【撮影基礎講座7】露出計の種類と測光方法。誰でもできる光の操り方
今回は、カメラに組み込まれた露出計の使い方と種類について解説していきます。
現在のデジタルカメラやスマートフォン。
そしてフィルムカメラには「露出計」という道具が組み込まれています。
露出計とは「光の量」「明るさ」を測る道具のこと。
露出計を使うと簡単に適正露出を求めることができるのです。
ただし露出計の光の測り方には、種類によって癖があります。
その癖を把握することで、より適正露出に近い、きれいな写真を撮ることができるのです。
目次
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露出計とは
露出計とは、光の明るさを求める道具です。
明るい場所と暗い場所
写真を撮るとき、周りが明るい場合も、暗い場合もありますよね。
写真を撮るとき、カメラの中のイメージセンサーやフィルムに適切な量の光を取り込む必要があります。
そのため、周りが明るいときと暗いときでは、カメラの設定を変えないといけません。
でも、
「具体的にどれくらいの量の光を取り込むのか」
「カメラをどんな設定にすればよいのか」
普通はわからないですよね。
そこで、ちょうどいい光の量がどれくらいか、ということを「露出計」というメーターで計測するのです。
露出計は、いまではほとんどのカメラに組み込まれています。
この記事では次の節から、そんな露出計にはどんなものがあるのか、順番に紹介します。
露出計の種類1:光を測る範囲
では早速、露出計の種類について見ていきましょう。
まず、いま広く使われているデジタルカメラや、フィルム一眼レフカメラなどを使いこなすために知っておきたいこと。
それが「光を測る範囲」です。
カメラ内蔵露出計の測光範囲
フィルム一眼レフカメラや現代のデジタルカメラに内蔵されているTTL露出計にはいくつかの種類があります。
具体的には、ファインダーの中の「どの範囲」を計測するのか、「どのようにして」適正露出を求めるのか、という違いです。
代表的なものとしては……
分割測光
※機種によりモード名が異なり、この機種では「マルチ」と表示されている
分割測光とは、画面の中をいくつかの場所に分割してそれぞれ光の量を測り、カメラ内蔵の電子回路やコンピューターが適正露出を求める方式です。
分割測光は現代のデジタルカメラやミラーレス一眼カメラ、そして1990年代の上級一眼レフカメラには当たり前のように搭載されている機能です。
最新の機種では単純に露出を求めるだけでなく、カメラが内蔵したコンピュータの進歩により被写体の色などまで判断するようになりました。
上の解説画像では例として画面を5分割にしていますが、現代のデジタルカメラでは、画面全体を100以上に分割して、コンピューターで露出を算出することも当たり前に行われています。
古いカメラでは逆光や白っぽい・黒っぽい被写体では露出オーバー・露出アンダーになることが多くありましたが、現代のカメラでは、自動露出で撮影した場合でも、そのような失敗は大幅に減少しています。
基本的には、デジタルカメラの露出計モードはこの「分割測光」にしておけばOKです。
中央重点測光
中央重点測光とは、カメラのファインダーの中の、中央部付近を広めに計測する方式です。
だいたいの場面で適正露出を導ける、非常に無難な方式なので、1980年代まで非常に多くの一眼レフカメラに採用されしました。
現代のデジタルカメラでも、フィルム時代に中央重点測光の癖に慣れた人が違和感なく使えるように、このモードが搭載されていることが多いです。
基本的には多くの撮影シーンで、この方式でも適正露出を得ることができます。
ただし太陽などの強い光がカメラの前にある「逆光」の状態や、空や雪などコントラストがとても強い被写体では、露出計の指し示す値が、露出オーバーや露出アンダーになってしまいます。
中央重点測光のカメラの例:
ニコンF3、オリンパスOM-1、Canon AE-1など非常に多数
平均測光
平均測光とは、ファインダーで見えている範囲全体の光を平均して計測する方式です。
中央重点測光と同様、逆光やコントラストの強い被写体では、露出オーバーや露出アンダーになりやすい難点があります。
とくに、空が画面に入っていると、空の明るさに引っ張られて露出アンダーになってしまうことが多いです。
※古い形式で、誤差が大きいため現代のデジタルカメラには通常搭載されていません。
平均測光のカメラの例:
ペンタックスSPなど
スポット測光
スポット測光とは、ファインダーの中央部の非常に狭い範囲一点だけの光を測る方式です。
