[闇鍋オールドレンズレビュー] 第7回 SMC Takumar 35mmF3.5 苦手な35mmの画角で街撮りだ!
漸く7回目か、まだまだ数が少ないな。どんどん増やしたい気持ちはあれど仕事との兼ね合いで中々進まない。「そんな言い訳を言ってる暇があったら手を動かせよ」という声が聞こえてきそうなので行動に移す。
次は何ですか?
ダンボール箱をゴソゴソやって次に出たのがこのSMC Takumar 35mm F3.5 。
ハイ、苦手ぇー。
今の今まで35mmの単焦点レンズを使った記憶がない、いや待てNikkor 35mmのシフトレンズを使ってたか?それでもちゃんと写真を撮ったことがなかったので、今回がほぼ初めてだ。
【前回の記事はこちら】
目次
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なぜ35mmが苦手なのだろうか?
それにしても、何故35mmが苦手なのだろうか? きっと、出番がなかったのだろうな。日本の小さな建物内で使うには画角が狭いし人物を撮るには広すぎる。街をスナップするのに丁度いいのかもしれないがお仕事でそういうのはあまりない。そんな訳で持っていたとしても出番が少ない→そうなるとカバンの肥やしでただ重いだけ→次の撮影には持っていかない→存在を忘れる→苦手だと思いこむ、の順で頭に刷り込まれたのだろう。
しかし、これも何かの縁ということで今回ちゃんと使って苦手を乗り越えてみたい。
SMC Takumar 35mm F3.5の紹介
先に SMC Takumar 35mm F3.5 を紹介しておく。
このレンズも使ったこと無いので Google先生に聞くと様々なブログが上がってた。なんとありがたいインターネットか。所謂、ペンタキシアンみたいな人ばかりかと思えばそうでもなかった。寧ろ他メーカーとの比較記事など、様々な角度の記事があって面白かった。
SMC Takumar 35mm F3.5の各部を見る
SMCはスーパーマルチコーテッドの略らしい。要するにコーティングの名前。
絞りが F16までになってるのは後期型らしい。前期型は F22まで絞れると書いてあった。
1960年代ぐらいの製品みたいなのでざっくり50年ぐらい前か。かなり古い製品だ。写真を見ていただければわかると思うが今回の個体は非常に綺麗だ。殆ど使用の痕跡が見当たらない。絞り羽根も元気よく動くし、レンズ前玉・後玉共にピカピカ。ヘリコイドもスムーズで完璧なコンディションだ。塗装も剥げていないので新品の様に見える。
絞りリングのすぐ後ろにオートとマニュアルの切り替えがあるがミラーレスでは関係ない。開放 F3.5 と単焦点としては暗く感じるが使う分には問題ない。開放F値を暗くすることでレンズ全体が小さくなり持ち運びに便利なのでかえって暗いほうがいいとも言える。
スレも傷もない5枚の絞り羽根。
http://mubouan.hatenablog.com/entry/2018/01/11/220341
この方のブログが大変ためになったのでリンクを貼っておく。
SMC Takumar 35mm F3.5のスペック
焦点距離 35mm
絞り F3.5~F16
最短撮影距離 45cm
絞り羽根枚数 5枚
SMC Takumar 35mm F3.5の作例
最近は天気の悪い日が多く試し撮りに出るのにも躊躇ってしまうが、時々やってくる晴れた日を使って撮影に出た。場所はまた天満橋周辺と大阪城周辺。
絞り値ごとの描写
まずはいつも通り絞り別の写真。
F3.5は周辺が暗く描写も甘い。
F5.6でも周辺減光が残っている。周辺の描写は幾分改善された。
F8で周辺減光は収まり描写も安定する。このレンズの使い所だ。
F11あまり変わらない。
F16まで絞っても回折現象は酷くない。
開放の時だけはふにゃふにゃだがそれ以外の絞りでは実にしゃきっとしている。人によっては面白くないと判断するかもしれないが性能は高い。
何より色のノリが良くて青空の青は眼を見張るものがある。SONY α7との組み合わせでは強く深い色になった。
近距離でボケ味をチェック
広角だしボケって要るのか?と思いながら撮ったのだが、いい感じのボケが出てこれなら要るなあと認識を新たにした。但しボケは若干リングっぽい。
拡大したものがこれ
拡大するとワチャワチャしてる。
天満橋・大阪城周辺で作例のつづき
F3.5 中心以外はボケていい構図の時は積極的に開放を使ってよい。まあ、この立て看板が重要なのかどうかは知らないけど。
F3.5 開放時の周辺減光は凄いけど、画作りには必要なときもある。
F8 ね、周辺の暗さが無くなると雰囲気出ないでしょ。そんなことないか(俺だけ?)
F3.5 やっぱりぼんやりした感じがするので開放絞りは被写体とのマッチングが大切。開放にすると画面全体のシャープネスもグダグダになるからそこは考慮が必要。
F8 硬質なものを撮るときにはf8ぐらいが丁度いい。それにしても駐車料金が高くなりすぎて辛い。
F8 コントラストの高い風景でもちゃんと写ってる。
F8 こういう空の色ね。重い青。
F8 画面のすぐ外に太陽があるのに酷いことにはならない。SMCの性能には驚かされる。
それにしても最近の日差しは異常に強くて目が痛くなる。俺が年取ったせいかしらと密かに悩んでいたのだが10歳ぐらい若い人からも同じ意見を聞いたので間違いなく明るくなってるのだろう。
F3.5 ちょっと特殊な光線状態で部分的に光っている紅葉だけが目立っていた。これは絞りを変えながら3枚撮ってみたが開放が一番良かった。
F3.5 この写真も開放で撮影。歪曲収差が気になって中々水平が取りづらかった。
歪曲収差が気になってきたので近くにあったブロック塀を撮って確認してみた。かなり大きなタル型の収差が出ている。むうぅぅ、これは好き嫌いが分かれる所。
F3.5 周辺が暗くなるということは逆に言うと中心部が明るくなってる訳なので開放時に画面中心にハイライトが来るような構図は避けたい。でないとこの写真のように中心が白けた感じになる。
F8 天守閣が近づいてきたが今日は行かない。観光客で溢れかえっているので写真が撮れないからね。
F8 流石にこの角度で光源が入るとこうなるか。まあ、この入り方なら現代のレンズでも駄目だろうけど。
F8 ちょっといい感じの写真が撮れた。お堀の水がピタッと止まって不思議な世界になってる。反射した太陽がモロに入ってるけど画面はどうにもなっていない。これだけ逆光に強いと安心して写真が撮れる。凄いぞSMC。
F8 縦位置で空の青を強調。センサーになんか付いてるけどそれを除けばとても綺麗な空。50年前のレンズでこんなに綺麗に撮れるって薄っすら感動してしまうな。素晴らしい。
SMC Takumar 35mm F3.5 総評
ミラーレス一眼とM42マウントレンズでシステムを組むなら、この SMC Takumar 35mm F3.5 は必須になるかもしれない。そして旅先の撮影スポットで小さなカメラバッグからコンパクトなレンズをさっと取り出しスマートな撮影を行う。うーんカッコいいじゃないか。「軽い・安い・よく写る」を体現した21世紀のレトロフューチャーシステムとしてのM42マウントレンズはいかがでしょうか。
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