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[オールドレンズ撮り比べ13] MINOLTAレンズで検証!広角20mmと中望遠135mmを体感せよ(作例あり)

こんにちは、雨樹一期です。前回に引き続きミラーレス一眼カメラと、フィルムカメラの作例撮り比べになります。

ご紹介するレンズは2本。「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」「MINOLTA AF 20mm F2.8」になります。望遠と広角での撮り比べでもありますね。

使用したフィルムカメラは「MINOLTA α-9」、ミラーレス一眼は「SONY α7」になります。

前回の撮り比べコラムは以下より。

[オールドレンズ撮り比べ12] MINOLTA α9と AF 85mm F1.4の組み合わせがあれば、もう他のフィルムカメラはいらない(作例あり)

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「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」での撮り比べ作例

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]

ミノルタレンズといえばこれ、「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」ですよね。
なんて知ったかぶりをしてみましたが、僕ははじめて知りました。ボケを美しく撮るために、こだわり抜いて製造されたレンズです。
STFとは、「スムース・トランスファー・フォーカス」の略で、「中央部から周辺部へ光量がなだらかに減少していくフィルター」(アポダイゼーションフィルター)を内蔵することで、通常のレンズで生じてしまう、絞りの美しくない形や二線ボケといった難点を完璧に解消しています。

* アポダイゼーションフィルターの影響で開放でも絞り値が4.5になります(本記事後半で解説)。

SONY α7(ミラーレス一眼カメラ)で撮影した作例


絞りF4.5/露出補正 +2

今回の作例では、ボケ味を堪能したくて、ガンガン開放で撮っていきました
確かに綺麗ですね。前回の「MINOLTA AF 85mm F1.4」のボケとはまた違います。「MINOLTA AF 85mm F1.4」はとろけて溶かしてしまう系でしたが、こちらは誤魔化すことなく、しっかりとボケてくれます。


絞りF4.5/露出補正 +2

ただ、僕個人的には85mmのボケの方が好きかな。
「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」はボケに嫌味が全くなく、プロ向けというより、プロ受けするレンズですね。


絞りF4.5/露出補正 +1  2/3

僕も一応プロなのですが(笑)、オールドレンズらしさとかも求めているので、「MINOLTA AF 85mm F1.4」やTakumarのレンズが好きだったりします。

解像感もすごい

絞りF4.5/露出補正 -1/3

ボケのためのレンズということですが、僕が驚いたのは別の部分
これまでに使ったレンズの中ではもっとも解像感が高いと感じました。ピントがあった部分の鮮明さが凄いです。

絞りF4.5/露出補正 -1/3

ちょっと拡大してみました。ほら。どうですか、この毛並み感。ピントが合っている部分の解像度が恐ろしいレベルです。ここまで再現できちゃうんですね。

まだまだ現役で活躍できる高性能さ。

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]と他レンズのボケ比較作例

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5] 絞りF4.5/露出補正 +1

凄くないですか? むちゃくちゃ綺麗です。ボケが綺麗だからこその解像度でしょうか。

PENTAX Super Takumar 55mm F1.8 絞りF1.8/露出補正 +1

こちらはオールドレンズの最安値、「Super Takumar 55mm F1.8」での撮影です。焦点距離も絞り値もアングルも違いますが、ボケ味も含めた性能の差は分かりますね。
Takumarのボケはドアの輪郭の筋が不自然ですが、「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」はなだらかです。

[オールドレンズ撮り比べ4] PENTAX Super Takumar 55mm F1.8はTHE 入門レンズ。でも実は写りは絶品!

