
民家がぽつぽつ残る、山間をとことこやってくる列車、愛着わくなぁ。
車内もすごい鮮やか。
白久駅という駅にて途中下車。終点の1個前の駅なのですが、全然人がいない場所でのんびりできたし、景色もとってもすてき。
一応駅員さんが常駐している駅。こちらでまたSL列車の撮影待ちをしました。
近くで通過するSL列車の迫力はやっぱすごいですね!
白久駅の待合室。窓枠の形と、そこから見える景色がすごく良かった。
終点までは徒歩15分ほどの距離だったので、街並みを散策しながら歩いてみました。
全く観光地化されていない街並みに、安心感を感じます。
ローカル線沿いを歩いていると、踏切を渡るときに、こんな景色を独り占めできるのが楽しみの一つ。
終点、「三峰口駅」に到着。右手の広場に転車台があり、ちょうどSL列車の転車シーンを見ることができました!
帰りはこのSL列車に乗って帰りました。車内のボックスシートがいかしてる!
こんなところに行程表!
うお〜かっこいい運転席!すごく繊細な部分もちゃんと描写できていて、これがまた感動ポイントでした。
JR青梅線「鳩の巣駅」の作例
鳩の巣という駅でぶらり途中下車。
なんだか大正ロマンな雰囲気、洋風でとてもおしゃれな駅舎でした。ステンドグラスがあったりなんかして。
えもい。
駅から川へ降りていく途中、もはや廃墟と化してきている民宿がぽつぽつと。昔は栄えていたのかしら。
突如そびえ立つ大自然。
ぽっぽと書かれたカフェ、この日はちょうど定休日でやってなかったのだけど、すごい気になる!
これ最高じゃないかっ!プライベートプチビーチ(?)でくつろぐお二人。
プライベートオンザロック(??)なお二人。を、隠し撮りする女は私です。
帰り、逆路線へ渡るための階段が、なんか面白くて。
山の中へ放り投げられるような階段。
おお〜!上から見た景色が良い!トンネルからすぐ単線になる感じ、ぽつんとくり抜かれた山。
車窓から見える景色が、最高でした。
作例「おまけ編」
最後におまけで、Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)で撮影した、列車旅以外のお写真も。
動物園のうさぎさん、寒かったのかな、顔寄せ合ってかわいい・・・。
こんな自然あふれる環境で、芸術について学べるなんて、すごく憧れる!
このシルエットな感じもとても素敵。そして最後は、うちの番豚ちゃんの後ろ姿。
作例「失敗作編」
写真的には失敗なんだけど・・・やっぱり思わぬ描写が面白くて、Kodak Retina IIICの味わい深い描写にこれまた感激したので、作例をいくつか挙げさせてもらいます。
ピンボケ
よ〜く見ると、線路沿いには綺麗な桜並木が。この作例個人的にとってもお気に入りの一枚です。
シャッタースピードが追いつかずぴんぼけ・・・でしたが、どこへ連れていかれるのかわらかない、幻想的な雰囲気がとても好きです。
花びらではなく下のつぼみにピントが合ってしまった一枚ですが、温かみのある色合いだけど、なんとなく寂しげな雰囲気が良き。
暗めの駅舎内、天井にかかるライトのぼんやり感が良い。
感光
なぜか途中でフィルム室の蓋を開けてしまうんですよね。なぜか。(そろそろ学習せんと・・・)
燃えたぎるお富士も、なかなか不思議な写真になって、偶然の産物でしたが!
ちなみにこちらは、Canon EOS 5D Mark IIIで、同じ場所で撮影した一枚。すごい綺麗だったから、感光させてしまったのはとてもショックだった・・・!
コマ被り
原因は、シャッター巻き上げの不良が主なようです。
どうしても毎回どこかしらで、前後のコマがかぶってしまいましたが、不思議な絵になるのでちょっと面白い。
でも、この2枚はなんだかとても風合いがマッチして、偶然の産物でした。
※サンライズカメラ スタッフ注:Kodak Retinaシリーズは巻き上げにデリケートな部品が存在するフィルムカメラです。レバーで巻き上げを行うときは、ゆっくりと行うことをおすすめします。また、レバーを戻すときも指を添えてゆっくり戻しましょう。
Kodak Retina IIIC(コダック・レチナIIIC)で撮影した感想
今回は、ちょっと敷居が高い機種であり、慣れない操作方法に手こずったりでしたが、結論・・・そんなに身構えなくても十分気軽に撮影を楽しめるカメラでした!
何より撮れた写真を見るまでのワクワク感が、えぐい!笑
今回失敗作も多く算出しましたが、失敗作だって立派な作品なのです!
誤解を恐れずに言えば、「何をどう撮っても絵になる」のがフィルムカメラ。
私は「写真を撮ること」よりも、そこで見たもの触れたものを感じ取る時間が好きです。
だから、なんでもいいから良い絵になりそうな被写体に向けて手当たり次第シャッターを切ることは、できればしたくない。
フィルムカメラはデジタルカメラで撮る時よりも、一枚一枚何を捉えたいのか向き合う時間ができますし、例え写真技術的に大失敗作だったとしても、その一枚に込めた気持ちがあれば、写真の価値というものは決して無下にできないなぁと、私は思います。
フィルムカメラは敷居が高いし、じぶんには扱えない・・・
そう思ってる方には、ぜひ”失敗してもいいんだ!”って気持ちで、”好き”を切り取る楽しさを知ってもらえたら嬉しいです!
