[オールドレンズ撮り比べ8] Nikon Ai NIKKOR 50mm F1.8Sであなたの撮りたい世界を素直に表現してみませんか?
こんにちは、雨樹一期です。今回はフィルムカメラとミラーレス一眼カメラの撮り比べとなります。前回のOLYMPUS(オリンパス) ZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2のような販売当時からの高級レンズでこそありませんが、比較的手に入れやすい価格オールドレンズNikon(ニコン) Ai NIKKOR 50mm F1.8Sを使用してみました。
人気がめっちゃあるレンズでもありませんが(笑)、親から譲り受けたニコンのフィルムカメラに付いている可能性もありますよね。
ということで、このレンズでどれくらい撮れるのかというのをご参考にして頂ければ嬉しいです。フィルムカメラはNikon(ニコン) F3を使いました。
ミラーレス一眼カメラはいつものように、中古価格が手ごろなSONY(ソニー) α7です。
また、今回は4種類のフィルムを使ってみたので、作例が盛りだくさんの内容となっています。結論を先にいうと「普通によく撮れるやん」です。
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Nikon F3の魅力
Nikon F3は生産台数も多く、手に入れやすいフィルム一眼レフカメラです。頑丈であることでも有名です。
機能面ですが、絞り優先で撮影出来るのが便利ですね。マニュアルでの撮影も可能なので、初心者の方ならはじめはオートで慣れて、マニュアルを使っていけば勉強にもなります。
フルマニュアルのフィルムカメラしか持っていない方にとっても、「絞りだけ自分で決めれば撮れる」というのはとにかく楽チンです。
僕は自前のデジタル一眼もフィルム一眼レフもニコンなのですが、ニコンの良さは真面目なところ。一途に作り続けているので間違い無いですよね。
操作も単純明快なので、初心者の方でも安心です。
逆にいうと遊び心が少ないので、オールドレンズを含めたヘンテコ描写を楽しみたい方には不向きかもしれませんね。
さらに逆にいうと、LOMO LC-Aなど変わった写りをするカメラしか持っていない方にはオススメになります。
他はオーソドックスというか、扱いは簡単ですね。シャッタースピードの最速が1/2000というのも魅力です。
外観に関しては個人的には初期のFやFEあたりが好きだけど、頑丈なのはF3になります。
*注意点
シャッタースピードはファインダーの上にデジタル表示されるのですが、フィルムのカウンターが1になるまでは、シャッタースピードが1/80に固定されています。
説明書なく手に入れると、「故障かな?」って思ってしまいますが数枚だけ空シャッターを押せば大丈夫です。
SONY α7 + Ai NIKKOR 50mm F1.8Sの作例(ミラーレス一眼カメラ)
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは上の画像のようなレンズです。
ISO 100/絞り F1.8
まずはミラーレス一眼カメラの作例から。絞り値を変えての撮り比べです。
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは明るさを無理していないレンズですが、開放のF1.8では少し滲みも出ます。
ISO 100/絞り F8
でもF8まで絞りとカリッとします。さすがの性能ですね。
ミラーレス一眼カメラの高解像度でもアラは目立ちません。
ISO 100/絞り F1.8
被写体との距離が近いほど背景もボケるので、距離を変えながら撮り比べてみました。
ISO 100/絞り F1.8
ISO 100/絞り F1.8
ISO 100/絞り F1.8
最後は接写フィルターを使用してみました。
確認しながら何枚も撮影できるミラーレス一眼カメラならではの撮り方です。
(でもフィルムカメラでもこの撮り方は楽しめます)
前回の撮り比べで使ったOLYMPUS(オリンパス) ZUIKO AUTO-MACRO 90mmと比べると性能的には落ちますが、ボケ味に嫌味もなくいい感じですね。
ISO 100/絞り F1.8
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは普通によく撮れるレンズです。ミラーレス一眼カメラでも使えますし、とりあえず手に入れやすい価格でフィルム一眼レフをはじめたい、と考えると充分なボケと描写ではないでしょうか。
Nikon F3 + Ai-s NIKKOR 50mm F1.8の作例(フィルムカメラ)