もう一つ、「MINOLTA AF 85mm F1.4」も加えて、撮り比べを見てみましょう。


MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]/絞りF4.5


MINOLTA AF 85mm F1.4/絞り F1.4


Super Takumar 55mm F1.8/絞りF1.8

上から
「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」
「MINOLTA AF 85mm F1.4」
「Super Takumar 55mm F1.8」

どの作例も全て絞り開放で撮影してみました。

135mmは絞り値でいうと実質F4.5になるので、あまりボケていませんね。逆にごちゃごちゃしてるように見えてしまうかもしれませんが、普段はポートレート用として使うレンズなので、実際にはこんな撮り方(小物撮影)ってあまりしません。

85mmはさすがにボケボケ。Takumarは開放がF1.8ですが、なかなかのボケ具合。

続いて、玉ボケの丸だけを見てください。それぞれサイズが違いますが、135mmが一番安定しています。ふわとろボケの85mmは玉ボケも溶かしていますね。Takumar 55mmは丸というよりも楕円です。

ボケのなだらかさは135mmの圧勝。Takumar 55mmは二重ボケになってます。

と、まぁじっくり比べると135mmが綺麗なんでしょうけど、パッと見は85mmが好きなんですよね。

Takumar 55mmはオールドレンズとしては最安値に近いと思いますが、善戦してる感じ。
綺麗なボケではないけど、そもそもこのレンズの魅力は虹色のフレアやゴーストですからね。

それぞれ撮りたい雰囲気や、被写体や場所で選ぶのがいいかと思います。

ふたたびMINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]の作例


絞りF4.5/露出補正 +1


絞りF4.5/露出補正 +1


絞りF4.5/露出補正 +1 


絞りF4.5/露出補正 +1  2/3

絞りF4.5/露出補正 +1

全体の描写ですが、RAW現像をせずに無調整だと、コントラストも弱くて、彩度もやや低いです。
最近はツァイス製のこってり系レンズをよく使うため、余計にその差を感じているだけかな。実際は平均的かもしれませんが。

あとは、135mmの焦点距離なので、マニュアルフォーカスはちょっと辛いです。
開放で撮影すると被写界深度がかなり浅いので、ピントリングの微調整に時間がかかりますね。

ある程度ピントを合わせたら、自分の身体を前後に動かす方が早いかもしれません。

それは焦点距離の問題なので仕方ないですが、欠点は重たいこと。800gくらいあります。ピントリングを微調整中にプルプルしてきます(笑)。女性にはちょっと辛いかもしれませんね。

続いてフィルムカメラでの描写を見ていきましょう。

MINOLTA α-9(フィルムカメラ)で撮影した作例

Kodak PORTRA 400での作例

KodakのPORTRA 400白〜黒のグラデーションが滑らかなフィルム。白飛びや黒潰れもなく、かなり粘りがありますね。ただの白や黒にはならないです。

若干の色かぶりもありますが、柔らな描写で、ザラつきも控えめ。優秀なフィルムです。


感度設定 200/絞り F4.5

望遠なので被写界深度は浅くなります。開放だとピントが合うのは桜の花びら一枚程度。


感度設定 200/絞り F4.5

フィルムでも変わらず、ボケ味はいいですね。


感度設定 400/絞り F4.5

あえての開放で撮影。手前全体がボケているので、少し不思議な一枚になりました。


感度設定 200/絞り F4.5


感度設定 400/絞り F4.5

桜の花びらなど、小さいものへのピント合わせはやっぱり辛いですね。

感度設定 200/絞り F4.5

でも、いいなーこのボケ味。先にミラーレス一眼で撮影したのですが、フィルムカメラでも撮影してみて、少しずつ気に入ってきました。
このボケ味を堪能したいのなら、背景は空じゃない方がいいですね。

感度設定 400/絞り F4.5

被写体との距離を変えながら撮影してみました。緩やかなボケ味ですね。

感度設定 400/絞り F4.5

これくらい寄れば背景もかなりボケますね。被写体が浮かび上がります。

感度設定 200/絞り F4.5

ぐっと寄ってみました。さすが、絶妙なボケ味ですね。全く嫌味がありません。これにハマると他のレンズじゃ物足りなくなるかもしれません。

ちなみに、「MINOLTA α-9」はファインダーが見やすいので、ほぼピントを外すことなく撮影ができました。
ミラーレス一眼の「SONY α7」では拡大してピントを合わせていましたが、それでも「MINOLTA α-9」の方が合わせやすかったです。

