[オールドレンズ探訪記] TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBはゆるふわ系の写真が撮れるレンズ
こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。オールドレンズ探訪記と題しまして、さまざまなレンズの作例をご紹介していくコーナー。
今回はTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBです。
90mmということで、広角から中望遠に。描写もガラッと変わります。
同じ中望遠レンズでは、オールドレンズ探訪記で共に執筆している、いくた りかさんが以下のレンズをご紹介されています。
今回のコラムと比べて頂くと、ニコンとタムロンの違いも分かりますね。
【オールドレンズ探訪記 関連記事と前回の記事はこちら】
【オールドレンズ探訪記】 Nikon(ニコン)Nikkor-H Auto 85mm F1.8(非Ai)は撮影する者の意図を表現してくれるレンズ(作例あり)
【オールドレンズ探訪記】Leica (ライカ) SUMMICRON-M 28mm F2 ASPH 描写力が圧倒的! (作例・撮影Tipsあり)
目次
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBについて
まずはTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBについてご紹介します。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBとは
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBは、タムロンの中望遠レンズ。
いわゆるポートレートマクロですね。
個人的にタムロンさんには純正のレンズよりも低価格ってことで、デジタル一眼レフではお世話になっています。
絞り値を通しで使えるズームレンズ。いわゆる大三元レンズではタムロンはコスパがかなりいいレンズです。
安価だけど性能が悪いということもなく、描写面では純正で撮られたものと並べてもあまり区別がつきません。
さて、オールドレンズではどうなのでしょう。
タムロンのMFレンズといえばマウント交換式の「アダプトール」で有名ですが、今回はOMマウントのアダプトールがついています。
OMマウントの中望遠といえば、同じ90mmマクロで僕が神レンズと崇める「OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2」があります。
価格も全然違いますし、OLYMPUSは開放がF2に対してタムロンはF2.5。比べちゃいけないけど、比べちゃいますよね。
マウントアダプターについて
今回はOMマウント用のアダプトール2がついているので、K&F Conceptブランドの、OM-SONY Eマウント用のマウントアダプターでミラーレス一眼カメラに取り付けて作例を撮りました。
K&F ConceptからはTAMRON アダプトールを直接ミラーレス一眼カメラのマウントへ変換するマウントアダプターも販売されています。
ただ、アダプトール自体の精度はとてもよいので、手持ちのアダプトールに合ったマウントアダプターを使用するのも問題ないと思います。
※アダプトールとミラーレス一眼カメラについてはこの記事の最後にサンライズカメラ スタッフが解説します。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBの作例
それでは、TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BB+ミラーレス一眼カメラの作例を見てみましょう。
今回もミラーレス一眼カメラのボディは、中古価格が手頃なSONY α7を使用しました。
※作例の撮影は前回のLeica(ライカ) SUMMICRON-M 28mm F2 ASPHと同時に行いました。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBは柔らかい描写のレンズ
まずは開放での作例。Leica(ライカ) SUMMICRON-M 28mm F2 ASPHの撮影での1枚目と同じ場所です。
当然ではあるけど、全然違います。
下の作例がライカのズミクロン28mm F2 ASPHです。
広角と中望遠も差もありますが、ライカはキレキレ。タムロンはゆるゆる。
TAMRON(タムロン) SP 90mm F2.5 MACROに戻ります。
逆光で撮影の作例。かなりフワッとしていますよね。これはこれで好きでありますが、描写はとても柔らかいです。
シャープと評判ではあるレンズですが、前回のライカのキレが良すぎたからか、シャープさはそこまで感じなかったです。
ゆるさが美しいレンズ
でもタムロンはここからが真骨頂。
「寄れるは神」と誰かが言っていました(誰が?)。マクロ撮影ができるというのは、やっぱり嬉しいですよね。
ただ、明瞭度が低いというか、解像度が甘いというか、とにかく描写が緩いです。特に開放で撮ったとき。
シャープな部分もありますが、明るい部分がふわっと飛んでしまいがち。
良く言えば、柔らかいということになりますが、気になった点ですね。僕個人としてはもう少しだけパキッとして欲しい。
これは中望遠オールドレンズあるあるですね。
ふわっと感を活かすなら明るく撮りたいですよね。RAW現像で少しだけ引き締めてあげて、ちょうど良い感じになります。
写真の好みって変わりますからね。個人的な話ですが、一時期はこのゆるい描写が好きでよく撮っていましたが、最近はフラットな感じでした。
でも前回のライカを撮影してからは、キレのある描写がいいなーとか思っちゃっています。
