[写真の表現力アップ講座1] カメラの上達に欠かせない露出補正とは?
こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。
川にスイカに子供たち。夏っぽくて、明るくって、楽しそうで、いい写真でしょ。
「ミラーレスカメラ」+「オールドレンズ」で撮影した、この夏のお気に入り写真です。
今回使用したレンズは『SMC Takumar50mm F1.4』です(一部、他のレンズでの撮影もあります)。シャープでボケもキレイ、扱いやすいレンズですね。
前回の記事では『Super takumar 55mm f1.8』を使用しました↓
使いやすいのは50mmでしたが、癖のあるのは(良い意味で)55mmですね。
[オールドレンズ撮り比べ4] PENTAX Super Takumar 55mm F1.8はTHE 入門レンズ。でも実は写りは絶品!
さて、今回は番外編として『露出を意図的にコントロールして、被写体を捉えるテクニック』について書いてみたいと思います。
長年続けてきている方にとっては当たり前のことなんですが、初心者の方は案外知らなかったりします。
写真用語や理屈はとても難しいので、ここからは出来る限り初心者目線で書いていきます。「厳密にはそうじゃないよ!?」ってことや、矛盾している部分も出てくるかもしれませんが、上級者の方はその点スルーでお願いします(笑)。
目次
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露出を意図的にコントロールするとは?
絞り優先/ISO 160/F1.4/露出補正+1 2/3
露出とは写真用語で『レンズのシャッターを開閉して、乾板・フィルムの感光膜や、CCDなどのイメージセンサーに光を当てること』です。
と、定義的に説明するとややこしいですが、ようは撮影時に取り込まれる光の量のことです。
この光の量は「絞り(F値)」と「露光時間(シャッタースピード)」と「感度(ISO)」で決められます。
これを意図的にコントロールしていくことで、写真の幅がどーーんと広くなります。めっちゃ上手くなった気にもなります。
といっても「絞り(F値)」・「露光時間(シャッタースピード)」・「感度(ISO)」を全部自分で決めて撮影するのは難しいので、はじめは絞り優先などで撮影していくのがいいでしょう。
どこで光を操るかというと、カメラの機能『露出補正』をプラスかマイナスにするだけ。
明るいレンズは、明るく撮れるレンズではない!?
絞り優先/F2.8/露出補正+2
露出補正の前に一つ。『明るいレンズ』という言葉を聞いたことありませんか?
これ、勘違いされることが多いのですが、F値がF1.4などの小さいレンズのことを差しているだけで、他のレンズよりも明るく撮れるというわけではありません。
どんなレンズでも設定を変えるだけで明るく撮ることは可能です。その設定というのが、『露出補正を変えること』なんです。
上記のカメラは『SONY α7』ですが、たいていのカメラはシャッターボタンの近くにあります。
このダイヤルを左右に回すだけです。
ダイヤルではなく、『+/−』の小さいボタンのカメラもあります。その際はボタンを押しながら、絞りなどを変えるダイヤルを回せば調整が出来ます。
僕が写真を撮る時は、ここを変えまくります。
半時計回りでプラス、時計回りでマイナスですが、コンタックスのAriaは逆でしたね。お持ちのカメラを確認して下さい。
・明るく撮りたい時は+方向へ
・暗く撮りたい時は−方向へ
ゼロの位置は適正露出といって、いわゆる『ちょうどいい明るさ』です。カメラによって少し変わりますが、僕はこのちょうどがちょっと暗いなって思うので、基本的に+1/3〜+1くらいで撮影しています。
空の段階露光です。適正(ゼロの位置)はやや暗めですね。こうやって並べてみると僕の好みの写真は+2ですが、雲の立体感は無くなっていますね。
太陽の位置によって適正がちょうどいい明るさになることもありますが、撮影しながら自分好みを探していきます。
露出補正+1 2/3で撮影しました。写真用語で露出オーバーとも言います。
露出補正-2/3で撮影。露出アンダーともいいます。
もちろん、RAWデータで撮って現像ソフトで後から調整というのも可能です。
でもそれだと、被写体としっかり向き合うことが出来ません。
どんな明るさで撮ればより被写体は生きるのか。それを考えることが大切です。
表現の幅だけではなく、伝わる写真にも繋がります。
同じ被写体での撮り比べ
絞り優先/F1.4/露出補正+2
絞り優先/F1.4/露出補正−2
ピントの合わせる位置・アングルは違いますが、イメージががらっと変わりますね。
単純にプラス補正はポジティブなイメージに。マイナス補正はネガティブなイメージになります。
絞り優先/F1.4/露出補正+1
続いて夜の写真。顔も浴衣もハッキリと写っています。とりあえずしっかりと残しておきたい写真。
絞り優先/F1.4/露出補正−2
シルエット気味に撮ることで、『隠された感情』があるような気がしませんか?
