デジタル一眼レフで使うオールドレンズのススメ Nikon・Canon・PENTAX・SONY α
今回は、デジタル一眼レフカメラでオールドレンズを使う方法について解説します。
オールドレンズとは、フィルムカメラの時代につくられた、マニュアルフォーカスのレンズのこと。
古いレンズとあなどるなかれ。
じつは性能や描写力に優れたものが数え切れないほどあるのです。
また、ぐるぐるボケやバブルボケ、フレアやゴーストなど、最新のレンズには真似ができない写真を撮ることもできますよ!
デジタル一眼レフカメラでオールドレンズを使う場合、カメラ本体のメーカーによって、使えるレンズが異なります。
NikonとPENTAXは、主に同じメーカーのオールドレンズが。
CanonとSONYは、マウントアダプターを使うことで幅広いメーカーのオールドレンズを取り付けることができますよ。
それでは具体的に、デジタル一眼レフでオールドレンズを使うコツについて見ていきましょう。
目次
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はじめに:デジタル一眼レフメーカーごとの特徴
まず最初に、それぞれのメーカーごとに取り付けられるオールドレンズを簡単に紹介します。
さらに詳しい内容は、記事の中で解説していきます。
1.ニコンのデジタル一眼レフ
「ニコンFマウント」のオールドレンズがそのまま取り付けられます。
ニコンFマウントのオールドレンズには、「Aiレンズ」と「非Aiレンズ」があります。
どの一眼レフカメラにも取り付けられるのは「Aiレンズ」なので、迷ったらそちらがおすすめです。
ニコンのオールドレンズの種類については、こちらの記事をご覧ください。
2.PENTAXのデジタル一眼レフ
ペンタックスのデジタル一眼レフに取り付けられるのは、「Kマウント」と「M42マウント」のレンズ。
Kマウントのレンズはそのまま取付可能。
M42マウントのレンズには「マウントアダプター」が必要になります。
KマウントとM42マウントのオールドレンズについては、こちらの記事で紹介しています。
3.CanonとSONYのデジタル一眼レフ
CanonとSONYのデジタル一眼レフは「マウントアダプター」を使うことで、多くの種類の一眼レフ用オールドレンズが取付可能です。
初めてオールドレンズを使うなら、M42マウントのレンズが定番。
そのほかにも、CONTAX一眼レフ用のレンズなども使うことができますよ。
デジタル一眼レフで楽しむオールドレンズ
オールドレンズとは、フィルムカメラの時代の古いレンズのこと。
高性能で味わい深い描写。
ポートレートを撮っても、花や木、風景を撮っても。
人の心を動かす写真を撮ることができますよ。
しかも値段もリーズナブル!
オールドレンズの特徴
オールドレンズなら、深みのある、印象的な写真を撮ることができますよ。
たとえば、背景のボケを活かした写真。
最新のレンズに比べ、ずっとまろやかな味わいです。
また、ぜひ楽しんでみたいのが「フレア」や「ゴースト」。
現実にはない光を写し込んで、情緒あふれる画を切り取ることができるのです。
フレアやゴーストについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
そして、オールドレンズは古くても高性能。
味わい深いのに、撮影した写真はシャープ。
リーズナブルな値段で、深みある写真を撮ることができますよ。
作例のレンズに対応するマウントアダプターはこちら
デジタル一眼レフでオールドレンズを使うときに気をつけること
デジタル一眼レフカメラでオールドレンズを使う場合、専用に作られた現代のレンズとは、扱い方が異なる場合があります。
具体的には、以下のようなところに注意が必要です。
1.センサーサイズの違い(フルサイズとAPS-C)
デジタル一眼レフカメラには、大きく分けて「フルサイズ」と「APS-C」という種類があります。
これは、写真を記録するセンサーの大きさの違い。
オールドレンズを使う場合、以下のような差が出てきます。
フルサイズ……
レンズに書いてある焦点距離(50mmなど)の画角(写る範囲)で撮影できる。
広角レンズは広角レンズとして、標準レンズは標準レンズとして使える。
APS-Cサイズ……
レンズに書いてある焦点距離を約1.5倍した画角で写る。
広角レンズは標準レンズに、標準レンズは中望遠レンズになる。
例:
焦点距離35mmのレンズは、フルサイズ換算52.5mm相当の画角
焦点距離50mmのレンズは、フルサイズ換算75mm相当の画角
百聞は一見にしかず。
同じ場所から、同じレンズで、フルサイズとAPS-Cサイズを撮り比べてみました。
フルサイズで50mmレンズを使って撮影
APS-Cサイズで50mmレンズを使って撮影
このように、APS-Cサイズのカメラでは、同じレンズでも写る範囲が狭くなるのです。
2.使えるモードはMモードかAモード
