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[写真の表現力アップ講座4] ストロボを使って撮影してみよう〜初心者向け基礎編

こんにちは、雨樹一期です。今回は写真のスキルアップ、ストロボについて書いてみます。
写真歴はそこそこあっても、ちゃんと使ったことがない方もたくさんいるのでは?

写真って自然光がまずは大切、というか基本になりますが、極めてきたら次のステップはストロボです。

僕はオールドレンズやフィルムカメラに関するワークショップを開催していますが、デジタルを使わないカメラマンではなく。仕事では、デジタル一眼やミラーレス一眼がメイン。
自然光の中での撮影が多いですが、店舗や商品の撮影、室内でペット撮影をする際などはストロボも使っています。

実はストロボって知れば知るほど深くて面白いんです。ハマってしまうと、いろいろ揃えたくなってしまうという、オールドレンズと同じく沼なんですよね。

はじめは暗い場所で光を補ってくれる使い方ですが、自ら光を生み出す考え方へ変わっていきます。

ということで。今回はまだ持ってない、使ったことがない方のために、ストロボの種類やオススメのメーカー。使い方までご紹介したいと思います。

次回は応用編として、さらに踏み込んだことを書かせて頂きますね。

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ストロボってなに?

ストロボとは写真撮影の際に使われる発光装置です。
ここでのストロボはカメラに内蔵されているフラッシュではなく、外部フラッシュ。クリップオンストロボになります。スピードライトとも言われています。

内蔵フラッシュがない、あっても光が弱いので、それを補うために外部ストロボがあります。

 

ストロボの種類について

自宅にあるものから大きさとメーカー違いで3点並べてみました。それぞれ発光量が違います。

左から順に
・Nikon SB-400(ガイドナンバー20)
・Godox TT350(ガイドナンバー36)
・Neewer SPEEDLITE 750Ⅱ(ガイドナンバー58)

発光量を示すのにガイドナンバーという単位があり、数字が大きいほど単純に発光量があります。

当然、発光量によってボディーの大きさも変わりますね。
自宅の室内で撮るならガイドナンバーは20でも大丈夫ですが、結婚式場など広い場所になると、36じゃちょっと厳しいです。

 

購入するなら純正よりもサードパーティーがオススメ!

何を撮りたいかで変わってきますが、ざっくりと説明していきます。

クリップオンストロボなどで検索すると、いろんなメーカーが出てきます。基本的にはNikonのカメラならNikon(純正品)を購入するのがいいですね。ただ超難点があって、これがめちゃくちゃ高いんです。
ストロボって複数台欲しくなっていくものなので、純正で揃えるとなかなか大変です。

そこでオススメなのがサードパーティーと言われる、中国の三大メーカーのストロボ。
「NEEWER(ニューワー)」
「YONGNUO(ヨンヌオ)」
「GODOX(ゴドックス)」

のストロボが格安で性能も悪くありません。

全て使ったことがありますが、品質や性能はGODOXが一番いいかなぁと。この三大メーカーの中では一番勢いがあって、ラインナップも豊富です。ストロボを極めていきたいのなら、純正かGODOXがいいかなと。
YONGNUOがダメという訳ではありませんよ。

NEEWERは一番安いので、とりあえずやってみようという方はありですね。
価格ですが、上記の写真の「Neewer SPEEDLITE 750Ⅱ」は7,000円くらい。
単純にガイドナンバーが近いNikonの純正品だと、6万円くらいします。
NEEWERが8台くらい買えちゃう。

「Godox TT350」は10,000円くらい。「Nikon SB-400」はもう販売されてませんが、当時の価格だと10,000円以上しました。
この3台だと小さい(発光量が弱い)ほど高価になっていますが、普通は逆です。

どのストロボでも、フル発光するとチャージするのに時間がかかりますが、NEEWERはチャージが遅かったり、カメラの上部(ホットシュー)に取り付ける部分が硬いとか、本体が壊れやすい??など、細かい欠点はあります。

実際、壊れたことはありませんが、電源を入れた時に壊れそうな音がします(笑)。

 