今回は作例にフィルムを数本使ったので、色の違いも楽しんで頂けるかなと思います。
標準レンズのF1.4よりも安価なF1.8のレンズではありますが、フィルム一眼レフでも充分活躍してくれるなと感じました。
どのフィルムの作例も、それぞれなかなかの撮れ高でした。
Agfa Vista plus200で撮影した作例
最初に作例で使用するAgfa Vista Plus(アグファ ビスタ プラス)ですが、すでに生産終了が決まっています(2018年秋の段階ではまだ手に入りました)。
そこそこ安価で、少し黄色かぶりをするのが特徴。昔はヨーロッパ製でしたが、アグファ撤退後は日本製になりました。
富士が作ってるという噂を聞いたこともあります。確かにヨーロッパ時代よりも性能は上がった気がします。さらに生産終了を考えると、噂は本当かもしれませんね。
僕はやや不安定なヨーロッパ製が好きでしたが、レトロな場所との相性のいいフィルムです。少し変化が欲しいなって時にも使えますね。
ISO 200/絞り F8
これまでいろんなレンズで作例を撮影してきましたが、F5.6くらいまで絞るとたいていのレンズはカリッと締まりのある描写になります。このAi NIKKOR 50mm F1.8Sでもそうです。
F1.4〜F2.8くらいにそれぞれの個性が出やすいのかもしれません。
ISO 200/絞り F2.8
なんてことのない一枚もフィルムだと空気感が出ますね。
ISO 200/絞り F2.8
いつもこの軽トラで寝ている猫ちゃん。動かれるとフィルムでピントを合わせるのは厳しい(笑)。
ISO 200/絞り F2.8
このフィルムでのお気に入りの一枚。人馴れしてなくてちょっとビビリの猫ちゃん。近寄ってくる人を気にしていますね。
猫撮りの基本は気配を消すことです(笑)。正面から近づくと逃げて行くので、横を素通りしてそぉーっと回り込んで撮影しました。
FUJIFILM PRO400Hで撮影した作例
当コラムではかなり出番が多いフィルムです。低彩度で柔らかい描写が特徴。明るく撮るほどゆるふわ系になります。
今回はその特徴があまり強くは出なかったので、レンズとの相性もありそうですね。
前回の撮り比べ記事で作例に使ったOLYMPUS(オリンパス) ZUIKO AUTO-MACRO 90mmと「PRO400H」の相性は抜群でした。
ISO 400/絞り F1.8/露出補正+2
11月に開催した横浜ワークショップが雨の撮影会になったのですが(笑)、雨なら雨なりの、雨だからこその写真が撮れますよね。
わざわざ雨の中を撮影に行こうとは思わないかもしれませんが、僕は好きです。
Nikon F3、やっぱり絞り優先で撮れるのがいいですね。雨の中フルマニュアルの撮影は大変ですから
ISO 400/絞り F1.8/露出補正+2
開放でのボケですが、大きな癖もなくて使いやすいです。実際にフィルムカメラではF1.4で撮ることって頻繁にはないので、F1.8でも問題なし。
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sには欠点らしい欠点が見当たりません。
ISO 400/絞り F4/露出補正+1
欲を言えば、いまあえて使うのなら、何かしらのオールドレンズらしい癖や個性が欲しいかな。
ISO 400/絞り F4/露出補正+2
逆に言えば、Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは使い手の考えていることを素直に反映してくれるレンズだともいえます。
撮りたい世界をしっかりと表現してくれるレンズです。
Retrochrome 320で撮影した作例
Retrochrome 320は、海外のFilm photography projectで販売されているフィルムです。詰め替えされていて、中身はコダックの期限切れリバーサルフィルムです。
期限切れ特有のザラ付きがあり、黄色がかなり強く出て、まるで昭和に撮った写真のようになります。
いいですねー。場所的には都会よりも田舎。古い駅や建物との相性は抜群です。
ISO 320/絞り F8
ということで、横浜鶴見線の駅巡りで使用しました。この駅の夕暮れ時はたまらんです。
「PRO400H」とは違って、OLYMPUS(オリンパス) ZUIKO AUTO-MACRO 90mmよりも、今回のAi NIKKOR 50mm F1.8Sの方が相性が良いですね。
ISO 320/絞り F8
ここまでの作例でもわかるように、カメラやレンズはフィルムとの相性もありますね。
めちゃくちゃ綺麗に撮れないくらいのレンズが合うフィルムです(笑)。