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Kodak Retina IIIC(大窓)簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したKodak Retina IIICについて簡単に解説します。
Kodak Retina IIIC(大窓)
形式 | 35mmレンズシャッターカメラ |
シャッター | シンクロコンパーBH B、1秒〜1/500秒 |
露出計 | セレン露出計を内蔵 |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー パララックス自動補正式(小窓は自動補正なし) アルバダ式ブライトフレーム |
標準レンズ | Schneider Kreuznach Xenon C 50mm F2 もしくは Rodenstock Retina-Heligon C 50mm F2 |
レンズマウント | 前玉交換式の専用マウント |
対応レンズ | 35mm、80mmの対応前玉交換レンズ |
電池 | 不要 |
発売年 | 1958年(大窓) ※小窓は1954年 |
参考文献:片山良平『クラシックカメラ選書12 レチナブック』1999年、朝日ソノラマ、pp.70-73, 154-155
Kodak Retina IIIC(大窓)は1958年に登場した、レンズシャッターのレンジファインダーカメラです。
製造はドイツ・コダック。
コダックといえばアメリカの企業として有名ですが、ドイツ・コダックはナーゲル(Nagel)というドイツ企業が源流で、アメリカで作られたコダックのカメラとは全く異なる、ドイツならではの精密感あふれる製品を生み出してきたのでした。
さて、今回のKodak Retina IIIC(大窓)は、前身となる1954年のKodak Retina IIIc(小窓、名称のアルファベット部分が大文字か小文字かが異なる)を改良したもの。
↑Kodak Retina IIIc(小窓)
大窓・小窓という通称からもわかるように、ファインダー窓が大きくなりました。
小窓のKodak Retina IIIcにはブライトフレームはあるもののパララックス自動補正はついていませんでしたが、大窓のKodak Retina IIICになって自動補正されるようになりました。
もっともよい時期のドイツ製品ならではの最高の仕上げ
さて、小窓のRetina IIIcが登場した1954年といえばLeica M3(ライカM3)の発売と同年。
大窓のKodak Retina IIICの登場した1958年も、西ドイツの工業製品に脂の乗り切った、もっともよい時期です。
それだけに、Kodak Retina IIICの品質は非常に良好、それどころか最高レベルです。
金属素材、プレス、メッキ、ダイキャスト、すべてのレベルが、同時期の日本製カメラとは比べ物になりません。
レンズもドイツ製の銘レンズがついています。
数が多いのはシュナイダーのXenon C 50mm F2ですが、作例からもわかるように写りの良さは抜群です。
そして、レンズが基本的には固定式ということも理由ではありますが、同じくらいレベルの高い仕上げのM型ライカよりもずっと安い価格で入手可能。
西ドイツ製カメラの質感を味わうなら、間違いなくRetina IIICはおすすめの選択肢であるといえるでしょう。
Kodak Retina IIICを中古で買うなら
さて、Kodak Retina IIICをはじめレチナシリーズは、その仕上げと品質の良さにもかかわらず、中古では比較的安い価格で取引されています。
整備済みの中古でも、M型ライカに比べるとずっと安い価格で入手できます。
1990年代の中古カメラブームのときは価格が上昇していたこともあったらしいですが、2020年代のいまとなっては、品質と中古価格が乖離しているフィルムカメラのひとつであるといえるでしょう。
ただし、あまりにも安すぎる中古は内部の状態が悪いことが容易に想像できます。
シャッターのネバリやファインダーのクモリ、そしてデリケートな部分のある巻き上げの状態など難がある場合もあるので、整備済みの中古品を保証付きで購入するのがおすすめです。
また、今回作例を撮影したKodak Retina IIICは露出計が内蔵されたモデルですが、露出計がついていないKodak Retina IICも同様におすすめです。
(中古価格はRetina IIICとあまり変わらない印象です)
↑Kodak Retina IIc(画像は小窓のもの)
セレン受光素子の露出計は、使おうとすれば使えないこともないのですが、状態が悪いものも多いのは事実。
その点、露出計がないRetina IICなら機械部分しかないので完全な状態にオーバーホールすることも可能ですよ。
Kodak Retina IIIC まとめ
Kodak Retina IIICは、ドイツ製ならではの最高の質感を楽しめるフィルムカメラ!
フィルムカメラ初心者の方にとっては少し敷居が高いかもしれないですが、フィルムの魅力を存分に引き出した写真を撮ることができますよ!
一枚一枚心を込めて撮りたい。
そんな方はぜひKodak Retina IIICを中古で探してみませんか?
旅×フィルムカメラ 次の記事はこちら
次回の旅×フィルムカメラでは、オリンパスのコンパクトカメラの名機、OLYMPUS XA2で撮影した作例をご紹介します。
ぜひご覧ください。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
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