こうやって、どのように撮りたいかで露出補正をコントロールしていきます。
どんな時に明るく(暗く)撮るのか?
状況に応じてなので一概には言えませんが、ふんわりした写真を撮りたいならプラス。格好良く、渋く撮りたいならマイナス、というのが基本です。人でたとえると、赤ちゃんはプラス、アジアに住む葉巻を咥えたおじいちゃんはマイナス、ですね(笑)。
それに加えて、先ほどの「隠れた感情』など人の内面を写したいのならマイナスに。
単純に外に溢れている、幸せそう・楽しそうな雰囲気を撮るならプラスになります。
とはいえ、知らない人の顔をガンガン撮るのは難しいので、別のサンプルも。
FUJINON 55mm F2.2で撮影/絞り優先/F1.4/露出補正+1
キバナコスモスがちろっと咲いていたので、露出を変えて撮ってみました。こちらは+補正ですね。
FUJINON 55mm F2.2で撮影/絞り優先/F1.4/露出補正−2
少しアングルは変えていますが、マイナス補正でシルエットに。
同じ場所でもガラッと変わっているのが分かるかと思います。
お次はフィルムカメラで撮影。下記の写真は『Contax Aria』にて同じ場所で違う時間に撮影しました。
どちらがいいかは好みもありますが、同じく雰囲気が別物です。
Planar T* 50mm F1.4で撮影/絞り優先/F4/露出補正+2
Planar T* 50mm F1.4で撮影/絞り優先/F4/露出補正−1
一枚目は午前11時くらいですね。太陽が真上にあって人の影が足下にあるような状況です。
地面の余白を多く入れ、明るく撮ることで、やや白飛びさせてふんわりやわらかいイメージになっています。
二枚目は午後17時頃。場所的には一枚目の奥、白いTシャツを着ている方の位置くらいで撮影しました。
太陽が傾いて、石畳に影が伸びていますね。暗く撮ることで、影の暗さがより引き立っています。
ろくそくの火など極端な明暗差がある時はマイナス補正で
これまたどちらの写真がいいかはさておき(笑)、ろうそくの火がハッキリ分かるのは露出補正−2で撮った右の写真ですね。
このような明暗差が強い場面はカメラ任せだと好みの明るさで撮るのが難しく、露出補正は必須になってきます。
切り取り方でも表情が変わる
絞り優先/F11
露出補正に頼らずとも、どこを切り取るかでプラスマイナスの変化を付けることが出来ます。
まずはこちらの入道雲。適正露出で撮影しました(露出補正がゼロの位置)。
夏だなー、天気だなー、気持ちいいなー、もふもふしてそうだなー、と。
気持ち的にはプラスなイメージがありませんか?
絞り優先/F11
そしてこちらの入道雲。同じ時間で同じ場所。設定も同じです。
横と縦、切り取り方を変えただけです。
プラスのイメージが一辺。雨だー、ゲリラ豪雨だー、浸水だー、雷だー、竜巻だー、悪魔が降りてくるー、と。
かなり大袈裟に書きましたが、マイナスのイメージが強くなりませんか?
これは分かりやすい例だと思いますが、切り取り方一つでもイメージはガラッと変わります。
【補足】空の撮り方
空を撮る時の絞り値ですが、F8〜11くらいが好ましいです。
F1.4で撮るとシャープさが失われて、雲の輪郭も緩くなって、立体感が無くなります。
また、オールドレンズのピント合わせは遠距離になるほど難しいので、拡大して確認して撮りましょう。
絞り優先/F4.5/露出補正−2
表現方法といえば難しく聞こえますが、頭の中に出来上がりのイメージや感情などがあるほど、写真の上達も早いです。
僕の撮影方法が必ずしも正しいというわけでなく、自分なりでいいので『被写体との関係性を見つめて、捉えていくこと』です。
目では見えませんが、自分の感情や相手の感情、その場に潜む空気感。それを自分なりに解釈して撮影します。
とまぁ、あまり難しく考え出すと撮影を楽しめなくなるので、まずは明るさをガンガン変えながら撮影していきましょう。
写真の表現力アップ講座 次回の記事はこちら
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