CONTAX(コンタックス)T2/小さな巨人 高級コンパクトの元祖
CONTAX T2は、現在でも非常に人気の高い高級コンパクトカメラ。
1990年代の高級コンパクトカメラブームの一翼を担った、まさに名機のひとつだといえるでしょう。
高級感あるチタンボディに、カール・ツァイスのT*レンズを搭載。
多くの写真家がストリートスナップ・キャンディッドフォトに愛用したことからもわかるように、その描写性能は折り紙つきです。
現在でも探し求める人が多い名機、コンタックスT2。
今回はこのカメラについて紹介していきます。
コンタックスT2についてはこちらの新しい記事でより詳しく解説しています。
目次
コンタックスT2
高級コンパクトカメラの代表格。
それがコンタックスT2。
京セラ・CONTAXが生み出した名機は、いったいどんな魅力を秘めているのでしょうか。
コンタックスT2の性能・スペック
形式 | 35mm高級コンパクトカメラ |
レンズ | Carl Zeiss Sonnar 38mm F2.8 T* |
フォーカス | 赤外線式アクティブオートフォーカス MF使用可能 |
シャッター | B、1秒〜1/500秒 |
露出 | 絞り優先プログラムAE |
フィルム巻き上げ | 自動巻き上げ・巻き戻し オートローディング |
ストロボ | 内蔵 |
使用電池 | CR123Ax1個 |
発売年 | 1990年 |
コンタックスT2の特徴
コンタックスT2は、高級コンパクトカメラというカテゴリを生み出した記念碑的なカメラだといえるでしょう。
前モデルのCONTAX Tも魅力的な機種で、個性的で面白いカメラではありましたが、個性が強すぎて商業的に成功したとはいえませんでした。
CONTAX Tはコンパクトレンジファインダーという個性的なカメラで、魅力的なのは確かでしたが、AFがないこと、フィルムの装填にはボディーカバーを外さなければならないという、敢えて古風を演出するギミックがあることなど、どこかマニア向けの色が抜けきらなかったのです。
一転、CONTAX T2はモダナイズされ、非常に扱いやすいカメラとなりました。
もちろんオートフォーカスを搭載。
フィルムの出し入れも他のコンパクトカメラと同様のオートローディングとなり、裏蓋も一般的な開閉式になったため、外したカバーをどこに置くか悩まずに済むようになりました。
抜群の描写を誇るゾナー38mm F2.8
レンズはゾナー38mm F2.8、最短撮影距離0.7m。
T2の評価は、このレンズのおかげで高まったことが間違いないといえるでしょう。
当時の雑誌広告に使われていた写真でも、T2で撮影したサンプルを大伸ばしして使用していました。
その辺りにも、製造元である京セラの自信がうかがい知れます。
携行性の良さは他のコンタックスTシリーズ同様で、レンズは沈胴式です。
電源が切られた状態ではレンズはボディーに沈み、カバーが締まりレンズの前玉を保護しています。
絞り優先を元にしたプログラムAE
露出方式は基本的には絞り優先AE。
プラスして、開放のF2.8に設定していると、露出オーバー時に自動的に絞り込まれるプログラムAEを搭載しています。
シャッター速度だけでは露出オーバーに対処しきれなくなると、自動で絞り込まれて適正露出を保つという、絞り優先とプログラムをクロスオーバーさせたような機構です。
シャッター速度は、プログラムAEで1秒から1/500秒、絞り優先で1秒から1/200秒。
カメラの性格を考えれば納得はできますが、ピーカンの屋外撮影では低感度のフィルムを選ばないと絞り優先の開放撮影にはとても使えないかもしれません。
レンズシャッターは高速が苦手なため、致し方のないところかもしれません。
露出補正は0.5EV刻みでプラス・マイナスそれぞれ2段まで。
露出がオートしかないのだから、もう少し補正の幅があってもよかったかもしれませんが、普段使いにカバンに入れておくには十分です。
MF機能搭載で撮影意図の反映も可能
フォーカスは基本的にはAF。
ですが、MF機能も搭載されているため、ピントを手動で設定し、撮影意図を明確に反映することも可能です。
マニュアルフォーカスは、電源兼用のダイアルを使って行う形になります。
細部まで高級感に気を配ったボディ
コンパクトカメラではあっても、「高級」という枕詞がついてくることからもわかるとおり、質感には細部まで気が配れています。
手に取っただけで高級感が伝わってくるのは、やはりボディー外装がチタン製であるため。
前モデルのコンタックスTゆずりのチタン外装からは、ただのコンパクトではない「特別なカメラ」ならではの質感が醸し出されています。
ところで、TシリーズのTは、このチタンを表しているのでしょうか?
