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[写真の表現力アップ講座5] ワイヤレスストロボで日中シンクロ撮影をしてみよう

こんにちは、雨樹一期です。前回に引き続き、クリップオンストロボでの表現力アップ講座となります。
今回はカメラとストロボを離して使う、応用編となります。オフカメラ、オフストロボ、ワイヤレスストロボ、いろんな言い方があります。

基礎編は以下より。

[写真の表現力アップ講座4] ストロボを使って撮影してみよう〜初心者向け基礎編

 

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はい、今回はワイヤレスストロボなので応用編です。
ストロボライティングでの撮影をすでにやってる方から、「おいおい待ちなさい、これも基礎じゃないのか?」って言われそうですが、やったことない方からすると、ストロボって割と敷居が高いもの。

モデルさんを撮るのが好きな男性は当たり前に使っていますが、女性ってストロボ使う発想がなかなか生まれてこないですよね、たぶん。
違ったらごめんなさい。

ストロボを使うと、ふわっとではなくカチッと感が強くなります。硬い、格好いい写真ですね。

今回の作例写真ですが、本当はストロボ撮影ならモデルさんをと思ったのですが、こんなご時世でもあるのでいつものように娘に手伝ってもらいました。
ギャラは「お菓子」と安くつきます(笑)。

それではまずは設定からいってみましょう。

 

ワイヤレスストロボ(オフストロボ)での撮影方法

カメラにストロボを付けて天井バウンスで撮影。の次は、カメラとストロボを離して撮影してみましょう。
カメラのシャッターを押せば、カメラから離したストロボがピカッと光ります。

ストロボライティングはこっちが本命です。ここから写真の世界が無限に広がっていきます。

 

カメラから離れたストロボを発光させる方法

これには、ストロボとは別に上記の写真の「ラジオスレーブ」が必要です。フラッシュトリガー、コマンダーという呼び方もあります(統一して欲しい)。

写真はGODOXのラジオスレーブ「GODOX X2T(7,500円)」です。他にも「GODOX X1T(5,ooo円)」「GODOX XPro(8,500円))」などがあります。
購入するなら、「GODOX X2T」「GODOX XPro」どちらかがいいですね。

最近のカメラは機能満載。説明書も極太です。「誰が全部読むんだ?」と。
そこにさらにストロボで新しい機械を使うことになりますから、これで敷居が高く感じてしまいます。
だけど、とりあえず一度設定しておけば、ストロボ一灯の撮影くらいならそこまで難しくはありません。

ストロボ関連のブログ記事って、調べればいろいろ出てきますが、このラジオスレーブ使えることが前提で書かれているのが多いんですよね。

なので、そこも詳しく書いていきます。

このラジオスレーブをカメラのホットシューに取り付けます。なんだかこれだけでプロっぽくなりますね。

簡単にいうと、これが送信機となります。そしてストロボ本体には受信機が内蔵されています。

ラジオスレーブが「光れと!」命令をだして、ストロボが「あいよっ!」と応えます。
ただそれだけ。仕組みはめっちゃ簡単です。

ちなみに、NEEWERのストロボには受信機が内蔵されていないので、別途購入が必要です。
だけど技適マークを取得してないので、それを使えば一応電波法違反になります。なんじゃそりゃ、ですね。なぜ販売されているんだ?と。

技適マークについては基礎編をご覧ください。

 

ラジオスレーブの設定方法

機種によって使い方はバラバラですが、設定する部分に関してはほぼ同じ。
A〜Eのボタンが5つ並んでいますが、これはグループです。ストロボを5台までなら、このラジオスレーブで命令が出せるということですね。

ストロボ1台だけならAのみ使います。

電源を押すと、まだ何も設定されていない状態になります。
ストロボ一台の際は、グループAを使います。「SET」を押すとAのラインが暗くなります。

次に「MODE」を二回押して「M」に合わせます(一回押した時はTTLになります)。
この状態で下のダイヤルを回すと、発光量を決めることができます。
決まったら「SET」ボタンを押します。