メインとなる被写体が明確な場合に、非常に有効です。
この方式を使うと、メインとなる被写体の明るさだけを的確に測って、適正露出を得ることができます。
また、画面の中のいろいろな部分の明るさを測って、撮影する人が自分で適正露出を求めることもできます。
上級者向けの、小回りの利く方式ともいえるでしょう。
スポット測光のカメラの例:
オリンパスOM-2など
このスポット測光の進化版として、オリンパスのOM-3とOM-4には「マルチスポット測光」という、画面の中の複数箇所の光の量を測ることで、適正露出をコンピューターがはじき出す方式も搭載されています。
露出計の種類が存在する理由
露出計は、最初は平均測光や中央重点測光からはじまり、スポット測光、そして分割測光、評価測光へと進歩してきました。
これは、中央重点測光や平均測光の項目でも書いたように、露出計には適正露出を導くのが原理的に苦手な被写体があるためです。
カメラ内蔵の露出計は色を判別できない
カメラに内蔵された露出計は、
明るい被写体と白い被写体
暗い被写体と黒い被写体
を判別することができません。
そのため、白いものを撮影すると、カメラが「明るすぎる」と勘違いして写真が暗く(露出アンダー)なってしまいます。
逆に黒いものを撮ると、「暗すぎる」と勘違いして、写真が明るすぎるように(露出オーバー)なってしまいます。
では、なぜそうなってしまうのでしょうか?
カメラ内蔵の露出計は「反射光式露出計」
これは、カメラ内蔵の露出計が、被写体に反射した光を計測しているため。
そのような露出計を「反射光式露出計」といいます。
白いものは、光をより多く反射するので白く見えます。
逆に黒いものは、光を少ししか反射しないので黒く見えます。
このように、物体には、どれだけ光を反射するのかという「反射率」という値があります。
白いものから黒いものまで反射率はさまざま。
そこで、カメラ内蔵の露出計はどのメーカーでも、「反射率18%のグレー」を基準とするように統一しました。
18%のグレーの基準となる板(18%標準反射板)
しかし、当然ながら、すべての被写体が「反射率18%」であるはずがありません。
そのため基本的に、この反射率から離れれば離れるほど、露出がずれてしまうのです。
ちなみに反射率18%が基準となったのは、人間の肌の反射率ととても近いためだといわれています。
色に左右されない「入射光式露出計」もある
いっぽう、色に左右されない露出計もあります。
それが「入射光式露出計」。
これは、太陽光や電球の光のような「被写体を照らす光の強さ」を計測する露出計です。
ただし、入射光式露出計には「被写体がある場所に行かないと測れない」という致命的な欠点があります。
そのため、カメラに内蔵することはできないのです。
入射光式露出計は、プロのカメラマンの道具として、いまでも使われています。
入射光式露出計について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
TTL露出計と外光式露出計
ところで、ここまで解説してきた「カメラ内蔵の反射式露出計」には、さらに2つの種類があります。
「レンズを通った光を測る」のか「レンズ以外のところにあるセンサーで光を測る」のかという違いです。
レンズを通った光を測るTTL露出計
現代のデジタルカメラやスマートフォン、そしてフィルムカメラの時代の多くの一眼レフカメラで採用されているのが「TTL露出計」です。
TTL露出計とは、撮影するのに使うレンズを通った光をそのまま計測する方式。
TTLとは「Through The Lens」の略で、その名の通り、レンズを通った、という意味です。
実際に写真を撮影するのと同じ光を計測できるので、より高精度に露出を求めることが可能です。
外光式露出計
外光式露出計は、撮影に使うレンズ以外のところで光を測る露出計です。
具体的には、以下の写真のようにカメラ本体に光の量を測るための受光素子(光を感じるセンサー)が付いており、そこで光を測ります。
現代のデジタルカメラには存在しない方式です。
主に、1960〜1990年代のフィルムコンパクトカメラや、1960年代の一眼レフカメラで用いられました。
精度の面ではTTL露出計には劣ります。
フィルム一眼レフ特有の分類:開放測光と絞り込み測光
1960年代のフィルム一眼レフカメラを使う場合、TTL測光にはさらに2つの種類があります。
開放測光と絞り込み測光です。
開放測光
開放測光とは、一眼レフカメラで撮影するときに、レンズの絞りを実際に絞り込んで、ファインダーを暗くしなくても、露出計を動作させることができる方式。