ファインダーの見やすさってあまり意識したことなかったんですが、実際に出来上がる写真は違いました。

感度設定 200/絞り F4.5

同じ場所で晴れた日に撮影。ボケ部分だけを見てると、名玉と言われる意味がだんだん分かってきますね。

ただ、MINOLTA α-9も重たいカメラなので、そこにレンズも重みも加わって、なかなか辛いです。

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「MINOLTA AF 20mm F2.8」での撮り比べ作例

MINOLTA AF 20mm F2.8

続いてはミノルタの超広角レンズ、MINOLTA AF 20mm F2.8の作例です。

焦点距離が20mmとかなりの広角。普段使いには少し難しいので、これ1本というわけにはいきませんが、サブレンズとして持っていきたい一本ですね。

MINOLTA AF 20mm F2.8は、前回の「MINOLTA AF 85mm F1.4」と同様、オートフォーカスなので、その点は使いやすいです。

SONY α7(ミラーレス一眼カメラ)で撮影

MINOLTA AF 20mm F2.8はAFレンズですが、今回もミラーレス一眼カメラの作例については、K&F Conceptのマウントアダプターを用いてマニュアルフォーカスで撮影しています。

広角レンズを味わう


絞りF2.8

広角レンズはローアングルで撮影すると迫力が出ます。開放の絞り値 F2.8で撮影しましたが、しっかりとボケます。若干の周辺光量落ちがありますね(写真の四隅が暗くなること)。


絞りF8

絞りをF8にして撮影。しっかり写り過ぎたかな、と。開放での撮影の方がいいですね。


絞りF2.8/露出補正 −1 

次は色温度を変えて撮影してみました。


絞りF2.8/露出補正 −1 

モノクロモードで撮影。MINOLTA AF 20mm F2.8のような超広角レンズは格好良く撮れますね!

絞りF2.8/露出補正 +1 

散髪風景を真上から撮影。周辺につれて広角レンズ特有の歪みが出ています。


絞りF2.8/露出補正 −1 

丸テーブルの下に潜り込んで撮影。20mmはかなり広角なので、いつもとは撮り方がガラッと変わります。
大胆に日常を切り取るのもオススメ。

MINOLTA α-9 (フィルムカメラ)で撮影した作例

MINOLTA AF 20mm F2.8の作例では2種類のフィルムを使用しました。

FUJIFILM 業務用(記録用)フィルム100での作例

他のコラムの作例でも使いまくっているフィルム。安価だけど安定した発色、粒状性もよく、価格の割には高品質なフィルムです。
個性は少ないので、良くも悪くもカメラやレンズの特徴が出やすいです。

※2022年時点で、すでに製造終了しています。FUJICOLOR 100が代替・同等品です。


感度設定 100/絞り F5.6

おー、いきなり好きな感じ。MINOLTAレンズの撮り比べの中では、一番コントラストも強く、鮮やかですね。
広角レンズでコントラスト弱め、彩度が低め、とかだと微妙なレンズになりますからね(僕の中で)。

MINOLTA AF 20mm F2.8、フィルムのほうが映えるレンズかも?


感度設定 100/絞り F8

20mmということで、ハイアングルの撮影だと歪み・丸みが出ますね。


感度設定 100/絞り F5.6


感度設定 100/絞り F5.6

広角らしい、奥行き。MINOLTA AF 20mm F2.8の描写は硬すぎることも、柔らかすぎることもないですね。3本試した中で、その点は一番バランスがいいです。