次にチャンネルを決めます。現在「CH 07」になっています。

これはどのチャンネルでもいいのですが、たとえば他にも近くにラジオスレーブで「CH 07」を使っている人がいたら、混線しちゃうんですよね。
あちらがシャッター切ったら、こっちのストロボが発光してしまいます。そういう場所へ行かないのなら何チャンネルでも問題ありません。

チャンネルは「MENU」を押して設定します。いろんなメニューがありますが、とりあえず、他は触らなくてもいいです。
ハイスピードシンクロの際は、上記の「SYNC」で「H」に設定。

チャンネルの設定は、ダイヤルを回して、次のページにあります。「SET」を押して、ダイヤルを回して設定。ここでは「07」チャンネルに合わせました。もう一度「MENU」を押して、先ほどの画面に戻しておきます。

これでラジオスレーブの設定は完了。次はストロボの設定です。

ちなみに技適マークはありませんが、もっと簡易なのもあります。左が送信機、右が受信機。
価格は3,000円くらい。

命令を出せるのはストロボ一台にだけですが、カメラのホットシューに送信機、ストロボに受信機を付けるだけ。
カメラに受信機を付けて、送信機のボタンを押すと、リモートレリーズ(離れた場所から無線でカメラのシャッターを切る)としても使えます。

基礎編でも書いていますが、技適マークがないので、電波法違反になる可能性もあります。
安心して使いたいのなら、技適マークを取得しているラジオスレーブを使いましょう。

 

ストロボの設定方法

ストロボの設定といっても、発光量の設定ではありません。ストロボがラジオスレーブの電波を受信するように設定をします。言い換えると、どのラジオスレーブから「光れ!」という命令を受けるかを、設定します。

「SYNC」を長押しします。中央のダイヤルを回して「S(スレーブ)」に設定。

次にグループを設定します。左の白で囲んだ【A】が現在のグループ。おそらく、はじめから【A】になっているかと思いますが、なっていない場合や2台目のストロボの場合は、「SLAVE」ボタンを押して合わせます。

ストロボによって、【A】〜【C】までしかないものもあります。

次にチャンネルを設定します。先ほど「CH 07」に合わせたので、ストロボ側も「CH 07」にします。
「SLAVE」ボタンを長押し、チャンネルの数字が点滅したら、ダイヤルを回して合わせます。

これでストロボの設定は完了です。

ここまで終わればテストをしてみます。ラジオスレーブのフラッシュのボタンを押すと、ストロボが発光します。

連動して、ストロボ側に設定が反映されていますね。ここまで確認が出来れば、いよいよ撮影です。

 

ワイヤレスストロボで日中シンクロ撮影へ!

夜の撮影になると難易度があがるし、操作も大変なので、まずはお昼〜夕方。
太陽の光がある時間帯に使ってみるのがいいですね。日中シンクロってやつです。

「昼間は明るいのにストロボ?」って思うかもしれませんが、たとえばポートレート撮影なら、逆光で撮ると顔が暗くなりますよね。露出補正で明るくすると、背景が白飛びしちゃいます。

こんな時にストロボを使えば、人も背景もキレイに撮ることが出来ます。

作例の写真は夕方ですが、太陽が真上にある時間帯だと顔に影が落ちるので、そんな時にストロボを使って顔の影を薄くすることも出来ます。

 

ストロボの配置について

さー、カメラとストロボを離して撮影するぞ!と思っても、その配置が分かりませよね。
これは条件が様々なので、撮影しながら変えていくしかありません。

 

てことで、撮影場所へ到着。目的地が不運に土壌の工事とかで立ち入り禁止になっていたので、良さそうな別の場所を探しました。
本来の目的地は池や階段があって、いい感じに背景が開けていて、人も通らなくって、少しディープさもあって最適だったんですけどね。