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sだと写りすぎなくらいかも。
ISO 320/絞り F5.6/露出補正+1
逆光だとゴーストも出やすいです。絞りのリングが反映されてますね。同じゴーストならPENTAX(ペンタックス) Super takumar 55mm f1.8が僕好みです。
ISO 320/絞り F2.8/露出補正+2
フレアはいい感じですね。
ゴーストとフレアの違いですが、ゴーストは光の像が写っているもので、フレアは白っぽくなってシャープさが失われるものです。
ISO 320/絞り F4/露出補正+1
今回もまた猫祭りですが、距離も含めて色々なバージョンで撮れるのでいい作例になる被写体です。
単純に猫が好きなだけでもありますが。
ISO 320/絞り F5.6/露出補正+2
レトロと猫とこのフィルムの相性は抜群。逆光での撮影だったので、露出補正を+1〜2で撮影しています。絞りに関しては猫がメインだからとついボカして(開放付近)撮りがちですが、F5.6で背景もしっかり分かるように撮影。
シャッタースピードはNikon F3にお任せなので、他の部分に気が回せますね。
ISO 320/絞り F1.8
こちらは室内での撮影。とにかく雰囲気を出しやすいフィルムです。
Lomography Earl Grey 100で撮影した作例
僕の好きなモノクロフィルムです。コントラストが強くて締まりのあるモノクロ写真を撮りたい時にはオススメです。
明暗差が激しすぎると黒と白だけになるので注意。
ISO 100/絞り F1.8
PRO400Hでも撮った雨の撮影会のバラです。ちょうどフィルムチェンジしたのでモノクロでも撮ってみました。
少し人を入れるだけでも印象は良くなりますね。
このフィルムもAi NIKKOR 50mm F1.8Sとの相性は良さそうです。
ISO 100/絞り F1.8
モノクロということで明暗差を意識はするのですが、このフィルムだと極端に白と黒になりますね。
ISO 100/絞り F2.8
ワークショップの撮影会終了と同時に雨も上がりました(笑)。
中華街ですが、夜の撮影にも面白いスポットですね。同じく白と黒が激しいです。
ISO 100/絞り F5.6
雨上がりの撮影って反射でキラキラしているのでテンションが上がります。水たまりの反射も利用できますね。
路地裏で夕方、マニュアルで露出を合わせるのは難しいのですが、同じくF3にシャッタースピードはお任せ。
Nikon F3は、その点でもフィルムカメラ初心者の方にオススメできるカメラですね。
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは手に入れやすいオールドレンズ
ISO 400/絞り F4
今回使用したレンズNikon Ai NIKKOR 50mm F1.8Sですが、撮れ高的には充分だなと感じました。
開放でF1.8ということですが、ボケ味も問題なしです。F1.4が標準レンズと言われていますが、僕の中ではあまり遜色ありません。もちろん暗い場所で撮影する時を考えると、1.4や1.2があれば嬉しいですけどね。
オールドレンズになる程度共通して言えるのは、F5.6くらいまで絞ればパリッとした描写になります。
いいレンズや面白いオールドレンズはたくさんありますが、入り口として使っていくのも悪くありませんね。
これからのコラムでも、高級機や高級レンズの紹介だけでなく、手に入れやすい価格のカメラやレンズもご紹介できればと思っています。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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どこでも持ち歩ける相棒です。
Nikon Ai NIKKOR 50mm F1.8S 簡単な解説
ここからは、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフがNikon Ai NIKKOR 50mm F1.8Sについて簡単に解説します。
Nikon Ai NIKKOR 50mm F1.8S
中古価格 | 8,000-12,000円 |
マウント | Nikon Fマウント |
構成 | 4群6枚 |
新品時価格 | 20,000円 |
メーカー | 日本光学(Nikon) |
Nikon Ai NIKKOR 50mm F1.8Sは、1980年代以降のニッコールレンズのラインナップで、廉価なラインの標準レンズとして主役を張ったレンズ。
このレンズ、じつは、もともとはニッコールを名乗っていませんでした。