感度設定 100/絞り F4.5


感度設定 100/絞り F4.5

MINOLTA AF 20mm F2.8、本当にフィルムらしさを一番感じたレンズです。


感度設定 100/絞り F2.8


感度設定 100/絞り F2.8

テーブルフォトには広角過ぎますね。


感度設定 100/絞り F4.5


感度設定 100/絞り F8

逆光で撮影。色の乗りもそこまで落ちません。中心にゴーストが出ていますが、これも嫌な感じではないです。

dubblefilm Moonstruck(APOLO)での作例

着色されたエフェクトフィルム。dubblefilmはシリーズ化されていて、中でもMoonStruckはノスタルジックな色で、フィルムらしさをより強調できます(* 2019年の春に「apolo」に名前が変わりました)。


感度設定 200/絞り F5.6

MINOLTA AF 20mm F2.8、基本的に広角レンズが好きな僕としては本当に「欲しい!」と感じました。
特にフィルムカメラ+広角レンズが大好きで。ほんと、個人的な意見ですけどね。


感度設定 200/絞り F2.8

普段、50mmの標準レンズを使っている方からすると、切り取り方は難しいですが、慣れてくると一番面白味があります。


感度設定 200/絞り F4.5


感度設定 200/絞り F3.2


感度設定 200/絞り F4.5

同じ場所でもいろんな撮り方が出来ます。望遠よりも見せ方のレパートリーが実は多いです。


感度設定 200/絞り F5.6

躍動感も出ます。これぞ超広角レンズの醍醐味ですね。


感度設定 200/絞り F4.5

大阪のディープな撮影スポットです。
ここは本当に人が面白いです。意外と気さくな方も多いし、何よりキャラの濃さがたまりません。

普通に話しかけられますし、カメラに向かっていきなりピースしてくるおっちゃんもいます。関西人以外の女性が一人で歩くには少し抵抗はあるかと思いますけどね(笑)。

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MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]&MINOLTA AF 20mm F2.8 簡単な解説

ここからは、今回作例の撮影に使用したレンズ、MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]MINOLTA AF 20mm F2.8について、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが簡単に解説します。

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]

マウント ミノルタAマウント
構成 6群8枚
メーカー MINOLTA→SONY
発売年 1998年
中古価格 80,000~90,000円
新品時価格 192,500円(SONY引き継ぎ後、終売時価格)

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]は、ミノルタが開発したAマウント(ミノルタα用マウント)のレンズです。
しかしながら、ミノルタAマウント用レンズとしても、そして各社の交換レンズのなかで比較しても、非常に際立った特徴を持つレンズであることが知られています。

というのが、このレンズは「ボケ味」を行き着くところまで突き詰めた製品なのです。

具体的には、レンズ名にもある「STF」というテクノロジーが用いられています。

STF(SMOOTH TRANS FOCUS)

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]

STFは「SMOOTH TRANS FOCUS」の略(頭字語)です。

この技術は、光学的なフィルターによってなだらかなボケ像≒美しいボケ像を得るというものです。

当レンズの中玉には、NDフィルターのような役割を持つ凹レンズと、それと対になる凸レンズのエレメントが貼り合わせで用いられています
このエレメントのことをミノルタは「アポダイゼーションエレメント」と呼んでいます。

ポイントはこの、NDフィルターのように光を減衰させる凹レンズです。

凹レンズなので、

  • 周辺部は分厚い=NDフィルター的な効果が強く働く
  • 中央部は薄い=ほぼ素通しで、NDフィルター的効果は働かない

ということになります。

これにより得られる効果を非常にざっくりと述べると、たとえば円形のボケ像があったときに「中央部は強くボケる」「周辺部は弱くボケる」写りをするようになります。

これはあくまでも、人間が心地よく感じるボケという意味です。
写真の中にボケ像があるときに、ボケている被写体の全体が均一にボケるよりも、ボケている被写体が具体的には何なのかがわかったうえでボケているほうが、広く「よいボケ味」と感じられやすいようです。
中央部から周辺部へなだらかにボケの強さを変化させることで、そのような「心地よいボケ」を得ることができるのです。

STFの弱点

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]