技適(ぎてき)マークに注意が必要

もう一点、ちょっとややこしいですが、NEEWERのストロボをカメラと離して使う場合、送信機と受信機を使用するのですが、これが実は電波法に違反してしまいます。

コスプレ撮影会とか、違法してる人はたくさんいそうですけどね。でも、逮捕されたとかは聞いたことがないし、自宅で使っていて「警察だ!開けなさい!」なんてこともないですが。

はい。これが技適マーク。GodoxやYONGNUOには付いています。全部の機材に付いてるかは分かりませんが。
ちなみに、NEEWERでもカメラの上に付けて撮影するのは問題はありませんよ。

NEEWERのガイドナンバーが小さいストロボなら4,000円以下でも購入できるので、とりあえずそこからでもいいかもしれません。
あとは、メーカーに合わせたストロボを購入しましょう。ニコン用、キャノン用、ソニー用などがあります。NEEWERのストロボはニコンにもキャノンにも使えたりもしますけどね。

オススメは「Godox TT350」。サイズもコンパクトだし、ハイスペック。これ一台で事足ります。さらにハイスピードシンクロも可能です。

 

シンクロスピード/同調速度について

聞きなれない言葉と思いますが、結構大切。
ストロボを使用する時、ほとんどのデジタル一眼レフではシャッタースピードが1/60~1/250秒程度に制限されます。
絞り優先などで撮影するのなら自動で制限されますが、マニュアルでそれより早いシャッタースピードで撮影すると、以下のように写真に幕がかかります。

シャッタースピードを1/250よりも早い、1/320で撮影しています。一瞬を切り取りたいからといってシャッタースピードをあげると、シンクロしません。写真の下部分が暗くなってますね。

「Godox TT350」はハイスピードシンクロも可能なので、このように幕がかかったりしません。
カメラ側が対応していないこともあります。

この機能が欲しくなるのはもっと先なので、初心者の方は気にしなくてもいいかな。

 

 

クリップオンストロボの設定方法

最もお手軽かつ光量も強いストロボ、「Neewer SPEEDLITE 750Ⅱ」で説明します。750Ⅱの在庫はないかもしれませんが、635とか670とか、同じスペックのものがあります。いずれも格安ですが、機能面はほぼ同じです。

単三電池は4本使います。ちなみに、百均の電池だとすぐ無くなります(笑)。

 

まずは「TTL」から(自動で発光量を調整)

まず初心者の方はTTLに設定が無難です(メーカーによって、E-TTLやi-TTLやP-TTLなどがあります)。電源ONするとはじめに出てきます。これはカメラが連動し、レンズを通った光の量によってストロボが発光量を自動で調節する機能です。

純正に比べると露光に誤差は出ているのかもしれませんが、そこまで大きなズレは感じません。
中央の「SET」のダイヤルボタンで光量の微調整もできます。

Neewerからはストロボがたくさん発売されていますが、TTLのないのもあるので、購入の際は注意が必要ですね。

 

慣れてきたら「M(マニュアル)」も試してみよう

MODEを押すと、次は「M」になりますが、これはマニュアルです。自分で発光量を決めることができます。1〜1/128まであって、1がフル発光。一番明るいのですが、ややストロボ本体に負担がかかります。

慣れてくると、TTLを使うことはなくなるので、「M」がメインになります。撮影している場所によりますが、絞り値をコロコロ変えたり、その場の明るさが変わるような結婚式などはTTLがいいかもしれませんね。

 

「Multi(マルチ)発光」で多重露光風な一枚を

次はマルチ発光です(「Multi」と表示されるメーカーもあります)。
これは、シャッターが開いている間に、一定の感覚で連続で発光させて撮影するものです。多重露光のようになりますが、ストロボ使うのに三脚が必要だったり、初心者が使うことはまずないモードだと思います。

下記、作例です(Godoxのストロボを使用)。

シャッターが開いている間に8回発光しています。設定やタイミングがめちゃ難しいんですよね。
応用編で少し書かせて頂きます。

 

ストロボの多灯に便利な「S(スレーブ)」機能

次はスレーブですね。これは複数台のストロボを使う際に便利な機能です。他のフラッシュ光に同調して発光させます。

たとえば、AとBの二つのストロボがあったとして、Aをカメラに付けて、Bを離したところに置いて「S1(スレーブ)」に設定。
シャッターを押してAを発光させると、Bも発光するしくみです。