本来は「リトルニコン」Nikon EMのためにNikon LENS SERIES Eとして発売されたものだったのです。
準パンケーキレンズともいえる小柄なフォルムはそのことに由来しています。
のちにニッコールを名乗るようになったことからもわかるように、性能は折り紙つき。
ニコンのMF機の標準レンズとして大量に生産されたレンズのため、中古の在庫は非常に豊富です。
中古価格も基本的に手ごろな部類。
Nikonの中古フィルムカメラを買ったときに最初に選ぶ1本としても間違いのないレンズです。
Ai NIKKOR 50mm F1.8Sの構成は4群6枚の典型的なダブルガウスですが、日本の一眼レフが爛熟した年代のレンズだけあって描写は高度に突き詰められています。
今回の作例でもわかるとおり、開放では多少滲むこともありますが、マニュアルフォーカスであることをのぞけば性能は現代のレンズに肉薄しています。
その点でいうと「フィルム写真」が持つポテンシャルを引き出すのに向いているレンズといえるかもしれませんね。
設計のポイントは「ニッコール千夜一夜物語」の第60夜(外部リンク)で詳しく解説されています。
興味がある方はぜひご一読ください。
ニッコールレンズの関連記事
Nikon EMの記事はこちら
Nikon F3
今回、フィルムカメラでの作例を撮影したNikon F3は、いわずと知れたNikonの「F一桁機」です。
定番機種だけあって中古での在庫も豊富。
フィルムカメラ人気で以前より価格は上がり気味なものの、それでもかつてのフラッグシップ機が昔なら信じられない価格で楽しめますよ。
ぜひ当店の中古販売ページもご覧ください。
Nikon F3の記事はこちら
この記事で取り上げたフィルムについて
この部分の文章は2022年の年初に加筆していますが、残念ながら、この記事で取り上げたフィルムのうち、Agfa Vista plus200とFUJIFILM PRO400Hは製造が終了してしまっています。
Retrochrome 320は海外から個人輸入が可能なようですが、少し手間がかかりますね。
そんななかで、スタッフの私が個人的に注目しているのが、最後に作例が掲載されたLomography Earl Grey 100です。
ポイントはLomographyならではの流通経路でモノクロフィルムが手に入ることと、比較的手ごろな価格。
大都市部以外ではカラーネガ以外のフィルムは通販でしか買えないことが多い昨今ですが、例外的にLomographyのフィルムは店頭で幅広い種類が扱われていることも多いのです。
中身は東欧の某メーカー製ともいわれていますが、それは逆に一定の品質は満たしているということです。
雨樹さんの作例についての言及にもあったとおり、描写は少々固め。
ですが、それもまたモノクロフィルムならではの味ということができるのではないでしょうか。
Lomographyのフィルムは使ったことがないという方も多いかもしれませんが、Earl Grey 100やLady Grey 400といったモノクロフィルムは、以前からフィルムを楽しんでいる暗室派にもおすすめできる隠れた狙い目フィルムです。
今回使用したミラーレス一眼カメラ・マウントアダプター
このシリーズでは、中古価格が手ごろなフルサイズ機としてSONY α7初代をチョイスしています。
Eマウント機はフルサイズのミラーレスとしては先発なことから、アクセサリなどの資産、中古の豊富さなどに強みがあることが魅力。
マウントアダプターについて
今回のFマウントでも、定番品のK&F Concept製品を使用しています。
今回のAi NIKKOR 50mm F1.8Sは絞りリングのあるレンズのため、単純にマウントを変換するだけの価格が安いタイプを使用しています。
↓こちらのアダプターでは絞りリングのないGタイプレンズも使用可能です。マウントアダプターで使用したいレンズに合わせて購入するとよいでしょう。
Ai NIKKOR 50mm F1.8S まとめ
今回はNikon F3とAi NIKKOR 50mm F1.8Sのご紹介でした。
どちらも定番の中古カメラと中古レンズ。
フィルムカメラをこれから楽しむ方にもおすすめです。
次回は日本光学のニッコールレンズからNikon New NIKKOR 55mm F1.2の作例を、フィルムカメラとミラーレス一眼カメラでお届けします。
[オールドレンズ撮り比べ9] Nikon New NIKKOR 55mm F1.2で大口径の魅力をミラーレスでもフィルムでも生かそう
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