下の画像のように、レンズ内部の「絞り」を開いた状態のまま、「絞りを絞り込んだ状態」の露出をシミュレートすることができる露出計です。
基本的に現代のデジタル一眼レフカメラはすべてこの開放測光です。
一眼レフカメラでは、1950年代の初期のものを除き、レンズには「自動絞り」という機構が備わっています。
これは、撮影するときだけ絞りを絞り込み、それ以外のときは絞りが開放にするというもの。
一眼レフカメラでは、撮影するのと同じレンズでファインダーを見るので、絞りを絞り込んで画面が暗くならないように、このような機構が考案されました。
ですが、自動絞りの一眼レフカメラでは、設定した絞りの値をカメラに伝達するには、特別な機構が必要となりました。
開放測光は、そのような絞り値伝達機構がある種類(現代はすべて装備)の一眼レフカメラでないと行えない方式なのです。
絞り込み測光
絞り込み測光とは、露出計を使うときに、「実際に撮影するときの絞り」に絞り込まないと光を測ることができない方式。
構造的に「絞りを絞り込んだ状態の露出」をシミュレートできないメーカーが選んだ方式で、下の画像のような、絞りを実際に絞り込んだ状態で光を計測します。
絞り込み測光の大きな難点として、一眼レフカメラではファインダーの像をレンズを通った光で光学的に見ているため、絞りを絞り込むとファインダーの見え方も暗くなってしまうということがあります。
画面が暗いと、フレーミングやピント合わせが困難になります。
絞り込み測光は1960年代の一眼レフカメラ、たとえばペンタックスSPやキヤノンFTなどの機種で用いられました。
ペンタックスSP
不便な方式なのになぜ採用したのかというと、上記のようなカメラでは、絞りで設定した値をカメラに伝えることが構造的に難しかったため。
一眼レフカメラでは完全に廃れた方式で、1970年代以降、ほとんどのカメラメーカーは、ボディとレンズを接続するマウント部分の規格を変更し、上で解説した開放測光に移行しています。
ミラーレス一眼カメラは絞り込み測光
ただし、現代のカメラのなかでもミラーレス一眼カメラは絞り込み測光です。
ミラーレス一眼カメラでは、ファインダーや液晶画面で電子的にファインダーを表示しています。
そのため、絞りを絞り込んでも、実際に撮影する写真と同様、画面が暗くなることはないのです。
これは、マウントアダプターを使ってオールドレンズで撮影するとき、非常にありがたい特徴となります。
すなわち、どんなレンズを付けても(一眼レフカメラ用以外のレンズでも)明るい画面で撮影が可能。
そのため、ライカをはじめとする古い「レンジファインダーカメラ」用のレンズも自由自在に使えるのです。
露出計の種類
最後に、これまで解説してきた露出計の種類を図にまとめてみました。
露出計の種類の組み合わせ
ここまで解説してきた露出計の種類は、「光を測る範囲」「どのような光を測るか」「光を測るためのカメラの機構」など、それぞれ別々の分類です。
光を測る範囲
・分割測光
・中央重点測光
・平均測光
・スポット測光
どのような光を測るか
・反射式露出計
・入射光式露出計
光を測るためのカメラの機構
・開放測光
・絞り込み測光
そのため、たとえば
「中央重点測光」と「反射光式露出計」と「開放測光」というのは、それぞれ並び立つ概念だといえるのです。
ただし、存在しない組み合わせというものもあります。
どのような組み合わせがあるのかを図に表すと、このようになります。
それぞれどんな役割があるのかわかりにくい露出計ですが、こうして見るとどんな概念なのかがよくわかるのではないでしょうか。
露出計の特徴を理解してより幅広い撮影をしてみよう
このように露出計には光の測り方の種類がいくつか存在します。
基本的には、適正露出を求めるには露出計の値に沿って撮影すればOK。
ですが、平均測光や中央重点測光といった昔からある方式では、逆光や黒っぽい被写体・白っぽい被写体では適正露出にならないことも多いです。
そんなときには、
マニュアル撮影では絞りやシャッタースピードを変える
自動露出で撮影するには露出補正やAEロックを活用する
ことで補正をかけて適正露出の写真になるようにするとよいでしょう。
もちろんこれは、最新のカメラでも同様。
分割測光や評価測光が進歩していても、完全にコンピューターで適正露出を求めきれないことも多いです。
絞り、シャッター速度、露出補正。
そして露出計の特徴と使い方。
これらを覚えておくことで、より簡単に美しい写真を撮ることができますよ。
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