それともT*レンズからなのでしょうか?
もしかするとその2つのダブルミーニングなのかもしれません。
無駄を削ぎ落としたデザインは、今日のアップル製品にも通ずる潔さがあり、その雰囲気、佇まいはとても知的に見えます。
このカメラを手にしているだけで、写真を知っている人だとわかる。
そんな強い印象が感じられるカメラは、このコンタックスT2をおいて他にないかもしれません。
ちなみに、ボディがチタン製であるだけでなく、レリーズボタンにも人工結晶サファイアが奢られています。
1990年という日本にとってもっともよき時代。
存分にコストをかけた設計であることが、手に取るだけで伝わってくるのです。
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コンタックスT2の各モデル紹介
さまざまなモデルが存在するのもコンタックスT2の特徴です。
もし他人と違うT2が欲しいと思ったら、限定モデルを手に入れてみるのもおすすめです。
なお、どの機種も機能的には通常モデルと変わりません。
コンタックスT2 チタンブラック
1991年発売。
コンタックスT2 チタンブラックは、シャンパンゴールド色の通常モデルとはうってかわって、シックなグレーがかったチタンカラーに包まれた限定モデル。
比較的中古での入手性も良く、シャンパンゴールドでは少し派手すぎると感じる方にもおすすめできます。
コンタックスT2 チタンゴールド
1991年発売。
コンタックスT2 チタンゴールドは、通常モデルやチタンブラックとはうってかわってボディ色が金色となったモデル。
金色のモデルは、次に紹介するコンタックスT2 ゴールド(60周年記念モデル)もありますが、こちらはボディ全体が金色であることが識別点となります。
コンタックスT2 ゴールド(60周年記念モデル)
1992年発売。
コンタックスT2 ゴールドは、コンタックス60周年を記念して発売されたモデル。
ボディ色は上下カバーが金色、ボディの胴部分は黒色で、60周年のレタリングが施されています。
専用収納箱と牛革製ケースが付属しており、日本国内は2,000台、海外は4,000台の完全限定生産品です。
コンタックスT2 プラチナ
1992年発売。
コンタックスT2 ゴールドと同時に発売された、完全受注生産限定モデルです。
こちらも専用収納箱と牛革製ケースが付属され、ボディにはプラチナコーティングが施されています。
コンタックスT2 ブラック
1998年発売。
コンタックスT2 チタンブラックとは異なり、塗装された黒いボディのモデルです。
通常モデルが生産終了したあとに、2000台限定で生産された希少モデルとなります。
コンタックスT2 中古購入のポイント
それでは、これからコンタックスT2を中古で手に入れる場合、どんなことに気をつければよいのでしょうか?
動作は一般的なポイントをチェック
コンタックスT2は、内部が完全に電子化されているカメラ。
1990年の発売から時間が経っているため、中古購入時には目視で判別できる箇所を中心にチェックするとよいでしょう。
ボディにアタリはないか、レンズにカビはないか、ファインダーにクモリはないか、など中古購入時の一般的なポイントをチェックすればOKです。
現在ではメーカー修理は難しく、外部の業者での修理も可能ではあるようですが、基本的には電子カメラ。
可能な限り状態のよい個体を中古で手に入れることが第一です。
コンタックスT2で現在でも通用する名レンズを楽しんでみませんか?
コンタックスT2の魅力は、やはり、カール・ツァイスのゾナーレンズの描写力。
このレンズを使いたいがために、いまでもこのT2を探し求めている人は数知れません。
もし常にフィルムカメラを持ち歩きたいなら、コンタックスT2は最良の選択。
高級コンパクトカメラの名機を、ぜひあなたも手にしてみませんか?
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