しかしながら、STFには弱点もあります。

レンズが暗くなる

まず、レンズが暗くなるということ。

このレンズの名称、MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]には、F値のF2.8のほかにT4.5という表記があります。
カメラに取り付けて撮影するとき、実際の明るさとなるのはT4.5のほうです。

一般のカメラ用レンズでいうとF4.5の明るさに相当します。
このように、F値よりも数字が大きい≒暗いのは、もちろん、アポダイゼーションエレメントにNDフィルター的な働きがあり、フィルムやイメージセンサーに取り込む光量が減少しているためです。

F値とT値

なお、このF値とT値の違いですが――

広くレンズの明るさを表すのに用いられている「F値」は、レンズの焦点距離を有効口径で割った値です。
多くの写真レンズでは、この値で実用上問題なく「いわゆるレンズの明るさ」を表すことができます。

いっぽう「T値」は、レンズを通過した光の量を考慮した値です。
このMINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]のように光量が減衰する設計だったり、コーティングが未発達な時代にレンズ表面で光が反射するなど、フィルムやイメージセンサーの面に届く光量が、F値で表される量とは異なる場合があります。
そのようなとき、実質的な明るさを「T値」で表すのです。

本レンズはまさにそのような特徴があるため、F値とT値が併記されています。

ボケ量はF2.8のもの

ただし、被写界深度≒どれくらいボケるかということはF値(レンズの口径比)で決まります。

そのため、MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]のボケは、あくまでも開放値F2.8のレンズのそれとなります。

このレンズはその面でも特殊で、それぞれ、以下のように対応しています。

・被写界深度:F値
・露出:T値

多くの写真レンズでは、F値から被写界深度と露出を割り出すことができますが、このレンズは違います。
これもまた、MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]のマニアックさのひとつだといえるでしょう。

重い

雨樹さんも書いているように、このレンズ、非常に重いです。

マニュアルフォーカスのみ(AF不可)

また、本レンズはミノルタ純正のAマウントレンズのなかで唯一、マニュアルフォーカスのみで、オートフォーカスはできません。

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]↑AFカプラ部の形状が通常のAマウントレンズと異なる

これは、アポダイゼーションエレメントが使用されているため技術的に困難であったようです。

ただし、後年に発売された同種のレンズでは、直系の後継といえるSONY FE 100mm F2.8 STF GM OSS[T5.6]をはじめ、オートフォーカス可能なものが複数存在しています。

STF 135mmだけなら社外品マウントアダプターでもOK

ちなみに。

このSTF 135mmに限っては、マニュアルフォーカスのレンズのため、社外品のマウントアダプターでも十分にその魅力を引き出すことができるといえるでしょう。

↑の商品リンクはSONY Eマウント用ですが、NikonやCanonのミラーレス機でも同様にSTFレンズを味わうことができますね。

MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]を中古で買うなら

さて、このMINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]は、このような特殊なレンズにありがちなことですが、新品の販売時にはマニアックすぎてあまり売れず、むしろ中古になってから人気を博して価格が上がったたぐいのレンズです。
そのため、中古価格もミノルタAマウントレンズとしては比較的高めの値付けとなっています。

それでも、中古レンズ、オールドレンズというもの全体からみれば、このレンズ本来の価値よりも価格が安すぎるくらい
しかも中古価格は、同種の技術を用いている後年の他社製品と同程度か、それよりも安いです。

このレンズを使っていると、わかっている人には「おっ」と注目されること間違いなしの一味違うおすすめレンズ。

1990年代日本の光学技術の精髄をぜひ体感してみませんか?