さて、配置ですが、ストロボがフレームインしないように、被写体から少し離し、正面からではなく、斜め前から当てるのが王道です。
正面過ぎると影がなくなり過ぎて不自然になるので、とりあえず少し斜めくらいから撮影してみて、微調整しましょう。

ストロボの発光量は一枚目くらいがいいですね。これは顔が白くなり過ぎています。

写真のようにアンブレラがあれば光も拡散して柔らかくなりますが、それなりに場所をとります。人が多い場所では使用しないのがマナーですね。

ストロボ本体のみで光を和らげる、拡散させるには、ワイドパネルを引っ張り出しましょう。

ワイドパネルと一緒にキャッチライトパネルも出てきます。

これは天井バウンスで撮影する時に、正面にいる人や動物の目にキャッチライトを入れる為にあります(どちらも効果は絶大ってほどではないです)。

他にもストロボ本体に差し込むディフューザーや、マジックテープで取り付ける角型ディフューザーもあります。
角型ディフューザーは折りたたみが出来る軽いものなので、1つ持っておくと便利ですね。

1,000円くらいで購入出来るのですが、アマゾンでストロボを購入するとオマケで付いてきます。このオマケがめっちゃ豊富でびっくりします。

これで気持ち、光を拡散させて柔らかくすることが可能です。

 

ストロボの発光量を調整する

配置も大切だし、発光量も大切。絞りや感度によっても変わります。背景を暗く落としたいのか、逆光撮影で顔を少し明るくしたいのかで変わってきます。

こればかりは「こうすればいい!」とは言えないので、撮りながら微調整するしかありません。
発光量って配置によっても変わります。近づけて弱い光、遠ざけて強い光など、もう無限にあるし、そこに個性が出るものだと。

とりあえず、右も左も分からないよって方は、まずは背景に露出を合わせます。
以下の三枚、カメラの設定は「ISO 200 ・F5・シャッタースピード1/250 」で撮影しました。

ストロボなしだとこんな感じ。顔が暗いですが、ここにストロボの光が入るので、これでオッケー。

ストロボの発光量は1/2か、1/128で撮ってみて、そこから調整しましょう。

これは1/2だったかな。明らかに強過ぎますね。

まだ、ちょっと強い?

これくらいが自然ですかね。背景も明る過ぎず、夕焼けの色合いがいいですね。アンブレラで光は和らげていますが、やっぱしちょっと硬い写真になりますね。

全身を入れて撮るなら、ストロボとの距離を離して、発光量を強くして撮りましょう。

ちなみに同じ場所で、ストロボを使わずに、顔を明るく撮ると以下のような感じ。

背景は明るくなりましたが、柔らかくて自然なのはこちらになりますかね。

逆光というシチュエーションなら僕はこちらの方が好みなんですよね。
なんてこと言っちゃうと元も子もないですが(笑)。

背景をちょうどその中間くらいの明るさで撮影した写真。明るくしているので、ストロボを弱〜く当ててます。
バランス的にはこれが一番いいのかな。あとはただ好みですね。

なんだか、これだとストロボ感が薄いってことで、らしい写真も載せておきます。

こちらはオールドレンズの「HELIOS-44-2 58mm F2」で撮影しました。ストロボのスタンドも、アンブレラも、ディフューザーもなし。

オールドレンズだとピントはマニュアルなので、やることが増えちゃうし、オートフォーカスの方が楽です(笑)。

夜みたいですが、日暮れ前でまだ太陽の明るさはあります。天気は曇り。設定は「ISO100・F16・シャッタースピード1/250」で撮影しています。
ストロボなしだと、かなりアンダーになる設定です。

ストロボは被写体から3mくらい離して、階段に置いてフル発光で撮りました。
オールドレンズのピントの甘さを感じさせない、カリッとした写真になりました。

こういったディープな場所の方がストロボとの相性はいいですね。

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雨の日に一灯ライティングで幻想的な写真を撮ろう!