デジタル一眼レフでオールドレンズを使う場合、使用できるのはMモード(マニュアル)とAモード(絞り優先AE)となります。
ただし、メーカーや機種によっては、Mモードしか使えないものもあるので注意。
(後述します)
3.「実絞り」での使用になる場合がある
デジタル一眼レフのボディとレンズの組み合わせによっては「実絞り」での撮影になるので注意しましょう。
この問題は基本的に、マウントアダプターを使った場合に生じます。
実絞りでの使用とは、レンズの中にある「絞り」という光の量を変える部分を、手動で開閉すること。
普通、一眼レフカメラの絞りは、シャッターを切るときに連動して、自動で開いたり閉じたりします。
これは、一眼レフカメラのファインダーは、レンズを通った光を見るためのもののため。
「絞り」で光の量を減らしてしまうと、肉眼でファインダーが見づらくなってしまうことを防いでいるのです。
ところが、マウントアダプターを使うと、カメラ本体とレンズが機械的に連動せず、絞りが自動で動作しません。
そこで、撮影するときに、手動で絞りを設定してあげる必要が出てくるのです。
自動絞りの状態:通常は、この状態から絞りが自動で絞り込まれる
実絞りの状態:マウントアダプターでは、手動でこの状態に絞り込む必要がある
4.露出計が動作しないことがある
デジタル一眼レフはすべて、明るさを計測するための「露出計」を内蔵しています。
しかし、カメラボディとオールドレンズの組み合わせによっては露出計が動作しないことも。
そんなときは、シャッター速度と絞りを少しずつ設定して、実際に写真を撮って、液晶画面で明るさを確かめながら撮影すればOKです。
5.マウントアダプターで使えるのは、本体より「フランジバック」が長いレンズのみ
カメラ本体のメーカーによって使えるレンズの種類が違うのには理由があります。
それは、「フランジバック」が異なるため。
フランジバックとは、イメージセンサーから、レンズマウント表面までの厚みのこと。
基本的に、フランジバックが少ない(薄い)メーカーのカメラボディに、フランジバックが多い(厚い)メーカーのレンズを取り付けることしかできません。
逆は、物理的には可能なことはありますが、「無限遠が出ない」(遠くにピントを合わせられない)という致命的な問題が発生します。
この数値は、CanonやSONYのデジタル一眼レフでは薄く、NikonやPENTAXでは厚めです。
そのため、デジタル一眼レフカメラでマウントアダプターが使えるのはCanonやSONYのみとなります。
NikonやPENTAXは同じメーカーのレンズが使える
NikonやPENTAXの場合、同じマウントのオールドレンズなら取り付けが可能です。
ニコンの場合、ニコンFマウントのレンズ。
ペンタックスの場合には、ペンタックスKマウントのレンズが取付可能です。
例外的に、ペンタックスの場合、M42マウントだけはマウントアダプターを使うことができます。
ところで「デジタル一眼レフ」と「ミラーレス一眼」とは?
この記事では「デジタル一眼レフ」について解説していますが、「ミラーレス一眼」を持っている方もいるのでは。
2つの違いは、中に鏡があるか、ないかということ。
鏡があるのがデジタル一眼レフ。
ないのはミラーレス一眼です。
デジタル一眼レフ:マウント内に鏡がある
ミラーレス一眼:マウント内に鏡がない
じつは、オールドレンズを使うにはミラーレス一眼のほうが向いています。
ミラーレス一眼でオールドレンズを使う方法についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
各メーカー別 デジタル一眼レフでオールドレンズを使う方法
では具体的に、各メーカーごとのオールドレンズの使い方を見ていきましょう。
1.Nikonのデジタル一眼レフカメラ
ニコンのデジタル一眼レフカメラで使えるのは、基本的に、ボディと同じニコンFマウントのレンズです。
マウントアダプターは不要で、そのまま取り付けられます。
ニコンFマウントのオールドレンズには、大きく「Aiレンズ」と「非Aiレンズ」があります。
Aiレンズをデジタル一眼レフで使う
Aiレンズ
Aiレンズは、基本的にニコンのどのデジタル一眼レフにも取付可能です。
Aiレンズとは、レンズの根本が切り欠いてあるレンズのこと。
レンズ根本の絞りリングの数字が大小2つ書いてあれば、Aiレンズとなります。
ただし、露出計の動作やAモードの使用が可能なのは、D7000番台以上の、中級機・上級機のみ。
D3000番台・D5000番台の初級機では、取り付けと撮影はできますが、Mモードでの撮影となり、露出計は動作しません。
非Aiレンズをデジタル一眼レフで使う
非Aiレンズ
非Aiレンズとは、Aiレンズが登場する1970年代中盤以前に作られた、古いタイプのレンズのこと。
レンズの根本が切り欠かれておらず、絞りリングの数字が1列しかないのが特徴です。
非Aiレンズは、カメラボディの種類によっては本体と干渉し取り付けができません。
非Aiレンズはボディによっては干渉