本項の参考文献

佐藤成夫 『佐藤評論 Vol.8 STFとそのフォロワーたち』

本項では、佐藤成夫 『佐藤評論 Vol.8 STFとそのフォロワーたち』2019年(コミックマーケット97)、サークル 新日本現代光画 刊(booth 販売ページ)を参考文献としています。

本書では、このMINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]というレンズの成立、そしてSTFと同様のテクノロジーを用いたフォロワーといえるレンズについて詳細に論じています。

ミノルタα愛好家、そしてレンズの「ボケ」を愛する方にとって必読の一冊です。

MINOLTA AF 20mm F2.8

MINOLTA AF 20mm F2.8

マウント ミノルタAマウント
構成 9群10枚
メーカー MINOLTA→SONY
新品時価格 77,000円(SONY引き継ぎ後、終売時価格)

本記事の後半で作例を掲載したMINOLTA AF 20mm F2.8は、ミノルタAマウントの超広角レンズです。
一眼レフ用の超広角レンズということもあり、作例を見るとわかるように樽型の歪曲と周辺光量落ちがありますが、20mmという焦点距離を考えるとそれも味。

MINOLTA AF 20mm F2.8のレンズ構成はお手本のようなレトロフォーカス型で、ミラーレス一眼カメラが全盛となったいま、そのような特徴も一眼レフ用レンズならではの味と受け取られるようになっていくかもしれませんね。

中古価格が比較的廉価なこともあり、ミノルタαのシステムを組みたい方にとっては、MINOLTA AF 20mm F2.8は1本持っていても損のない超広角レンズだといえるでしょう。

当記事で使用したミラーレス一眼カメラ

今回もミラーレスでの作例撮影時には、SONY 初代α7を使用しています。

SONYのミラーレス機でオールドレンズを楽しむなら――

中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。
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新品でより高性能なフルサイズミラーレス機が欲しい方にはSONY α7 IIIα7 IVがおすすめです。
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まとめ


感度設定 200/絞り F3.2

前回の記事、今回の記事と、フィルムカメラの「MINOLTA α-9」とミラーレス一眼カメラで、3本のレンズを撮り比べてみました。

「MINOLTA α-9」はとても撮影がしやすいです。オートフォーカスの精度も高く、ファインダーも見やすい。そしてシャッタースピードの最速が1/12000秒。開放でバンバン撮影ができます。

レンズも全て秀逸。世間的には「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」ですが、個人的には「MINOLTA AF 85mm F1.4」のとろける系ボケが好きでした。
上記の二つはポートレートに、「MINOLTA AF 20mm F2.8」は風景写真を撮る方にオススメですね。

 

ということで、3種のレンズで撮り比べてみた、(個人的)好きな組み合わせランキングは以下の通りです。一位は同率です。

1.「MINOLTA α-9」+「MINOLTA AF 85mm F1.4」
2.「MINOLTA α-9」+「MINOLTA AF 20mm F2.8」
3.「ミラーレス一眼」+「MINOLTA AF 85mm F1.4」
4.「ミラーレス一眼」+「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」
5.「MINOLTA α-9」+「MINOLTA STF 135mm F2.8 [T4.5]」
6.「ミラーレス一眼」+「MINOLTA AF 20mm F2.8」

STF 135mmの神レンズをこんな扱いにしてしまいすいません。高画質でボケの滑らかさは一位なんですけどね。実質の開放がF4.5で135mmということで、晴れた日じゃないと、暗くて使いにくいというのもあったので。

それも分かっておきながら、ボケの美しさに機能を全振りした潔さは讃えたいです(笑)。

ミノルタおすすめ中古レンズ13選!緑のロッコールレンズを使ってみませんか?

 

最後に私事ですが、2019年5月23〜26日は関東にて、オールドレンズの基礎やフィルム別の発色の違いなどを紹介するワークショップを開催いたします。
これからフィルムカメラをはじめたい方、もっとフィルムの楽しさを知りたい方はぜひチェックしてみてくださいね。

次回の記事はこちら

次回は近年人気上昇中のCanon FDレンズより、NEW FD 50mm F1.4をご紹介します!

[オールドレンズ撮り比べ14] Canon New F-1 / New FD 50mm F1.4の実力をまだあなたは知らない(作例あり)

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著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
2024年9月8日ラジオ番組【編集長 稲垣吾郎】(文化放送)に出演するなど、精力的に活躍中。 その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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