写真家のイルコさんのパクリですね。これも流行っちゃって今更ですが、簡単なので、ぜひチャレンジして下さい。

被写体の後ろからストロボで雨を照らしています。発光量は強めがいいですね。
ストロボライティングならではの技です。


被写体の真後ろにストロボを設置します。地面が明るくなってますよね。
雨なので、ストロボはビニール袋やジップロックなどで濡れないようにしましょう。同じくカメラもなるべく濡れないように注意が必要です。

ストロボは被写体から2〜5mくらい後方に設置します。地面に置いてストロボの角度をつけて被写体に向けています。
ストロボが写らないように、被写体で隠して撮ります。

地面に置かずにスタンドを使ってもいいのですが、スタンドが写り込むこともあるので注意を。

背景が空になるとせっかくの雨粒が白飛びするので、場所を変えて。

庭のチューリップを同じ方法で撮影。ストロボは近過ぎると光も拡散しないので、出来れば離したいですね。
ただ、背景からの光で花の輪郭が強くなって艶やかです。

当然、たくさん雨が降るほど雨粒も写ります。


夜バージョンです。雨粒がしっかり写って幻想的ですね。でも、夜に雨の中で撮影するのは過酷です。
顔も暗くなるので、照らす必要があったり何かと大変。

これは一灯ですが、自宅の門灯の横で撮影しています。自販機とかの光も意外と使えますが、出来ればストロボ二灯は欲しくなりますね。

たまに車も来たりしちゃう場所なので、さっと撮って退散しました。
運転手は地面に置いたストロボとか気付かないですからね。
娘の向こう側から車が来たら、ストロボを拾う為に車に向かって猛ダッシュです(笑)。

「安全第一!」人や車が通らない場所で撮りましょう(どの口が言うんや)。

てことで、まずは昼間に練習しましょうね。

 

黒い布背景でスタジオ風に撮ってみよう!

さて。いきなり私事ではありますが、2020年の5月にニャンコを家族に迎えました。
生後1日の子猫ちゃんです。

まだ目も開いていない、へその緒もついた子猫を育てていくことなんてめったにないから、成長の記録を残していきたいなーと。

そこで思いついたのが、同じ位置から、同じ距離で撮影していく、いわゆる定点撮影をしようと。それを連続で見ていけば、より成長が分かるんじゃないかと。

そこで準備したのが黒い布背景とストロボを一灯です。背景の黒い布があまり照らされないように、ニャンコの斜め右側からストロボで照らしています。

図のようなイメージですね。黒い背景を使ったのは背景をごちゃごちゃさせない為でもあり、白い猫だったので黒が映えるかなと思ったからです。


こちらも同じ要領で撮影しています。

数日撮影して、一灯だと半分が影になるし、角度によっては目のキャッチライトもなくなるので、一灯追加しました。
はじめはまだ猫ちゃんの目が開いてなかったので、キャッチライトの有無に気づきませんでした。

てことで、途中から2灯ライティング。左右から照射され、ど真ん中から撮影という形ですね。

ストロボの光を直ではなく、光を和らげる為にソフトボックスを使っています。アンブレラでもいいのですが、こうなってくると、それなりに機材が必要になってきますね。場所の確保も難しいです。

まずはストロボオンリーでもいいかもしれません。光が強いと感じたらさきほど紹介したディフューザーを使いましょう。

 

そして100日間撮り続け、繋げて動画にしてみました。

 

 

まとめ

基礎から比べるとちょっと複雑になりましたね。でも、ここまで踏み込んで頂ければ新しい写真の世界が待っています。
実際にやったことって、

ラジオスレーブのチャンネルを設定
ストロボも同じチャンネルに設定

この2つです。あとはストロボの配置や発光量。そこは体感で覚えていきましょう。

今回は1灯ライティング。さらに応用編として、多灯ライティングまでと思っていますが、新たにコラム用に撮影する必要があるので、少し落ち着いたら書いてみたいと思います。

 

 

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著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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