こちらは応用編にてご説明します。

デジタル表示の右下にある「Zoom」は、装着しているレンズの焦点距離に合わせておきます。自動で合うはずですが、合わない時もあります。
ちなみに、焦点距離が短い(広角になる)ほど、光源は広がります。逆に長くなると、光源は狭くなりますが、遠くまで届きます。
全体を満遍なく照射したいのなら、レンズに合わせず手動で決めてもいいですね。

ストロボをカメラと離して使う時には手動で合わせましょう。

 

クリップオンストロボの使い方

まず、クリップオンストロボはカメラの上に装着して使うものですが、基本的には被写体に光を直接当てるのではなく、天井に向けて発光させ、光をバウンスさせます。

被写体が近い時は真上に、遠いと少し角度をつけるなど、調整してください。

これによって、天井から柔らかい光が降りてきて、とても自然な写真になります。

光を補ってくれるので、多少絞ってもいいし、ISO(感度)だって上げる必要がありません。画質もキレイになりますよね。
カメラの設定でISOをオートにしている方は、感度を100〜400くらいにしておきましょう。

ちなみに、上位モデルのストロボになれば、首の角度をいろいろ変えることができますが、「Nikon SB-400」は上にしか振れません。

横構図で使うのなら問題ありませんが、縦にすると天井に光を当てることができません。
壁にバウンスさせる方法もありますが、それだと、左右どちらかからの光になるし、場所によっては使えません。
購入する際は注意しましょう。

「Godox TT350」や「Neewer SPEEDLITE 750Ⅱ」は縦構図でも天井バウンスが可能です。
でっかいストロボなら、だいたい大丈夫でしょう。

 

クリップオンストロボを使った作例

動物病院でのイベント撮影会での写真になります。本来なら、ストロボ2台をカメラから離して、左右から当てて撮影するのが好ましいのですが、スタジオではなく待合室。
撮影補助してくれる方や飼い主さんもいて、ストロボを設置するスペースがない。という場所は、カメラの上に付けて撮影しています。

ワンちゃんを撮影する時ですが、鼻と目どちらにもピント合わせたいんですね。これを絞り開放で撮ると、どちらかにしか合わなくなります。
なので、絞りをF5.6などで撮るのですが、シャッタースピードはあまり遅くしたくない。となると、ISO(感度)をあげなくちゃいけない。そうなってくると、画質が荒くなる。
でもストロボがあればまるっと解決してくれます。

続いて院内(歯医者)の写真ですね。HP用に撮影させて頂いたものです。絞りはF8で撮影しています。
手狭になるので、超広角レンズを使っているため、若干の歪みはありますが、光が全体的に回ってキレイに撮れているかと思います。

もちろん、ストロボを使わない方がいい場面や場所はあります。その場の雰囲気に合わせて使い分けましょう。

 

まとめ

今回は単純に光の少ない場所(屋内)でそれを補う使い方です。

1、カメラメーカーに合わせたストロボを購入(おすすめはやっぱりGODOX)
2、電池を入れる(意外と忘れがち?)
3、TTLに設定(自動で調光しれくれます)
4、ISO感度を低く設定(感度が高いままだとストロボ使う意味が半減)
5、天井バウンスで撮影(被写体との距離によって、ストロボの照射角度を変えながら

撮影した写真の色味がおかしいなと思った時は、ホワイトバランス(色温度)を変更してみましょう。

【注意点】
天井バウンスはお手軽ですが、たとえば天井が高過ぎると光が届かないし( ISOを上げると届く距離も変わります)、天井の色がピンク色だったら、ピンクの色も一緒に降りてきたり、黒い天井だと光が吸収されたり、なかなかやっかいな部分もあります。

RAW現像である程度どうにかなるかと思いますが、そういう意味では初心者の方は結婚式の撮影を頼まれても断るのが無難ですね。

次回は応用編として、ストロボをカメラから離して、リモートで発光させる撮影方法などを書かせて頂きますね。

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著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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