参考:Aiレンズは干渉しない
具体的には、D7000番台以上の中級・上級機はすべて取り付け不可。
D800・D810・D850・D750など、すべて取り付けできません。
いっぽう、D3000番台とD5000番台には干渉しないため、非Aiレンズも問題なく取り付け可能です。
ただしAiレンズ同様、Mモードのみ・露出計非作動となります。
ニコンのオールドレンズについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
2.PENTAXのデジタル一眼レフでオールドレンズを使う
ペンタックスのデジタル一眼レフで使えるのは、「Kマウント」と「M42マウント」のオールドレンズです。
Kマウントレンズをデジタル一眼レフで使う
Kマウントのオールドレンズは、マウントアダプターなしでそのまま取り付け可能です。
使用時は、「絞り込み測光」となります。
電源スイッチを、ONを通り過ぎる場所まで回すと、レンズの絞りが「実絞り」まで絞り込まれます。
その状態で、露出計の表示に合わせてシャッター速度を決めることで適正露出となります。
Kマウントレンズについて詳しくはこちらをご覧ください。
M42マウントのレンズをデジタル一眼レフで使う
ペンタックスのデジタル一眼レフは、M42マウントのみ、マウントアダプターを用いた取り付けが可能です。
KマウントとM42マウントはフランジバックの数値が同一で、Kマウントの中にすっぽり入り込む形状のマウントアダプターを使うことで問題なく使用できるようになっているのです。
Kマウント-M42マウントアダプター(非純正)
M42マウントのレンズを使う場合は、絞りを実絞りまで手動で絞り込む必要があります。
また露出を決めるときも、一旦手動で絞り込む必要があります。
Kマウント-M42マウントのマウントアダプター購入の注意点
KマウントをM42マウントに変換するアダプターには2種類あります。
絞り連動ピン押し込み機能付き
絞り連動ピン押し込み機能なし
です。
これは、「自動絞り」をマニュアル(実絞り)に切り替える機構の有無と関連しています。
M42マウントのレンズには、自動絞りを実絞りに切り替えるスイッチがあるものとないものがあり、ないタイプのレンズは「絞り連動ピン押し込み機能付き」のアダプターでないと、開放以外の絞りが使えないのです。
押し込み機能付きのものは、
絞りの「オート・マニュアル切り替えスイッチ」がないレンズも使用可能。
ただしKマウント用の値段は高め。
押し込み機能付き
いっぽう、押し込み機能がないものは、「オート・マニュアル切り替えスイッチ」がないレンズでは絞り開放でしか使えません。
こちらは値段が安めです。
じつはペンタックス純正のマウントアダプターも「押し込み機能なし」です。
押し込み機能なし
PENTAXのデジタル一眼レフで使用できるM42マウントアダプター
PENTAXのデジタル一眼レフ(Kマウント)をM42マウントへ変換するアダプターは、純正品も存在しますが、2022年現在入手性がよいのはどちらかといえば社外品です。
具体的には以下のような製品がよいでしょう。
M42マウントレンズについて詳しくはこちら
絞りの「オート・マニュアル切り替えスイッチ」についても解説しています。
3.Canon・SONYのデジタル一眼レフでオールドレンズを使う
↑EOS-M42マウントアダプター:フランジバックの差が小さいので、マウントアダプターも薄くなる
CanonとSONYのデジタル一眼レフの場合、マウントアダプターを使うことで、各種一眼レフ用オールドレンズの使用が可能です。
CanonとSONYはどちらもフランジバックが短いので、対応するマウントアダプターは多めです。
具体的なものとしては、M42マウントや、ヤシカ・コンタックスマウント、ニコンFマウントなどのオールドレンズが代表的です。
使用時は実絞りになる
使用時には、基本的に実絞りでの使用となります。
露出計については、どちらも実絞りまで絞り込むことで、絞り込み測光で使用可能です。
Canonのデジタル一眼レフで使用できるマウントアダプターの例
Canonのデジタル一眼レフ(EFマウント)をM42マウントへ変換するマウントアダプターには、以下のようなものがあります。
SONYのデジタル一眼レフで使用できるマウントアダプターの例
SONYのデジタル一眼レフ(Aマウント)をM42マウントへ変換するマウントアダプターには、以下のようなものがあります。
デジタル一眼レフカメラでもオールドレンズを楽しもう!
このように、デジタル一眼レフカメラでもオールドレンズでの撮影が可能。
とくにニコンとペンタックスは、同じメーカー・同じレンズマウントのレンズを気軽に取り付けることができますよ。
値段が安いものも多く、描写も味わい深いオールドレンズ。
ぜひお持ちのデジタル一眼レフで楽しんでみませんか?
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