出会う時期が変われば、評価も違ったかもしれません。「この緩さめっちゃいい!」って(笑)。
だからいろんなレンズを持って、そのときの気分や天候によってレンズを付け替えるのも、写真を楽しみ続ける秘訣なんですね。
キレの良さ、柔らかさ、発色の良さ、ゴーストの面白さ、バランスの良さ。オールドレンズって、とても個性的です。
連載コラムではいろんなオールドレンズと作例をご紹介しているので、ぜひ読んで頂きたいと思っています。
と、なんだかまとめっぽく書いてしまいましたが、まだまだ続きます(笑)。
寄れるっていいですよね
しつこいですが、寄れるっていいですよね。オールドレンズって最短撮影距離が1m前後のものが多いので、これだけで嬉しかったりします。
ピンクのニクキューもばっちり。
表現の幅が広がりますよね。
だからマクロレンズって1本は持っておきたいです。
中望遠なので、寄ると逃げちゃう猫ちゃんも撮れます。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBでマクロ撮影
ボケに関しては、開放がF2.5ではありますが充分なボケ感ですね。
ピントを合わせるのが、少し難しいくらいです。
特にグッと寄って撮影するときのピント合わせはかなりシビアです。
身体が前後に揺れると、ピントはズレます。たとえな「この花をマクロで撮る!」って決まっているのなら、三脚を使うのがいいでしょう。
この作例は開放で、撮影最短距離で撮りました。ピントの合う幅がとても狭いですね(被写界深度が浅い)。
開放で撮るなら、距離感的にはこれくらいの方が良いかもしれませんね。
マクロ撮影をしたことがない方は、ピント合わせがシビアなのを知っておきましょう。
ピントの合っている部分はそれなりにシャープ感はありますね。
遠景の描写
空を撮影。F11まで絞っての作例です。
カリっと感はあまりないのかな。色のノリもどちらかというと薄めになります。
撮影Tips「ゆるふわに撮るべし」
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBは描写がどうしてもふわっとしてします。だったら、ゆるふわに撮ればいい!
ってことで、この作例では露出補正を+1〜2で明るく。さらにホワイトバランスを変えて撮影。
カメラ内でも色温度の設定ができるかと思うので、色味を青〜緑系にしてみました。色温度だと、3,600〜4,000K(ケルビン)くらい。
RAW現像で変更してもいいですね。オールドレンズそのままの味も魅力的ではありますが、その個性を編集でより良くしてあげるのもオススメです。
色味と描写がマッチしていますね。
花もかわいく撮れます。
ボケもとろけていい感じですね。中望遠レンズでのこういう撮り方って意外と好きです。
しかめっ面ですが、、、この写真を見て、海が見える場所でポートレート撮影にも最適だと思いました。
ちなみにですが、前回作例をお届けしたLeica(ライカ) SUMMICRON-M 28mm F2 ASPHは、ゆるふわ系との相性が抜群に悪かったです。
撮りたい雰囲気とレンズ選びって大切だと改めて実感しました。
焦点距離も含めて万能レンズではありませんが、お花を接写で撮ったり、ポートレートを撮るのには最適です。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBを使用してみた感想
どうしても、以前作例を撮影した「OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2」と比べてしまうのですが、それの代替え品としては充分使えるなと思いました。
良くも悪くも開放での描写は滲みが少しあって柔らかいです。ポートレートとして使うのなら、むしろありかなと。
絞って撮ればある程度はカリッとします。
なので、撮影Tipsの通り、ゆるふわを撮るのにオススメのオールドレンズになります。
OLYMPUS(オリンパス)に比べて、TAMRON(タムロン)の方が中古価格もかなり安いので、マクロレンズを持っていない!中望遠が欲しい!できるだけ安く!という方にオススメですね。
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TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BB 簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例をご紹介したTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBについて簡単に解説します。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BB
マウント | タムロン アダプトール2 |
構成 | 6群8枚 |
メーカー | タムロン |
新品時価格 | 53,000円 |
発売年 | 1988年 |
参考:タムロン公式WebサイトよりSP 90mm F/2.5 52B、52BB、52E
タムロンの90mmといえば、ポートレートに最適な中望遠マクロの定番として有名です。
その評価を決定づけたのが、1979年発売のTAMRON SP 90mm F2.5 (52B)。
↑TAMRON SP 90mm F2.5 (52B)
今回、作例の撮影に使用したTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBは、その52Bがモデルチェンジしたものです。
1990年にはAF化された52Eも登場しました。
さて、とくに撮影会などでのポートレート撮影では、レンズに求められるのはキレキレの描写だけではありません。
毛穴の一つ一つまで写ってしまうよりも、今回の作例について「ゆるい写り」と雨樹さんが評したように、ふんわりと雰囲気を表現することも必要なのです。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBをはじめタムロンの90mmがポートレート用の定番の地位を確立したのは、まさにそんな用途に最適だったからこそ。
拡大して細部を見るだけでなく、写真全体を見て評価することではじめてその良さがわかるレンズ。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBは、そんな中古レンズといえるかもしれません。
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBの中古を探すなら
TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBはポートレートマクロとして評判の高いレンズのひとつですが、マニュアルフォーカス専用ということもあり中古価格はとても安いです。
状態にもよりますが、1万円台くらいの価格からよいものが狙っていけるかもしれません。
ただし、経年変化でクモリが生じていないかについてはチェックが必要。
信頼の置けるお店で、保証のついた中古を購入するのがおすすめです。
タムロン アダプトールについて
今回作例を撮影したTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBをはじめ、1970年代~のタムロンのMFレンズは、アダプトール/アダプトール2という交換マウントが採用されています。
↑TAMRON 135mm F2.5 03B(左)とNikon Ai用アダプトール2(右)
↑TAMRON 135mm F2.5 03BからNikon Ai用アダプトール2を取り外した状態
アダプトールというのは、各社の一眼レフカメラ用マウントの自動絞り機構や、露出の伝達機構を変換するアダプターのこと。
その充実度はすさまじく、プラクチカBマウント、ローライフレックスSL用、マミヤZE用といったマイナーマウントまで用意されていました。
ただし、各社の一眼レフカメラがAF化されてからは、対応が難しいため他のサードパーティレンズメーカー同様固定マウントへ舵を切っています。
(ちなみに歴史上、交換式マウントにはタムロン アダプトマチック、トキナー TXマウント、シグマとサン光機のYSマウントなど、他にも種類がありました)
アダプトールとマウントアダプター
タムロンのアダプトールレンズをミラーレス一眼カメラで使う場合、他のオールドレンズと同様、マウントアダプターで取り付けることになります。
今回は、オリンパスOMマウント用のアダプトール2を取り付けたうえで、OMマウントをSONY Eマウントに変換するアダプターでミラーレス一眼カメラのボディへ取り付けました。
↑OM用アダプトール2がついた状態(別個体、状態の悪いジャンク品)
ですが、今回使用したK&F Conceptブランドをはじめ、タムロン アダプトールのマウントを直接、各社のミラーレス一眼カメラ用マウントへ変換するマウントアダプターも市販されています。
当然ながら、アダプターを多重で使用するよりも、1つしか使用しないほうが精度面で有利です。
ですが、上でも書いたように、アダプトール/アダプトール2自体の精度も十分(そうでなければ、フィルムカメラでピント合わせに不都合が生じる)であるため、今回のような使用方法でも実用上問題はないと思われます。
この部分を執筆しているサンライズカメラ スタッフの私も、アダプトールのレンズはそのように使用しています。
ミラーレス一眼カメラで使うならアダプトールでもアダプトール2でもOK
タムロンの交換マウントにはアダプトールとアダプトール2がある、と書きましたが、両者は取り付けについては互換性があります。
(すべてのマウントを試したわけではないので、例外がある可能性があります)
ただし、フィルムカメラのボディで使う場合、AEの使用やボディ側からの絞りの制御に制限があります。
いっぽう、今回のようにミラーレス一眼カメラで使用するなら、アダプトールとアダプトール2に実用上の差はありません。
なぜなら、ミラーレス一眼カメラ+マウントアダプターで使用する場合、絞り関連の情報伝達は一切行われないためです。
手持ちのミラーレス一眼カメラ用マウントアダプターに合わせてアダプトールの交換マウントを購入するのがよいでしょう。
アダプトール/アダプトール2の交換マウントの中古価格は、安いものなら1,000円台から購入可能です。
マイナーマウントは価格が高めです。
アダプトールとアダプトール2の価格差はあまりない印象です。
ミラーレス一眼カメラのボディについて
このシリーズではSONYのEマウント機を使用しています。
オールドレンズを使ううえで、比較的小柄な初期のSONY α7系機種はうってつけなのではないかと思います。
これからオールドレンズを念頭にSONY Eマウント機を選ぶとしたら――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。TAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BB まとめ
今回はTAMRON(タムロン)SP 90mm F2.5 MACRO 52BBで撮影した作例をお届けしました。
これまで作例を紹介してきた中古レンズにはない描写が味わえるポートレートマクロ。
レンズの描写の個性というものを知るのにうってつけのレンズだといえるでしょう。
タムロンというレンズメーカーが、並のサードパーティではないことを証明するような歴史に残るレンズ、それがタムロンの90mmなのです。
中古価格も手頃なので、ぜひあなたのレンズラインナップに加えてみませんか?
オールドレンズ探訪記 次回の記事はこちら
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